私のスキルが、クエストってどういうこと?

地蔵

文字の大きさ
290 / 373

第290話

しおりを挟む
「……面倒なことになっているな」

 読み終えると、先程までのふざけた表情が険しい表情に一変する。

「明日の夜公演を終えたら、この町から移動だったよな?」
「はい。一応、次はバビロニアの予定でしたが、スタンピードの件もあり、まだ正式に許可を貰っていません。明日の夜公演前に、国主にお伺いをたてるつもりです。難しいようであれば、その先にあるルーブイユで二日滞在して昼夜一公演ずつする予定です」
「そうか……俺は、先に移動して国に戻る。あとは頼んだ」
「承知しました」

 バーナムは返事すると同時に頭を下げる。
 その行動に反応するかのように、アリアーヌとティアーヌたちも合わせたように頭を下げた。
 こういう所作も同調するのだと、リゼは感心する。

「リゼは……特にないよな? お前のことは国で詳しく聞く」
「あ、あの……いいですか?」
「なんだ? なにか、聞きたいことがあったか?」
「はい。サスケさんはアルカントラ法国で諜報活動をしていると聞いたのですが」
「よく知っているな。……あぁ、頭かサイゾウから聞いたのか。そうだ、この間までアルカントラ法国にいた。こいつらと合流したのも今朝だ」
「差し支えなければ、アルカントラ法国のことを聞かせてもらえればと思いまして……」
「聞きたいことでもあるのか?」
「はい。私の仲間がアルカントラ法国出身です。シャルル……女性の方がカースドアイテムの被害にあっていたので、何か知っていればと教えてもらえればと」
「カースドアイテムね……関係あるかは分からないが、俺がアルカントラ法国を出る少し前に、聖女の有力候補の一人が黒い靄に包まれたとかの騒ぎが起きていたな。結局、公には出来なかったのか、人目につかない地下の牢獄に入れられていた」

 リゼはシャルルの呪いを解いた影響だと、サスケの話を聞いていた。
 それよりも、アルカントラ法国から移動してきたにしては早すぎると、ジャンロードが解呪してから今日までの日数を頭の中で数えていた。

「まぁ、呪いを解くことが出来れば原因などを究明したかも知れないが、結局は呪いが強すぎて解くことが出来なかった。そのことを知られたくないのが真相らしい。邪悪な心に芽生えた聖女候補が乱心したということにして、黒い靄に包まれた場にいた者たち全てに、かん口令を強いたそうだ」

 このことをシャルルに伝えるか悩んだが、シャルルの気持ちを考えると余計な不安を与えてしまうのではないかと思い、自分の心の中に仕舞っておくことにする。

「父親がアルカントラ法国に出入りしている大きな商売人だったようで、娘同様にアルカントラ法国での商売を禁止されただけでなく、入国禁止の重い処分を下されたようで他の商人たちが喜んでいたな。これは俺にとっても好都合だった」
「なぜ、商売人である父親も罰せられたのですか?」
「一部の権力者と癒着関係にあったようで、今回の件で探りを入れられて発覚したようだ。聖職者とはいえ、俺らと大して変わらないってことだな」

 両親から賄賂を貰い、自分を冒険者ギルドへと引き渡した司祭のことを思い出す。
 他人を出し抜こうとしたり、利権の奪い合い、結局は権力者同士の争い……たしかに、自分の育ってきた環境と変わらない。
 だが、アルカントラ法国では「神の元では誰でも平等」としている。
 もちろん、建前だとは分かっているが、国民の多くは女神ユキノを信仰していることには変わりない。

「まぁ、こんな感じだな。アルカントラ法国は秘密主義が多いから、他国に情報はあまり流出しないしな」
「有難う御座います」

 礼を言うリゼに、サスケは気にするなと言わんばかりに笑顔を返す。

「他の国のことは、バーナムたちに聞け。こいつらも各地の情報を得るために、曲芸団とに偽装しているからな」

 サスケの言葉に、リゼは「たしかに!」と納得する。
 各地を回るバーナム曲芸団は怪しまれることはない。
 あくまでも娯楽を提供しているだけだと思われている。
 諜報活動するには最適だ。

「親分は一人で活動していますからね」

 バーナムが補足するように話に加わる。

「他の地域で聞きたいことがあれば、バーナムたちに聞いてくれ。俺は、そろそろ出発するから」
「お引止めして、すみません」

 一刻も早くヤマト大国に向かいたかったサスケに気付かず、質問をしていたことが申し訳ないと感じた。
 だが、サスケは簡単な別れの挨拶をすると足早に去って行った。
 サスケがいなくなり、緊張の糸が途切れたのかバーナムたちの表情も和らぐ。
 マカコという人物に成りすましていたサスケへの対応も、諜報活動の一環だったのだろうが、バーナムたちの行動には感服していた。

