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第353話
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銀翼館に戻った三人は複雑な表情をしていた。
再開したクランとして最初のクエストが指名クエスト……それも王子からの、つまりは国からの指名クエストになる。
クランとしては名誉なことだが、その重圧は時間とともにリゼたちに重く圧し掛かっていた。
国王が狙われていることは口外できない。
城から戻ってきた三人の変化に、フィーネたち銀翼館にいた四人も気付いている。
最初に口を開いたのはアンジュだった。
「ライオット。もし、建国祭の開催中になにかあれば対応してくれる」
「なにかって?」
「予想もしない事態よ。銀翼館もそうだけど、街になにかあれば手伝ってあげて」
アンジュの頼みは、町の警護をクエストとして請け負っているクランへの妨害とも捉えられない。
だが、アンジュなりに何か考えがあるのだろう。
続けてジェイドも、フィーネに同じことを頼むと、流れでリゼもレティオールとシャルルにも頼んでみた。
四人ともに、ただならぬことだと感づき、頼みを聞いてくれた。
「まぁ、一瞬で倒しちゃうけどね」
大口を叩くライオットだったが、その言葉が頼もしく感じているのは、自分だけではないとアンジュを見る……が、「余裕かましていると負けるわよ」と真剣な顔でライオットに言い放つ。
それは負けるというよりも「命を落とす」と言いたげだった。
国の最高権力者である国王殺害を企むということは、裏付けされた計画があるに違いない。
自他国含めて過去の事件からも、街で騒ぎを起こして注目を集めることが多い。
と言っても、成功例がない。
だからといって、無謀な計画ではないと考えていた。
過去の例からアンジュなりに、ライオットのことを心配していた。
「健国祭当日は、私たちは用事が出来たので、あんたとは別行動だから」
リアムからの指名クエストだとは言わずに”用事”と言ったのは、変に心配させたくないのと、公にしたくない気持ちからだとリゼとジェイドは分かっていた。
「ふ~ん。そうなんだ」
深く考えないライオットは、アンジュの言葉を流すが、他の三人……ライオットも裏があることに気づくが、頼まれたことに変わりはない。
それぞれが、頼まれたことをこなすだけだ。
だが、ライオットを除く三人は期待に応えることが、銀翼に入ることに大きく関係すると考えていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
部屋に戻ったリゼは、自分の発言で大きな問題になってしまった……と考えていたが、後悔の気持ちは少しもなかった。
リアムたちに自分のスキルを白状したが、信頼できる人物たちだったし、身の潔白や国王の殺害計画を阻止するということであれば仕方がなかったことだ。
自分に何ができるかでなく、何をすべきかだと考えを改める。
自然と腰に手が伸びる。
万全で望むために忍刀やクナイを研ぎ、防具に不備がないかを確認した。
武具の整備を終えると、アイテムの在庫を確認する。
万が一があれば、アンジュやジェイドに渡すことも考えられる。
多いに越したことはないが、手持ち分では心もとなかった。
まだ、店は開いていると思い、リゼは以前にアンジュから教えてもらった銀翼がよく通っていた道具屋へ向かった。
城から戻るときにも感じていたが、人が多い。
それだけ不特定多数の人間が王都に入ってきているので、騎士団たちや町の安全を守っている人たちは大変だと感じる。
多分、生まれからこれだけの人を見たのは初めてかもしれない。
明日になれば、これ以上の人が押し寄せる……つまりは犯罪しやすい状況になる。
犯罪を考える者たちにとっては好都合な環境だ。
道具屋に到着すると、アンジュがいた。
「考えることは同じみたいね」
リゼを見つけると、思考回路が同じだと思ったのか微笑んだ。
自分よりも先に行動に移していたアンジュに「さすがだ!」と感心する。
いつだったか「準備を怠る冒険者は三流だ」という言葉を聞いたことがあることを思い出して、目の前にいる冒険者は、自分たちのリーダーが一流だと確信していた。
アンジュと情報を共有する。
ポーションやマジックポーションは、クランとして購入しているので、あとで三人に分けるつもりだったようだ。
クエストに必要な物はクランとして購入するという基本的なことをリゼは知らなかった。
普通であれば、必要な物をリストアップして、買い出し係を決める。
今回は時間がなかったため、その打合せをしていなかったので、アンジュが代表して購入しようと考えていた。
真剣に話を聞くリゼの姿勢に、リゼが銀翼としてクエストに参加するのは初めてだということを、アンジュは思い出す。
同時に、自費でアイテムを購入しようとすることがリゼらしいと感じていた。
「いらっしゃいませ」
道具屋の扉が開き、店主が声をあげて迎える。
店主の声に反応して扉のほうを見ると、そこにはジェイドが立っていた。
「……アンジュにリゼも」
「うん」
「ジェイドが一番遅かったわね」
「すぐに着たつもりだったっスだけど……まぁ、そうなるっスね」
三人は自然と笑っていた。
ピンと張っていた緊張が解けて、緩やかな気持ちに戻る。
仲間を思いやる思いが、同じだということ。
それが嬉しかった――。
――――――――――――――――――――
■リゼの能力値
『体力:四十八』
『魔力:三十三』
『力:三十三』
『防御:二十一』
『魔法力:二十六』
『魔力耐性:十三』
『敏捷:百四十三』
『回避:五十六』
『魅力:三十三』
『運:五十八』
『万能能力値:零』
■メインクエスト
・エルガレム王国国王の殺害阻止。期限:建国祭終了
・報酬:魅力(五増加)
■サブクエスト
・ミコトの捜索。期限:一年
