秘密の多い私達。

堂島うり子

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第2章

隠したいもの

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 なんとなく相手の様子をうかがう。もう不機嫌ではない様子
だけどウキウキする訳でもなく淡白だ。
 落ち着いた社長のキャラで浮かれてもイメージと違うけど。

 初めて会った時は高校生で相手はもっと冷たい印象だった。
とても身内の人とは思えず話なんか絶対ムリだと絶望したのが
 今となっては懐かしい。

「よそ見ばかりすると転ぶよ」

 叔父と言っても非公式で安易に口には出せないんだけど。
 人の口に戸は立てられない訳で多少の漏れはあるとはいえ。

「嬉しいなと思って」
「そう」
「ま、まだ疑ってますか」
「いや?」

 特別な用事でもない限りは基本立入禁止の家主の部屋。
そのドアを私がゆっくりと開ける。
 日当たりは良いのにしっかり遮光カーテンで締め切られて暗い。

「わっ」
「……」

 暗い、けどそれ以上に私の目から明かりを奪うのは温かく大きな手。
 後ろからそっと肩を抱かれても居る。

「貴方の部屋に来ると何時も暗くされる。もしかして見られては
いけない危険なものを隠してますか?グラビアくらいで怒りませんよ?」

 えっちな漫画等は内容次第かな。絶対持ってないだろうけど。
 そんなものを手にしなくたってリアルの女性がほっておかない。

「隠してる」
「どういう系?一応聞きます」
「誰にも見つからないように」

 君をね。と耳元で優しく甘く囁かれる。

「……っ」

 そうだ。久しぶりで忘れてたけど、この人が本気になると甘い。
声だけじゃなくてその体全てが私を包み込むように甘くって熱くって。
 それでいて小娘にも容赦がなくネチっとしてて底がなくって。

 私このまま死ぬんじゃないかと思って遠慮したんだった。

「今何か私の機嫌を悪くしかねない事を考えてなかった?」
「い、いいえ?まさか」

 ごくりと生唾を飲む。

「行こうか」

 何か言われる度に柔らかく温かい感触が耳にあってこそばゆい。
体がぴたっとくっついたまま、後ろから動かされるように移動。
 見えないけど知っているその先はベッドしかない訳で。

  いけない行為と知りながら何度も深く唇を合わせる。

 こういうデートの締めもたまには良い、かな。

 

 そして。

 よほど怯えたように見えたのかただデートで疲れていたのか。
 私は比較的元気なうちに部屋から生還する。

「うん。わかった。ごめんね連絡遅くなって」

 自分の部屋に戻ると着信があり。仕事関係だと胃痛がするけど
飲み会をする仲間からで安心。予約をするのに私の返事を待って
くれていたようで慌てて電話した。これにて場所も時間も確定。

「ああ、詳細が決まったんだ」
「はい」

 部屋を出てリビングに入るとちょうどシャワーを浴びてきた所の社長。
もう何処へも行かないからか髪のセットをしてないいわゆる無造作な髪型。
何時も綺麗にカチっとしてる彼らしくないけど悪くはない。
 タイミングが良いので決定事項を伝えておく。

「タクシーがつかまらなくても私は迎えには行かないから。
節度を守って泥酔はしないようにね」
「お泊りするんで大丈夫ですよ」
「男も一緒に?」
「色々盛り込んだらとても終わりそうにないし、
料金も安くなるし翌日は皆休みなので丁度いいねって」
「そう」
「これって良いストレスのはけ口かも」
「……」
「一番はこうして二人で部屋にいることなんですけどね」

 お隣に座って体を相手に預けて言ってみる。

「君が居ないなら私も何処かホテルでも行こうかな」
「あの。ちょっとだけでもカンパしてくださったら私達
レンタルルームに移行できるんですが」
「どうして?君等の問題は君等で解決してくれるかな」
「ですよねー」

 とにかく。

 これでまた月曜日が来てもテンションを保っていられる。
夕飯は作るほどの気力もないので帰る途中のパン屋で買ってきた
サンドイッチと自分で淹れたコーヒーであっさりと終えた。
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