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第334話
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思っていた以上に森を抜けることができないことに、知らぬ間に奥の方まで進んでいたのだと知る。
徐々に単体でなく、群れで行動する魔物と遭遇するが、個々は弱いため撤退を決めたオウルベアと比べれば、余裕を持って戦うことが出来ていたことも功を奏している。
シャルルの支援魔法アクセラレートもできるだけ使用せずに、回復魔法のみ使用しながらポーションを節約していた。
進むことを断念して戻ることを決めてから七日になるが、焚火をした後をいくつか発見している。
この二日ほどで見つけた焚火の後は、徐々に多くなっている。
それだけ人の出入りがあり、強い魔物との遭遇が少ないことを意味していた。
「魔物よりも動物と出会う方が多いよね? もしかしたら近くに村があるかもしれないね」
「私も同じことを思っていた」
レティオールとシャルルは期待を込めて会話をしていた。
リゼも同じ気持ちであったが、近くに村があれば夜空に煙が見えるはずだと思っていた。
木々に遮られて見えないこともあるが、近くに野営をしている冒険者などがいるとも考えて、リゼが常に気にしていたからだ。
レティオールとシャルルの予感が的中する。
翌日、切り開かれた場所に出て、人が頻繁に出入りしているのか道のようになっている場所に出た。
その道を進んでいくと、少し大きめの村を発見した。
「やっと出れた!」
安堵したのか、その場で座り込むシャルル。
それを見て笑うレティオールにシャルルは文句を言っていた。
日は傾きかけていたので、早々に村に入り宿を探す。
冒険者ギルド会館を見つけたので、早速に建物に入り情報収集をする。
村だと思っていたここは”マゴルチ”という町だった。
町というには小さく、村としては少し大きいとも教えてくれた。
冒険者の数も少なく、マゴルチで活動している冒険者は十人にもいない。
ギルマスと受付嬢二人という少人数で活動している冒険者ギルドのようだ。
主に森で動物や魔物を討伐したり、伐採作業をする際の護衛らしい。
これといってマゴルチに特産品や、近くに観光名所があるわけではないが、街道沿いにある町のようで、それなりに商人の出入りはあるようだ。
冒険者ギルド会館を出ると、確かに森と反対側の出入口から少し離れたところに、大きな道が見える。
何台もの馬車が町に向かって来ているので、今日はマゴルチで一泊して夜明けとともに目的地に向かって行くのだろうと、リゼたちは見ていた。
「早く宿を取らないとね」
「そうね」
向かって来る馬車を見ながら、久しぶりにベッドで寝られることを期待していたことを思い出し、冒険者ギルドで紹介してもらった宿屋に向かう。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「疲れた~」
部屋に入るとベッドへ倒れ込み叫んでシャルル。
「本当にお疲れ様。シャルルのおかげで、無事に辿り着けたよ」
「そんなことないよ。リゼやシャルルがいたからだよ」
謙遜するシャルルだったが、三人がそれぞれ自分の役割をきちんとしたからこその結果だ。
これこそ、クランやパーティーとして最低限のことだが、怠慢や自信過剰によるスタンドプレーで連携が崩れる。
それが原因で仲間と決別し、孤立して悲惨な末路を迎える冒険者もいる。
途中で過ちに気付く者もいるが、それを温かく迎え入れる者は少ない……失った信頼は簡単に取り戻せず、戻る場所をなくした者が辿り着くのは光の閉ざされた場所。
犯罪が減らない理由でもある。
少し休憩をして、別の部屋で一人でいるレティオールと合流して宿屋で夕食を取る。
商人を護衛をしていた冒険者の何人かも同じ宿屋に宿泊しているのか、夕食を同じ場所で食べていた。
こういった所での他愛もない会話も貴重な情報源であり、場合によっては話し掛けられて直接情報を交換するときもある。
リゼは話し掛けられたくないと思いながら、聞き耳を立てながら食事をしていた。
エルガレム王国に近いこともあり、天翔旅団のオルビスの昇級試験に合格するのは間違いないことや、その後の王都エルドラードのクラン勢力図が一気に変わることも考えられると話していた。
