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第四話 三角関係?
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「東城さん、ここです」
料亭での会食を済ませた後、悠希と士郎、そして丞の3人は、タクシーで例のバーに来ていた。バーの名前は「twelve」。数字の「12」という意味で、12月生まれの、丞の友人であるオーナーの誕生日から名付けたそうだ。「単純でしょう」と、丞は笑った。
「丞さん、お疲れさまです」
「お疲れ。すまないな、急に貸し切りにしてもらって」
「いえいえ、構いませんよ。じゃあ俺は帰りますね、ごゆっくり」
店に入ると声をかけてきた男は丁寧な口調でやりとりをし、奥に入って行った。裏口から出たことを確認してから、丞が話し出す。
「仕事の話ということで、さっき、貸し切りにできるよう話をつけておいたんです」
仕事も絡んでいるので経費として落とすとのことで、士郎が料亭で会計を済ませている間に、悠希に言われて、丞が連絡したらしい。
「わざわざすみません。レトロな部分と最新のものをミックスして取り入れていて、良いお店ですね」
士郎が店内を見渡すと、昔ながらの銘柄の酒はもちろん、今流行りの酒や、新進気鋭の作家の作品であるグラスなどがあった。
一見すると素人にはわからないものだらけだが、複数の店を手掛けているやり手の士郎の審美眼は確かだ。夜のみ営業のバーなので照明は暗めだが、センスが問われる内装や家具など、所々にこだわりが見て取れる。
「ありがとうございます。ここは親父の会社が作ったバーなんですが、バーを出そうとしたのはいいものの、コンセプトとか細かいところをどうしようかと思っていて…。その時にちょうど連絡を取り合っていたのが、さっきの彼で。あいつは大学時代の後輩で、デザイン関係の会社に就職してたんです。それで、なにげなくバーの話をしたら、「デザインしてみたい」と言ってきて、そこから話がとんとん拍子に進んだんです」
会社としてデザインに取り組み、このバーが無事にオープンしてからは、個人で手伝いに来ていたそう。それで接客にもハマってしまい、会社を辞めて、正式にバーのオーナーになったという経緯だ。
「そうでしたか。さすがはプロ、ディテールにまでこだわっていて、素晴らしいですね」
「そう言ってもらえると、俺も嬉しいです」
士郎が褒めると、丞は自分のことのように嬉しそうに笑う。
そんなやりとりを、ぼんやりと見ている悠希ではない。座る前から二人が話に花を咲かせている中で、悠希はあるものを仕込んでいた。そこに、タイミングよく藤真がやってくる。
「失礼しまーす…」
遠慮がちにドアを開けて入ってくる藤真を、悠希は笑顔で迎える。
「おつかれさま。座って?」
「悠希さん、おつかれさまです!ここって…」
「この前話したバー、来てみたいって言ってたでしょう?」
「はいっ、誘ってくれて嬉しいです!」
藤真は、本当に嬉しそうに無邪気に笑って、カウンターの椅子に腰かける。
「おい、悠希。こいつは…」
「あぁ、俺の友達。大学生だけど、デザインの勉強もしてるって言うから、来てもらったんだよ。…東城さん、構いませんか?」
「…問題ない」
丞は、藤真が来ることを知らなかったらしく、悠希が説明して東城にも同意を仰ぐと、そう返事が返ってくる。
「東城さんが、そう言うなら…」
悠希の計画を知っている丞だったが、取引先になるかもしれない士郎がいいと言っているのに、反対する理由もない。
「よかった。じゃあ丞、オススメのお酒、東城さんに差し上げて?」
「わかった」
言われるがまま、丞は最近人気が出始めているワインをワインセラーから取り出し、悠希が用意していた大きめのワイングラスにゆっくりとした動作で注ぐ。
「東城さんはワインもいける口ですか?」
「テイスティングを」とグラスを勧めながら、丞が士郎に話しかける。
「えぇ。いただきます」
差し出されたグラスをまずはじっくり見て香りを嗅ぎ、グラスを回してテイスティングを行う。そんな流れるような優雅な動きにも、悠希は心の中で見惚れていた。
「…ほどよい渋みと濃厚な香り。後味に残るフルーティーさも奥深いですね」
「さすがは東城さん。国内のワインなんですが、ワイナリーに行って飲んでみたら俺も気に入って。仕入れて出してみたら、かなり人気が出てるんですよ」
「それも納得ですね」
丞の言葉に頷きながら、士郎はグラスにあったワインを飲み干した。
「じゃあ、みんなにも用意しますね」
そう言って丞が4人分のワインを用意し、みんなで乾杯することに。
「東城さん。丞のところ、仕事相手にどうですか?」
「…すぐには決められないが、前向きに検討するつもりだ」
「だって、丞。じゃあ、前途を祝して乾杯しましょうか」
4人がグラスを控えめに鳴らし合い、それぞれが口につける。
「あ、これ、おいしいです!今まで飲んだワインの中で一番かも」
「それは大袈裟じゃないか?まぁ、それだけおいしいってことなら、嬉しいけどな」
藤真が素直に感想を述べると、初対面の丞も顔がほころぶ。自分が気に入って仕入れたものをおいしいと言ってもらえたら、そんなに嬉しいことはない。
「あ、あの…。僕は、剣藤真っていいます。よろしくお願いします」
乾杯してワインを一口飲んだ後、藤真は思い出したかのように自己紹介をする。
「ブッ。…っと、律義だね、君。俺は寺井丞です、よろしく」
急に名乗られて吹き出しそうになった丞も、藤真に応えてペコリと頭を下げた。
「えっと…東城さんと剣くんは、面識があるんですか?」
「藤真は、レイニーのお客さんだよ。東城さんとも何度か顔を合わせてますよね」
「…あぁ」
丞の士郎への疑問に悠希が答えると、士郎は短く返事をする。
「あの、お仕事の話なのに、僕がいていいんでしょうか?」
「東城さんがいいって言ってるんだから、大丈夫だよ。遠慮しないで」
「それなら、いいんですけど…」
「うん。…藤真は、いつも通りでいいから。ね?」
「は、はい」
にっこりと悠希にそう言われて、藤真はアルコールも入っているからか、顔が赤くなっていた。
「顔に出やすいんだね。もう酔ったの?」
「え、そんなに赤くなってます?皆さん平気そうなのに、恥ずかしいな…」
「実は…俺も酔ってるよ。さっきのお店で日本酒もかなり飲んだし。…東城さんは大丈夫ですか?」
藤真に笑いかけながら、士郎にもコンタクトを欠かさない。丞はワインを飲みながら悠希の視線を追って、内心ため息をついていた。
「少し…体が熱いな」
「さすがの東城さんも、酔っちゃいました?」
士郎がワイングラスを置いてソファの背もたれにもたれかかると、すかさず悠希が士郎の腕にさりげなくボディタッチをする。
「ホントだ、体、熱いですね」
「…っ」
体が熱く、頭が回らない。時間をかけて日本酒も飲んだが、いつもならこの程度で酔うはずもないのに。そう思う士郎だったが、ゆったりとしたソファに沈み込んだ体を動かすことができず、そのまま眠りに落ちてしまったようだ。
「あれ、寝ちゃいました?」
「…」
悠希が確認するように話しかけても、士郎はぐったりしていた。
「…薬がよく効いたみたい。丞、店の鍵を閉めて、準備して」
「…わかった。だが、お前、睡眠薬なんてどこで?」
「まぁ、色々とね。これで、この人は俺のことを無視できなくなる。それに、より大勢の人間に弱みを握られた方が、人は身動きできなくなる…そうでしょう?」
今更だが、悠希の笑みが邪悪なものに見えて、丞はふと不安になる。
「…やりすぎじゃないか?」
「丞に何がわかるの?俺を止める権利なんてないでしょ、ただのセフレなんだから。丞は、そこでカメラ回してくれればいいから。早く準備して」
「…わかったよ、一度協力すると言ったからには、協力する。ちょっと待ってな」
もうお手上げだった。こういう時の悠希は止められないし、計画以上のことを企んでいる。それを知りながらも、丞は言われた通りにカメラをセッティングするしかなかった。
「悠希さん、セフレって…。薬ってなんですか?カメラも…今から一体何が…」
「藤真」
「っ、はい」
わけがわからず、疑問に思ったことを口に出す藤真に、悠希は有無を言わさない表情で正面から見つめる。
「藤真は、俺のこと邪魔しないよね?」
「え?えっと…」
「今から俺が何をしようと、邪魔しないよね?」
見たことのない表情で言われて戸惑う藤真に、念押し。もう頷くしかない。
