竜達の番

mokia

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渇きを癒す者

燻火

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 カークスは取りあえずカイに会いに行く事にした。カークスはカイが壊れてしまっても魂の片割れに違いないと。

「ナイアス様、俺をカイに会わせてください。」

「しかし」

 ナイアスはカークスの願いを叶えるか迷っていた。カークスは今の従兄を見てショックを受けるだろうと。

「大丈夫です、何を見ても。カイがカイでなかったとしても。」


「わかった。少し待ってくれ、その従兄は私の同僚の番なんだ。」

「カイが竜騎士の番?」

 竜騎士の番ならカイは。しかし、カイは商人に色々されてしまった。正気に戻る方が酷な事かもしれない。

 再びうつ向いて黙り込むカークスに、ナイアスは先に打てる手を全て打ってから、会わせようと考えた。

「カークス、もう少し待ってくれないか?治癒が使える竜騎士が居るんだ。今はちょっと手が離せないけど、何とか成るはずだから。」

 カークスは迷った。カイがされたことは心を壊して仕舞うことではないかと。

「ナイアス様、カイは、カイは、商人に、」

 言葉を詰まらせながら涙を浮かべるカークスに、ナイアスは商人が言っていた言葉を思い出した。

「小鳥は犯し損ねたがあのオモチャはなかなか使えました。あのオモチャはもう正気には戻らないでしょうね。少し薬を使い過ぎたので。」

 笑いながら、そう言った商人にナイアスは憎悪を浮かべ、その商人を殺しそうになった。しかし、一緒に尋問していたテンヴィルはナイアスを止めた。

「ここで殺せば、そやつの咎はそれで終わる。」

 そやつには生きるより辛い苦しみを味わって貰おう。

 その言葉に商人は震えあがっていたが、商人がどんな咎を受けたのか知らないナイアスはカークスを慰める言葉が見つからなかった。

「カークス、その、言いたく」いえ、聞いてください。」

 涙を流しながら従兄が商人に何をされたのかをカークスはナイアスに伝えた。涙を流し、しゃくりあげながら話すカークスは、幼い外見も相まってとても儚く見えた。

 泣きつかれたカークスは眠ってしまった。ナイアスはカークスの目が腫れないように、冷やしてから、テンヴィルの所へ向かう。

「テンヴィル少し良いか?」

「なんだ?、少し待て。カイ、ここで大人しく待てるか?」

 カークスの従兄はテンヴィルの側を離れるのを嫌がるように首を横にふる。
 困ったようにナイアスを見たテンヴィルがナイアスに念話で要件を伝えるように言った。

『ナイアス、どうした?』

『カークスから商人がお前の番にしたことを聞いた。』

 眉を寄せたテンヴィルにカイが指で眉間のシワを伸ばす。

 幼い子供のような表情でテンヴィルを見るカークスの従兄を、カークスに会わせて良いのか?

「取りあえず、以上だ。」

「わかった。感謝する。」

「カークスがお前の番に会いたいそうだ。」

「カークス?」

 カークスの名前に反応を示す。ナイアスとテンヴィルは顔を見合せ頷いた。
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