竜達の番

mokia

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渇きを癒す者

鎮火

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 カークスの従兄にルシフェルが治癒をかけるとナイアスがカークスに伝えた直後、テンヴィルがナイアスに会いに来た。

「ナイアス、少し良いか。」

「テンヴィル、カークスも一緒で良いかな?」

 不安げな表情を浮かべるカークスをテンヴィルは見下ろした。

「そうだな、良かろう。取りあえずカイは治癒をかけた。カイは特に錯乱していない。元々ぼんやりした性格なのかもしれん。」

 ぼんやりした性格、そう言えば前世でも。

「ぼんやり、あ!そうか」

 カークスは気付いた、カイは番を得たならばカイが求めていた者が近くに居るからだと。

「どうする?ナイアスの番、今からカイに会うか?」

「今からですか?良いんでしょうか?」

「ああ、会えば何か分かるやもしれん。」

 カークスは頷いた。カークスの従兄の求めていた者がテンヴィルならカークスの従兄は苦しみが和らいで居る筈だと。



「カイ、戻った。お前の従弟を連れて来た。」

「テンヴィル、お帰り。従弟、カークス?」

 テンヴィルを見上げながら首を傾げた。テンヴィルが大きいため後ろに居る事に気付いて居なかった。

「カイ、カイ」

 カークスは従兄の名前を呼んで泣き出してしまった。

 カイは壊れて無かった。

「あ、カークス、え?え?泣かないで」

 おろおろするカークスの従兄は助けを求めるようにテンヴィルを見た。

「カークス、彼が困って居るよ。」

「はい、ごめんカイ。」

 ナイアスがカークスに声をかけている間にカークスの従兄はテンヴィルに頭を撫でられていた。安心した顔でテンヴィルに撫でられる自身の従兄を見たカークスは自身の勘違いと魂の繋がりを理解した。

「カイ、カイの事、わかってあげられなくてごめん。」

「あ、カークス、あの、無理やり連れて行ってごめん。」

 叱られた子供のように頭を下げる自身の従兄にカークスはやはり、自身の姿の原因は従兄に有ると確信した。

「カイ、謝ってくれてありがとう。もうしないでね。」

「うん。もうしない。」

 大人の姿なのに子供のような従兄、子供の姿で大人の思考を持つ自身、二人の姿はまるで心と見た目が反転しているようだとカークスは思った。だからカークスが大人の体に成長するためには従兄の心を育てる必要が有る。

「ナイアス様、テンヴィル様、お話が有ります。」

「「わかった。」」

「カイ、少し話しをするからここで待ってて」

 首を傾げながら、こくりと頷いた従兄を見た後、カークスはナイアスとテンヴィルを部屋の外に連れ出した。

「ナイアス様、テンヴィル様、俺とカイは双子の魂を持っています。カイの姿は俺の心を、俺姿はカイの心の成長を映します。」

「成る程、双子の魂。」

「テンヴィルは知っているのか?」

 頷いたテンヴィルは言った。双子の魂とは元は同じ魂を持ち、何かの拍子に分かたれた魂の持ち主だと。

「カイは前世で心が子供のまま育ったのかもしれません。今はカイが苦しみを感じては居ないけど、テンヴィル様カイのことお願いします。」

 カークスは悔しそうに手を握りしめた。自身も傷を抱えている。従兄の傷はテンヴィルに任せるしかないと。

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