「…うん、いい子。ご褒美をあげるね?」
戸惑いながらも小さく頷く藤真に、軽くキスをする。
「協力してくれるなら、もっとキスしてあげる」
至近距離でそう囁かれて、藤真はさらに頷く。悠希はニヤリと微笑んで、今度は深く口付ける。
「悠希さんっ」
「は…ぁっ」
お互いに求め合うと、服を脱がそうとしてきた藤真を制し、悠希はふと離れる。
「本番は東城さんとするから。藤真は…そのあとでね?」
酔っているからなのか、藤真はその言葉に逆らえない。名残惜しそうに悠希の手を掴むが、それもあっさりと離されてしまう。
「…準備できたぞ」
「ありがとう、丞」
丞が準備
したのは、スタンドに設置されたデジカメ。元々、客が店内で撮影して楽しめるようにと用意していたものだった。カメラがちゃんと回っているのを確認してから、悠希は目を覚まさない様子の士の顔に触れる。熱くなった顔を両手で包み、キス。
「んむ…」
意識がない士郎の舌を器用に絡
め取り、唾液が頬を伝うまで深く。心地よい上質なジャズが流れる中、悠希が一方的にキスする水音が響いていた。そんな様を見て、丞はカメラの映像を確認できる位置に腰掛け、藤真は、自分以外の人とキスする悠希から目を逸らせないでいた。
「東城さん…」
士郎のスーツを脱がせ、きっちり締められたネクタイを外す。ずっとキスを続けながらシャツもズボンも脱がしてしまい、下半身をも露わにしてしまう。そんな悠希の行動にも、士郎はまだ目を開けなかった。
悠希は執拗にキスを繰り返しながら、汗ばんでいる士郎の体に手を這わせ、酒のせいなのか薬のせいなのか、すでにピンと勃っている胸の突起を責め始める。
「…っ」
両方の突起を強めにいじられると、士郎がビクリと体を震わせた。無意識なのか、みじろいだことでソファに倒れ込んでしまった士郎に覆いかぶさり、肌を寄せて、悠希はキスと胸への愛撫を続ける。
「ん…っ」
「東城、さん…」
お互いの息が上がっていくのがわかる。ずっとキスされていて苦しくなったのか、士郎が顔を背けようとするが、悠希はそれを許さない。息をする暇さえ与えないように、より深く口内を犯す。
そして、やっと士郎が目を開けると、悠希はタイミングを見計らったかのように体を起こし、着ていたシャツを脱いだ。そう、士郎と悠希が初めて肌を合わせた時のように。
「…っ?」
「やっと起きました?」
「お前…何を…」
「大丈夫…東城さんは俺に身を委ねていてください」
頭がぼうっとして、体が熱い。意識がない間に散々胸を弄ばれ、そこは痛いくらいに腫れ上がっているように感じた。
そんな感覚に戸惑う士郎に追い打ちをかけるように、悠希は身をかがめて胸の突起を口に含んだ。
「んぁっ!」
「…体、いつもより敏感になっているでしょう?気持ちいいですか?」
「やっ、離れ、ろ…っ」
歯で甘噛みされるだけで、体が過剰に反応してしまう。自分の体なのにコントロールできないもどかしさから士郎はまた身をよじるが、肌が触れ合うたびにビリっとした感覚が走り、それにまた身を震わせる。
「んふ…ぅっ、こんな…」
「東城さんのせいじゃないです。…だから、我慢しないで」
「お前、何を…っ」
「本当は睡眠薬だけのつもりが、催淫作用がある薬も混ぜちゃいました。だから…抵抗しない方が、気持ちよくなれますよ?」
「そ、んなことして…、許されると…んんっ」
薬を盛られたと知って少しだけ声を荒げる士郎だが、悠希が痛いくらい敏感になっている突起を舐めたり噛んだりするので、大した抵抗にもならない。
「悠希、お前…」
「丞は来ないで。話はあとで…わかった?」
睡眠薬を盛るだけと聞いていた丞が、催淫剤まで使ったと知って一度は腰を上げたが、悠希はすぐに制する。
「…わかった」
今までもそうだった。何かやると決めたら必ず実行し、手段は選ばずやり遂げる。悠希はそういう男だ。
過去に何度もそういうことを見てきたし、何回か手伝ってきた丞にとって、悠希の行動を
理解しているつもりだった。それでも今回はやりすぎだと思ったが、抗議しても止められないのはわかっている。丞は深くため息をつき、返事をしてまた席に戻る。
一方の藤真はというと、じっと二人を…いや、悠希だけを見ているようだった。悠希に言われた「邪魔しないで」という言葉を律義に守っているのだろうか。
「さっきのワインに混ぜた薬、量がわからなくて、結構キツイかも。だから…我慢しないでくださいね?」
「っっ!」
胸はもちろん、触れられるところが全部熱い。朦朧とする頭で、必死にどうすればいいかと考えようとするが、それよりも強い刺激が襲ってきて、考えがまとまらない。
悠希と丞のやり取りも、聞こえているようで聞こえていなかった。士郎は、誰かに見られているという考えにすら到達できない。
「…少し勃ってきてる。嬉しいです、東城さん」
まだ触られていないそこが、士郎の意志とは関係なく、ムクリと勃ち上がってきていた。言葉で言われてそれを認識し、士郎の顔が羞恥に赤く染まる。
「東城さん、可愛い…。いつものクールな顔もいいけど…そういう顔もたまらないですね」
そんな士郎の顔を見て、悠希が嬉しそうに笑う。そしてまたキスをし、両手で胸を弄ぶ。
「や、めろ…っ!」
「…前にも言ったけど、それは無理です。もっと触ってほしいっていうなら、喜んで触ってあげますけど…どうします?」
「いい、から…離れろ…っ」
「でも、こんなにビクビクしてるのに…気持ちよくないですか?」
なおも抵抗しようとする士郎の反応を確かめるように、また甘噛みしたり舐め回したりを繰り返す。さっきより大きくなってきている士郎自身には触れずに。
「か、ぐらい…っ、お前とは、仕事上のいいパートナー、で…、だから…っ」
「…あなたがそれで満足でも、俺は違う。東城さんを手に入れないと、満足できないんです」
「間違ってる…こ、んな…っ」
与えられる刺激に体を跳ねさせながら、士郎は何とかしてやめさせようと、声を絞り出す。だが、快感がやむことはない。
「正しいことだなんて思ってない。こうでもしないと、あはなた俺を抱かないでしょう?だから…仕方ないんです」
「そんな、理屈が、通るとでも…っ」
「…俺がしたいからこうしてるだけ。理屈なんて関係ないんです。いい加減、諦めてください」
「んぁあっ!」
今度は、悠希の言葉に応えようとする前に強くつままれ、強すぎる快感が士郎を襲う。
「んっ、やめ、て、くれ…っ」
繰り返される口付けの合間に必死に拒否を示すが、行為が止まることはない。覆いかぶさる悠希の体を押し返そうにも、体重をかけられていて叶わない。まさに、最初の時と同じ状況だった。
「どうせ抵抗できないんだから…身を任せちゃった方が、楽ですよ?」
「頼む…、やめてくれ…っ」
「…ねぇ、覚えてます?最初にセックスした時も、同じこと言ってたの。あの時も、東城さんは逃げられなかった。だからもう、諦めてください…」
「んっ、そ、ぁ、はぁ…っ」
諭すような悠希の言葉とやまない刺激に、士郎の体が震える。
「やめ、もぉ…っ、ぁあっ…!」
「…胸だけでイけましたね。ほら…こっちも、すごく大きくなってる…」
「は…ぁっ、そ、んなこと…っ」
信じられないといった表情で見上げて来る士郎から少し離れ、見せつけるように股間を指さす。
触られていなかったそこはすでに完勃ち状態になっていて、先走りの液を流し、イった余韻でビクビクしていた。まるで、触られるのを待っているかのように。
「…ね、触ってほしいですか…?」
と、悠希が手を伸ばすような仕草を見せると、それだけで士郎の体には電流が走るような感覚に襲われる。
「ふ…ぅっ、やめ、てくれ…頼むから…っ」
「…まだ我慢できるんですね。でも、ここは触ってほしいって言ってますよ?」
そう言って、悠希が少し息を吹きかけると、そんな刺激にもヒクヒクして、誘っているように見えてしまう。
「や…ぁ、頼む、から…も、終わりに…」
「終わり?イカせてほしいってことですか?」
「!ち、違…っ」
「そういうことなら、お願い、聞いてあげてもいいですよ。ほら…」
悠希の目的は、士郎に抱かれること。士郎がどう思おうが何を言おうが、止める気はなかった。咄嗟に身を引こうとする士郎だが、それを阻むように先端に口付ける。
「あぁっ、や、だ、め…っ、そんな…ぁっ」
「東城さんの弱いところはわかってます。耐えられるはずがない…でしょ?」
「んんっ、イ、イク…っっ」
しなやかな指を這わせ、悠希が見つけた弱点を口で責めると、士郎は途端にイキそうになるが、射精をさせまいとキュッと先端を指で塞ぐ。
