15 / 26
怖いものがゴキブリと答えられる現代は平和だと思う
しおりを挟む
サモナーが自分で自分の仕事場の天井を壊したせいで、翌日からサモナーと俺の仕事は休みになった。といっても俺は屋敷で使用人たちの手伝いをし、サモナーは小屋にこもって何かをやっている。たぶん、研究だと思うのだが残念ながら魔法の知識がない俺にはサモナーがなにをやっているのかわからない。
「サモナーが、モンスターの狩場の屋根を壊したって本当?」
屋敷の下働きをするうちに親しくなったメイドの一人が尋ねてきた。俺は狩人の態度の悪さやサモナーがドラゴンを暴れさせてすかっとした話を、実に気分よく彼女に話した。だが、俺の想像に反してメイドの反応は悪かった。
「そう、やっぱり魔法って怖いわね」
予想外の反応に、俺は面食らう。
確かに恐ろしいが、今回は狩人の態度もだいぶ悪かったし・・・・・・なによりサモナーは悪くないと思った。だが、そこまで考えてようやく俺はこの世界の技術レベルの低さに思い当たった。
俺たちが当たり前に目にしている車や飛行機がない世界の住人は、竜ほどの大きさの動くものなんて見慣れていない。勿論ダイナマイトなんてものもないから、建物の崩壊も見たことないかもしれない。
だが、サモナーはその衝撃的な光景を一人で作ることができる。
恐れられて、当然なのだ。
「魔法は怖いけど、魔法使いは怖くないよね」
俺は、メイドに尋ねてみる。
彼女は「うん」とは言ってくれなかった。その日を境に、屋敷の人々の態度がなんとなくよそよそしくなった。前は俺と仲良くしてくれていた使用人たちが、俺の前から早足でいなくなる。屋敷中にサモナーが天井を壊した話が伝わって、魔法使いが恐れられていることを俺は肌で感じた。
俺は、魔力量3なのに・・・・・・と思わなくもない。
だが、そんな俺でも魔法が使える。
この魔法が、みんなに恐れられている。
複雑な気分だった。
「バン、できましたよ!!」
俺がアンニュイなのに、サモナーは元気だった。
なんでも、新しい魔法を考えたらしい。
「なんと、この魔法は異世界に繋がる魔法です!!異世界の人から魔力をちょっとずつ貰って、魔力を使えない人も使えるようになるかもしれない魔法なんですよ」
うわー、と俺は思った。
俺が巻き込まれた元凶の魔法が、開発されてしまった。これって世界中に広まるのを防げば、俺の死もなかったことになってタイムパラドックスとか起きないだろうか。起きない・・・・・・だろうな。俺はいまのところなにもやってないし。
「目を瞑ってください。最初は難しいから、私が手伝って繋げてあげますね」
なんかもう、テレビのコードを繋げるみたいなノリになっている。
俺は、諦めて目を瞑った。
「何が見えます?」
「赤い線が見えます」
あたりは暗闇だ。
目を瞑っているから当たり前なのかもしれないが、それよりも深い闇を今の自分は見ているような気がする。そして、その闇の中にあるのは赤い線だ。なんとなくだが、この赤い線は俺の魔力だと思った。
サモナーは、俺の手を握る。
そのとき、俺の閉じられた目には青い線が見えた。これはサモナーの魔力である、と俺は確信していた。何の保障もないのに、魔法使いとしての本能が師の魔力が自分を導いていると感じる。
青い線が俺の赤い線より先に進み、俺はそれを追っていく。
赤い線は俺そのもので、青い線はサモナーそのものなのだろう。
急に、青い線が消える。
サモナーが俺から手を離したわけではなく、ここからは俺一人でやらなければならないことなのだ。
だが、急にサモナーの青い線が見えなくなって、俺は空中で放り出されたような寂しい気持ちになった。どこかに触らなければ、俺自身が消えてしまいそうな不安定さだった。
選ぶ暇などないというぐらいに俺は焦りを覚えて、がむしゃらに線を延ばす。そして、線が何かと繋がった。その瞬間、俺の意識が一気に現実に推し戻される。
「うわぁ!!」
悲鳴をあげたのは、今まで感じたことがないぐらいに体が軽くなったからだ。
魔力は生命力とサモナーは言っていたが、誰かに繋がったことによって俺のなかに誰かの生命力が流れ込んでくる。サモナーから魔力の説明を聞いたとき、どうしてゴーストは複数の人間と繋がらないのだろうかと思った。
今、分かった。
この繋がりは、特別だ。
自分に力を一番最初に与えてくれた人。その人を強く感じて、この人以外は嫌だという気持ちにさせられる。複数の人間と繋がりを持つことなんて、出来そうになかった。そして、新たに別人と繋がりを持つことも不快になることだろう。
「繋がりましたか?」
「はい――すごく特別な気分です」
ふと、俺はサモナーも同じ気分になったのか気になった。
すると彼は、自分の胸に手を当てて幸福そうに微笑んだ。
「私もです」
「サモナーが、モンスターの狩場の屋根を壊したって本当?」
屋敷の下働きをするうちに親しくなったメイドの一人が尋ねてきた。俺は狩人の態度の悪さやサモナーがドラゴンを暴れさせてすかっとした話を、実に気分よく彼女に話した。だが、俺の想像に反してメイドの反応は悪かった。
「そう、やっぱり魔法って怖いわね」
予想外の反応に、俺は面食らう。
確かに恐ろしいが、今回は狩人の態度もだいぶ悪かったし・・・・・・なによりサモナーは悪くないと思った。だが、そこまで考えてようやく俺はこの世界の技術レベルの低さに思い当たった。
