竜達の番

mokia

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息を継ぐ者

魂を助ける息吹

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 グライオスは脚が進むまま森の奥へと入って行った。何故かそこに自身の求める何かを感じて。

 大きな湖が見えた。

 開けた場所に大きな湖が有った。遠くに先が見えるその湖の前にドラゴンが居た。ゆったりと寝そべる姿にグライオスは安堵のため息をついた。

 やっと会えた。

「へえ。お前が私の番かぁ」

 ドラゴンがグライオスを見ながら言った事にグライオスは首をかしげた。

「番?」

「番が何かわからんのか?」

 こくりと頷く、グライオスは本を沢山読んだが番という単語に対する知識はなかった。辺境伯家は人外嫌いで有名な家だったからそういう話しも聞いた事がなかったのだろう。

「へえ、余程の箱入りか。」

「箱入りって言うより、箱詰めかも。息苦しいから出てきた。」

「はは、私の番は余程のお転婆だなぁ」

 お転婆、男に使う言葉だったかな?

 首を傾げたグライオスにドラゴンが笑う。

「私の名はヴァーユ、私の番、お前の名は?」

「俺は、グライオス。番って何?」

「番、そうだな、一言で言うと伴侶の事だな。そしてお前は私の運命の番だ。」

 運命の番。

 ヴァーユは目を細めてグライオスを見た。ヴァーユはドラゴンとしてはまだ若いが、それなりに年を取っている。まさか自身の番が若い人間とは、子供のようにも見える。

「グライオス、年は幾つか?」

「俺はこの間15に成ったところだ。ヴァーユは?」

「なんだ、まだ子供よなぁ、私は60を幾つか越えたかなぁ」

 確かに60歳からすれば15歳は子供か、一応成人として扱われている筈だが。

「人間の成人は15の筈だが。ヴァーユは番が15だとダメなのか?」

 首を傾げたながら聞くグライオスにヴァーユはおかしな顔をする。

「ダメではない。しかし、人間とは、歳の差を気にするものであろう?」

「そうか。でも俺はヴァーユが良いと思う。」

 そう言ったグライオスの目をヴァーユは覗き込んだ。グライオスの瞳の奥に暗い影を見つけたヴァーユは納得した。グライオスが自身を求める理由を。

 傷ついた魂は番を求める。

「グライオス、此れからどうする気だった?」

「決めてない、ただ飛び出して来ただけだ。」

 私に引き寄せられたのかな。それはなんとも愛しき事よ。

「グライオス、苦手な場所は有るか?」

 視線を落としたグライオスがボソッと答えた。

「暗くて狭い場所」

「そうか、では、雨が降るまでここに居よう。雨が降ったら竜騎士隊の宿舎にでも行くか。」

 グライオスがヴァーユを見る。

「竜騎士隊?」
 
「ああ、ドラゴンが騎士をしている。」

「はあ、ドラゴンが騎士」

 わかっていないグライオスにヴァーユが自身の姿がドラゴンなのでわからないのだと気がついた。

「これならわかるか?」

 グライオスの前に人型に成ったヴァーユが現れた。異国の服を着て居るヴァーユは少し露出が多かった。グライオスはヴァーユの鍛えられ、均整の取れた肉体に見とれていた。グライオスは子供の時に筋肉量を増やした為に背があまり伸びず、自身の体があまり好きではなかった。

「グライオス?」

「うん、ヴァーユは人型に成れたのか。」

「ドラゴンは成人すれば身に付ける力だな。」

 そうして二人は雨が降るまで湖を楽しんだ。
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