4 / 4
番外編
しおりを挟む
◆
◇
◆
温かな日差しが窓から差し込み、部屋の中をオレンジ色に染め上げる。
「今日で試験も無事に終わったわけだけど、
ーーーーーー…調子はどうだいリシウス」
閑散とした図書館内で、唐突にも口を開く者がいた。声音はごく穏やかに。
そう、目の前に腰を下ろして本を読む男…
ユリウスの婚約者である。
左目を隠す様に流された髪は皇帝譲りか、汚れすら知らない綺麗な金髪。
前に一度、大切な子が、奴の髪を見て綺麗だと発した瞬間から嫌いになった色でもある。
「お陰様で。普段通りですが」
「ふーん。普段通りね。
大切な弟が消えて、言えるセリフとは思えないのだがな」
呆れた様な声音で発せられた言葉
今、奴の脳内は1人の人物で埋め尽くされているのだろう。突然消えた…婚約者
ただ1人を思い続けているのかもしれない
「そう言えば聞きそびれていましたね…俺のユリウスを何故婚約者に?」
たいした興味もない本を捲りながら聞いたのは、なんとなくではなく。確信していたからだ
ユリウスは気づいていないかもしれないが、
何人の人間が、男が…ユリウスを見ているのか
魅せられているのか、気付いていない。
自己評価がやたらと低く天然で鈍い。その癖、変なところで鋭いのはなんなのか、
初めてユリウスを抱いた日の夜、
ユリウスはイキ疲れて朦朧としていたから覚えていないだろうが、口にした。
『僕は…仮の婚約者、だよ』と。
少なくともユリウスはそう思っていた。
けれど俺は知っている。
ユリウスにいい顔だけを見せてきた俺と、目の前の皇子は同類だと。
ユリウスに向ける、優しい目。しかし、時折見せる雄の顔。
やたらとスキンシップが多かったこと、
ユリウスに近づく害虫が急激に減ったこと、
用意周到にも程がある。
周りから固めていく事で、逃げてを防いだのだから。
「本気で好きになったから、かな
まぁ行方不明じゃ結婚できないし、婚約の話しも消えると思うよ。
おっと。予定があるからこの辺で。」
分厚い本をとじ、席を立つ男。
また話そう。そう言い残して、図書館を去る男に軽く頭だけ下げておく。
本当なら未来の家臣らしく席を立ち、胸に手を当て頭を下げるのが常識だが…ここはあくまで学園だ。
そして彼も堅苦しい接し方を嫌う節がある
だからわざわざ席を立つことをしないし。自身をへり下る言い回しも、ゴマも擦らない
上に立つ者としてのカリスマ性や、頭だってきれる。下につきたい、従いたいとすら思う者は多すぎるほどだ。俺だってユリウスが関わっていなければもっといい関係になれていただろう
「取り敢えずユリウス関連の記憶、全部消す魔道具とか無いかな」
穏やかな夕方。
温かな日差しが差し込む中、
穏やかな声音で呟かれた独白は冗談か本気か
リシウスにしか分からない。
消えたと言われている弟、ユリウスは誰かに摘まれる前に愛でて摘み。
大事に保護している。
今もあの部屋で俺の帰りを待っている。
大切な者は、外から出さなければいいのだと
身をもって知ったから。
◇
◆
温かな日差しが窓から差し込み、部屋の中をオレンジ色に染め上げる。
「今日で試験も無事に終わったわけだけど、
ーーーーーー…調子はどうだいリシウス」
閑散とした図書館内で、唐突にも口を開く者がいた。声音はごく穏やかに。
そう、目の前に腰を下ろして本を読む男…
ユリウスの婚約者である。
左目を隠す様に流された髪は皇帝譲りか、汚れすら知らない綺麗な金髪。
前に一度、大切な子が、奴の髪を見て綺麗だと発した瞬間から嫌いになった色でもある。
「お陰様で。普段通りですが」
「ふーん。普段通りね。
大切な弟が消えて、言えるセリフとは思えないのだがな」
呆れた様な声音で発せられた言葉
今、奴の脳内は1人の人物で埋め尽くされているのだろう。突然消えた…婚約者
ただ1人を思い続けているのかもしれない
「そう言えば聞きそびれていましたね…俺のユリウスを何故婚約者に?」
たいした興味もない本を捲りながら聞いたのは、なんとなくではなく。確信していたからだ
ユリウスは気づいていないかもしれないが、
何人の人間が、男が…ユリウスを見ているのか
魅せられているのか、気付いていない。
自己評価がやたらと低く天然で鈍い。その癖、変なところで鋭いのはなんなのか、
初めてユリウスを抱いた日の夜、
ユリウスはイキ疲れて朦朧としていたから覚えていないだろうが、口にした。
『僕は…仮の婚約者、だよ』と。
少なくともユリウスはそう思っていた。
けれど俺は知っている。
ユリウスにいい顔だけを見せてきた俺と、目の前の皇子は同類だと。
ユリウスに向ける、優しい目。しかし、時折見せる雄の顔。
やたらとスキンシップが多かったこと、
ユリウスに近づく害虫が急激に減ったこと、
用意周到にも程がある。
周りから固めていく事で、逃げてを防いだのだから。
「本気で好きになったから、かな
まぁ行方不明じゃ結婚できないし、婚約の話しも消えると思うよ。
おっと。予定があるからこの辺で。」
分厚い本をとじ、席を立つ男。
また話そう。そう言い残して、図書館を去る男に軽く頭だけ下げておく。