隣に銀翼のメンバーがいるとも知らない冒険者たちは、銀翼の話題にも触れるが、「銀翼は終わっている」と嘲笑していた。
耐えるリゼを見るレティオールとシャルルだったが、掛ける言葉が出てこない。
話題が変わり、冒険者ギルドを追放された蒼月という組織が、いたるところで犯罪を行っているそうで、冒険者ギルドも放置できないとので国と連携して懸賞金なども考えていると話している。
レティオールとシャルルは蒼月のことを知らないようだったが、リゼは蒼月のことを知っていたが、自分とは関係にない話だと聞いていた。
別のテーブルでは、食事を運んで来た宿屋の従業員と顔見知りな冒険者が言葉を交わしていた。
その時、”ミコト”という名が出る。
ついこの間、このマゴルチに立ち寄ったそうで、その風変わりな服装と武器は道行く人の注目を浴びていた。
自分を鍛えられる場所を探しているということで、ソラボンチ山の麓にある森のことを教えると、「一人では無謀だ!」という忠告を無視して去っていったそうだ。
「もしかして、あのオウルベアを倒したのって……」
「ミコトって冒険者ってこと?」
レティオールとシャルルが小声で聞こえてきた話から、つい先日のことを思い返していた。
それはリゼも同じだった……が、自分たち三人で、何とか倒したオウルベアを一人で倒したという事実。
実力差を突きつけられたということだ。
闘技大会でも感じた実力差……それを目の当たりにした。
侍の強さを知っているリゼは、気付くと自身の右手を見て、自分の非力さを嘆く。
あと少し早ければ、サブクエストを達成できたという思いを忘れさせるほどに――。
――――――――――――――――――――
■リゼの能力値
『体力:四十六』
『魔力:三十三』
『力:三十一』
『防御:二十』
『魔法力:二十六』
『魔力耐性:十三』
『敏捷:百三十五』
『回避:五十六』
『魅力:三十』
『運:五十八』
『万能能力値:五』
■メインクエスト
・魔物の討伐(最低:五十、最大数:百)。期限:三十日
・報酬:討伐数、魔物の種類に応じて変動
■サブクエスト
・ミコトの捜索。期限:一年
・報酬:慧眼の強化
■シークレットクエスト
徐々に単体でなく、群れで行動する魔物と遭遇するが、個々は弱いため撤退を決めたオウルベアと比べれば、余裕を持って戦うことが出来ていたことも功を奏している。
シャルルの支援魔法アクセラレートもできるだけ使用せずに、回復魔法のみ使用しながらポーションを節約していた。
進むことを断念して戻ることを決めてから七日になるが、焚火をした後をいくつか発見している。
この二日ほどで見つけた焚火の後は、徐々に多くなっている。
それだけ人の出入りがあり、強い魔物との遭遇が少ないことを意味していた。
「魔物よりも動物と出会う方が多いよね? もしかしたら近くに村があるかもしれないね」
「私も同じことを思っていた」
レティオールとシャルルは期待を込めて会話をしていた。
リゼも同じ気持ちであったが、近くに村があれば夜空に煙が見えるはずだと思っていた。
木々に遮られて見えないこともあるが、近くに野営をしている冒険者などがいるとも考えて、リゼが常に気にしていたからだ。
レティオールとシャルルの予感が的中する。
翌日、切り開かれた場所に出て、人が頻繁に出入りしているのか道のようになっている場所に出た。
その道を進んでいくと、少し大きめの村を発見した。
「やっと出れた!」
安堵したのか、その場で座り込むシャルル。
それを見て笑うレティオールにシャルルは文句を言っていた。
日は傾きかけていたので、早々に村に入り宿を探す。
冒険者ギルド会館を見つけたので、早速に建物に入り情報収集をする。
村だと思っていたここは”マゴルチ”という町だった。
町というには小さく、村としては少し大きいとも教えてくれた。
冒険者の数も少なく、マゴルチで活動している冒険者は十人にもいない。
ギルマスと受付嬢二人という少人数で活動している冒険者ギルドのようだ。
主に森で動物や魔物を討伐したり、伐採作業をする際の護衛らしい。
これといってマゴルチに特産品や、近くに観光名所があるわけではないが、街道沿いにある町のようで、それなりに商人の出入りはあるようだ。