俺たちが当たり前に目にしている車や飛行機がない世界の住人は、竜ほどの大きさの動くものなんて見慣れていない。勿論ダイナマイトなんてものもないから、建物の崩壊も見たことないかもしれない。
だが、サモナーはその衝撃的な光景を一人で作ることができる。
恐れられて、当然なのだ。
「魔法は怖いけど、魔法使いは怖くないよね」
俺は、メイドに尋ねてみる。
彼女は「うん」とは言ってくれなかった。その日を境に、屋敷の人々の態度がなんとなくよそよそしくなった。前は俺と仲良くしてくれていた使用人たちが、俺の前から早足でいなくなる。屋敷中にサモナーが天井を壊した話が伝わって、魔法使いが恐れられていることを俺は肌で感じた。
俺は、魔力量3なのに・・・・・・と思わなくもない。
だが、そんな俺でも魔法が使える。
この魔法が、みんなに恐れられている。
複雑な気分だった。
「バン、できましたよ!!」
俺がアンニュイなのに、サモナーは元気だった。
なんでも、新しい魔法を考えたらしい。
「なんと、この魔法は異世界に繋がる魔法です!!異世界の人から魔力をちょっとずつ貰って、魔力を使えない人も使えるようになるかもしれない魔法なんですよ」
うわー、と俺は思った。
俺が巻き込まれた元凶の魔法が、開発されてしまった。これって世界中に広まるのを防げば、俺の死もなかったことになってタイムパラドックスとか起きないだろうか。起きない・・・・・・だろうな。俺はいまのところなにもやってないし。
「目を瞑ってください。最初は難しいから、私が手伝って繋げてあげますね」
なんかもう、テレビのコードを繋げるみたいなノリになっている。
俺は、諦めて目を瞑った。
「何が見えます?」
「赤い線が見えます」
あたりは暗闇だ。
目を瞑っているから当たり前なのかもしれないが、それよりも深い闇を今の自分は見ているような気がする。そして、その闇の中にあるのは赤い線だ。なんとなくだが、この赤い線は俺の魔力だと思った。
サモナーは、俺の手を握る。
そのとき、俺の閉じられた目には青い線が見えた。これはサモナーの魔力である、と俺は確信していた。何の保障もないのに、魔法使いとしての本能が師の魔力が自分を導いていると感じる。
青い線が俺の赤い線より先に進み、俺はそれを追っていく。
赤い線は俺そのもので、青い線はサモナーそのものなのだろう。
急に、青い線が消える。
サモナーが俺から手を離したわけではなく、ここからは俺一人でやらなければならないことなのだ。
だが、急にサモナーの青い線が見えなくなって、俺は空中で放り出されたような寂しい気持ちになった。どこかに触らなければ、俺自身が消えてしまいそうな不安定さだった。
選ぶ暇などないというぐらいに俺は焦りを覚えて、がむしゃらに線を延ばす。そして、線が何かと繋がった。その瞬間、俺の意識が一気に現実に推し戻される。
「うわぁ!!」
悲鳴をあげたのは、今まで感じたことがないぐらいに体が軽くなったからだ。
魔力は生命力とサモナーは言っていたが、誰かに繋がったことによって俺のなかに誰かの生命力が流れ込んでくる。サモナーから魔力の説明を聞いたとき、どうしてゴーストは複数の人間と繋がらないのだろうかと思った。
今、分かった。
この繋がりは、特別だ。
自分に力を一番最初に与えてくれた人。その人を強く感じて、この人以外は嫌だという気持ちにさせられる。複数の人間と繋がりを持つことなんて、出来そうになかった。そして、新たに別人と繋がりを持つことも不快になることだろう。
「繋がりましたか?」
「はい――すごく特別な気分です」
ふと、俺はサモナーも同じ気分になったのか気になった。
すると彼は、自分の胸に手を当てて幸福そうに微笑んだ。
「私もです」
0
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。 〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜
トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!?
婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。
気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。
美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。
けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。
食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉!
「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」
港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。
気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。
――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談)
*AIと一緒に書いています*
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる