竜達の番

mokia

文字の大きさ
32 / 49
渇きを癒す者

鎮火

しおりを挟む
 カークスの従兄にルシフェルが治癒をかけるとナイアスがカークスに伝えた直後、テンヴィルがナイアスに会いに来た。

「ナイアス、少し良いか。」

「テンヴィル、カークスも一緒で良いかな?」

 不安げな表情を浮かべるカークスをテンヴィルは見下ろした。

「そうだな、良かろう。取りあえずカイは治癒をかけた。カイは特に錯乱していない。元々ぼんやりした性格なのかもしれん。」

 ぼんやりした性格、そう言えば前世でも。

「ぼんやり、あ!そうか」

 カークスは気付いた、カイは番を得たならばカイが求めていた者が近くに居るからだと。

「どうする?ナイアスの番、今からカイに会うか?」

「今からですか?良いんでしょうか?」

「ああ、会えば何か分かるやもしれん。」

 カークスは頷いた。カークスの従兄の求めていた者がテンヴィルならカークスの従兄は苦しみが和らいで居る筈だと。



「カイ、戻った。お前の従弟を連れて来た。」

「テンヴィル、お帰り。従弟、カークス?」

 テンヴィルを見上げながら首を傾げた。テンヴィルが大きいため後ろに居る事に気付いて居なかった。

「カイ、カイ」

 カークスは従兄の名前を呼んで泣き出してしまった。

 カイは壊れて無かった。

「あ、カークス、え?え?泣かないで」

 おろおろするカークスの従兄は助けを求めるようにテンヴィルを見た。

「カークス、彼が困って居るよ。」

「はい、ごめんカイ。」

 ナイアスがカークスに声をかけている間にカークスの従兄はテンヴィルに頭を撫でられていた。安心した顔でテンヴィルに撫でられる自身の従兄を見たカークスは自身の勘違いと魂の繋がりを理解した。

「カイ、カイの事、わかってあげられなくてごめん。」

「あ、カークス、あの、無理やり連れて行ってごめん。」

 叱られた子供のように頭を下げる自身の従兄にカークスはやはり、自身の姿の原因は従兄に有ると確信した。

「カイ、謝ってくれてありがとう。もうしないでね。」

「うん。もうしない。」

 大人の姿なのに子供のような従兄、子供の姿で大人の思考を持つ自身、二人の姿はまるで心と見た目が反転しているようだとカークスは思った。だからカークスが大人の体に成長するためには従兄の心を育てる必要が有る。

「ナイアス様、テンヴィル様、お話が有ります。」

「「わかった。」」

「カイ、少し話しをするからここで待ってて」

 首を傾げながら、こくりと頷いた従兄を見た後、カークスはナイアスとテンヴィルを部屋の外に連れ出した。

「ナイアス様、テンヴィル様、俺とカイは双子の魂を持っています。カイの姿は俺の心を、俺姿はカイの心の成長を映します。」

「成る程、双子の魂。」

「テンヴィルは知っているのか?」

 頷いたテンヴィルは言った。双子の魂とは元は同じ魂を持ち、何かの拍子に分かたれた魂の持ち主だと。

「カイは前世で心が子供のまま育ったのかもしれません。今はカイが苦しみを感じては居ないけど、テンヴィル様カイのことお願いします。」

 カークスは悔しそうに手を握りしめた。自身も傷を抱えている。従兄の傷はテンヴィルに任せるしかないと。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

ふたなり治験棟 企画12月31公開

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

縁結びオメガと不遇のアルファ

くま
BL
お見合い相手に必ず運命の相手が現れ破談になる柊弥生、いつしか縁結びオメガと揶揄されるようになり、山のようなお見合いを押しつけられる弥生、そんな折、中学の同級生で今は有名会社のエリート、藤宮暁アルファが泣きついてきた。何でも、この度結婚することになったオメガ女性の元婚約者の女になって欲しいと。無神経な事を言ってきた暁を一昨日来やがれと追い返すも、なんと、次のお見合い相手はそのアルファ男性だった。

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

【完結】抱っこからはじまる恋

  *  ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。 ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります。 YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら! 完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

冷血宰相の秘密は、ただひとりの少年だけが知っている

春夜夢
BL
「――誰にも言うな。これは、お前だけが知っていればいい」 王国最年少で宰相に就任した男、ゼフィルス=ル=レイグラン。 冷血無慈悲、感情を持たない政の化け物として恐れられる彼は、 なぜか、貧民街の少年リクを城へと引き取る。 誰に対しても一切の温情を見せないその男が、 唯一リクにだけは、優しく微笑む―― その裏に隠された、王政を揺るがす“とある秘密”とは。 孤児の少年が踏み入れたのは、 権謀術数渦巻く宰相の世界と、 その胸に秘められた「決して触れてはならない過去」。 これは、孤独なふたりが出会い、 やがて世界を変えていく、 静かで、甘くて、痛いほど愛しい恋の物語。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

処理中です...