「イカせるのは簡単です。…でも、今日は東城さんからお願いしてください」
「ん、ふぅ…っ、な、なに、言って…ァッ」
悠希が先っぽを塞いでいる指を動かしてグッグッと押すと、それだけで士郎にはかなりの責め苦になる。イキたいのにイケないもどかしさと苦しさが押し寄せ、士郎は身をよじるが、達することもできない。
「くっ、ぅ…、も、はな、せ…っ」
「離したら、すぐにイッちゃいますよね、それじゃあつまらないです。俺にもいい思いをさせてくれないと…」
先端を押しながら、また胸の突起を口に含み、今度は弱めにゆるゆると舐める。
強くはない刺激が、逆に士郎には耐えがたいもののようで、声を押し殺して体を震わせることしかできない。
「ね…「イカせてほしい」ってひとこと言ってくれれば、存分にイカせてあげますよ?」
「…っ、もう、よせ…っ、頼むから…ぁっ」
「俺が聞きたいのは、そんな言葉じゃないんです。ほら…イキたいんでしょう?俺ならすぐにイカせてあげられる。快感に流された方が、早く楽になれますよ?」
「た、頼む…、もぉ…っ」
「頼むって、何をです?」
「イカせて、くれ…っっ、頼む…っ、ふ、ぅっ…」
士郎のその言葉を聞いた瞬間、悠希がにんまりと微笑んだ。得も言われぬ征服感が体を駆け巡り、ゾクゾクとした感覚に支配される。
「…上手に言えましたね。じゃあ、イカせてあげますね」
「んぁっ、あぁぁ…っっ!」
悠希がにんまり微笑みながら押さえていた指を離して、先端に近い部分を撫でると、士郎はイカされてしまう。自分から望んだこととは言え、羞恥心がなくなったわけではない。勢いよく白濁の液を放出しながら、士郎はどこか敗北感を味わっていた。
「はっ、はぁ…っ、も、いいだろ…」
「…でも、まだ勃ってますよ?こんなにビクビクしてる…」
愛おしそうに士郎のものを舐めるように見つめた後、深く口に含んだ。
「っ!よせ、やめ…、んはぁ…っ」
「何度もイかないと、薬、抜けませんよ…?」
士郎のもので口をいっぱいにしながら、脅すような口調で追い詰める。セックスに関しては百戦錬磨の悠希のテクニックに、落ちない男はいない。弱点を見つけることが得意な悠希には、誰もがなす術もないのであった。
「イってください…っ」
「やっ、は…ぁ、ぁああん…っ!」
また放たれた精液を、悠希はこともなげに、見せつけるように喉を鳴らして飲み干す。
すぐに二度もイカされ、士郎の体からはぐっしょりと流れるくらい汗が吹き出していた。それでも熱は治まらず、自分で自分が抑えられなくなっていた。士郎が思わず腰をくねらせると、悠希がそれを見逃すはずがない。
「まだイキ足りないでしょう?俺が何度でもイカせてあげる…」
汗でべたべたになった士郎の肩を押さえ付け、すでに自分で慣らしていたそこに士郎のそそり立つものをあてがうと、ためらわずに腰を落とした。
「んぅ…、は…ぁ、やっぱり、大きい…っ」
「…くっ、ぅあ…っ」
「この前、より、大きくなってる…、奥、当たる…ぅっ」
自らの体重で士郎をやすやすと根元まで飲み込み、ゆさゆさと腰をゆすってみる。
「動く…なぁっ、ぅ…くっ」
「気持ち、イイ…っ、東城さん…っ」
好きな人とつながっているという達成感を味わいながら、悠希はほくそ笑む。しばらくすると、悠希の動きに合わせて、いつの間にか士郎も腰を上下させていた。
快感を求めながらも冷静にそれを感じて、悠希は一旦動きを止める。すると、刺激が物足りなくなったのか、士郎が激しく腰を打ち付けてくる。
「んんっ!そこ、イイ…っ、もっと…ぉっ」
「ふっ、く…ぅっ」
士郎が自分で動いてくれていることに喜びを感じて、悠希は最高の気分に浸っていた。この前のセックスより奥が満たされている感じがして、幸せだった。それでも、もっと求めずにはいられない。
「もっと…っ、東城さんでいっぱいに、して…ぇっ」
そう言われるがまま、士郎はいつしか夢中になって悠希を激しく突き上げていた。そのたびに悠希はあられもない声を上げ、さらに求める。それに応じて、また士郎が腰を動かす。その繰り返しだった。
「東城、さんっ、もぉ、イク…っ」
「っ、はぁ…っ、っ…」
「イクっ、あっ、あぁ……っっ!」
「く、ふぅ…っ!」
2人がほぼ同時に達し、悠希の白濁したものが士郎の体を汚す。自分のもので汚された血色の良い士郎の体を組み敷いて、悠希は悦に入りながら士郎のものを奥で受け止めていた。
充実感をもっと味わっていたくてしばらくはじっとしていたが、中の士郎のものは衰えない。次はどんな体位で…と悠希がしばし考えていると、また下から突き上げられる。
「んっ、東城さん、嬉しい…っ」
まだ足りないといった風に、士郎の体は悠希を求めてしまっていた。突き上げられるたびに喜びを噛みしめながら、そのまま体を委ねていると、ふと後ろから手を引かれ、士郎から離されてしまう。
「な…っ、んむっ」
驚いて体勢を整える前に、唇が塞がれる。藤真だ。
二人のセックスが見ていられなくなったのか、藤真が士郎から悠希を引き剝がし、不意にキスしてきたのだ。
「ちょっ、とう、ま…ぁっ」
「悠希さんっ」
大きいソファに両膝をつき、背もたれ側から藤真にキスされている体勢の悠希は、士郎にはお尻を向ける形になっている。顔をがっちり掴まれていて、動けない。
「と、まぁ、邪魔しないで、って、言って…っ」
「っ、ずっと我慢して見てました…。でも、もう限界ですっ」
まさか藤真に邪魔されるとは思っていなかった悠希は、何とか離してもらおうと必死になるが、同じ男なのに、なぜか力では敵わない。手を掴んでも肩を押しても、びくともしない。
「いい、加減に…っ」
せっかく士郎と体を重ねられたのに、それを邪魔されて頭に来ていると、後ろから腰が掴まれたと思った瞬間、太くて硬いものが入ってくる。
「んぁあっ!はっ、ぁあん…っ」
自分主導で抱かれている時とは違い、思いがけない刺激に、いつもより大きな快感が悠希を襲う。一突きだけで腰が砕けるような衝撃に耐えながら、悠希は藤真に縋りついていた。
「ふぁ…っ、んんっ!ぁは…イイ…っっ」
「っっ!」
自分がキスしているはずが、急に悠希がしがみついてくるから、藤真が目を開けると、悠希が後ろから貫かれていた。
「ちょっと、悠希さんは、俺の…っ」
「ぁんっ!もっと、もっとぉ…っ」
思わず悠希の体を引いて離れさせようとするが、それよりさらに強い力で士郎が悠希の体を捉えているため、無理で。それなら、と思い直し、士郎に突かれて色っぽい声を上げる口を塞ぐかのように、藤真はまた悠希に口付ける。
「ふ…んむ…ぅっ、んっ、あ、あぁっ…」
「悠希さん…っ」
「も、っと…っ、東城、さんっ、もっと、お、くぅ…っ」
「っ、悠希さん、俺を見てよ…っ」
藤真は悠希を求めるが、その悠希が求めるのは藤真ではなく、士郎だった。
「ぁは…っ、んんっ、んふ…っ」
士郎はというと、ただ一心不乱に腰を打ち据えているようだった。薬のせいで、理性がぶっ飛んでしまっているのかもしれない。少なくとも、第三者として見ていた丞はそう感じていた。
「も、またイキそ…ぉっ」
「悠希さん、イクなら俺で…っ」
「ひゃあっ!は、ゃん…っ、や、それ、やぁ…っ」
「感じる、でしょ…?」
「とうまぁっ、そこ、やだ…ぁっ」
耳という悠希の弱点を知っている藤真は、悠希が士郎にイカされることを嫌がり、ここぞとばかりに耳をいじめ始めた。さっきまでキスで塞いでいた口は指で犯し、耳には息を吹きかけ、甘噛みしたりしている。
「ここ、気持ちいいですよね?」
「ひ…っ、はぁんっ!もぉ、やだ、それ、やぁっ」
藤真が囁きながら耳をいじめるので、その声と息だけで悠希は立っていられなくなりそうで。だが、ソファから崩れ落ちそうな悠希を支え、さらに奥を貪るように士郎は突き上げるのをやめない。
「もぉ、イクぅ…っ!東城、さんっ、イカせて…ぇっっ」
「くっ…」
「悠希、さんっ」
「ぁんっ、や、やぁあああぁ……っっ!」
三者が絡み合う。悠希の体が一層しなったと思ったら、先端から精液を放ち、盛大にイってしまう。そしてそのすぐ後、一段と深く突き上げた士郎も、体を震わせて達した。
放たれた士郎のものをまた中で受け止め、つながった部分からは白いものがあふれ出している。悠希は意識を手放す前にそれを確認し、満足げに目を閉じた。
「悠希さんっ?」
悠希の体はソファに崩れ込み、その拍子で士郎自身も解放される。
「気を失ったな。こりゃまた…」
