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第二章 籠城する村への道
蛟
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グレイの機転により、エレノアは間一髪の処で地下水脈の怪物からの強襲を逃れていた。蛇と魚が混ざったような、全長四メートルほどの蒼肌の怪物は、石畳の通路で狂暴に跳ね回っている。
「……助かったわ。あれは」
「蛟だ」
グレイは怪物の名称だけ告げると、素早く両手を構え魔法の詠唱を始めた。
その手からは冷気が漂い始めている。
『氷棺』
輝く冷気が跳ねまわる蛟に纏わりつき、怪物のを氷漬けにして動きを封じ込めた。詠唱を終えたグレイは流れるように鞘からロングソードを抜くと、氷漬けの状態から逃れようとした蛟を鮮やかに一閃した。
一瞬の間の後、硝子が砕け散るような氷解音と共に、凍り付いていた蛟の胴体に亀裂が走り、纏わりついた氷と共に両断された。
「長く生きた蛟は数百年を経て水竜に成ると言われている。恐るべき怪物だ」
細かく舞った氷の粒が明かりに照らされてきらきらと輝いている中、グレイはゆっくりとロングソードを鞘に収め、一息つく。
「……水辺で戦えばね。匂いか明かりに釣られて飛び込んで来たのかな」
若干申し訳なさそうな表情でグレイが呟いた。それは怪物に対し、不得手なフィールドで悪かったとでも言いたげである。
今、蛟が居るのは石壁の通路だった。グレイの言う通り水脈から餌を求めて飛び込んでしまったのだろう。水辺でなければ正に水を離れた魚、もとい水竜の幼子だった。
(……風魔法に続き、凍結系の水魔法まで)
回復魔法の準備をしていたエレノアは、グレイが怪我をせずに終わった為、詠唱を破棄した。そして、目の前でグレイが見せた水魔法の手際と鮮やかな剣技に目を奪われていた。
(そして、あの巨大な怪物を一刀で両断するなんて。剣技の方は明らかに長けている。……魔法にしてもかなりのものだけど)
氷棺はレベル5の水魔法に該当し、少なく見積もってグレイはレベル4の魔法全てを扱える、水魔法レベル4認定を受ける実力があるという事になる。
修得には相応の修練と才能が必要であり、一属性すら一生レベル4の魔法を扱えない術師が居る中、彼は中級レベル以上の水と風の魔法を操っていた。
さらに蛟を一刀で両断した卓越した剣技。仮に魔法騎士だとしたら、上位の実力者なのではないだろうか。
だが、そんな騎士位を預かる身分の上位者が、このような中立地帯を単独でうろついているというのは少し考え難かった。
彼には謎が多い。この秘密通路を知っている事からノーラス村とも間違いなく繋がりがある。お互い詮索はしないという約束事があったが、エレノアはグレイの素性が気になり始めていた。
「……とりあえず、無事に済んで良かった。エレノアさん、ここに留まるのは危険だね。奥へ進もう」
グレイはエレノアの手をお構いなしに掴むと、先に向かって歩き出した。
これといって逆らう理由はない。ただ、いい処を見せられっぱなしなのが、多少気にはなっていた。防御魔法の一つでも先んじてかけておけば良かったかもしれない。
◇
グレイに手を引かれたまま、エレノアは魔法照明の光源操作に専念しつつ通路を早足で歩いていた。
石壁の通路は所々に痛みが現れている。グレイがなるべく使いたくないと言っていた理由もそこにあるのだろう。土魔法によって、この秘密通路を作り出し管理していたと言われる土の賢者ロック。彼が亡くなってメンテナンスが出来なくなったのが原因である。
先程の地下水脈に続く綻びといい、いずれは完全に使えなくなるのかもしれない。
「エレノアさん。咄嗟の事とはいえ、さっきは申し訳ない。肩は打っていないかな」
「無傷よ。貴方が腕を回してくれたお陰でね。貴方こそ身体を打たなかった?」
「僕の方は全く問題ない」
壁に叩きつけられる寸前、グレイは咄嗟に背中に手を回していた。気遣いの達人かというくらいの動きである。
「……ありがとう。もう大丈夫」
エレノアがゆっくりとグレイの手を離した。
「随分と優しいのね」
「そうかな。普通のつもりだけど」
「そして、見事な剣と魔法の腕前だったわ。正直、貴方の実力を低く見積もっていたと認めざるを得ないわね」
「蛟については通路側に飛び出して来た事が大きかった。僕が地下水脈側に居たら、こんな簡単にははいかなかっただろうね」
グレイは謙遜しているが、おそらく地下水脈側に居ても、そこまで後れを取るようなイメージが湧かなかった。そして彼の咄嗟の判断により、エレノアは間一髪で蛟の強襲の一撃から逃がれている。
長らく魔法力が枯渇気味で、体調が万全じゃないとはいえ、蛟の強襲に全く反応仕切れていなかった。最高魔力だなんだといっても、運動神経は一般人とそこまで大きく変わらないのである。
