ファーストキスを奪った親友は、理想の筋肉の持ち主だった

華翔誠

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親友

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小学4年でリトルリーグに7番で出場。最後の打席でホームランを放つ。
この日は、間壁真斗の最高の日になるはずだった。
試合後、病院からの連絡を受けた、真斗は病院に向かうも死に目に会うことが出来なかった。
遅れて、父親が駆けつけてきた。
妻を失った悲しみはあったが、覚悟はしていた為、息子程の落ち込みようは無かった。
「試合になんて行かなければ良かった。」
真斗は、ボソッともらした。
「母さんだって、楽しみにしていたんだ。」
息子が試合に選手として出るのを、母親は楽しみにしていた。
「ホームランを打ったんだ。」
「凄いじゃないか。」
「でも、母さんは、もういない・・・。」
「喜んでいるよ、母さんは・・・。」
そう言って、父親は、泣きじゃくる息子の頭を撫でた。
暫くして、真斗はリトルリーグをやめた。
野球が大好きだった元気な男の子は、別人のように大人しくなった。いずれ時間が解決してくれるだろう。父親はそう思うしかなかった。
暫くして父親が転勤になり、真斗は転校した。

転校先では、最初の挨拶から暗く、誰も真斗に話しかけようとする者が居ないように思われたが、ただ一人だけは違った。
「おい、転校生、一緒にあそぼうぜ。」
ショートカットの美少女に声を掛けられ、真斗はハッとなった。
「い、いやいい。」
「なんだ、付き合い悪いなあ。」
「女とは遊ばん。」
「はあ?何言ってんだよ。何処が女なんだよ!」
緑屋勇気は声を荒げながら言った。
ショートカットで短パンは履いてるが、見た目は活発な女の子に見える。しかも美人な。
「ほら、やっぱり勇気は女に見えるんじゃん。」
他のクラスメイトがちゃかした。
「何だと、泣かされたいのか?」
こんな可愛らしい見た目をしながらも、クラスのガキ大将的な男の子だった。
「お前が変な事言うから、おかしい事になっただろ?大人しくついて来いよ。」
そう言って、強引に転校生を運動場へ引っ張り出した。
それから、真壁真斗にとって、緑屋勇気が無二の親友となった。

「おい、ヤバいって勇気。真斗も呼んだ方が?」
中学2年になっても、勇気のガキ大将気分は抜けず、1年からカツアゲした3年の不良グループに突っかかって行った。
「なんだ、2年が何の用だ?」
不良のたまり場には、5人の3年生がたむろしていた。
「お前ら1年から金を巻き上げただろう。」
勇気が言った。
「女がしゃしゃり出てて来るんじゃねえよっ!」
「俺は男だっ!」
「はあ?」
「こいつあれだ、2年の男女だ。」
「ああ、性同一とかいう?」
「違うっ!正真正銘の男だっ!」
「どっちでもいいが、2年が3年に口ごたえすんじゃねえよ。さっさと、どっかへ行け。」
「金を返せって言ってるだろ。」
「そんなもん、とっくに使ったわ。」
そう言って、3年達は笑った。
「痛い目見ないとわからないのか?」
「何言ってんだこいつ、たった二人でよ。彼氏は震えてんぞ。」
勇気に引っ張ってこられた港浩一は震えていた。
「お前らなんか、俺一人で十分だ。」
「このアマあっ!」
「男だって言ってんだろ!」
5人相手に、突っかかって行ってはみたものの、浩一と二人、フルボッコにされた。
「たく、手間取らせやがって。」
「なあ、こいつ顔は可愛いんだからよ。フェラって貰わねえか?」
「問題になったらどうすんだよ。」
「手を出してきたのは、こいつ等だし。」
「女を回したら、大問題だけど、こいつは男だからいいんじゃねえか?」
「なるほどなあ。」
「でも、男だからなあ。」
そう言って、殴られ倒れている、勇気の顔を覗き込んだ。
「アリだな。」
「よし、順番決めようぜ。」
盛り上がる3年の不良たち。
「何やってんだ、お前ら。」
そう言って、姿を現したのは、170後半はある筋肉質の男だった。
「や、やばい、2年の真壁だ。」
学校で、一番背が高く、学校で一番恐れられていて、女子からの人気も高い。
「な、何の用だ、2年が。」
真斗は、倒れている勇気の姿を目に止めた後、正気を失った。
倒れていた浩一が、焦って勇気を起こす。
「お、おい、勇気。起きろ、起きろって。」
「もう・・・食べれまひぇん・・・。むにゃむにゃ。」
幼馴染で男と言うことを一番よく知っている浩一でさえドキッとしてしまったが。
「起きろって!」
無理やり起こした。
「な、なんだよ?」
「やばいんだ、早く止めないと3年が死ぬ。」
「はあ?」
勇気が見てみると、5人の3年生を殴り殺そうとしている真斗の姿があった。
勇気は焦って、浩一と共に、真斗を止めた。
「お、おい、真斗。やめろ!」
何とか止めた頃には、3年生は全員気を失っていた。
「どうすんだよ・・・この惨劇。」
浩一が言った。
「た、多分、死なないだろ。保健室行こうぜ。」
勇気が言った。
「3年はどうすんだよ?」
「ほっとけばいいさ。真斗、保健室行こうぜ。」
そう言って、勇気は真斗を保健室へ連れて行った。

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