冒険者ギルド会館を出ると、確かに森と反対側の出入口から少し離れたところに、大きな道が見える。
何台もの馬車が町に向かって来ているので、今日はマゴルチで一泊して夜明けとともに目的地に向かって行くのだろうと、リゼたちは見ていた。
「早く宿を取らないとね」
「そうね」
向かって来る馬車を見ながら、久しぶりにベッドで寝られることを期待していたことを思い出し、冒険者ギルドで紹介してもらった宿屋に向かう。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「疲れた~」
部屋に入るとベッドへ倒れ込み叫んでシャルル。
「本当にお疲れ様。シャルルのおかげで、無事に辿り着けたよ」
「そんなことないよ。リゼやシャルルがいたからだよ」
謙遜するシャルルだったが、三人がそれぞれ自分の役割をきちんとしたからこその結果だ。
これこそ、クランやパーティーとして最低限のことだが、怠慢や自信過剰によるスタンドプレーで連携が崩れる。
それが原因で仲間と決別し、孤立して悲惨な末路を迎える冒険者もいる。
途中で過ちに気付く者もいるが、それを温かく迎え入れる者は少ない……失った信頼は簡単に取り戻せず、戻る場所をなくした者が辿り着くのは光の閉ざされた場所。
犯罪が減らない理由でもある。
少し休憩をして、別の部屋で一人でいるレティオールと合流して宿屋で夕食を取る。
商人を護衛をしていた冒険者の何人かも同じ宿屋に宿泊しているのか、夕食を同じ場所で食べていた。
こういった所での他愛もない会話も貴重な情報源であり、場合によっては話し掛けられて直接情報を交換するときもある。
リゼは話し掛けられたくないと思いながら、聞き耳を立てながら食事をしていた。
エルガレム王国に近いこともあり、天翔旅団のオルビスの昇級試験に合格するのは間違いないことや、その後の王都エルドラードのクラン勢力図が一気に変わることも考えられると話していた。
隣に銀翼のメンバーがいるとも知らない冒険者たちは、銀翼の話題にも触れるが、「銀翼は終わっている」と嘲笑していた。
耐えるリゼを見るレティオールとシャルルだったが、掛ける言葉が出てこない。
話題が変わり、冒険者ギルドを追放された蒼月という組織が、いたるところで犯罪を行っているそうで、冒険者ギルドも放置できないとので国と連携して懸賞金なども考えていると話している。
レティオールとシャルルは蒼月のことを知らないようだったが、リゼは蒼月のことを知っていたが、自分とは関係にない話だと聞いていた。
別のテーブルでは、食事を運んで来た宿屋の従業員と顔見知りな冒険者が言葉を交わしていた。
その時、”ミコト”という名が出る。
ついこの間、このマゴルチに立ち寄ったそうで、その風変わりな服装と武器は道行く人の注目を浴びていた。
自分を鍛えられる場所を探しているということで、ソラボンチ山の麓にある森のことを教えると、「一人では無謀だ!」という忠告を無視して去っていったそうだ。
「もしかして、あのオウルベアを倒したのって……」
「ミコトって冒険者ってこと?」
レティオールとシャルルが小声で聞こえてきた話から、つい先日のことを思い返していた。
それはリゼも同じだった……が、自分たち三人で、何とか倒したオウルベアを一人で倒したという事実。
実力差を突きつけられたということだ。
闘技大会でも感じた実力差……それを目の当たりにした。
侍の強さを知っているリゼは、気付くと自身の右手を見て、自分の非力さを嘆く。
あと少し早ければ、サブクエストを達成できたという思いを忘れさせるほどに――。
――――――――――――――――――――
■リゼの能力値
『体力:四十六』
『魔力:三十三』
『力:三十一』
『防御:二十』
『魔法力:二十六』
『魔力耐性:十三』
『敏捷:百三十五』
『回避:五十六』
『魅力:三十』
『運:五十八』
『万能能力値:五』
■メインクエスト
・魔物の討伐(最低:五十、最大数:百)。期限:三十日
・報酬:討伐数、魔物の種類に応じて変動
■サブクエスト
・ミコトの捜索。期限:一年
・報酬:慧眼の強化
■シークレットクエスト
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