竜達の番

mokia

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温める者

芽吹きの時

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 フリージオンは暖かいものに包まれていた。体全てで暖炉のような暖かさを感じていた。雪に閉ざされ、凍てついて、寂しかった心と体を暖める熱は少しずつフリージオンを溶かしていった。寂しかった気持ちが暖かな穏やかさに溶けていく。側に誰かを求める気持ちは暖かな者が側に居る安心感に変わった。

 少しずつフリージオンの体温が温まっていく。だんだんと白くなっていた頬や唇が色付いていった。少しずつ呼吸を深くしていく。心臓が脈をしっかりとうち始める。言わば仮死状態と成っていたフリージオンは竜によって暖められ、もう少しで仮死状態が解けそうに成っていた。

 当主は王にフリージオンが紅竜の番であると報告した。そして傷ついた魂を持つ者と言うことも。
 王は何となくわかっていたと答えた。王自身がそうだったように、傷ついた魂はわかりずらいと。すぐにはわからない、傷ついた魂は周りに愛される者が多い。愛し守ろうとし、時として逆に苦しめる。
 王は言った。フリージオンを守るための手続きを早急に行う。フリージオンの望みを最大限に叶えよと。

 当主が手続きを終え、書簡を出し、貴族達に釣書を返し、竜の番であると伝えた。優に7日はかかった。しかしその間フリージオンが目覚めたと言う知らせはなかった。

 そして、目覚めの時はやって来た。

「愛しい番、そろそろお目覚めか?」

 まぶたを震わせ、徐々に目を開ける様はまるで雪解けの後の芽吹きのようだった。ゆっくりと開くまぶた下には潤んだアイスブルーの瞳が露になる。
 開いた後もゆっくりと瞬きをする目は長く白い睫毛が飛び立つ前の鳥が羽ばたいているかのよう。ゆっくりと開く唇はピンク色で小さな花びらのように愛らしい。その愛らしい唇から、吐息のような声が漏れる。

「あ、つ、が、い」

「そう、俺は君の番、サルマンと言う。」

「サ、ル、マ、ン、さま」

 ふにゃりと笑い安心しきった顔をするフリージオンにサルマンは優しい笑顔を向けた。

「そう、サルマン、君の名前は?」

「フリー、ジオンです。」

「おはよう、フリージオン、でも、もう少しお眠り」

 こくりと頷き再び目を閉じた。

 サルマンは人型に成って、使用人にフリージオンが一度目覚めた事を伝えた。当主がフリージオンが目覚めたと聞いてフリージオンを見に来た。
 頬に赤みが差し、血色の良いフリージオンに当主は驚きを見せた。産まれてから一度もこれ程顔色が良いフリージオンを見た事が無かった。

「竜騎士殿、ありがとうございます。私はこの子を守って居たつもりがこの子を…」

「多分、まだ。まだ魂が傷ついている。だからもっと顔色が良くなる。それにこれまでは生きて来たんだ。あなた方の愛情は伝わっている。」
 
「はい、ありがとうございます。」

 涙を流し礼を言う当主にサルマンは頷きを返した。

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