・報酬:慧眼の強化
■シークレットクエスト
再開したクランとして最初のクエストが指名クエスト……それも王子からの、つまりは国からの指名クエストになる。
クランとしては名誉なことだが、その重圧は時間とともにリゼたちに重く圧し掛かっていた。
国王が狙われていることは口外できない。
城から戻ってきた三人の変化に、フィーネたち銀翼館にいた四人も気付いている。
最初に口を開いたのはアンジュだった。
「ライオット。もし、建国祭の開催中になにかあれば対応してくれる」
「なにかって?」
「予想もしない事態よ。銀翼館もそうだけど、街になにかあれば手伝ってあげて」
アンジュの頼みは、町の警護をクエストとして請け負っているクランへの妨害とも捉えられない。
だが、アンジュなりに何か考えがあるのだろう。
続けてジェイドも、フィーネに同じことを頼むと、流れでリゼもレティオールとシャルルにも頼んでみた。
四人ともに、ただならぬことだと感づき、頼みを聞いてくれた。
「まぁ、一瞬で倒しちゃうけどね」
大口を叩くライオットだったが、その言葉が頼もしく感じているのは、自分だけではないとアンジュを見る……が、「余裕かましていると負けるわよ」と真剣な顔でライオットに言い放つ。
それは負けるというよりも「命を落とす」と言いたげだった。
国の最高権力者である国王殺害を企むということは、裏付けされた計画があるに違いない。
自他国含めて過去の事件からも、街で騒ぎを起こして注目を集めることが多い。
と言っても、成功例がない。
だからといって、無謀な計画ではないと考えていた。
過去の例からアンジュなりに、ライオットのことを心配していた。
「健国祭当日は、私たちは用事が出来たので、あんたとは別行動だから」
リアムからの指名クエストだとは言わずに”用事”と言ったのは、変に心配させたくないのと、公にしたくない気持ちからだとリゼとジェイドは分かっていた。
「ふ~ん。そうなんだ」
深く考えないライオットは、アンジュの言葉を流すが、他の三人……ライオットも裏があることに気づくが、頼まれたことに変わりはない。
それぞれが、頼まれたことをこなすだけだ。
だが、ライオットを除く三人は期待に応えることが、銀翼に入ることに大きく関係すると考えていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
部屋に戻ったリゼは、自分の発言で大きな問題になってしまった……と考えていたが、後悔の気持ちは少しもなかった。
リアムたちに自分のスキルを白状したが、信頼できる人物たちだったし、身の潔白や国王の殺害計画を阻止するということであれば仕方がなかったことだ。
自分に何ができるかでなく、何をすべきかだと考えを改める。
自然と腰に手が伸びる。
万全で望むために忍刀やクナイを研ぎ、防具に不備がないかを確認した。
武具の整備を終えると、アイテムの在庫を確認する。
万が一があれば、アンジュやジェイドに渡すことも考えられる。
多いに越したことはないが、手持ち分では心もとなかった。
まだ、店は開いていると思い、リゼは以前にアンジュから教えてもらった銀翼がよく通っていた道具屋へ向かった。
城から戻るときにも感じていたが、人が多い。
それだけ不特定多数の人間が王都に入ってきているので、騎士団たちや町の安全を守っている人たちは大変だと感じる。
多分、生まれからこれだけの人を見たのは初めてかもしれない。
明日になれば、これ以上の人が押し寄せる……つまりは犯罪しやすい状況になる。
犯罪を考える者たちにとっては好都合な環境だ。
道具屋に到着すると、アンジュがいた。
「考えることは同じみたいね」
リゼを見つけると、思考回路が同じだと思ったのか微笑んだ。
自分よりも先に行動に移していたアンジュに「さすがだ!」と感心する。
いつだったか「準備を怠る冒険者は三流だ」という言葉を聞いたことがあることを思い出して、目の前にいる冒険者は、自分たちのリーダーが一流だと確信していた。
アンジュと情報を共有する。
ポーションやマジックポーションは、クランとして購入しているので、あとで三人に分けるつもりだったようだ。
クエストに必要な物はクランとして購入するという基本的なことをリゼは知らなかった。
普通であれば、必要な物をリストアップして、買い出し係を決める。
今回は時間がなかったため、その打合せをしていなかったので、アンジュが代表して購入しようと考えていた。
真剣に話を聞くリゼの姿勢に、リゼが銀翼としてクエストに参加するのは初めてだということを、アンジュは思い出す。
同時に、自費でアイテムを購入しようとすることがリゼらしいと感じていた。
「いらっしゃいませ」
道具屋の扉が開き、店主が声をあげて迎える。
店主の声に反応して扉のほうを見ると、そこにはジェイドが立っていた。
「……アンジュにリゼも」
「うん」
「ジェイドが一番遅かったわね」
「すぐに着たつもりだったっスだけど……まぁ、そうなるっスね」
三人は自然と笑っていた。
ピンと張っていた緊張が解けて、緩やかな気持ちに戻る。
仲間を思いやる思いが、同じだということ。
それが嬉しかった――。
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■リゼの能力値
『体力:四十八』
『魔力:三十三』
『力:三十三』
『防御:二十一』
『魔法力:二十六』
『魔力耐性:十三』
『敏捷:百四十三』
『回避:五十六』
『魅力:三十三』
『運:五十八』
『万能能力値:零』
■メインクエスト
・エルガレム王国国王の殺害阻止。期限:建国祭終了
・報酬:魅力(五増加)
■サブクエスト
・ミコトの捜索。期限:一年
・報酬:慧眼の強化
■シークレットクエスト
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