スマフォ画面0.001ミリ差の恋

丹波 新

文字の大きさ
21 / 71
二章 超AIの大活躍

21話 三面のこざかしさ

しおりを挟む
二面も難なくクリアしたデレデーレ。相変わらず隕石の降り注ぐステージでは衝突直前の回避に専念していた。
残り残弾数約9600、残り炸裂弾二つ、レーザービーム一回と残機数三機である。

「ちなみに残弾数なんだが、一機減ると12000に回復するぞ」

『助言どうもでーす』

そう言いながらヘルメットを被るデレデーレのスコアは1253だった。

「これ凄いの?」

オレは率直にゲーマー少年前渡とうやに訊いてみた。

「この時点での最高スコアは今のところ1569だ。まぁ高いと言えば高い。隠しステージに行きそびれたのが痛いな」

『えっ!? 隠しステージ! そんなところがあったんですか!?』

「ほら、さっきキミが炸裂弾を使わなかった10の敵機だよ。あそこを炸裂弾で突破するとボーナスステージになって、スコアがたまりやすくなっていたんだ」

「――次のボスに必要なスコア数は?」

オレは手に汗握りながら訊いてみた。

「大丈夫、言っただろうセオリー通りだって、スコア数は1500だ」

『「ほっ……」』

二人でそっと胸を撫でおろす。

「――と言っても、あのボーナスステージの炸裂弾は後々のボス戦とかで響いて来るから使わなくて正解よねぇ~~」

3年の女性先輩、岸本げるかさんがそう言う。

その時ステージの背景が宇宙から惑星の目の前に変わり、その方向へ進むような形で自機が進行していく。

周囲を漂う隕石にも変化があり、兵器搭載の隕石へと変わり果てていた。つまりキャノン付きの隕石だ。

デレデーレは一気に目の色を変えて、先ほどの回避の力を、撃ち込む力へと変えていく。

ステージの途中で進行が強制的に止まり、中ボスなのだろうか、ある衛星の前で止まる。それは敵軍の基地であったらしく、キャノン砲やレーザー砲が無数についていた。

衛星から飛び出てくるのは無数のエイリアンを数匹倒していくデレデーレ。しかしすぐに気づいて攻撃をやめる。このエイリアン何匹倒してもスコアに繋がらないからだ

「さあ~~て、お手並み拝見」

高みの見物を決め込む前渡とうやがそう漏らしていた。

キャノンやレーザーを回避していきながら敵の衛星基地を集中攻撃し続けるデレデーレ。

多勢のエイリアンは完全無視の勢いだったが、途中で回避に疲れたのか――

『――――待った! このエイリアンがヒットポイントの役割をしているんですね!?』

「ははっ! 気づいたか! さすが超AI! そうエイリアンはただの妨害工作ではない。一定数を駆逐することで次のステージへとゆけるヒットポイントだったのだよ!」

得意げに語る来ヶ谷部長。

(スコアにならない敵にヒットポイントの見えない敵軍基地。どんだけ攻略が難儀するゲームなんだよ)

『ぐぬぬ、この数百匹にまで増えたエイリアン。炸裂弾でコロッとやちゃいたい気分ですよ』

しかしデレデーレはちまちまと一匹づつエイリアンを駆逐していくのだった。やがて画面いっぱいに広がるエイリアンもばらけて来たころ、オレは時間を見ることにした。するとあと25分。

(制限時間まであと25分ギリギリか? クリアできればの話だが……)

ババババーーーーン!! と敵軍基地が崩壊してきた頃、やっと中ボス戦が終了したのだと知った。スコアは何と1732までにぐんと跳ね上がった。

しかし、爆炎の内部から一機のユーフォ―が一機だけ飛び出したそれもエイリアンより小さいサイズのだ。

「――来たぞ! ボス戦だ!」

『――小さすぎてあたらないんですけど!!』

弾幕を張りながらも小さく不規則に動く敵に、流石のデレデーレも奥歯を噛み締めていた。なにせさっきのエイリアンは一定数倒せばいいモノで、今度は一機確実に仕留めなくてはならないものなのだから。

「そのステージはプレイヤーの技能が試されると言われている。いわゆる初心者と玄人の壁だ。まぁヒットポイントは少ない頑張ってくれ」

来ヶ谷部長がデレデーレに激をとばす。

「多くのプレイヤーはその小さなユーフォ―残りの時間と残弾数を費やしてしまい、よくゲームオーバーになる。だが、デレデーレのプレイを見る限りその心配はなさそうだな。オレはここで百を超えるチャレンジ回数だった」

前渡とうやが隣で呟く。そして地道に攻撃していくと――

チュドーーーーン!! と小さなユーフォ―が木っ端みじんに砕け散った。
(よし!)とオレは勝利のガッツポーズを決め込んだ。

『やっすみたーーーーい!!』

またも隕石群の中を回避しながらデレデーレは達成感の有る微笑みを浮かべるのだった。

しかし、あと二面残されている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

秘書と社長の秘密

廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。 突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。 ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

処理中です...