竜達の番

mokia

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飢えを癒す者

虚無

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 カイは知らぬ間にどこかに運ばれた。

 カイを抱える大きな腕は温かくて何だか安心する。
 ぼんやりするカイに優しく声をかけてくれる人物は、カイの足りない感覚を無くしてくれた。
 心の奥の方にあった飢餓感はその人と一緒だと感じない。でも、カイは自分で何かしようと思わなかった。ただ今一緒に居てくれる人が側に居れば大丈夫だと思えた。

「我の番、名を教えてくれるか?」

「?、カイ。」

 この人はどうして俺の名を聞くのだろう?あの商人は俺の元名を聞かなかった。それに番とは、にもわからない。

「カイ。我はテンヴィルと言う。カイとこれからずっと一緒に居る者だ。」

「テンヴィル、ずっと一緒。」

 それからカイはテンヴィルについて回るようになった。どこに行くにも付いて回るため、テンヴィルの任務は休止する事になった。
 それ以外はカイは特に何も言わず、言われた事をこなすのみだった。

 有る日、カイは従弟に会わせられる事になった。その前に治療として治癒の力を受けるとテンヴィルから言われた。

「ルシフェル、済まぬな、こちらのものが我は
の番だ。」

「ううん、こっちは取りあえず目は覚ましたから、この子とっても酷い目に合ったんだね。こんにちわ、僕はルシフェル、今から君に治癒をかけるね。」

「こんにちわ、俺はカイ。治癒。」

 ルシフェルは痛ましそうにカイを見た後、治癒の力をカイにかけた。

「どうだ、カイ、何か変わったか」

 治癒をかけられたカイは少し目を瞬いた後、首を傾げた。
 何となくスッキリする、自身の中に有ったぼんやりしてたものがハッキリしている。それなのに、空腹にも似た飢餓感がなかった。

「何となくスッキリした。それなのに、何か足りない感じがない。何でだ?」

 カイの様子が変わらないので治癒の効果を実感していなかったが、元々ぼんやりした性格なのか!?

 二人の竜騎士はカイのぼんやり具合に驚愕していた。取りあえず三人は自室に戻る事にした。

 取りあえずナイアスに伝えんとな。

「カイ、ここで少し待てるか?」

「うん、わかった。」

 前は離れるのを嫌がったのに、やはり治癒に効果は有ったか。

 テンヴィルはカイの従弟にカイを会わせる事にした。ナイアスに先にカイの事を伝える必要が有る。

「ナイアス、少し良いか。」

「テンヴィル、カークスも一緒で良いかな?」

 不安げな表情を浮かべるカイの従弟をテンヴィルは見下ろした。

「そうだな、良かろう。取りあえずカイは治癒をかけた。カイは特に錯乱していない。元々ぼんやりした性格なのかもしれん。」

「ぼんやり、あ!そうか」

 カイの従弟は何かを納得したように呟いた。

「どうする?ナイアスの番、今からカイに会うか?」

「今からですか?良いんでしょうか?」

「ああ、会えば何か分かるやもしれん。」

 
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