本当なら未来の家臣らしく席を立ち、胸に手を当て頭を下げるのが常識だが…ここはあくまで学園だ。
そして彼も堅苦しい接し方を嫌う節がある
だからわざわざ席を立つことをしないし。自身をへり下る言い回しも、ゴマも擦らない
上に立つ者としてのカリスマ性や、頭だってきれる。下につきたい、従いたいとすら思う者は多すぎるほどだ。俺だってユリウスが関わっていなければもっといい関係になれていただろう
「取り敢えずユリウス関連の記憶、全部消す魔道具とか無いかな」
穏やかな夕方。
温かな日差しが差し込む中、
穏やかな声音で呟かれた独白は冗談か本気か
リシウスにしか分からない。
消えたと言われている弟、ユリウスは誰かに摘まれる前に愛でて摘み。
大事に保護している。
今もあの部屋で俺の帰りを待っている。
大切な者は、外から出さなければいいのだと
身をもって知ったから。
241
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
弟のために悪役になる!~ヒロインに会うまで可愛がった結果~
荷居人(にいと)
BL
BL大賞20位。読者様ありがとうございました。
弟が生まれた日、足を滑らせ、階段から落ち、頭を打った俺は、前世の記憶を思い出す。
そして知る。今の自分は乙女ゲーム『王座の証』で平凡な顔、平凡な頭、平凡な運動能力、全てに置いて普通、全てに置いて完璧で優秀な弟はどんなに後に生まれようと次期王の継承権がいく、王にふさわしい赤の瞳と黒髪を持ち、親の愛さえ奪った弟に恨みを覚える悪役の兄であると。
でも今の俺はそんな弟の苦労を知っているし、生まれたばかりの弟は可愛い。
そんな可愛い弟が幸せになるためにはヒロインと結婚して王になることだろう。悪役になれば死ぬ。わかってはいるが、前世の後悔を繰り返さないため、将来処刑されるとわかっていたとしても、弟の幸せを願います!
・・・でもヒロインに会うまでは可愛がってもいいよね?
本編は完結。番外編が本編越えたのでタイトルも変えた。ある意味間違ってはいない。可愛がらなければ番外編もないのだから。
そしてまさかのモブの恋愛まで始まったようだ。
お気に入り1000突破は私の作品の中で初作品でございます!ありがとうございます!
2018/10/10より章の整理を致しました。ご迷惑おかけします。
2018/10/7.23時25分確認。BLランキング1位だと・・・?
2018/10/24.話がワンパターン化してきた気がするのでまた意欲が湧き、書きたいネタができるまでとりあえず完結といたします。
2018/11/3.久々の更新。BL小説大賞応募したので思い付きを更新してみました。
弟が兄離れしようとしないのですがどうすればいいですか?~本編~
荷居人(にいと)
BL
俺の家族は至って普通だと思う。ただ普通じゃないのは弟というべきか。正しくは普通じゃなくなっていったというべきか。小さい頃はそれはそれは可愛くて俺も可愛がった。実際俺は自覚あるブラコンなわけだが、それがいけなかったのだろう。弟までブラコンになってしまった。
これでは弟の将来が暗く閉ざされてしまう!と危機を感じた俺は覚悟を持って……
「龍、そろそろ兄離れの時だ」
「………は?」
その日初めて弟が怖いと思いました。
弟勇者と保護した魔王に狙われているので家出します。
あじ/Jio
BL
父親に殴られた時、俺は前世を思い出した。
だが、前世を思い出したところで、俺が腹違いの弟を嫌うことに変わりはない。
よくある漫画や小説のように、断罪されるのを回避するために、弟と仲良くする気は毛頭なかった。
弟は600年の眠りから醒めた魔王を退治する英雄だ。
そして俺は、そんな弟に嫉妬して何かと邪魔をしようとするモブ悪役。
どうせ互いに相容れない存在だと、大嫌いな弟から離れて辺境の地で過ごしていた幼少期。
俺は眠りから醒めたばかりの魔王を見つけた。
そして時が過ぎた今、なぜか弟と魔王に執着されてケツ穴を狙われている。
◎1話完結型になります
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
人気俳優に拾われてペットにされた件
米山のら
BL
地味で平凡な社畜、オレ――三池豆太郎。
そんなオレを拾ったのは、超絶人気俳優・白瀬洸だった。
「ミケ」って呼ばれて、なぜか猫扱いされて、執着されて。
「ミケにはそろそろ“躾”が必要かな」――洸の優しい笑顔の裏には、底なしの狂気が潜んでいた。
これは、オレが洸の変態的な愛情と執着に、容赦なく絡め取られて、逃げ道を失っていく話。
つまりは相思相愛
nano ひにゃ
BL
ご主人様にイかないように命令された僕はおもちゃの刺激にただ耐えるばかり。
限界まで耐えさせられた後、抱かれるのだが、それもまたしつこく、僕はもう僕でいられない。
とことん甘やかしたいご主人様は目的達成のために僕を追い詰めるだけの短い話です。
最初からR表現です、ご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる