大悪魔を駆使して始まる世界征服

丹波 新

文字の大きさ
21 / 52
第三章 廃墟の遊園地

21話 いざ! 目的地へ!

しおりを挟む
午前7時30分、それがとある駅での待ち合わせ時間だった。

「遅いではないか、我がクレヴァナルの諸君、10分も時を飛ばしてしまったぞ!」

ダークネス・カイザー様は、私とクリスチャンとビーブリオテーカ様に、腕時計を見ながらそう告げた。

「すみませんでした。ダークネス・カイザー様」

私は素直に謝罪した。原因はクリスチャンの特大パフェにあったのだが、

「来翔さん、私たちが喫茶店に居たこと言っていないの?」

ビーブリオテーカ様がソリトゥス様に尋ねていた

「あ、ああ、そうでしたね。部長、彼女たちはとっくに来ていたんですよ。今まで、喫茶店に居ました。み、幹久先輩が35分前に、離岸さんが37分前に、そして黒井さんが20分前に、そして僕一番最初の――」

来翔先輩の――もとい、ソリトゥス様のお声はダークネス・カイザー様によって遮られた。

「――そういうことは早めに言ってもらおうか。ゴホン……そ、そうか、その心がけは素晴らしいが、遅れたことに変わりなし! ペナルティーを与える!」

「ペ、ペナルティー……ゴクリ」

「バツとして帰ってきたら大邪神様の新たな彫刻の制作だ!」

「ねぇ、もう少し声のトーン下げてくれない……?」「――部長、そこは見逃すべき場面でしょう……!? って、おはようございます!」「ごきげんよう。その依頼、承りましたわ。ダークネス・カイザー様」

私たちはそれぞれの朝の挨拶を交わした。

「うむ、では、出発だ! クレヴァナルの幹部たちよ」

私たちは7時40分にとある駅に入り、切符を買い、7時45分発の電車に乗り込んだ。バステトがいたので私はキャリーケースに雌猫を入れて、ペットの持ち運びのさいの特別料金も支払った。
――ガタンゴトン! ガタンゴトン! と電車は揺れながら進んで行く。

「俺様の契約者はこの黒条サイコってのがお気に入りなのか?」

「(外では静かになさいと言っているでしょう!? それもこんな人ごみの中で、なんて質問を問いかけるのよ!?)」

休日のため通勤ラッシュはないものの、依然として電車内は満員だった。

「どうかしましたかアゲハちゃん? お顔が真っ赤ですよ?」

「なんでもないわ、あはははははは……?(デビルンは後でお仕置きね。ってアイツどこへ行ったのよ)」

「これが勝負下着ってやつか……? テレビのドラマで聞いたこと――グワシャ!?」

ショーツをガン見していた小悪魔的マスコットを、お気に入りのロリータヒールで思いっきり踏んづけてやった。

「(このお馬鹿///)」

「あれ、アゲハちゃんお顔が真っ赤ですよ、さては黒条先輩に波調を送っていますねぇ」

「そ、その通りよクリスチャン。この真眼で求愛していたところなの。恥ずかしいから皆には内緒ね……?」

「はい! わっかりました!」

『まもなく化眼駅、まもなく化眼駅、右側のドアが開きます。ご注意ください』

電車は化眼駅に停車し、クレヴァナルのメンバーは続々と降りて行った。私の荷物はほとんどソリトゥス様が持ってくれていた。

「では! 行くぞ彼の地へ!!」

ダークネス・カイザー様は何やらワクワクが隠せないでいるらしい。いつも以上に張り切って指揮を執っていた。一行は目的地へと向かう為、改札口を突破して進んで行く。実はと言うとここまで来るのにかなり乗り継いできて,歩かされたりもして、バスにも乗って、最後には2時間の時を経てようやく目的の駅に辿り付いた。

「情報源は確かなんだろうなぁ、デイネブリスパピヨンよ」

「あっ、はい、我が使い魔によるところ徒歩13分ですって……」

「フフフ、ようやくこの包帯を取り除く時が来たようだな。感じるぞ、この禍々しい気、我が力、存分に発揮してくれようぞ!」

「包帯なんて、いつもは付けていなかったでしょう……」

ビーブリオテーカ様が静かに突っ込みを入れた。

「よし! 行くぞ! クレヴァナルのメンバーよ! 我が足跡に続け! 世界征服の為に廃墟となった満笑遊園地に向かうのだ!」

「――はい!」

私は、先頭に立ち進む、ダークネス・カイザー様の後ろ姿を追いかけた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

君を探す物語~転生したお姫様は王子様に気づかない

あきた
恋愛
昔からずっと探していた王子と姫のロマンス物語。 タイトルが思い出せずにどの本だったのかを毎日探し続ける朔(さく)。 図書委員を押し付けられた朔(さく)は同じく図書委員で学校一のモテ男、橘(たちばな)と過ごすことになる。 実は朔の探していた『お話』は、朔の前世で、現世に転生していたのだった。 同じく転生したのに、朔に全く気付いて貰えない、元王子の橘は困惑する。

処理中です...