慌てる藤真に、呆れ気味にため息をついたのは丞だった。丞とのセックスで気を失ったことはないし、割とドライなセックスをしてきた。だから、こんな風に悠希が乱れ、気を失うのを目の当たりにし、丞は驚いていた。
「…おい、これで体を拭いてやれ」
心配そうに悠希を抱き起そうとしている藤真に、丞がホットタオルを渡す。店で常備している、客に出すおしぼりだ。
「は、はい」
藤真がそれを受け取って悠希の体を拭き始める。
士郎はというと、床に座り込んで、呆然としているようだった。目を開けて周りを見てはいるが、事態が飲み込めていない…そんな風に見える。
丞が店のドアの鍵を開けて、カメラを片付けてから士郎に近付き、士郎にホットタオルを差し出す。すると、困惑の眼差しで見返される。
「…これ、どうぞ」
受け取ろうとしない士郎にそう声をかけると、ハッとしたように瞳が揺らぎ、途端に動揺が広がる。全裸でいることにも気づいたらしく、慌てた様子で脱ぎ散らかされた服を探して引き寄せ始めた。
「わ、たしは、どうして…」
「…まずは、体を拭いたらどうです?」
汗や精液で汚れた士郎を見やり、丞はその手にホットタオルを無理矢理手渡す。
「っ!」
丞にそう言われてはじめて、自分の体がこんなにも汚れていることにも気づく。士郎が、震えた手で適当に体の汚れを拭って、服を身に着けていると、気を失って倒れているらしい悠希と、介抱する藤真が視界に入ってきた。
その視線に気づいた丞が、士郎に話しかける。
「…覚えてますか?あなたが、悠希とセックスしていたんですよ」
「そ、んなはずは…っ」
「じゃあ、誰があなたを裸にしたというんです?」
「…っ」
悠希に協力すると約束したのは自分だ。目に見えて動揺している士郎だが、本当に覚えていないのだろうか。悠希が用意した催淫剤とは、それほど強力なものなのだろうか。
色々自問自答しながらも、士郎をかばう立場にはなれないことを自覚している丞は、追い詰めるような言葉を士郎に投げかける。
「悠希は、しばらくは目を覚まさないでしょう。あれだけ激しく抱いたんだから、当然ですが」
「私、が…」
文字通り頭を抱え、ふらつく体を支えるように、壁に手をつく。
「東城さん、あなたが覚えていなくても、何より俺が証人です。あなたが悠希を抱いたのは、事実ですから。…悠希は大事な友人です、傷付けるなんて許さない」
「っ」
何かを言い返そうとして、士郎はグッと口をつぐむ。言い訳できないと悟ったのだろうか。
「…とりあえず、今日は帰ってください。仕事の話は、また機会を設けるということで」
「仕事…。そう、ですね…」
下半身の熱は治まっているようだったが、まだ頭が回らない士郎は、考えても答えに辿り着かないことをわかっていながらも、考えずにはいられない。
なぜ自分が悠希と、そして、なぜ丞と籐真が…。軽く頭を横に振ると、くらっとしてしまい、深く考えられない。
「…あなたとは、いいお付き合いができると思っています。ではまた」
「…失礼します」
丞の言葉に何とか答え、士郎が重い足取りで去ろうとする。悠希の方は見ないようにしながら、そのままバーを後にした。
「…おい、気が付いているんだろ?」
「あー…、バレてた?」
士郎が去った後、丞がそう言うと、藤真の腕の中で悠希が目を開ける。
「悠希さん、起きてたんですかっ?」
「…うん。起き上がれないけどね、腰が痛くて」
何でもないことのように笑って、悠希は藤真に体を預けていた。
「よかった…」
「…それよりも、丞。あれは言い過ぎだよ、東城さんがかわいそう」
呆れ顔の丞を見上げ、ムッとして責める。
「ん?あれって?」
「「傷付けるなんて許さない」だなんて…東城さんを責めすぎ」
「そうか?あれくらい言わなきゃ、プライドの高い人間には響かないだろう」
「それはそうだけど…。丞って、意外と策士だったりする?」
「馬鹿か。そろそろ服を着ろ」
途中からは茶化すように笑い合い、悠希は「はーい」といって、藤真に服を持ってこさせて身に着ける。
「ね、立たせて?」
シャツだけ着て、また当然のように藤真に手を貸してもらい、近くの椅子に座ってから下衣も身に着ける。
「大丈夫、ですか?」
「平気。それに…満足したから」
「それって、あの人とセックスした…から?」
「そうだよ、目的は達成したしね」
悠希を好いている藤真に平然とそう言ってのけ、満足げに笑みを浮かべる。
その笑顔にさえときめいてしまう藤真だが、自分以外の人とセックスしてほしくないという気持ちがあるのも確かだった。
「悠希さん。俺も、セフレ…ってことですか?」
「うん、そうだよ」
丞のことをセフレと言っていた悠希に、藤真が恐る恐る尋ねると、当たり前のようにそう返ってくる。
「そう、なんですね…ショックだな…」
「だって、俺の本命は東城さんだから。それは藤真も知っているでしょう?」
「っ、知ってた、けど…でもっ」
「やめて。俺のこと邪魔するなら、セフレもやめる。さっきも邪魔しないでって言ったのに…まぁ、今回は結果オーライだったけど」
心からショックを受ける藤真に、悠希は切り捨てるようなことを言う。頭ではわかってはいても、面と向かって本命は自分じゃないと言われると、悲しくなってしまう。
「まぁまぁ、その辺にしておけよ。目的を達成したんなら、乾杯と行こうじゃねぇか」
見るからにしょげ返って泣きそうな藤真がかわいそうになったのか、丞が割って入って、またワインを入れてくれる。
「そうそう、一緒に飲もう?」
悠希は籐真の手を取り、明るい顔つきでカウンター席に促す。セフレだと言われても、そんなちょっとした仕草に、やっぱり好きだなぁと、藤真は思うのだ。
「じゃあ、みんなのお陰で計画通りに行ったことを祝して…乾杯!」
ご機嫌な悠希が乾杯の音頭をとると、藤真だけは複雑そうだったが、大人しく乾杯し、3人でワインを味わった。
「そういえば、映像はちゃんと撮れてるよね?」
「あぁ、保存してある」
「じゃあ、データ送っておいて。早くね?」
「わかってるよ」
さきほどの情事を収めた映像を、どうするのだろうか。二人のやり取りを聞きながら、藤真は嬉しそうにワインを飲む悠希に、その疑問を口にすることができなかった。言えば、また何か、突き放すようなひどいことを言われそうな気がして。
でも、それでも好きだと思ってしまう自分に、「惚れた方が負け」と言い聞かせるように、籐真も笑ってワインを飲み続けた。
一方、混乱する頭のままタクシーに乗って家に戻ってシャワーを浴び、早朝に目を覚ました士郎は、昨夜のことを思い出そうとしていた。だが、バーに入ったところくらいまでしか覚えておらず、肝心なところは記憶が抜けていた。
でも、体がベトベトで気持ち悪かったことは覚えている。帰ってきて念入りに汚れを落としたはずだが、まだ気になって仕方ない。
「前と、同じだ…」
つい、ポツリと呟く。前に、悠希の部屋から戻った後、シャワーで洗い流しても汚れが落ちない気がして、ずっと気になっていた。それと同じ感覚。
重い体を何とか起こし、出勤する前にまたシャワーを浴びることにする。
「あ、おはよう。昨夜は大丈夫だった?」
「っ、な、何が?」
浴室に向かう間にリビングを通ると、朝食を準備していた小夜子が笑顔で話しかけてくる。士郎は、なぜか申し訳ない気がして、つい返事がおかしくなってしまった。
「何がって…かなり飲んでて、疲れてるみたいだったから。朝食は食べれそう?」
「…あぁ、先にシャワーする」
「そう、わかったわ」
平然を装い、心配してくれている小夜子に少しだけ微笑む。
小夜子が準備のため背を向けると、士郎はホッとして、少し足早に浴室へと行き、熱めのお湯でシャワーを浴びる。また考えてしまうのが、思い出そうとしても思い出せない昨夜のこと。このまま、寺井酒造との仕事の話を進めてもいいのだろうか。
「クラシカルレイニー」の立ち上げを計画し始めた当初から、寺井酒造には目を付けていた。大手ではなかったが、業績も評判もよく、地元に貢献しながら海外にも複数の取引先がある、将来有望な酒造だ。士郎の会社としては願ってもない取引相手だが、悠希とこのようなことになった以上、悠希の知人である丞と関わるのはよくないのではないだろうか。
しかし、第一に考えるべきなのは、個人的なことではなく、会社のことだ。会社のためを思うと、この話を進めた方がいいのはわかっていた。どうしても割り切れない部分があるが、プライベートのことは切り離さなくてはいけない。
