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第290話
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「……面倒なことになっているな」
読み終えると、先程までのふざけた表情が険しい表情に一変する。
「明日の夜公演を終えたら、この町から移動だったよな?」
「はい。一応、次はバビロニアの予定でしたが、スタンピードの件もあり、まだ正式に許可を貰っていません。明日の夜公演前に、国主にお伺いをたてるつもりです。難しいようであれば、その先にあるルーブイユで二日滞在して昼夜一公演ずつする予定です」
「そうか……俺は、先に移動して国に戻る。あとは頼んだ」
「承知しました」
バーナムは返事すると同時に頭を下げる。
その行動に反応するかのように、アリアーヌとティアーヌたちも合わせたように頭を下げた。
こういう所作も同調するのだと、リゼは感心する。
「リゼは……特にないよな? お前のことは国で詳しく聞く」
「あ、あの……いいですか?」
「なんだ? なにか、聞きたいことがあったか?」
「はい。サスケさんはアルカントラ法国で諜報活動をしていると聞いたのですが」
「よく知っているな。……あぁ、頭かサイゾウから聞いたのか。そうだ、この間までアルカントラ法国にいた。こいつらと合流したのも今朝だ」
「差し支えなければ、アルカントラ法国のことを聞かせてもらえればと思いまして……」
「聞きたいことでもあるのか?」
「はい。私の仲間がアルカントラ法国出身です。シャルル……女性の方がカースドアイテムの被害にあっていたので、何か知っていればと教えてもらえればと」
「カースドアイテムね……関係あるかは分からないが、俺がアルカントラ法国を出る少し前に、聖女の有力候補の一人が黒い靄に包まれたとかの騒ぎが起きていたな。結局、公には出来なかったのか、人目につかない地下の牢獄に入れられていた」
リゼはシャルルの呪いを解いた影響だと、サスケの話を聞いていた。
それよりも、アルカントラ法国から移動してきたにしては早すぎると、ジャンロードが解呪してから今日までの日数を頭の中で数えていた。
「まぁ、呪いを解くことが出来れば原因などを究明したかも知れないが、結局は呪いが強すぎて解くことが出来なかった。そのことを知られたくないのが真相らしい。邪悪な心に芽生えた聖女候補が乱心したということにして、黒い靄に包まれた場にいた者たち全てに、かん口令を強いたそうだ」
このことをシャルルに伝えるか悩んだが、シャルルの気持ちを考えると余計な不安を与えてしまうのではないかと思い、自分の心の中に仕舞っておくことにする。
「父親がアルカントラ法国に出入りしている大きな商売人だったようで、娘同様にアルカントラ法国での商売を禁止されただけでなく、入国禁止の重い処分を下されたようで他の商人たちが喜んでいたな。これは俺にとっても好都合だった」
「なぜ、商売人である父親も罰せられたのですか?」
「一部の権力者と癒着関係にあったようで、今回の件で探りを入れられて発覚したようだ。聖職者とはいえ、俺らと大して変わらないってことだな」
両親から賄賂を貰い、自分を冒険者ギルドへと引き渡した司祭のことを思い出す。
他人を出し抜こうとしたり、利権の奪い合い、結局は権力者同士の争い……たしかに、自分の育ってきた環境と変わらない。
だが、アルカントラ法国では「神の元では誰でも平等」としている。
もちろん、建前だとは分かっているが、国民の多くは女神ユキノを信仰していることには変わりない。
「まぁ、こんな感じだな。アルカントラ法国は秘密主義が多いから、他国に情報はあまり流出しないしな」
「有難う御座います」
礼を言うリゼに、サスケは気にするなと言わんばかりに笑顔を返す。
「他の国のことは、バーナムたちに聞け。こいつらも各地の情報を得るために、曲芸団とに偽装しているからな」
サスケの言葉に、リゼは「たしかに!」と納得する。
各地を回るバーナム曲芸団は怪しまれることはない。
あくまでも娯楽を提供しているだけだと思われている。
諜報活動するには最適だ。
「親分は一人で活動していますからね」
バーナムが補足するように話に加わる。
「他の地域で聞きたいことがあれば、バーナムたちに聞いてくれ。俺は、そろそろ出発するから」
「お引止めして、すみません」
一刻も早くヤマト大国に向かいたかったサスケに気付かず、質問をしていたことが申し訳ないと感じた。
だが、サスケは簡単な別れの挨拶をすると足早に去って行った。
サスケがいなくなり、緊張の糸が途切れたのかバーナムたちの表情も和らぐ。
