竜達の番

mokia

文字の大きさ
8 / 49
癒す者

膿を出す

しおりを挟む
 傷を癒す、それは痛みを伴うもの。傷がずっとうずくなら、その傷は膿んでることになる。膿を出さなければ、その傷を癒す事は出来ずに跡が残るだろう。

 ルーカスが夜中に魘され、それを抱きしめて慰めるルシフェルはルーカスが漏らす言葉が少しずつ増えているのに気がつい付いた。
 初めは「嫌だ、助けて」しか言わなかったが、そのうち、「苦しい」「怖い」「痛い」と苦痛を告げる言葉を漏らすようになった。そして任務がない日のルーカスの様子を見ると大人の男性、特に体が大きな者を怖がって居るようだった。
 ルーカスの主人だった貴族は太っては居たものの巨漢とは程遠いタイプだ。多分異様にデカイ物は何かして居たのだろうと思えるような小物感があった。
 だから何故大きな男を怖がるかわからない、ルーカスに確認しても小さな頃からだから覚えて無いと言う。

 これは魂の傷に関係するのか。

「隊長、私の番が異様に男を、特に大柄な男を怖がるんです。これも魂の傷に関わるんでしょうか?」

「多分そうだな、魂の傷に由来するのは産まれる前に出来た傷なんだ、だから今はまだ何故自身がそんな反応をしているかわかって居ないだろうな。」

「そうですか。それを思い出す時が来るんですか?」

 隊長は、静かに頷いた。少し暗い顔をした後、ルシフェルにどうして魂に傷が出来たか知ることに成るだろうと。そして傷の原因はこの世界には居ないんだ。
 隊長は行き道理の無い怒りを握りしめるようにそう言った。

 魂の傷、この世界に生まれる前に出来た傷は深く、膿んでる。ジクジクと痛むそれは時として、傷を開いて治さなければならない。

 ルーカスは宿舎から出ない、どころかルシフェルの部屋から殆ど出なかった。時々アシさんに呼ばれ裁縫室にいく程度。
 引きこもるルーカスを心配したルシフェルがルーカスを街に連れ出した。

「ルーカスは王都についてどれぐらい知ってる?」

「殆ど知りません。王都には奴隷になってから来ました。」

 ルシフェルはルーカスが話し出した内容に怒りを感じた。

 ルーカスが商人に騙され貴族に買われ、下働きをし、弱って居るとこを貴族に見つかり、犯されそうに成って居たことに。

 家を出てから商人に捕まるまではなかなか良い旅だったと、家族が居る村の隣の街は色々良くして貰った。そこにある宿にまた行きたいと。
 怒りを露にするルシフェルに良い募った。

「では、もう少し元気になったらルーカスの実家に行きましょう。」

「はい、ありがとうございます。体は元気なつもり何ですけど。」

「うん、でもまだ、寝てる時間が長いから、体は休憩を求めているはずだよ。」

 ルーカスは頷いた。確かに自身の寝る時間はすごく長い、1日の半分寝ている時が多い。暇だと思うから何かした方が良いと思ったけど、短い活動時間では役にたてないと思い直した。

「じゃあ、ルーカス、美味しい料理を食べに行こう。」

「はい」

 ルーカスは手を引かれ道を歩き出す。大きい男の人の手に手を握られている、なのに心地良いと思う自分が不思議だ。彼が美しいからか、それとも番だからか。

 

 そんな感じで時々連れ出される日が有るけど、殆ど部屋から出ない日々が続いた。

 そして、ルーカスの夜泣きが外に出た後から酷くなった。

「嫌だ、やめて、痛い、お父さん!」

 涙を流し叫ぶルーカスをルシフェルは必死でなだめた。

「大丈夫、痛いことはしないよ、君のお父さんはここに居ない。もう怖い事は何も無い。」

 成す術がない悲痛な叫びにルシフェルは自身の無力を噛み締めた。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
隣国の国王キリアン(アルファ)に嫁がされたオメガの王子リュカ。 しかし実は、結婚から逃げ出した双子の弟セラの身代わりなのです… 本当の花嫁じゃないとばれたら大変! だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだんキリアンに惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

【短編】初対面の推しになぜか好意を向けられています

大河
BL
夜間学校に通いながらコンビニバイトをしている黒澤悠人には、楽しみにしていることがある。それは、たまにバイト先のコンビニに買い物に来る人気アイドル俳優・天野玲央を密かに眺めることだった。 冴えない夜間学生と人気アイドル俳優。住む世界の違う二人の恋愛模様を描いた全8話の短編小説です。箸休めにどうぞ。 ※「BLove」さんの第1回BLove小説・漫画コンテストに応募中の作品です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...