「先程は申し訳なかった」

 バショウがリゼに謝罪する。

「大丈夫です。あれも必要なことだったと理解しています」

 バショウは申し訳なさそうにポーションをリゼに差し出す。
 首元を傷つけた詫びだったが、リゼは受け取りを拒否した。
 逆に申し訳ないという気持ちがリゼにあったがための行動だったが、断られると思っていなかったバショウは困惑しながら差し出した手の扱いに困っていた。
 昔の自分なら……と考えながら、リゼはバショウの好意に甘える形で、礼を言ってポーションを受け取る。
 長居すると公演の邪魔になると思い、リゼも去ることを告げる。
 本当であれば他の地域のことや、バーナム曲芸団の団員たちは忍なのか? という疑問なども聞きたかったが仕方がないと諦める。

「今日の夜公演後だったら、時間が取れるから、聞きたいことがあれば寄ってくれて大丈夫よ」
「そうそう、少しだけ反省会をするだけだから。それと、これを渡しておくわね」

 リゼの気持ちを知ってか、アリアーヌとティアーヌが優しい言葉を掛けてくれた。
 ティアーヌから貰った通行手形のような板は関係者の印で、衛兵に名前を言えば団員が迎えに来てくれる仕組みになっているそうだ。
 二人に礼を言って、夜公演後に時間を取ってもらえることに感謝する。
 自分はヤマト大国の国民でもないし、ハンゾウの部下でもない。
 だが、忍ではなく一人の人間として、ハンゾウたちに協力できることはしたいと思っていた。
 レティオールとシャルルの二人とは、チクマールの案内で別の場所で合流する。
 食べたことのない珍しく美味しい菓子を食べられたと、シャルルは喜んでいる。
 その笑顔を見て、リゼはアルカントラ法国の話をしないことに少しだけ罪悪感を感じていた。


――――――――――――――――――――

■リゼの能力値
 『体力:四十六』
 『魔力:三十三』
 『力:三十』
 『防御:二十』
 『魔法力:二十六』
 『魔力耐性:十三』
 『敏捷:百八』
 『回避:五十六』
 『魅力:二十五』
 『運:五十八』
 『万能能力値:二十四』
 
■メインクエスト


■サブクエスト


■シークレットクエスト
 ・ヴェルべ村で村民誰かの願いを一つ叶える。期限:五年
 ・報酬:万能能力値(五増加)
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

スキル【レベル転生】でダンジョン無双

世界るい
ファンタジー
 六年前、突如、異世界から魔王が来訪した。「暇だから我を愉しませろ」そう言って、地球上のありとあらゆる場所にダンジョンを作り、モンスターを放った。  そんな世界で十八歳となった獅堂辰巳は、ダンジョンに潜る者、ダンジョンモーラーとしての第一歩を踏み出し、ステータスを獲得する。だが、ステータスは最低値だし、パーティーを組むと経験値を獲得できない。スキルは【レベル転生】という特殊スキルが一つあるだけで、それもレベル100にならないと使えないときた。  そんな絶望的な状況下で、最弱のソロモーラーとしてダンジョンに挑み、天才的な戦闘センスを磨き続けるも、攻略は遅々として進まない。それでも諦めずチュートリアルダンジョンを攻略していたある日、一人の女性と出逢う。その運命的な出逢いによって辰巳のモーラー人生は一変していくのだが……それは本編で。 小説家になろう、カクヨムにて同時掲載 カクヨム ジャンル別ランキング【日間2位】【週間2位】 なろう ジャンル別ランキング【日間6位】【週間7位】

聖女らしくないと言われ続けたので、国を出ようと思います

菜花
ファンタジー
 ある日、スラムに近い孤児院で育ったメリッサは自分が聖女だと知らされる。喜んで王宮に行ったものの、平民出身の聖女は珍しく、また聖女の力が顕現するのも異常に遅れ、メリッサは偽者だという疑惑が蔓延する。しばらくして聖女の力が顕現して周囲も認めてくれたが……。メリッサの心にはわだかまりが残ることになった。カクヨムにも投稿中。