士郎はあらためてそう決心し、シャワーを終えると、いつも通りスーツに着替える。そしていつも通り小夜子が作った朝食を食べ、出勤するのだった。
料亭での会食を済ませた後、悠希と士郎、そして丞の3人は、タクシーで例のバーに来ていた。バーの名前は「twelve」。数字の「12」という意味で、12月生まれの、丞の友人であるオーナーの誕生日から名付けたそうだ。「単純でしょう」と、丞は笑った。
「丞さん、お疲れさまです」
「お疲れ。すまないな、急に貸し切りにしてもらって」
「いえいえ、構いませんよ。じゃあ俺は帰りますね、ごゆっくり」
店に入ると声をかけてきた男は丁寧な口調でやりとりをし、奥に入って行った。裏口から出たことを確認してから、丞が話し出す。
「仕事の話ということで、さっき、貸し切りにできるよう話をつけておいたんです」
仕事も絡んでいるので経費として落とすとのことで、士郎が料亭で会計を済ませている間に、悠希に言われて、丞が連絡したらしい。
「わざわざすみません。レトロな部分と最新のものをミックスして取り入れていて、良いお店ですね」
士郎が店内を見渡すと、昔ながらの銘柄の酒はもちろん、今流行りの酒や、新進気鋭の作家の作品であるグラスなどがあった。
一見すると素人にはわからないものだらけだが、複数の店を手掛けているやり手の士郎の審美眼は確かだ。夜のみ営業のバーなので照明は暗めだが、センスが問われる内装や家具など、所々にこだわりが見て取れる。
「ありがとうございます。ここは親父の会社が作ったバーなんですが、バーを出そうとしたのはいいものの、コンセプトとか細かいところをどうしようかと思っていて…。その時にちょうど連絡を取り合っていたのが、さっきの彼で。あいつは大学時代の後輩で、デザイン関係の会社に就職してたんです。それで、なにげなくバーの話をしたら、「デザインしてみたい」と言ってきて、そこから話がとんとん拍子に進んだんです」
会社としてデザインに取り組み、このバーが無事にオープンしてからは、個人で手伝いに来ていたそう。それで接客にもハマってしまい、会社を辞めて、正式にバーのオーナーになったという経緯だ。
「そうでしたか。さすがはプロ、ディテールにまでこだわっていて、素晴らしいですね」
「そう言ってもらえると、俺も嬉しいです」
士郎が褒めると、丞は自分のことのように嬉しそうに笑う。
そんなやりとりを、ぼんやりと見ている悠希ではない。座る前から二人が話に花を咲かせている中で、悠希はあるものを仕込んでいた。そこに、タイミングよく藤真がやってくる。
「失礼しまーす…」
遠慮がちにドアを開けて入ってくる藤真を、悠希は笑顔で迎える。
「おつかれさま。座って?」
「悠希さん、おつかれさまです!ここって…」
「この前話したバー、来てみたいって言ってたでしょう?」
「はいっ、誘ってくれて嬉しいです!」
藤真は、本当に嬉しそうに無邪気に笑って、カウンターの椅子に腰かける。
「おい、悠希。こいつは…」
「あぁ、俺の友達。大学生だけど、デザインの勉強もしてるって言うから、来てもらったんだよ。…東城さん、構いませんか?」
「…問題ない」
丞は、藤真が来ることを知らなかったらしく、悠希が説明して東城にも同意を仰ぐと、そう返事が返ってくる。
「東城さんが、そう言うなら…」
悠希の計画を知っている丞だったが、取引先になるかもしれない士郎がいいと言っているのに、反対する理由もない。
「よかった。じゃあ丞、オススメのお酒、東城さんに差し上げて?」
「わかった」
言われるがまま、丞は最近人気が出始めているワインをワインセラーから取り出し、悠希が用意していた大きめのワイングラスにゆっくりとした動作で注ぐ。
「東城さんはワインもいける口ですか?」
「テイスティングを」とグラスを勧めながら、丞が士郎に話しかける。
「えぇ。いただきます」
差し出されたグラスをまずはじっくり見て香りを嗅ぎ、グラスを回してテイスティングを行う。そんな流れるような優雅な動きにも、悠希は心の中で見惚れていた。
「…ほどよい渋みと濃厚な香り。後味に残るフルーティーさも奥深いですね」
「さすがは東城さん。国内のワインなんですが、ワイナリーに行って飲んでみたら俺も気に入って。仕入れて出してみたら、かなり人気が出てるんですよ」
「それも納得ですね」
丞の言葉に頷きながら、士郎はグラスにあったワインを飲み干した。
「じゃあ、みんなにも用意しますね」
そう言って丞が4人分のワインを用意し、みんなで乾杯することに。
「東城さん。丞のところ、仕事相手にどうですか?」
「…すぐには決められないが、前向きに検討するつもりだ」
「だって、丞。じゃあ、前途を祝して乾杯しましょうか」
4人がグラスを控えめに鳴らし合い、それぞれが口につける。
「あ、これ、おいしいです!今まで飲んだワインの中で一番かも」
「それは大袈裟じゃないか?まぁ、それだけおいしいってことなら、嬉しいけどな」
藤真が素直に感想を述べると、初対面の丞も顔がほころぶ。自分が気に入って仕入れたものをおいしいと言ってもらえたら、そんなに嬉しいことはない。
「あ、あの…。僕は、剣藤真っていいます。よろしくお願いします」
乾杯してワインを一口飲んだ後、藤真は思い出したかのように自己紹介をする。
「ブッ。…っと、律義だね、君。俺は寺井丞です、よろしく」
急に名乗られて吹き出しそうになった丞も、藤真に応えてペコリと頭を下げた。
「えっと…東城さんと剣くんは、面識があるんですか?」
「藤真は、レイニーのお客さんだよ。東城さんとも何度か顔を合わせてますよね」
「…あぁ」
丞の士郎への疑問に悠希が答えると、士郎は短く返事をする。
「あの、お仕事の話なのに、僕がいていいんでしょうか?」
「東城さんがいいって言ってるんだから、大丈夫だよ。遠慮しないで」
「それなら、いいんですけど…」
「うん。…藤真は、いつも通りでいいから。ね?」
「は、はい」
にっこりと悠希にそう言われて、藤真はアルコールも入っているからか、顔が赤くなっていた。
「顔に出やすいんだね。もう酔ったの?」
「え、そんなに赤くなってます?皆さん平気そうなのに、恥ずかしいな…」
「実は…俺も酔ってるよ。さっきのお店で日本酒もかなり飲んだし。…東城さんは大丈夫ですか?」
藤真に笑いかけながら、士郎にもコンタクトを欠かさない。丞はワインを飲みながら悠希の視線を追って、内心ため息をついていた。
「少し…体が熱いな」
「さすがの東城さんも、酔っちゃいました?」
士郎がワイングラスを置いてソファの背もたれにもたれかかると、すかさず悠希が士郎の腕にさりげなくボディタッチをする。
「ホントだ、体、熱いですね」
「…っ」
体が熱く、頭が回らない。時間をかけて日本酒も飲んだが、いつもならこの程度で酔うはずもないのに。そう思う士郎だったが、ゆったりとしたソファに沈み込んだ体を動かすことができず、そのまま眠りに落ちてしまったようだ。
「あれ、寝ちゃいました?」
「…」
悠希が確認するように話しかけても、士郎はぐったりしていた。
「…薬がよく効いたみたい。丞、店の鍵を閉めて、準備して」
「…わかった。だが、お前、睡眠薬なんてどこで?」
「まぁ、色々とね。これで、この人は俺のことを無視できなくなる。それに、より大勢の人間に弱みを握られた方が、人は身動きできなくなる…そうでしょう?」
今更だが、悠希の笑みが邪悪なものに見えて、丞はふと不安になる。
「…やりすぎじゃないか?」
「丞に何がわかるの?俺を止める権利なんてないでしょ、ただのセフレなんだから。丞は、そこでカメラ回してくれればいいから。早く準備して」
「…わかったよ、一度協力すると言ったからには、協力する。ちょっと待ってな」
もうお手上げだった。こういう時の悠希は止められないし、計画以上のことを企んでいる。それを知りながらも、丞は言われた通りにカメラをセッティングするしかなかった。
「悠希さん、セフレって…。薬ってなんですか?カメラも…今から一体何が…」
「藤真」
「っ、はい」
わけがわからず、疑問に思ったことを口に出す藤真に、悠希は有無を言わさない表情で正面から見つめる。
「藤真は、俺のこと邪魔しないよね?」
「え?えっと…」
「今から俺が何をしようと、邪魔しないよね?」
見たことのない表情で言われて戸惑う藤真に、念押し。もう頷くしかない。
「…うん、いい子。ご褒美をあげるね?」
戸惑いながらも小さく頷く藤真に、軽くキスをする。
「協力してくれるなら、もっとキスしてあげる」