マカコという人物に成りすましていたサスケへの対応も、諜報活動の一環だったのだろうが、バーナムたちの行動には感服していた。
「先程は申し訳なかった」
バショウがリゼに謝罪する。
「大丈夫です。あれも必要なことだったと理解しています」
バショウは申し訳なさそうにポーションをリゼに差し出す。
首元を傷つけた詫びだったが、リゼは受け取りを拒否した。
逆に申し訳ないという気持ちがリゼにあったがための行動だったが、断られると思っていなかったバショウは困惑しながら差し出した手の扱いに困っていた。
昔の自分なら……と考えながら、リゼはバショウの好意に甘える形で、礼を言ってポーションを受け取る。
長居すると公演の邪魔になると思い、リゼも去ることを告げる。
本当であれば他の地域のことや、バーナム曲芸団の団員たちは忍なのか? という疑問なども聞きたかったが仕方がないと諦める。
「今日の夜公演後だったら、時間が取れるから、聞きたいことがあれば寄ってくれて大丈夫よ」
「そうそう、少しだけ反省会をするだけだから。それと、これを渡しておくわね」
リゼの気持ちを知ってか、アリアーヌとティアーヌが優しい言葉を掛けてくれた。
ティアーヌから貰った通行手形のような板は関係者の印で、衛兵に名前を言えば団員が迎えに来てくれる仕組みになっているそうだ。
二人に礼を言って、夜公演後に時間を取ってもらえることに感謝する。
自分はヤマト大国の国民でもないし、ハンゾウの部下でもない。
だが、忍ではなく一人の人間として、ハンゾウたちに協力できることはしたいと思っていた。
レティオールとシャルルの二人とは、チクマールの案内で別の場所で合流する。
食べたことのない珍しく美味しい菓子を食べられたと、シャルルは喜んでいる。
その笑顔を見て、リゼはアルカントラ法国の話をしないことに少しだけ罪悪感を感じていた。
――――――――――――――――――――
■リゼの能力値
『体力:四十六』
『魔力:三十三』
『力:三十』
『防御:二十』
『魔法力:二十六』
『魔力耐性:十三』
『敏捷:百八』
『回避:五十六』
『魅力:二十五』
『運:五十八』
『万能能力値:二十四』
■メインクエスト
■サブクエスト
■シークレットクエスト
・ヴェルべ村で村民誰かの願いを一つ叶える。期限:五年
・報酬:万能能力値(五増加)
読み終えると、先程までのふざけた表情が険しい表情に一変する。
「明日の夜公演を終えたら、この町から移動だったよな?」
「はい。一応、次はバビロニアの予定でしたが、スタンピードの件もあり、まだ正式に許可を貰っていません。明日の夜公演前に、国主にお伺いをたてるつもりです。難しいようであれば、その先にあるルーブイユで二日滞在して昼夜一公演ずつする予定です」
「そうか……俺は、先に移動して国に戻る。あとは頼んだ」
「承知しました」
バーナムは返事すると同時に頭を下げる。
その行動に反応するかのように、アリアーヌとティアーヌたちも合わせたように頭を下げた。
こういう所作も同調するのだと、リゼは感心する。
「リゼは……特にないよな? お前のことは国で詳しく聞く」
「あ、あの……いいですか?」
「なんだ? なにか、聞きたいことがあったか?」
「はい。サスケさんはアルカントラ法国で諜報活動をしていると聞いたのですが」
「よく知っているな。……あぁ、頭かサイゾウから聞いたのか。そうだ、この間までアルカントラ法国にいた。こいつらと合流したのも今朝だ」
「差し支えなければ、アルカントラ法国のことを聞かせてもらえればと思いまして……」
「聞きたいことでもあるのか?」
「はい。私の仲間がアルカントラ法国出身です。シャルル……女性の方がカースドアイテムの被害にあっていたので、何か知っていればと教えてもらえればと」
「カースドアイテムね……関係あるかは分からないが、俺がアルカントラ法国を出る少し前に、聖女の有力候補の一人が黒い靄に包まれたとかの騒ぎが起きていたな。結局、公には出来なかったのか、人目につかない地下の牢獄に入れられていた」
リゼはシャルルの呪いを解いた影響だと、サスケの話を聞いていた。
それよりも、アルカントラ法国から移動してきたにしては早すぎると、ジャンロードが解呪してから今日までの日数を頭の中で数えていた。
「まぁ、呪いを解くことが出来れば原因などを究明したかも知れないが、結局は呪いが強すぎて解くことが出来なかった。そのことを知られたくないのが真相らしい。邪悪な心に芽生えた聖女候補が乱心したということにして、黒い靄に包まれた場にいた者たち全てに、かん口令を強いたそうだ」