建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~

ヒロノF
ファンタジー
死後に転生した魔界にて突然無敵の身体を与えられた地野改(ちの かい)。 その身体は物理的な攻撃に対して金属音がするほど硬く、マグマや高電圧、零度以下の寒さ、猛毒や強酸、腐食ガスにも耐え得る超高スペックの肉体。   その上で与えられたのはイメージ次第で命以外は何でも作り出せるという『創成魔法』という特異な能力。しかし、『イメージ次第で作り出せる』というのが落とし穴! それはイメージ出来なければ作れないのと同義! 生前職人や技師というわけでもなかった彼女には機械など生活を豊かにするものは作ることができない! 中々に持て余す能力だったが、周囲の協力を得つつその力を上手く使って魔界を住み心地良くしようと画策する。    近隣の村を拠点と定め、光の無かった世界に疑似太陽を作り、川を作り、生活基盤を整え、家を建て、魔道具による害獣対策や収穫方法を考案。 更には他国の手を借りて、水道を整備し、銀行・通貨制度を作り、発電施設を作り、村は町へと徐々に発展、ついには大国に国として認められることに!?   何でもできるけど何度も失敗する。 成り行きで居ついてしまったケルベロス、レッドドラゴン、クラーケン、歩く大根もどき、元・書物の自動人形らと共に送る失敗と試行錯誤だらけの魔界ライフ。 様々な物を創り出しては実験実験また実験。果たして住み心地は改善できるのか?   誤字脱字衍字の指摘、矛盾の指摘大歓迎です! 見つけたらご報告ください!   2024/05/02改題しました。旧タイトル 『魔界の天使 (?)アルトラの国造り奮闘譚』 2023/07/22改題しました。旧々タイトル 『天使転生?~でも転生場所は魔界だったから、授けられた強靭な肉体と便利スキル『創成魔法』でシメて住み心地よくしてやります!~』 この作品は以下の投稿サイトにも掲載しています。  『小説家になろう(https://ncode.syosetu.com/n4480hc/)』  『ノベルバ(https://novelba.com/indies/works/929419)』  『アルファポリス(https://www.alphapolis.co.jp/novel/64078938/329538044)』  『カクヨム(https://kakuyomu.jp/works/16818093076594693131)』

実家にガチャが来たそしてダンジョンが出来た ~スキルを沢山獲得してこの世界で最強になるようです~

仮実谷 望
ファンタジー
とあるサイトを眺めていると隠しリンクを踏んでしまう。主人公はそのサイトでガチャを廻してしまうとサイトからガチャが家に来た。突然の不可思議現象に戸惑うがすぐに納得する。そしてガチャから引いたダンジョンの芽がダンジョンになりダンジョンに入ることになる。

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

【第一章改稿中】転生したヒロインと、人と魔の物語 ~召喚された勇者は前世の夫と息子でした~

田尾風香
ファンタジー
ある日、リィカの住む村が大量の魔物に襲われた。恐怖から魔力を暴走させそうになったとき前世の記憶が蘇り、奇跡的に暴走を制御する。その後、国立の学園へと入学。王族や貴族と遭遇しつつも無事に一年が過ぎたとき、魔王が誕生した。そして、召喚された勇者が、前世の夫と息子であったことに驚くことになる。 【改稿】2026/02/20、第一章の40話までを大幅改稿しました。 これまで一人称だった第一章を三人称へと改稿。その後の話も徐々に三人称へ改稿していきます。話の展開など色々変わっていますが、大きな話の流れは変更ありません。 ・都合により、リィカの前世「凪沙」を「渚沙」へ変更していきます(徐々に変更予定)。 ・12から16話までにあったレーナニアの過去編は、第十六章(第二部)へ移動となりました。

異世界召喚に巻き込まれたのでダンジョンマスターにしてもらいました

まったりー
ファンタジー
何処にでもいるような平凡な社会人の主人公がある日、宝くじを当てた。 ウキウキしながら銀行に手続きをして家に帰る為、いつもは乗らないバスに乗ってしばらくしたら変な空間にいました。 変な空間にいたのは主人公だけ、そこに現れた青年に説明され異世界召喚に巻き込まれ、もう戻れないことを告げられます。 その青年の計らいで恩恵を貰うことになりましたが、主人公のやりたいことと言うのがゲームで良くやっていたダンジョン物と牧場経営くらいでした。 恩恵はダンジョンマスターにしてもらうことにし、ダンジョンを作りますが普通の物でなくゲームの中にあった、中に入ると構造を変えるダンジョンを作れないかと模索し作る事に成功します。

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

処理中です...