至近距離でそう囁かれて、藤真はさらに頷く。悠希はニヤリと微笑んで、今度は深く口付ける。
「悠希さんっ」
「は…ぁっ」
お互いに求め合うと、服を脱がそうとしてきた藤真を制し、悠希はふと離れる。
「本番は東城さんとするから。藤真は…そのあとでね?」
酔っているからなのか、藤真はその言葉に逆らえない。名残惜しそうに悠希の手を掴むが、それもあっさりと離されてしまう。
「…準備できたぞ」
「ありがとう、丞」
丞が準備
したのは、スタンドに設置されたデジカメ。元々、客が店内で撮影して楽しめるようにと用意していたものだった。カメラがちゃんと回っているのを確認してから、悠希は目を覚まさない様子の士の顔に触れる。熱くなった顔を両手で包み、キス。
「んむ…」
意識がない士郎の舌を器用に絡
め取り、唾液が頬を伝うまで深く。心地よい上質なジャズが流れる中、悠希が一方的にキスする水音が響いていた。そんな様を見て、丞はカメラの映像を確認できる位置に腰掛け、藤真は、自分以外の人とキスする悠希から目を逸らせないでいた。
「東城さん…」
士郎のスーツを脱がせ、きっちり締められたネクタイを外す。ずっとキスを続けながらシャツもズボンも脱がしてしまい、下半身をも露わにしてしまう。そんな悠希の行動にも、士郎はまだ目を開けなかった。
悠希は執拗にキスを繰り返しながら、汗ばんでいる士郎の体に手を這わせ、酒のせいなのか薬のせいなのか、すでにピンと勃っている胸の突起を責め始める。
「…っ」
両方の突起を強めにいじられると、士郎がビクリと体を震わせた。無意識なのか、みじろいだことでソファに倒れ込んでしまった士郎に覆いかぶさり、肌を寄せて、悠希はキスと胸への愛撫を続ける。
「ん…っ」
「東城、さん…」
お互いの息が上がっていくのがわかる。ずっとキスされていて苦しくなったのか、士郎が顔を背けようとするが、悠希はそれを許さない。息をする暇さえ与えないように、より深く口内を犯す。
そして、やっと士郎が目を開けると、悠希はタイミングを見計らったかのように体を起こし、着ていたシャツを脱いだ。そう、士郎と悠希が初めて肌を合わせた時のように。
「…っ?」
「やっと起きました?」
「お前…何を…」
「大丈夫…東城さんは俺に身を委ねていてください」
頭がぼうっとして、体が熱い。意識がない間に散々胸を弄ばれ、そこは痛いくらいに腫れ上がっているように感じた。
そんな感覚に戸惑う士郎に追い打ちをかけるように、悠希は身をかがめて胸の突起を口に含んだ。
「んぁっ!」
「…体、いつもより敏感になっているでしょう?気持ちいいですか?」
「やっ、離れ、ろ…っ」
歯で甘噛みされるだけで、体が過剰に反応してしまう。自分の体なのにコントロールできないもどかしさから士郎はまた身をよじるが、肌が触れ合うたびにビリっとした感覚が走り、それにまた身を震わせる。
「んふ…ぅっ、こんな…」
「東城さんのせいじゃないです。…だから、我慢しないで」
「お前、何を…っ」
「本当は睡眠薬だけのつもりが、催淫作用がある薬も混ぜちゃいました。だから…抵抗しない方が、気持ちよくなれますよ?」
「そ、んなことして…、許されると…んんっ」
薬を盛られたと知って少しだけ声を荒げる士郎だが、悠希が痛いくらい敏感になっている突起を舐めたり噛んだりするので、大した抵抗にもならない。
「悠希、お前…」
「丞は来ないで。話はあとで…わかった?」
睡眠薬を盛るだけと聞いていた丞が、催淫剤まで使ったと知って一度は腰を上げたが、悠希はすぐに制する。
「…わかった」
今までもそうだった。何かやると決めたら必ず実行し、手段は選ばずやり遂げる。悠希はそういう男だ。
過去に何度もそういうことを見てきたし、何回か手伝ってきた丞にとって、悠希の行動を
理解しているつもりだった。それでも今回はやりすぎだと思ったが、抗議しても止められないのはわかっている。丞は深くため息をつき、返事をしてまた席に戻る。
一方の藤真はというと、じっと二人を…いや、悠希だけを見ているようだった。悠希に言われた「邪魔しないで」という言葉を律義に守っているのだろうか。
「さっきのワインに混ぜた薬、量がわからなくて、結構キツイかも。だから…我慢しないでくださいね?」
「っっ!」
胸はもちろん、触れられるところが全部熱い。朦朧とする頭で、必死にどうすればいいかと考えようとするが、それよりも強い刺激が襲ってきて、考えがまとまらない。
悠希と丞のやり取りも、聞こえているようで聞こえていなかった。士郎は、誰かに見られているという考えにすら到達できない。
「…少し勃ってきてる。嬉しいです、東城さん」
まだ触られていないそこが、士郎の意志とは関係なく、ムクリと勃ち上がってきていた。言葉で言われてそれを認識し、士郎の顔が羞恥に赤く染まる。
「東城さん、可愛い…。いつものクールな顔もいいけど…そういう顔もたまらないですね」
そんな士郎の顔を見て、悠希が嬉しそうに笑う。そしてまたキスをし、両手で胸を弄ぶ。
「や、めろ…っ!」
「…前にも言ったけど、それは無理です。もっと触ってほしいっていうなら、喜んで触ってあげますけど…どうします?」
「いい、から…離れろ…っ」
「でも、こんなにビクビクしてるのに…気持ちよくないですか?」
なおも抵抗しようとする士郎の反応を確かめるように、また甘噛みしたり舐め回したりを繰り返す。さっきより大きくなってきている士郎自身には触れずに。
「か、ぐらい…っ、お前とは、仕事上のいいパートナー、で…、だから…っ」
「…あなたがそれで満足でも、俺は違う。東城さんを手に入れないと、満足できないんです」
「間違ってる…こ、んな…っ」
与えられる刺激に体を跳ねさせながら、士郎は何とかしてやめさせようと、声を絞り出す。だが、快感がやむことはない。
「正しいことだなんて思ってない。こうでもしないと、あはなた俺を抱かないでしょう?だから…仕方ないんです」
「そんな、理屈が、通るとでも…っ」
「…俺がしたいからこうしてるだけ。理屈なんて関係ないんです。いい加減、諦めてください」
「んぁあっ!」
今度は、悠希の言葉に応えようとする前に強くつままれ、強すぎる快感が士郎を襲う。
「んっ、やめ、て、くれ…っ」
繰り返される口付けの合間に必死に拒否を示すが、行為が止まることはない。覆いかぶさる悠希の体を押し返そうにも、体重をかけられていて叶わない。まさに、最初の時と同じ状況だった。
「どうせ抵抗できないんだから…身を任せちゃった方が、楽ですよ?」
「頼む…、やめてくれ…っ」
「…ねぇ、覚えてます?最初にセックスした時も、同じこと言ってたの。あの時も、東城さんは逃げられなかった。だからもう、諦めてください…」
「んっ、そ、ぁ、はぁ…っ」
諭すような悠希の言葉とやまない刺激に、士郎の体が震える。
「やめ、もぉ…っ、ぁあっ…!」
「…胸だけでイけましたね。ほら…こっちも、すごく大きくなってる…」
「は…ぁっ、そ、んなこと…っ」
信じられないといった表情で見上げて来る士郎から少し離れ、見せつけるように股間を指さす。
触られていなかったそこはすでに完勃ち状態になっていて、先走りの液を流し、イった余韻でビクビクしていた。まるで、触られるのを待っているかのように。
「…ね、触ってほしいですか…?」
と、悠希が手を伸ばすような仕草を見せると、それだけで士郎の体には電流が走るような感覚に襲われる。
「ふ…ぅっ、やめ、てくれ…頼むから…っ」
「…まだ我慢できるんですね。でも、ここは触ってほしいって言ってますよ?」
そう言って、悠希が少し息を吹きかけると、そんな刺激にもヒクヒクして、誘っているように見えてしまう。
「や…ぁ、頼む、から…も、終わりに…」
「終わり?イカせてほしいってことですか?」
「!ち、違…っ」
「そういうことなら、お願い、聞いてあげてもいいですよ。ほら…」
悠希の目的は、士郎に抱かれること。士郎がどう思おうが何を言おうが、止める気はなかった。咄嗟に身を引こうとする士郎だが、それを阻むように先端に口付ける。
「あぁっ、や、だ、め…っ、そんな…ぁっ」
「東城さんの弱いところはわかってます。耐えられるはずがない…でしょ?」
「んんっ、イ、イク…っっ」
しなやかな指を這わせ、悠希が見つけた弱点を口で責めると、士郎は途端にイキそうになるが、射精をさせまいとキュッと先端を指で塞ぐ。
「イカせるのは簡単です。…でも、今日は東城さんからお願いしてください」
「ん、ふぅ…っ、な、なに、言って…ァッ」
