運命の番に為る

夢線香

文字の大きさ
33 / 66
本 編

J-ⅩⅤ Kiss of Flowers bloom 【キスの花が咲く】

しおりを挟む



 気分が悪い……

 何度も麻酔銃で撃たれているせいで、悪酔いが治まらない。

 唯、雪乃に会いたいだけなのに……何故、ここまで妨害されなければならない?

 その理由は分かっているが、納得出来ない。

 苛立ちは、一分一秒毎に増して行く。

 初めてマティーロに麻酔銃で撃たれた後、いつの間にかやって来たジーノによって部屋に閉じ込められた。俺は、窓から外に出た。ジーノに見付かって、麻酔銃で撃たれた。

 下着以外の服を全て取り上げられた。外に繋がる窓の全てに、外から鍵を掛けられた。ジーノの仕業だ。

 シーツを身体に巻き付けて、窓を破壊して外に出た。また、ジーノに撃たれた。狩猟用のライフルだった。


 ライフルで撃たれるのは、狼のはずだろうがっ……!!


 部屋の窓が防弾ガラスと強化ガラスの二重窓に変わり、殴っても椅子をぶつけても壊れなかった。


 人の家を勝手に改装しやがってっ……!!


 窓を諦めて扉を殴っていたら、口元を布で覆ったジーノが現れて、何かのスプレーを吹き掛けられた。睡眠薬だった。急激な眠気に、その場に崩れ落ちて眠りに落ちた。


 このっ……! Devil Wolf悪魔狼 がっ……!!


 それからは、食事を運んで来る時を狙って襲い掛かったが、ジーノの武術に惨敗して何度も床に沈められた……

 気が付けば、手足をガッチリ縛られベッドに放置された。寝室のテレビに、病室のベッドで眠る雪乃が映し出される。

Idiotバカ Emperor皇帝 。雪乃が目覚めるまで、これで我慢しろっ! 大人しくしていないと、雪乃が目覚めても、そのまま日本に連れて帰るぞっ!」

 ジーノに怒鳴られる。

 ――そう言われては、大人しくするしかない。

 俺は、イライラしながらも大人しくしていた。俺がずっと苛ついているせいで、マティーロは邸宅の中に居られなくなった。食事はジーノが運んで来るようになり、俺が大人しくなったので拘束を外され、部屋に軟禁された。

 苛立ちながらも、画面の中の雪乃に焦がれる。

 それで、どうにか気を紛らわせながら仕事を済ませていると、ずっと動かなかった雪乃が身動ぎ、目を覚ました。


 雪乃っ……!


 緩慢な動作で、手をサイドテーブルに伸ばしている。きっと、水を欲しがっているんだっ……!

「おいっ! ジーノっ! 雪乃が目を覚ましたっ! 水を欲しがっているっ!!」

 扉を殴って、ジーノを怒鳴り付けるように呼んだ。奴が入って来て、画面に映る雪乃を確認すると、スマホで病院に連絡し始めた。

 開いている扉を見た瞬間、ジーノを力いっぱい突き飛ばし、部屋を飛び出した。

 雪乃の傍に行かなければっ……!

 俺の頭の中は、それだけでいっぱいだった。

 だが、外へ出た途端に麻酔銃で撃たれ、その場で昏倒した。



 それが、最後の記憶だ……

 何度も麻酔銃で撃たれたせいで、背中が痛む。

 だが……いつもみたいな苛つきがない。

 ……凄く……いい匂いに包まれているから……

 暖かくて、柔らかくて、俺を何よりも慈しんでいる匂い……ちょっと甘くて、清涼としていて、俺を何よりも愛おしんでいる匂い……

 俺の……愛おしい者の匂い……

 初めて嗅ぐ匂いだ……いや、違う……前にも嗅いだ匂いが混じっている。

 とても、とても、狂おしい程に惹き付けられる匂い。


 ……俺の……オメガの匂いだ……


 そう感じた瞬間に、目を見開く。一気に目が覚めた。

 ――俺の腕の中に、会いたくて、会いたくて堪らなかった雪乃が居た……


 雪乃っ……雪乃っ……! 雪乃っ……!!


 誰にも奪われないように、両腕の中にしっかりと抱き締めて、閉じ込める。

 ちゃんと、抱きしめた感触があるっ……!

 雪乃の重みを感じるっ……!

 雪乃の体温も伝わって来るっ……!

 雪乃の脇の下に手を差し込んで身体を引き上げ、邪魔なネックガードのない首筋に顔を埋めた。


 これがっ……! 雪乃の匂いっ……!!


 何だ……雪乃が俺のっ……!! 運命じゃないかっ……!!!!

