竜達の番

mokia

文字の大きさ
48 / 49
息を継ぐ者

人工呼吸

しおりを挟む
 グライオスは産まれて初めての自由を味わった。広い湖の回りを駆け、湖で水浴びをして、裸でヴァーユに抱きついてヴァーユを困らせた。
 ヴァーユはグライオスに色々な話をしてくれた。この国の事、異国の事、ドラゴンの事、竜騎士隊の事そして番の役目を。
 番の役目は主に愛されること、ドラゴンの愛は重い。普通の人間が番になる事は無いだろうと。ドラゴンの番は基本的に運命の番が居る。ドラゴンの場合も有れば、他の種族の場合も有る。
 この国に産まれる人間の中には傷ついた魂が産まれる。その者は運命の番と出会い、魂の傷を癒す。数十年前に、この国のに産まれた運命を癒す為、あるドラゴンが近衛騎士に成った、それが竜騎士隊の始まり。

 昔を思い出すように遠くを見ながら語るヴァーユにグライオスはもたれかかる。ドラゴンの姿のヴァーユは暖かくて意外と柔らかかった。

「ヴァーユはそのドラゴンを知っているの?」

「ああ、この国の竜騎士をして居るからグライオスもいずれ会えるだろう。」
 
「そうか」

 ヴァーユが空を見上げる。

「そろそろ雨が来るな。」

「そうなの?晴れてるように見えるけど。」

「私は風属性を持つドラゴンだからな、ふむ、少しはしゃぎ過ぎたやも知れん。」

 ヴァーユが鼻をスンと鳴らす。グライオスはヴァーユに抱えられ森の中で低空飛行する。急に雷の音がして雨が降り始めた。ヴァーユが見つけた洞窟の中に入る。

 グライオスは暗く、湿り気を帯びた空間に何故か恐怖する。洞窟の中に入ったとたんに震え始めたグライオスにヴァーユは魂の傷に触れた事を悟った。

「グライオス、すまんな、もう少し早く気付けば。」

「ヴァーユが、抱き締めてくれたら、大丈夫、だから、速く、奥に」

 段々乱れていくグライオスの呼吸にヴァーユはグライオスを抱き締める力を強めた。

「はっ、はっ、はっ、はっ、」

 過呼吸に成って居るグライオスをヴァーユは地面に座らせ人型を取る。

「グライオス息を吐け、ゆっくり呼吸するんだ。グライオス!」

「はっは、はっは、」

 意識が朦朧としているグライオスにヴァーユは口付けをする。グライオスの呼吸を一度止める為に。

「ん、ふっ、んぐ、はっ、ん、はぁ」

「グライオス、少しはマシに成ったか?」

「はぁ、はぁ、うん、ヴァーユでも、もう少し、して欲しい。」

 ヴァーユは少し息を吐くと、グライオスに再び口付けをする。次の口付けはグライオスの息を整える為ではなく、グライオスを味わうような口付けだった。

「ぁ、ヴァーユ」

「グライオス、大人はずるいものだ。」

 グライオスはヴァーユに口付けられながらヴァーユの腕の中で眠った。安心する腕の中で、前世を思い出すために。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
隣国の国王キリアン(アルファ)に嫁がされたオメガの王子リュカ。 しかし実は、結婚から逃げ出した双子の弟セラの身代わりなのです… 本当の花嫁じゃないとばれたら大変! だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだんキリアンに惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

【短編】初対面の推しになぜか好意を向けられています

大河
BL
夜間学校に通いながらコンビニバイトをしている黒澤悠人には、楽しみにしていることがある。それは、たまにバイト先のコンビニに買い物に来る人気アイドル俳優・天野玲央を密かに眺めることだった。 冴えない夜間学生と人気アイドル俳優。住む世界の違う二人の恋愛模様を描いた全8話の短編小説です。箸休めにどうぞ。 ※「BLove」さんの第1回BLove小説・漫画コンテストに応募中の作品です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...