悠希が先っぽを塞いでいる指を動かしてグッグッと押すと、それだけで士郎にはかなりの責め苦になる。イキたいのにイケないもどかしさと苦しさが押し寄せ、士郎は身をよじるが、達することもできない。
「くっ、ぅ…、も、はな、せ…っ」
「離したら、すぐにイッちゃいますよね、それじゃあつまらないです。俺にもいい思いをさせてくれないと…」
先端を押しながら、また胸の突起を口に含み、今度は弱めにゆるゆると舐める。
強くはない刺激が、逆に士郎には耐えがたいもののようで、声を押し殺して体を震わせることしかできない。
「ね…「イカせてほしい」ってひとこと言ってくれれば、存分にイカせてあげますよ?」
「…っ、もう、よせ…っ、頼むから…ぁっ」
「俺が聞きたいのは、そんな言葉じゃないんです。ほら…イキたいんでしょう?俺ならすぐにイカせてあげられる。快感に流された方が、早く楽になれますよ?」
「た、頼む…、もぉ…っ」
「頼むって、何をです?」
「イカせて、くれ…っっ、頼む…っ、ふ、ぅっ…」
士郎のその言葉を聞いた瞬間、悠希がにんまりと微笑んだ。得も言われぬ征服感が体を駆け巡り、ゾクゾクとした感覚に支配される。
「…上手に言えましたね。じゃあ、イカせてあげますね」
「んぁっ、あぁぁ…っっ!」
悠希がにんまり微笑みながら押さえていた指を離して、先端に近い部分を撫でると、士郎はイカされてしまう。自分から望んだこととは言え、羞恥心がなくなったわけではない。勢いよく白濁の液を放出しながら、士郎はどこか敗北感を味わっていた。
「はっ、はぁ…っ、も、いいだろ…」
「…でも、まだ勃ってますよ?こんなにビクビクしてる…」
愛おしそうに士郎のものを舐めるように見つめた後、深く口に含んだ。
「っ!よせ、やめ…、んはぁ…っ」
「何度もイかないと、薬、抜けませんよ…?」
士郎のもので口をいっぱいにしながら、脅すような口調で追い詰める。セックスに関しては百戦錬磨の悠希のテクニックに、落ちない男はいない。弱点を見つけることが得意な悠希には、誰もがなす術もないのであった。
「イってください…っ」
「やっ、は…ぁ、ぁああん…っ!」
また放たれた精液を、悠希はこともなげに、見せつけるように喉を鳴らして飲み干す。
すぐに二度もイカされ、士郎の体からはぐっしょりと流れるくらい汗が吹き出していた。それでも熱は治まらず、自分で自分が抑えられなくなっていた。士郎が思わず腰をくねらせると、悠希がそれを見逃すはずがない。
「まだイキ足りないでしょう?俺が何度でもイカせてあげる…」
汗でべたべたになった士郎の肩を押さえ付け、すでに自分で慣らしていたそこに士郎のそそり立つものをあてがうと、ためらわずに腰を落とした。
「んぅ…、は…ぁ、やっぱり、大きい…っ」
「…くっ、ぅあ…っ」
「この前、より、大きくなってる…、奥、当たる…ぅっ」
自らの体重で士郎をやすやすと根元まで飲み込み、ゆさゆさと腰をゆすってみる。
「動く…なぁっ、ぅ…くっ」
「気持ち、イイ…っ、東城さん…っ」
好きな人とつながっているという達成感を味わいながら、悠希はほくそ笑む。しばらくすると、悠希の動きに合わせて、いつの間にか士郎も腰を上下させていた。
快感を求めながらも冷静にそれを感じて、悠希は一旦動きを止める。すると、刺激が物足りなくなったのか、士郎が激しく腰を打ち付けてくる。
「んんっ!そこ、イイ…っ、もっと…ぉっ」
「ふっ、く…ぅっ」
士郎が自分で動いてくれていることに喜びを感じて、悠希は最高の気分に浸っていた。この前のセックスより奥が満たされている感じがして、幸せだった。それでも、もっと求めずにはいられない。
「もっと…っ、東城さんでいっぱいに、して…ぇっ」
そう言われるがまま、士郎はいつしか夢中になって悠希を激しく突き上げていた。そのたびに悠希はあられもない声を上げ、さらに求める。それに応じて、また士郎が腰を動かす。その繰り返しだった。
「東城、さんっ、もぉ、イク…っ」
「っ、はぁ…っ、っ…」
「イクっ、あっ、あぁ……っっ!」
「く、ふぅ…っ!」
2人がほぼ同時に達し、悠希の白濁したものが士郎の体を汚す。自分のもので汚された血色の良い士郎の体を組み敷いて、悠希は悦に入りながら士郎のものを奥で受け止めていた。
充実感をもっと味わっていたくてしばらくはじっとしていたが、中の士郎のものは衰えない。次はどんな体位で…と悠希がしばし考えていると、また下から突き上げられる。
「んっ、東城さん、嬉しい…っ」
まだ足りないといった風に、士郎の体は悠希を求めてしまっていた。突き上げられるたびに喜びを噛みしめながら、そのまま体を委ねていると、ふと後ろから手を引かれ、士郎から離されてしまう。
「な…っ、んむっ」
驚いて体勢を整える前に、唇が塞がれる。藤真だ。
二人のセックスが見ていられなくなったのか、藤真が士郎から悠希を引き剝がし、不意にキスしてきたのだ。
「ちょっ、とう、ま…ぁっ」
「悠希さんっ」
大きいソファに両膝をつき、背もたれ側から藤真にキスされている体勢の悠希は、士郎にはお尻を向ける形になっている。顔をがっちり掴まれていて、動けない。
「と、まぁ、邪魔しないで、って、言って…っ」
「っ、ずっと我慢して見てました…。でも、もう限界ですっ」
まさか藤真に邪魔されるとは思っていなかった悠希は、何とか離してもらおうと必死になるが、同じ男なのに、なぜか力では敵わない。手を掴んでも肩を押しても、びくともしない。
「いい、加減に…っ」
せっかく士郎と体を重ねられたのに、それを邪魔されて頭に来ていると、後ろから腰が掴まれたと思った瞬間、太くて硬いものが入ってくる。
「んぁあっ!はっ、ぁあん…っ」
自分主導で抱かれている時とは違い、思いがけない刺激に、いつもより大きな快感が悠希を襲う。一突きだけで腰が砕けるような衝撃に耐えながら、悠希は藤真に縋りついていた。
「ふぁ…っ、んんっ!ぁは…イイ…っっ」
「っっ!」
自分がキスしているはずが、急に悠希がしがみついてくるから、藤真が目を開けると、悠希が後ろから貫かれていた。
「ちょっと、悠希さんは、俺の…っ」
「ぁんっ!もっと、もっとぉ…っ」
思わず悠希の体を引いて離れさせようとするが、それよりさらに強い力で士郎が悠希の体を捉えているため、無理で。それなら、と思い直し、士郎に突かれて色っぽい声を上げる口を塞ぐかのように、藤真はまた悠希に口付ける。
「ふ…んむ…ぅっ、んっ、あ、あぁっ…」
「悠希さん…っ」
「も、っと…っ、東城、さんっ、もっと、お、くぅ…っ」
「っ、悠希さん、俺を見てよ…っ」
藤真は悠希を求めるが、その悠希が求めるのは藤真ではなく、士郎だった。
「ぁは…っ、んんっ、んふ…っ」
士郎はというと、ただ一心不乱に腰を打ち据えているようだった。薬のせいで、理性がぶっ飛んでしまっているのかもしれない。少なくとも、第三者として見ていた丞はそう感じていた。
「も、またイキそ…ぉっ」
「悠希さん、イクなら俺で…っ」
「ひゃあっ!は、ゃん…っ、や、それ、やぁ…っ」
「感じる、でしょ…?」
「とうまぁっ、そこ、やだ…ぁっ」
耳という悠希の弱点を知っている藤真は、悠希が士郎にイカされることを嫌がり、ここぞとばかりに耳をいじめ始めた。さっきまでキスで塞いでいた口は指で犯し、耳には息を吹きかけ、甘噛みしたりしている。
「ここ、気持ちいいですよね?」
「ひ…っ、はぁんっ!もぉ、やだ、それ、やぁっ」
藤真が囁きながら耳をいじめるので、その声と息だけで悠希は立っていられなくなりそうで。だが、ソファから崩れ落ちそうな悠希を支え、さらに奥を貪るように士郎は突き上げるのをやめない。
「もぉ、イクぅ…っ!東城、さんっ、イカせて…ぇっっ」
「くっ…」
「悠希、さんっ」
「ぁんっ、や、やぁあああぁ……っっ!」
三者が絡み合う。悠希の体が一層しなったと思ったら、先端から精液を放ち、盛大にイってしまう。そしてそのすぐ後、一段と深く突き上げた士郎も、体を震わせて達した。
放たれた士郎のものをまた中で受け止め、つながった部分からは白いものがあふれ出している。悠希は意識を手放す前にそれを確認し、満足げに目を閉じた。
「悠希さんっ?」
悠希の体はソファに崩れ込み、その拍子で士郎自身も解放される。
「気を失ったな。こりゃまた…」
慌てる藤真に、呆れ気味にため息をついたのは丞だった。丞とのセックスで気を失ったことはないし、割とドライなセックスをしてきた。だから、こんな風に悠希が乱れ、気を失うのを目の当たりにし、丞は驚いていた。