「グレイ、誉め言葉は素直に受け取りなさいよ。……それにしたって水魔法まで使えるなんて。まさか他にも使えるのかしら」
「水と風だけ。さっき言った通り、光魔法はレベル1の理論は修得済みだから、いずれ使いたいなと思っているけどね。……祈りの部分が難しい。エレノアさんは流石だな」
もしやと思ったが、流石に二属性止まりのようだった。それでもかなり高いレベルの魔法を行使出来ているので大した物ではある。祈りについては多くの見習い光術師が鬼門としているので仕方ない事かもしれない。
エレノアは祈りを聖女としての日々の修練の中で自然と身に着けていた。敬虔な聖女神信仰者は祈りを問題としないケースが殆どである。
「……もし、良かったら私が祈りの真髄でもレクチャーしてあげるけど。光魔法は便利だと思うわ」
「エレノアさん。それは冗談ではなく本気と受け取っていいのかな」
グレイが真剣そうな眼差しと声色で問い返してきた。エレノアは少しの自慢を兼ねて、何気なく呟いてしまっただけで、本気で返される事を想定していなかった。
「……言っておくけど簡単ではないし、光女神の教典も手元にないわ。祈りに適した環境が整ってないと難しいと思うけど」
「なるほど。つまり環境が整った処まで付き合って貰えた上で、レクチャーしてくれるという事になるけど」
グレイは言質を取るようにエレノアに確認をしていた。
今からでも冗談と一言でもいえば終わりそうな話だったが、エレノアとしてもそうしようとは思わなかった。返されたのは予想外だったが、彼に教えたくないというわけではない。
「本気なら考えるけど。……でも、それ相応の見返りはあるのでしょうね。多少は名の知れた光術師のつもりよ。ただと言う訳はいかないわ」
「もちろんだよ。その辺りは小鬼と村の事が解決してから話し合おう」
グレイが微笑むと、身をひるがえして再び通路を歩き始めたので、エレノアは困惑した表情でその後をついていった。
(……どうしよう。話が進んでしまったけど。何処まで本気なのかしら)
エレノアは不安からか、心音が高鳴っているのを感じとっていた。
◇
一〇分ほど緩やかな下り道が続き、やがて行き止まりにぶつかった。
グレイは立ち止まり、再び合言葉を紡ぐ準備を始めた。
『土の賢者ロックよ。貴方の智慧を今ここに』
微妙に台詞回しが違ったが、意味合い的には、ほぼ同じ合言葉のようだった。
石壁がスライドすると、そこは吹き抜けになっていて、ラウンド状の壁回りは上へと続く螺旋階段が巡らされていた。
「エレノアさん、お疲れ様。この階段を昇ればノーラス村だ。吹き抜けに足を滑らせないように気を付けて」
「……助かったわ。あれは」
「蛟だ」
グレイは怪物の名称だけ告げると、素早く両手を構え魔法の詠唱を始めた。
その手からは冷気が漂い始めている。
『氷棺』
輝く冷気が跳ねまわる蛟に纏わりつき、怪物のを氷漬けにして動きを封じ込めた。詠唱を終えたグレイは流れるように鞘からロングソードを抜くと、氷漬けの状態から逃れようとした蛟を鮮やかに一閃した。
一瞬の間の後、硝子が砕け散るような氷解音と共に、凍り付いていた蛟の胴体に亀裂が走り、纏わりついた氷と共に両断された。
「長く生きた蛟は数百年を経て水竜に成ると言われている。恐るべき怪物だ」
細かく舞った氷の粒が明かりに照らされてきらきらと輝いている中、グレイはゆっくりとロングソードを鞘に収め、一息つく。
「……水辺で戦えばね。匂いか明かりに釣られて飛び込んで来たのかな」
若干申し訳なさそうな表情でグレイが呟いた。それは怪物に対し、不得手なフィールドで悪かったとでも言いたげである。
今、蛟が居るのは石壁の通路だった。グレイの言う通り水脈から餌を求めて飛び込んでしまったのだろう。水辺でなければ正に水を離れた魚、もとい水竜の幼子だった。
(……風魔法に続き、凍結系の水魔法まで)
回復魔法の準備をしていたエレノアは、グレイが怪我をせずに終わった為、詠唱を破棄した。そして、目の前でグレイが見せた水魔法の手際と鮮やかな剣技に目を奪われていた。
(そして、あの巨大な怪物を一刀で両断するなんて。剣技の方は明らかに長けている。……魔法にしてもかなりのものだけど)
氷棺はレベル5の水魔法に該当し、少なく見積もってグレイはレベル4の魔法全てを扱える、水魔法レベル4認定を受ける実力があるという事になる。
修得には相応の修練と才能が必要であり、一属性すら一生レベル4の魔法を扱えない術師が居る中、彼は中級レベル以上の水と風の魔法を操っていた。
さらに蛟を一刀で両断した卓越した剣技。仮に魔法騎士だとしたら、上位の実力者なのではないだろうか。
だが、そんな騎士位を預かる身分の上位者が、このような中立地帯を単独でうろついているというのは少し考え難かった。
