竜達の番

mokia

文字の大きさ
7 / 49
癒す者

魂を癒す薬

しおりを挟む
 戻ってきたルシフェルは人を連れていた。宿舎の衣服を準備して居る人らしい。彼は人でここで働く番が居ると言う。

「君の服を作る。俺の事はアシさんとでも呼んでくれ」

「はい、アシさん、よろしくお願いします。」

 久しぶりに普通の服作るわ、なんて笑いながら採寸していった。採寸の後に好みの服を聞かれたけど特に無い。特にこだわりもない。困ってルシフェル様を見る。
 嬉々として自分の好みを伝えていた。どんな服に成るんだろ。

 ルーカスは療養としてルシフェルの部屋で一緒に過ごす事になった。ベッドは違う物を準備できると言われたけど、ルシフェルが一緒に寝て良いと言うのでそのままにした。
 何故かルシフェルの側を離れ難くルーカスは目が覚めてからルシフェルを見つめてしまう。そして目が合う度、優しく笑うその顔に安心する。
 
 アシさんから服が届き始めたころ、ルシフェルは悩みを抱えていた。ルーカスには悟られないように気を付けているが、ルーカスに何か言いたげだった。
 
 一緒に寝るようになったルシフェルはルーカスが寝てる間に魘されている事に気付いた。最初はルーカスを起こしたが、ルーカスは魘されている事に気付いて居なかった。
 いつも「嫌だ、助けて」と言っている。ルシフェルがあやすように抱えるとそのうち穏やかな顔をして眠る。

 毎晩魘されるルーカスが心配でどうしたらいいか分からずに隊長に相談する事にした。

「隊長、私の番が毎夜魘されるんです。」

 ルシフェルの話しを聞いた隊長はやはり、と思った。自身の番もよく魘されていた。この国に産まれる番、ドラゴン種に限らず、番を求める種族のこの国で産まれた番には何故か魂に傷を持つ。そしてその傷を示すかのような痣があった。
 ルーカスは首に痣があると自身の番が言っていた、そしてそのうちルシフェルが相談に来るだろと。

「ルシフェル、それは、魂の傷が癒えるまで待つしかないんだ。」

「魂の傷?」

「そうだ。」

 この国で見つかる番はほとんどが魂に傷が付き無意識にトラウマを抱える。だからここに竜騎士隊を作り、番を探す竜達をまずこの国に送る。傷付いた魂を出来るだけ早く救済するために。
 しかし、番の傷を癒すために出来る事はほとんど無い。ただ側にいて傷が癒えるのを待つだけだ。何かきっかけがある者も居るが何がきっかけかは、分からない。

「魂に傷がある者は番の存在が薬になる。だから側にいて、泣く時は抱きしめてやれ。辛いだろうがそれしか出来ない。」

「分かりました。」

 側に居ることが薬になるなら、ルーカスの傷が癒えるまで側で待とう。

 ルシフェルが覚悟を決めた。愛しい番を癒すのは自分の存在だとわかったから。
 ルシフェルは日がまたがない任務を開始する事にした。そして夜はルーカスを抱きしめて眠った。

 ルーカスは自身が何故これ程ルシフェルを求めるのか分からなかった。ルシフェルが日中任務を開始してから、しばらくは居ないと分かってるのに探してしまう自分がいた。だからルーカスもここで出来る仕事を探す事にした。
 しかし、しばらく療養だからと仕事はさせて貰えなかった。

 暇だと何か嫌な事を思い出す。

 ルーカスは癒されていく日々の中で、トラウマを思い出そうとしていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

ふたなり治験棟 企画12月31公開

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

縁結びオメガと不遇のアルファ

くま
BL
お見合い相手に必ず運命の相手が現れ破談になる柊弥生、いつしか縁結びオメガと揶揄されるようになり、山のようなお見合いを押しつけられる弥生、そんな折、中学の同級生で今は有名会社のエリート、藤宮暁アルファが泣きついてきた。何でも、この度結婚することになったオメガ女性の元婚約者の女になって欲しいと。無神経な事を言ってきた暁を一昨日来やがれと追い返すも、なんと、次のお見合い相手はそのアルファ男性だった。

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

【完結】抱っこからはじまる恋

  *  ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。 ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります。 YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら! 完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

冷血宰相の秘密は、ただひとりの少年だけが知っている

春夜夢
BL
「――誰にも言うな。これは、お前だけが知っていればいい」 王国最年少で宰相に就任した男、ゼフィルス=ル=レイグラン。 冷血無慈悲、感情を持たない政の化け物として恐れられる彼は、 なぜか、貧民街の少年リクを城へと引き取る。 誰に対しても一切の温情を見せないその男が、 唯一リクにだけは、優しく微笑む―― その裏に隠された、王政を揺るがす“とある秘密”とは。 孤児の少年が踏み入れたのは、 権謀術数渦巻く宰相の世界と、 その胸に秘められた「決して触れてはならない過去」。 これは、孤独なふたりが出会い、 やがて世界を変えていく、 静かで、甘くて、痛いほど愛しい恋の物語。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

処理中です...