「…おい、これで体を拭いてやれ」
心配そうに悠希を抱き起そうとしている藤真に、丞がホットタオルを渡す。店で常備している、客に出すおしぼりだ。
「は、はい」
藤真がそれを受け取って悠希の体を拭き始める。
士郎はというと、床に座り込んで、呆然としているようだった。目を開けて周りを見てはいるが、事態が飲み込めていない…そんな風に見える。
丞が店のドアの鍵を開けて、カメラを片付けてから士郎に近付き、士郎にホットタオルを差し出す。すると、困惑の眼差しで見返される。
「…これ、どうぞ」
受け取ろうとしない士郎にそう声をかけると、ハッとしたように瞳が揺らぎ、途端に動揺が広がる。全裸でいることにも気づいたらしく、慌てた様子で脱ぎ散らかされた服を探して引き寄せ始めた。
「わ、たしは、どうして…」
「…まずは、体を拭いたらどうです?」
汗や精液で汚れた士郎を見やり、丞はその手にホットタオルを無理矢理手渡す。
「っ!」
丞にそう言われてはじめて、自分の体がこんなにも汚れていることにも気づく。士郎が、震えた手で適当に体の汚れを拭って、服を身に着けていると、気を失って倒れているらしい悠希と、介抱する藤真が視界に入ってきた。
その視線に気づいた丞が、士郎に話しかける。
「…覚えてますか?あなたが、悠希とセックスしていたんですよ」
「そ、んなはずは…っ」
「じゃあ、誰があなたを裸にしたというんです?」
「…っ」
悠希に協力すると約束したのは自分だ。目に見えて動揺している士郎だが、本当に覚えていないのだろうか。悠希が用意した催淫剤とは、それほど強力なものなのだろうか。
色々自問自答しながらも、士郎をかばう立場にはなれないことを自覚している丞は、追い詰めるような言葉を士郎に投げかける。
「悠希は、しばらくは目を覚まさないでしょう。あれだけ激しく抱いたんだから、当然ですが」
「私、が…」
文字通り頭を抱え、ふらつく体を支えるように、壁に手をつく。
「東城さん、あなたが覚えていなくても、何より俺が証人です。あなたが悠希を抱いたのは、事実ですから。…悠希は大事な友人です、傷付けるなんて許さない」
「っ」
何かを言い返そうとして、士郎はグッと口をつぐむ。言い訳できないと悟ったのだろうか。
「…とりあえず、今日は帰ってください。仕事の話は、また機会を設けるということで」
「仕事…。そう、ですね…」
下半身の熱は治まっているようだったが、まだ頭が回らない士郎は、考えても答えに辿り着かないことをわかっていながらも、考えずにはいられない。
なぜ自分が悠希と、そして、なぜ丞と籐真が…。軽く頭を横に振ると、くらっとしてしまい、深く考えられない。
「…あなたとは、いいお付き合いができると思っています。ではまた」
「…失礼します」
丞の言葉に何とか答え、士郎が重い足取りで去ろうとする。悠希の方は見ないようにしながら、そのままバーを後にした。
「…おい、気が付いているんだろ?」
「あー…、バレてた?」
士郎が去った後、丞がそう言うと、藤真の腕の中で悠希が目を開ける。
「悠希さん、起きてたんですかっ?」
「…うん。起き上がれないけどね、腰が痛くて」
何でもないことのように笑って、悠希は藤真に体を預けていた。
「よかった…」
「…それよりも、丞。あれは言い過ぎだよ、東城さんがかわいそう」
呆れ顔の丞を見上げ、ムッとして責める。
「ん?あれって?」
「「傷付けるなんて許さない」だなんて…東城さんを責めすぎ」
「そうか?あれくらい言わなきゃ、プライドの高い人間には響かないだろう」
「それはそうだけど…。丞って、意外と策士だったりする?」
「馬鹿か。そろそろ服を着ろ」
途中からは茶化すように笑い合い、悠希は「はーい」といって、藤真に服を持ってこさせて身に着ける。
「ね、立たせて?」
シャツだけ着て、また当然のように藤真に手を貸してもらい、近くの椅子に座ってから下衣も身に着ける。
「大丈夫、ですか?」
「平気。それに…満足したから」
「それって、あの人とセックスした…から?」
「そうだよ、目的は達成したしね」
悠希を好いている藤真に平然とそう言ってのけ、満足げに笑みを浮かべる。
その笑顔にさえときめいてしまう藤真だが、自分以外の人とセックスしてほしくないという気持ちがあるのも確かだった。
「悠希さん。俺も、セフレ…ってことですか?」
「うん、そうだよ」
丞のことをセフレと言っていた悠希に、藤真が恐る恐る尋ねると、当たり前のようにそう返ってくる。
「そう、なんですね…ショックだな…」
「だって、俺の本命は東城さんだから。それは藤真も知っているでしょう?」
「っ、知ってた、けど…でもっ」
「やめて。俺のこと邪魔するなら、セフレもやめる。さっきも邪魔しないでって言ったのに…まぁ、今回は結果オーライだったけど」
心からショックを受ける藤真に、悠希は切り捨てるようなことを言う。頭ではわかってはいても、面と向かって本命は自分じゃないと言われると、悲しくなってしまう。
「まぁまぁ、その辺にしておけよ。目的を達成したんなら、乾杯と行こうじゃねぇか」
見るからにしょげ返って泣きそうな藤真がかわいそうになったのか、丞が割って入って、またワインを入れてくれる。
「そうそう、一緒に飲もう?」
悠希は籐真の手を取り、明るい顔つきでカウンター席に促す。セフレだと言われても、そんなちょっとした仕草に、やっぱり好きだなぁと、藤真は思うのだ。
「じゃあ、みんなのお陰で計画通りに行ったことを祝して…乾杯!」
ご機嫌な悠希が乾杯の音頭をとると、藤真だけは複雑そうだったが、大人しく乾杯し、3人でワインを味わった。
「そういえば、映像はちゃんと撮れてるよね?」
「あぁ、保存してある」
「じゃあ、データ送っておいて。早くね?」
「わかってるよ」
さきほどの情事を収めた映像を、どうするのだろうか。二人のやり取りを聞きながら、藤真は嬉しそうにワインを飲む悠希に、その疑問を口にすることができなかった。言えば、また何か、突き放すようなひどいことを言われそうな気がして。
でも、それでも好きだと思ってしまう自分に、「惚れた方が負け」と言い聞かせるように、籐真も笑ってワインを飲み続けた。
一方、混乱する頭のままタクシーに乗って家に戻ってシャワーを浴び、早朝に目を覚ました士郎は、昨夜のことを思い出そうとしていた。だが、バーに入ったところくらいまでしか覚えておらず、肝心なところは記憶が抜けていた。
でも、体がベトベトで気持ち悪かったことは覚えている。帰ってきて念入りに汚れを落としたはずだが、まだ気になって仕方ない。
「前と、同じだ…」
つい、ポツリと呟く。前に、悠希の部屋から戻った後、シャワーで洗い流しても汚れが落ちない気がして、ずっと気になっていた。それと同じ感覚。
重い体を何とか起こし、出勤する前にまたシャワーを浴びることにする。
「あ、おはよう。昨夜は大丈夫だった?」
「っ、な、何が?」
浴室に向かう間にリビングを通ると、朝食を準備していた小夜子が笑顔で話しかけてくる。士郎は、なぜか申し訳ない気がして、つい返事がおかしくなってしまった。
「何がって…かなり飲んでて、疲れてるみたいだったから。朝食は食べれそう?」
「…あぁ、先にシャワーする」
「そう、わかったわ」
平然を装い、心配してくれている小夜子に少しだけ微笑む。
小夜子が準備のため背を向けると、士郎はホッとして、少し足早に浴室へと行き、熱めのお湯でシャワーを浴びる。また考えてしまうのが、思い出そうとしても思い出せない昨夜のこと。このまま、寺井酒造との仕事の話を進めてもいいのだろうか。
「クラシカルレイニー」の立ち上げを計画し始めた当初から、寺井酒造には目を付けていた。大手ではなかったが、業績も評判もよく、地元に貢献しながら海外にも複数の取引先がある、将来有望な酒造だ。士郎の会社としては願ってもない取引相手だが、悠希とこのようなことになった以上、悠希の知人である丞と関わるのはよくないのではないだろうか。
しかし、第一に考えるべきなのは、個人的なことではなく、会社のことだ。会社のためを思うと、この話を進めた方がいいのはわかっていた。どうしても割り切れない部分があるが、プライベートのことは切り離さなくてはいけない。
士郎はあらためてそう決心し、シャワーを終えると、いつも通りスーツに着替える。そしていつも通り小夜子が作った朝食を食べ、出勤するのだった。
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