私のスキルが、クエストってどういうこと?

地蔵

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第358話

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「くそったれ!」

 王都の一角で隠れていたアランチュートは、ベニバナの体で叫ぶ。
 シアトムの体を手に入れるため、金で動く者たちを集めて、大金を餌にシアトム一行を襲撃させた。
 その騒ぎの最中、事前に手に入れていた使用人の体を使いシアトムを殺害して、自分の手駒に加える。
 そして用意をしていたシャジクの体を保管していた木箱を城内へと運ばせた。
 ここまで計画は完璧だった。
 だが、シアトムでの殺害が失敗したときのために、用意していたシャジクを失った。
 そのうえ、念のためにと用意していた騎士も見破られた。
 何重にも対策をしていたのに……ことごとく、その全てを阻止されたことに苛立っていた。

「あの銀髪の娘……顔は覚えたから、準備が出来次第、必ず殺す」

 その矛先はリゼに向けられていた。

「だが、まだだ! 最後に、この体で暴れれば、エルガレム王国とアルカントラ法国との争いは避けられないだろう。もったいないが、この体も用済みだな」

 壁を拳で叩き、立ち上がると周囲に魔法で火を放つ。
 それは火柱となり、天高く昇っていく。

「さぁ、殺戮の再開だ」

 勢いよく王都の破壊を再び始めた。
 突然現れた火柱に、王都の警備をしていた騎士団や冒険者たちが集まる。
 それは、王都の騎士や、冒険者たちへの挑戦とも感じられた。
 すでに体への未練がない状態での攻撃は、まさに捨て身だった。
 より多く王都を破壊できれば良い。
 それを行ったのがアルカントラ法国のベニバナだと印象付けることが出来ればいい。
 最初こそ、使える体だと思ったが思った以上に使いにくい体だと分かる。
 利用価値としては、シャジクよりも下だった。
 冒険者たちはアルカントラ法国最強の一人であるベニバナを倒せば拍がつくと、果敢に挑んでいく。
 それが無謀だとも知らずに。
 冒険者の中には、元天翔旅団のメンバーもいた。
 新しいクランでは、序列が曖昧なところもあるので、実力を見せつけるにはいい機会だからだ。

「深紅の拷問官どころか、深紅の殺戮者だな」

 暴れまわるベニバナを皮肉る冒険者。

「どうして、女神ユキノ様を信仰するアルカントラ法国の騎士様が――」

 神に祈りを捧げる信者たちは、破壊行為をするベニバナを偽物だと疑う者もいた。
 ベニバナの攻撃は、王都の富裕層の多い東地区を中心に破壊が進んでいたが、南地区まで進行していた。
 南地区には冒険者たちの拠点が多くある。
 狙いは富裕層から冒険者へとベニバナは攻撃対象を変えたかのようだった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「近づいていますね」
「うん。こっちに来なければいいんだけどな」

 遠くで上がる煙と爆音。
 銀翼館で待機していたフィーネは心配そうにしていたが、ライオットは気だるそうだった。
 レティオールとシャルルは町に出ているが、すぐに戻って来るのだろうと、ライオットは思っていた。
 出会ってからの時間は少ないが、銀翼に入りたい気持ちや、リゼを尊敬する気持ちは、自分と同じだという仲間意識が芽生えていた。
 慌ただしく人々が爆音から遠ざかるように逃げていく。
 その流れに逆らうかのように騎士たちや、冒険者が爆音のする場所へと移動していた。

 レティオールとシャルルは、攻撃されていた場所の近くにいたため、遠目でベニバナの攻撃を見ていた。
 広域魔法攻撃で、東地区と南地区を仕切っていた壁の一部が崩壊した。
 崩壊した箇所から東地区を見たが、ほぼ壊滅状態で多くの人たちが死傷している。

「レティオール。私、あの人たちを治療してくる」

 シャルルは自分のすべきことだと、危険を顧みずに東地区へ行こうとしていた。

「うん、僕が護衛するから」
「ありがとう」

 二人の頭のなかに「リゼなら」という考えがあった。
 すでにベニバナは南地区へと移動しているので、これ以上攻撃の被害はない。
 ただ、鎮火することなく火は広がり、建物の倒壊などの危険も続いたままだ。
 走る二人の目の前に倒壊しそうな建物を発見する。
 家の前では叫ぶ女性がいた。