「ぅ、ぅん……?」

 雪乃の首筋に、ぐりぐりと鼻を擦り付けていると雪乃が目を覚ました。

「雪乃っ……!! 逢いたかったっ……!! 雪乃っ……!!!!」

 喜びで爆発しそうな感情に堪えながら、逃がし切れない感情を、雪乃を強く抱き締めることでしのぐ。

 一人で悶えていると、雪乃に頭を抱き締められた。

「ん、傍に居られなくて……ごめんね、ジェイ」

 愛おしそうに、俺の頭を撫でてくる雪乃。

「もう……寂しい想いはさせないよ……ジェイ」

「雪乃っっっ……!!!!」


 雪乃の言葉に、泣きそうになった。

 雪乃は、俺の感情の爆発が治まるまで俺の頭を撫で続けた。

 俺が落ち着いてくると、雪乃は俺の顔中にキスを落としてくる。

 その、一つ一つが……俺を愛おしんでいるのが伝わって来るくらいの優しいキスで……ドキドキする。

「ジェイ、ご飯を一緒に食べよう?」

 俺の鼻の頭に、雪乃がキスを落とす。

「……ああ」

「ご飯を食べたら……一緒に、お風呂に入ろう」

 今度は、俺の瞼にキスをする。

「……ああ」

「その後は……ジェイと……繋がりたい……」

 雪乃は、俺の唇に触れるだけのキスを落とす。

「っ……ああ!」

 望むところだっ……!