このことをシャルルに伝えるか悩んだが、シャルルの気持ちを考えると余計な不安を与えてしまうのではないかと思い、自分の心の中に仕舞っておくことにする。
「父親がアルカントラ法国に出入りしている大きな商売人だったようで、娘同様にアルカントラ法国での商売を禁止されただけでなく、入国禁止の重い処分を下されたようで他の商人たちが喜んでいたな。これは俺にとっても好都合だった」
「なぜ、商売人である父親も罰せられたのですか?」
「一部の権力者と癒着関係にあったようで、今回の件で探りを入れられて発覚したようだ。聖職者とはいえ、俺らと大して変わらないってことだな」
両親から賄賂を貰い、自分を冒険者ギルドへと引き渡した司祭のことを思い出す。
他人を出し抜こうとしたり、利権の奪い合い、結局は権力者同士の争い……たしかに、自分の育ってきた環境と変わらない。
だが、アルカントラ法国では「神の元では誰でも平等」としている。
もちろん、建前だとは分かっているが、国民の多くは女神ユキノを信仰していることには変わりない。
「まぁ、こんな感じだな。アルカントラ法国は秘密主義が多いから、他国に情報はあまり流出しないしな」
「有難う御座います」
礼を言うリゼに、サスケは気にするなと言わんばかりに笑顔を返す。
「他の国のことは、バーナムたちに聞け。こいつらも各地の情報を得るために、曲芸団とに偽装しているからな」
サスケの言葉に、リゼは「たしかに!」と納得する。
各地を回るバーナム曲芸団は怪しまれることはない。
あくまでも娯楽を提供しているだけだと思われている。
諜報活動するには最適だ。
「親分は一人で活動していますからね」
バーナムが補足するように話に加わる。
「他の地域で聞きたいことがあれば、バーナムたちに聞いてくれ。俺は、そろそろ出発するから」
「お引止めして、すみません」
一刻も早くヤマト大国に向かいたかったサスケに気付かず、質問をしていたことが申し訳ないと感じた。
だが、サスケは簡単な別れの挨拶をすると足早に去って行った。
サスケがいなくなり、緊張の糸が途切れたのかバーナムたちの表情も和らぐ。
マカコという人物に成りすましていたサスケへの対応も、諜報活動の一環だったのだろうが、バーナムたちの行動には感服していた。
「先程は申し訳なかった」
バショウがリゼに謝罪する。
「大丈夫です。あれも必要なことだったと理解しています」
バショウは申し訳なさそうにポーションをリゼに差し出す。
首元を傷つけた詫びだったが、リゼは受け取りを拒否した。
逆に申し訳ないという気持ちがリゼにあったがための行動だったが、断られると思っていなかったバショウは困惑しながら差し出した手の扱いに困っていた。
昔の自分なら……と考えながら、リゼはバショウの好意に甘える形で、礼を言ってポーションを受け取る。
長居すると公演の邪魔になると思い、リゼも去ることを告げる。
本当であれば他の地域のことや、バーナム曲芸団の団員たちは忍なのか? という疑問なども聞きたかったが仕方がないと諦める。
「今日の夜公演後だったら、時間が取れるから、聞きたいことがあれば寄ってくれて大丈夫よ」
「そうそう、少しだけ反省会をするだけだから。それと、これを渡しておくわね」
リゼの気持ちを知ってか、アリアーヌとティアーヌが優しい言葉を掛けてくれた。
ティアーヌから貰った通行手形のような板は関係者の印で、衛兵に名前を言えば団員が迎えに来てくれる仕組みになっているそうだ。
二人に礼を言って、夜公演後に時間を取ってもらえることに感謝する。
自分はヤマト大国の国民でもないし、ハンゾウの部下でもない。
だが、忍ではなく一人の人間として、ハンゾウたちに協力できることはしたいと思っていた。
レティオールとシャルルの二人とは、チクマールの案内で別の場所で合流する。
食べたことのない珍しく美味しい菓子を食べられたと、シャルルは喜んでいる。
その笑顔を見て、リゼはアルカントラ法国の話をしないことに少しだけ罪悪感を感じていた。
――――――――――――――――――――
■リゼの能力値
『体力:四十六』
『魔力:三十三』
『力:三十』
『防御:二十』
『魔法力:二十六』
『魔力耐性:十三』
『敏捷:百八』
『回避:五十六』
『魅力:二十五』
『運:五十八』
『万能能力値:二十四』
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■シークレットクエスト
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・報酬:万能能力値(五増加)
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