竜達の番

mokia

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温める者

火が灯る

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 寒いよ、寂しい、誰か側に。

 フリージオンの温もりを求める声が熱を持つものにやっと届いた。

「俺の番はここに居たのか。」

 火急と言うことで竜の姿で飛んできた赤いドラゴンは雪玉の中に居る自身の番に気が付いた。ドラゴンは雪玉を自身の力で溶かし始める。その熱は暖炉の側に居るようで、周囲の人に暑さを感じさせた。
 離れを覆っていた雪玉を溶かすと赤い竜は人の形になった。浅黒い肌に赤い髪と目を持つ美丈夫となった竜は熱くなった離れのドアを開け温もりを求める番に掛けよった。
 扉の側に踞る獣人の使用人には気付かずに。

「待たせてすまなかった、愛しい番」

 こんこんと眠る冷えきったフリージオンに人の姿では足りないと思い、再び竜の姿になった。そしてフリージオンを囲い赤い玉と成ってフリージオンを暖め始めた。

 全てを見ていた当主はフリージオンが竜の番である事を知った。そして、一部の貴族だけが知るこの国に現れる、番の逸話を思い出した。

 この国には傷ついた魂の番が現れる。

 もっと早くフリージオンの番を探すべきだった。

 当主は傷ついた魂を持つ番の存在を知っては居た。しかしそれがどのような状態なのか知らなかった。フリージオンは愛らしく、強大な力を持つ割りに大人しい子供だった。
 少し寂しがりやで寒がりなだけだと甘く見ていた当主はフリージオンが傷ついた魂を持つとは思って居なかった。
 後悔を感じながら赤い玉となった竜を見ていると離れの扉で踞る人が居るのに気が付いた。その人物は灰色になり動かない手を見ながら涙を流していた。

「お前は、フリージオンに付けた者だな」

「私の、私の手がぁ」

 当主に答えない使用人は自身の手が色がおかしく動かかない事にショックを受けていた。
 使用人の手はフリージオンに凍らされた事によって重度の凍傷に成っていた。
 当主はフリージオンの魔力で凍ったとわかったがなぜ凍ったかを考えた。おかしく成っている使用人を他の使用人に任せて、使用人に指示を出した。その使用人の人となりを調べるために。
 そして知った。その使用人によってフリージオンが孤立させられて居たことを。当主はこの使用人がフリージオンに何かしようとして両手が凍った事に気付いた。自身の思い違いでフリージオンを苦しめてしまった事に気付いて当主は絶望した。

「すまない。フリージオン私はお前を傷つけてしまった。」

「ご当主、それは俺の番が目覚めた時に伝えるべき事。あなたが今する事は別にあるはず。」

 赤い玉に成っている竜が当主の嘆きに声をかけた。
 そう、今当主がすべき事は竜の番であるフリージオンを守るための手続きをする事、そしてフリージオンを暖める為に動けない竜について報告しなければいけない。

「ありがとうございます。竜騎士殿、フリージオンを頼みます。」

 当主はフリージオンが自身の子のままで竜の番であれるように王家と竜騎士、貴族達への報告に向かった。



 第二章 温める者 導入部 終
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