 俺が喜び勇んで答えると、雪乃に深く口付けられた。

 随分と久しぶりに感じるキスに、夢中になって雪乃の舌を追い掛ける。

 前よりも、ずっと旨くなった雪乃のキスに、貪るように喰い付く。

 雪乃の堪らない匂いに、頭が甘く蕩けて幸福感に満たされる。それは、雪乃も同じようだった。


「はぁ……ジェイ……益々、美味しくなってる……」


 雪乃は、とろけた目で俺を見詰めて、艶めかしい吐息を吐き出しながら熱い視線を向けて来る。

 雪乃の艶顔に胸を鷲掴みにされて、今度は俺から雪乃に、深く深く、キスをした。

 逃げることなく絡み付いて来る雪乃の舌に、舌を絡めて撫で擦る。他の所を舐めたくても、雪乃の舌が許してくれない。雪乃の舌を可愛がり、俺の舌を可愛がられる……

 俺の頭の中は、雪乃で埋め尽くされた。

 お互いの唾液を呑み下して、唇を名残り惜しみながら離すと、互いが漏らした熱い吐息が混ざり合う……

 我慢が出来なくなって、雪乃の腰から上着の中に手を潜り込ませようとしたら、雪乃の手に止められた。

「まだ、だめ……ご飯とお風呂が先。……ね?」

 可愛く窘められて、唇をチュっと吸われた。

「~~~ッ!」

 悶え死にしそうだった……

 こうなれば、そのスケジュールをさっさとこなすしかない。

 雪乃を抱いたまま身体を起こし、ベッドから出る。

 寝室を出ると、テーブルに食事が用意されていた。取り上げられていた、俺のスマホも置かれている。

 雪乃を抱いたままソファに座り、ホテルのテイクアウトらしい料理の包みを開けていく。

 雪乃を抱いたままだから遣り難いが、関係ない。雪乃を離す方が嫌だ。

 俺が準備をしている間、雪乃は俺の首筋や胸を愛おし気に指でなぞって、にこにことしている。


 …………可愛い…………


 ずっと眠り続けていた雪乃に合わせたのか、チキンヌードルスープと柔らかいパン。果実を細かく摩り下ろしたピーチゼリーだった。

「食べられそうか?」

 スープにパンを千切って入れて、スプーンで掬って雪乃の口元に持って行くと、パクリと食べた。

 どうやら、大丈夫みたいだ。

 雪乃が食べた量は少なかったが、食べられただけ良かった。

 残りは、俺が全部たいらげた。雪乃が俺に食べさせたがったからだ。食欲はなかったはずだが、雪乃に見守られながら食べる食事は、美味しく感じた。

 雪乃は、ずっと上機嫌で俺の首筋を頻りに撫でていた。

 食事が終わった後は、食休めの為にまったりとする。

 雪乃は俺の首に抱き着いて、俺の髪を指に絡めて遊んでいる。お互いの首筋に顔を埋めながら穏やかな時間を過ごす。

「ジェイ、麻酔銃で撃たれた所は……大丈夫……?」

 雪乃が心配そうな声で聞いてくる。

「少し痛むが……平気だ。精々、痣が残ったくらいだ」

 雪乃の背中を撫でながら答える。

「本当に……? 良かった……」

 雪乃は、安堵したように息を吐いた。

 暫く、互いの体温を感じながら、ポツポツと言葉を交わした。

「雪乃……そろそろ、バスルームに行くか?」

 尋ねると、雪乃は少し考え込んだ。

「行くけど……洗うのは……一人でしたい」

「何故?」

「…………恥ずかしいから…………やだ……」

 何度も一緒にシャワーを浴びているのに、何を今更。

「何度も一緒に入っているだろう? 一緒に入ろうって、雪乃が言ったんじゃないか」

「ん、一緒には入るけど……後ろは……一人で準備したい……」

 俺の首に顔を埋めながら答えた雪乃に、納得する。

 ああ、前回……後ろを洗ったとき、泣くほど恥ずかしがっていたもんな。


「俺は、気にしないぞ?」
「俺は気にする」


 俺の言葉に即答で返事をしてくる。

「雪乃と、少しも離れたくない」

「ぅぅ~……」

 雪乃が唸っているが、これは譲れない。

 また、雪乃と離れるのは嫌だ。

「なあ、雪乃。これから先、何度もすることになるんだから、慣れてくれ。――雪乃と離れるのは……本当に……嫌なんだ……」

 雪乃に縋り付くように強く抱き締めると、暫く唸っていた雪乃は諦めたように頷いた。

 雪乃の気が変わらないうちに、バスルームへ向かう。

 脱衣所で雪乃の服を脱がせて、一旦、椅子に座らせる。唯一、身に着けていた下着一枚を脱ぎ去り、雪乃を抱き上げようと近付いたら、雪乃に腰を抱かれた。

「雪乃?」

 雪乃は、俺の下生えが生えている直ぐ上辺りに、チュっ、チュっとキスをする。……擽ったい。

 その顔は微笑んでいて、凄く嬉しそうだ。

 俺が首を傾げていると、俺の下腹にくっ付いたままの雪乃が上目遣いに見上げて来る。


「ジェイは、俺のもの」


 雪乃は、クスクスと笑いながら俺を見て目を細めた。

 ふと、雪乃の後ろの壁にある大きな鏡に目が行く。

 そこに映る俺の姿に、目を奪われる。

 自分に見惚れた訳じゃない。

 鏡に映った俺の上半身には、いびつな五枚の花びらから成る、紅い花が咲いていた……

 歪な花のある場所は、食事をしていた時に雪乃がにこにこしながら撫でていた場所だ。

 首筋と、鎖骨の下の胸の辺りと鳩尾のそば

 いつの間に付けたのか……雪乃は、俺の身体にキスマークで花を描いていた。

「雪乃……俺の身体に……花が咲いてるんだが……?」

 雪乃は、悪戯っ子のように笑って俺の下腹にキスを落とした。

 もしかして……そこにも付けたのか……?

 雪乃の唇が離れると、そこには……

 俺は、片手で目を覆って打ち震えた。


 ヤバいっ……雪乃が可愛過ぎるっ……!! ヤバいっ……!! ヤバいっ……!! 


 抱き潰してしまいたいほどっ……可愛過ぎるっ……!!!!


 俺の下生えの直ぐ上……そこには……


 YU KI NO


 と、キスマークで付けた小さめの……よくよく見ないと分からないような、歪なローマ字が並んでいた。

 YUKINO……雪乃……

 雪乃は俺の身体に、自分の名前を刻印していた……

 しかも、下生えの直ぐ上に。

 まるで、俺のペニスは自分のものだと主張するようにだっ……!


 可愛過ぎるだろっ……!?!?


 今迄の人生で、これ程までに悶えたことはない。

「雪乃っ……ちょっと、スマホを取ってくる」

 こんな、可愛いアートを記録せずにはいられない!

 絶対に記録する!!

 でも雪乃と離れるのは嫌だったから、雪乃を抱き上げて部屋に戻る。

 雪乃に撮影を頼んで、撮って貰った。

 勃起してしまった俺のペニスを横にずらしながら、ポーズをキメる。

 ソファに横になって、片足を立てろと雪乃が言うから言われた通りにしたら、太腿の内側にも歪な花が咲いていた……

 もう、俺の顔は緩みっ放しだ。

「これで全部か? 雪乃」

「うん。口が痛くなったから……」

 くっ……! 口が痛くなるほど、俺の身体にキスマークを付けてくれたのかっ……!!

 この愛おしい存在に、神に感謝する。

 雪乃を掻き抱いて、ぎゅうぎゅうと抱き締めた。

 早く、シャワーを済ませなければっ……!