彼には謎が多い。この秘密通路を知っている事からノーラス村とも間違いなく繋がりがある。お互い詮索はしないという約束事があったが、エレノアはグレイの素性が気になり始めていた。
「……とりあえず、無事に済んで良かった。エレノアさん、ここに留まるのは危険だね。奥へ進もう」
グレイはエレノアの手をお構いなしに掴むと、先に向かって歩き出した。
これといって逆らう理由はない。ただ、いい処を見せられっぱなしなのが、多少気にはなっていた。防御魔法の一つでも先んじてかけておけば良かったかもしれない。
◇
グレイに手を引かれたまま、エレノアは魔法照明の光源操作に専念しつつ通路を早足で歩いていた。
石壁の通路は所々に痛みが現れている。グレイがなるべく使いたくないと言っていた理由もそこにあるのだろう。土魔法によって、この秘密通路を作り出し管理していたと言われる土の賢者ロック。彼が亡くなってメンテナンスが出来なくなったのが原因である。
先程の地下水脈に続く綻びといい、いずれは完全に使えなくなるのかもしれない。
「エレノアさん。咄嗟の事とはいえ、さっきは申し訳ない。肩は打っていないかな」
「無傷よ。貴方が腕を回してくれたお陰でね。貴方こそ身体を打たなかった?」
「僕の方は全く問題ない」
壁に叩きつけられる寸前、グレイは咄嗟に背中に手を回していた。気遣いの達人かというくらいの動きである。
「……ありがとう。もう大丈夫」
エレノアがゆっくりとグレイの手を離した。
「随分と優しいのね」
「そうかな。普通のつもりだけど」
「そして、見事な剣と魔法の腕前だったわ。正直、貴方の実力を低く見積もっていたと認めざるを得ないわね」
「蛟については通路側に飛び出して来た事が大きかった。僕が地下水脈側に居たら、こんな簡単にははいかなかっただろうね」
グレイは謙遜しているが、おそらく地下水脈側に居ても、そこまで後れを取るようなイメージが湧かなかった。そして彼の咄嗟の判断により、エレノアは間一髪で蛟の強襲の一撃から逃がれている。
長らく魔法力が枯渇気味で、体調が万全じゃないとはいえ、蛟の強襲に全く反応仕切れていなかった。最高魔力だなんだといっても、運動神経は一般人とそこまで大きく変わらないのである。
「グレイ、誉め言葉は素直に受け取りなさいよ。……それにしたって水魔法まで使えるなんて。まさか他にも使えるのかしら」
「水と風だけ。さっき言った通り、光魔法はレベル1の理論は修得済みだから、いずれ使いたいなと思っているけどね。……祈りの部分が難しい。エレノアさんは流石だな」
もしやと思ったが、流石に二属性止まりのようだった。それでもかなり高いレベルの魔法を行使出来ているので大した物ではある。祈りについては多くの見習い光術師が鬼門としているので仕方ない事かもしれない。
エレノアは祈りを聖女としての日々の修練の中で自然と身に着けていた。敬虔な聖女神信仰者は祈りを問題としないケースが殆どである。
「……もし、良かったら私が祈りの真髄でもレクチャーしてあげるけど。光魔法は便利だと思うわ」
「エレノアさん。それは冗談ではなく本気と受け取っていいのかな」
グレイが真剣そうな眼差しと声色で問い返してきた。エレノアは少しの自慢を兼ねて、何気なく呟いてしまっただけで、本気で返される事を想定していなかった。
「……言っておくけど簡単ではないし、光女神の教典も手元にないわ。祈りに適した環境が整ってないと難しいと思うけど」
「なるほど。つまり環境が整った処まで付き合って貰えた上で、レクチャーしてくれるという事になるけど」
グレイは言質を取るようにエレノアに確認をしていた。
今からでも冗談と一言でもいえば終わりそうな話だったが、エレノアとしてもそうしようとは思わなかった。返されたのは予想外だったが、彼に教えたくないというわけではない。
「本気なら考えるけど。……でも、それ相応の見返りはあるのでしょうね。多少は名の知れた光術師のつもりよ。ただと言う訳はいかないわ」
「もちろんだよ。その辺りは小鬼と村の事が解決してから話し合おう」
グレイが微笑むと、身をひるがえして再び通路を歩き始めたので、エレノアは困惑した表情でその後をついていった。
(……どうしよう。話が進んでしまったけど。何処まで本気なのかしら)
エレノアは不安からか、心音が高鳴っているのを感じとっていた。
◇
一〇分ほど緩やかな下り道が続き、やがて行き止まりにぶつかった。
グレイは立ち止まり、再び合言葉を紡ぐ準備を始めた。
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微妙に台詞回しが違ったが、意味合い的には、ほぼ同じ合言葉のようだった。
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