「なかに主人と子供が‼」

 女性はうずくまり泣いていた。
 水属性の魔法使いの人数が足りていないのだろう。

「シャルル。ちょっと、行ってくる」
「えっ!」
「大丈夫だよ」

 レティオールはシャルルの返事を聞かずに、泣き叫ぶ女性に許に駆け寄り、建物内にいる人の人数を確認する。

「必ず連れて戻ります」

 レティオールは建物の中へと走り出した。
 幸いにも火はまだ回っていないが、隣の建物が倒壊した影響で、半分潰れた状態になっていた。
 建物内で叫びながら、捜索する。
 二階の奥で人の声を確認すると、レティオールは安否を確認する。

「建物の間に挟まっている。子供二人は無事だが、私は足を怪我して動けない」
「分かりました」

 慎重に木材を撤去していく。
 その間も、不安を少しでも取り払うよう声を掛ける。
 数分後に、ようやく姿が確認できた。

「もう大丈夫です」
「とりあえず、子供だけでも」
「分かりました」

 木材の隙間から、子供なら通れるため、男性は子供を一人ずつレティオールの方へ向かわせる。
 二人を受け取ると「先に妻のところへ」という男性の思いを汲み、建物の外へと一度出ることにした。
 再会を果たした親子は泣いて喜んでいたが、その姿を確認することなく再び、建物へと戻っていく。
 シャルルは軽い怪我をしている子供たちの治療を始める。
 すぐに男性のところまで行くと、男性を救出するために子供たちが通った隙間を広げる。
 遠くで爆音が聞こえると、建物から軋む音が聞こえる。
 倒壊する前触れかもしれないと、レティオールは男性の救出を急ぐ。
 その直感は、レティオールの思いに反して当たってしまう。
 隣の建物が完全に寄りかかり、レティオールたちがいる建物を押しつぶそうとしていた。
 そして、外にいる女性と子供の前で建物が完全に倒壊した。
 男性の名前を叫ぶ女性と、泣き叫ぶ子供。
 シャルルもレティオールの身を案じていた。
 土煙が収まると、完全に倒壊した家を見て絶望する女性。
 それはシャルルも同じだった。
 呆然としていると、倒壊した建物が不自然に動く。
 木材を押し退けたレティオールが姿を見せた。
 右腕は男性を支えている。
 駆け寄ろうとする女性をシャルルが「危険です」と引き留める。
 シャルルも駆け寄りたい気持ちを押さえていた。
 足場の悪い木材の上を歩きながら、家族全員が対面する。
 怪我をしている男性をシャルルが治療している姿を見ながら、レティオールはポーションを口にする。
 救出した家族の姿を見ながら、自分の行動を誇らしく感じていた。

「もう大丈夫ですが、しばらくは安静にしていてください」

 シャルルが男性の治療を終える。

「ありがとうございます。どちらのクランのかたですか?」

 街の護衛を請け負っている冒険者と勘違いしていた。

「まだ、クランには所属していないんです」
「えっ! では、どうして」

 報酬も出ないのに、自分たちを助けてくれた二人の冒険者を不思議そうに見る。

「困っている人がいたので、見過ごすことが出来ませんでした」

 レティオールが答えると、シャルルもうなずく。

「では、安全な場所まで避難してください」
「あっ……」

 レティオールとシャルルは走っていった。

「名前を聞きそびれたな」
「たしか、レティなんとかと、シャルと言っていた気がします」
「そうか……王都にいれば、そのうち礼はできるだろう」

 男性はレティオールとシャルルに感謝をするが、名前を聞きそびれたことを悔やんでいた。


――――――――――――――――――――


■リゼの能力値
 『体力:四十八』 
 『魔力:三十三』
 『力:三十三』 
 『防御:二十一』
 『魔法力:二十六』
 『魔力耐性:十三』
 『敏捷:百四十三』
 『回避:五十六』
 『魅力:三十八』
 『運:五十八』
 『万能能力値:零』
 
■メインクエスト


■サブクエスト
 ・ミコトの捜索。期限:一年
 ・報酬:慧眼けいがんの強化

■シークレットクエスト


■罰則
 ・身体的成長速度停止。期限:一生涯
 ・恋愛感情の欠落。期限:一生涯
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