 その場で抱き潰したいのを我慢して、バスルームへと戻った。

 先に、雪乃が嫌がっている洗浄を済ませる。

 バスルームの中には、一見、扉だとわからない壁があり、その中にオメガの洗浄用の部屋がある。早い話がトイレだが、オメガが洗浄をし易いように工夫されたものだ。必要なものが揃っている場所だ。

 前の時は、雪乃が熱を出してフラフラだったから使わなかった。

 雪乃にタオルで目隠しをされて、鼻を摘んでいるように言われ、その通りにする。

 ゴソゴソとしていた雪乃の指が両耳に挿し込まれ、ゴショゴショ、ゴショゴショと動かされて、音が聞こえないようにされた。

 考えたな……雪乃……

 暫くすると、雪乃に手を引かれシャワーのある方へと連れて行かれた。

 目隠しを外されると、顔を真っ赤にした雪乃が恥ずかしそうに抱き着いて来る。


 可愛いな……全然、気にしないのに。


 雪乃を正面から抱いたまま、椅子に腰掛けて身体を洗い始める。

 そして……勃起したペニスを当然のように雪乃に握り締められた。

「――――雪乃は、俺のペニスを握るのが好きなのか?」

 正気の雪乃に尋ねてみる。

「んー……ちょうど良い場所にあるから? 握り心地も良いし……なんか……可愛いし……」

 雪乃は首を傾げながら、ペニスをにぎにぎとする。

「っ……そ、そうか……」

 ――俺だって、嫌な訳じゃない。嫌な訳じゃないが……ある意味、拷問に近い……

 雪乃の髪や身体を丁寧に洗いながら、雪乃に髪を洗われ、何とかやることを済ませる。二人で歯も磨いた。

 正気の雪乃は、ずっと俺のペニスをやわやわと撫で擦るから…………質が悪い…………

 浴槽には浸からずにシャワーだけで済ませ、バスルームを後にした。


 髪を乾かしている間も、雪乃の攻撃は止まらない。


 頭に血が上りそうになるのを堪えながら、一通り熟して、漸くベッドに雪乃を連れ込んだ。













しおりを挟む
感想 52

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

αが離してくれない

雪兎
BL
運命の番じゃないのに、αの彼は僕を離さない――。 Ωとして生まれた僕は、発情期を抑える薬を使いながら、普通の生活を目指していた。 でもある日、隣の席の無口なαが、僕の香りに気づいてしまって……。 これは、番じゃないふたりの、近すぎる距離で始まる、運命から少しはずれた恋の話。

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版) 8/16番外編出しました!!!!! 読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭 1/27 1000❤️ありがとうございます😭 3/6 2000❤️ありがとうございます😭 4/29 3000❤️ありがとうございます😭 8/13 4000❤️ありがとうございます😭

僕の幸せは

春夏
BL
【完結しました】 【エールいただきました。ありがとうございます】 【たくさんの“いいね”ありがとうございます】 【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】 恋人に捨てられた悠の心情。 話は別れから始まります。全編が悠の視点です。

【運命】に捨てられ捨てたΩ

あまやどり
BL
「拓海さん、ごめんなさい」 秀也は白磁の肌を青く染め、瞼に陰影をつけている。 「お前が決めたことだろう、こっちはそれに従うさ」 秀也の安堵する声を聞きたくなく、逃げるように拓海は音を立ててカップを置いた。 【運命】に翻弄された両親を持ち、【運命】なんて言葉を信じなくなった医大生の拓海。大学で入学式が行われた日、「一目惚れしました」と眉目秀麗、頭脳明晰なインテリ眼鏡風な新入生、秀也に突然告白された。 なんと、彼は有名な大病院の院長の一人息子でαだった。 右往左往ありながらも番を前提に恋人となった二人。卒業後、二人の前に、秀也の幼馴染で元婚約者であるαの女が突然現れて……。 前から拓海を狙っていた先輩は傷ついた拓海を慰め、ここぞとばかりに自分と同居することを提案する。 ※オメガバース独自解釈です。合わない人は危険です。 縦読みを推奨します。

【完結】end roll.〜あなたの最期に、俺はいましたか〜

みやの
BL
ーー……俺は、本能に殺されたかった。 自分で選び、番になった恋人を事故で亡くしたオメガ・要。 残されたのは、抜け殻みたいな体と、二度と戻らない日々への悔いだけだった。 この世界には、生涯に一度だけ「本当の番」がいる―― そう信じられていても、要はもう「運命」なんて言葉を信じることができない。 亡くした番の記憶と、本能が求める現在のあいだで引き裂かれながら、 それでも生きてしまうΩの物語。 痛くて、残酷なラブストーリー。

処理中です...