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番外編
7:とある出張した日 前編
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「出張の許可申請を通したんだけど、この社員は君だよね」
「はい。頑張って行ってきます」
「旅行じゃないんだ。会社のイメージにも係わる」
「分かってますって」
「言っている顔が遠足前日の子どもなんだけど」
「気の所為です社長」
行く予定だった人が風邪で急遽上司から出張を言い渡される。
日帰り程度の距離なら経験は何度かあったけれど、一泊するのは初めて。
ここからは遠く、でもちょうどいい感じの都会にある支社へ。
美味しいもの、綺麗な街並み、お買い物。
欲望が頭を駆け巡ってないといえば嘘になる。君にはまだ早いと
止められるのではと危惧していたけど案外すんなり許可がおりた。
これはお仕事。昼間はちゃんと支社での会議。お仕事。
なんだけど部屋に戻っての荷造りは鼻歌交じりだった。
翌日は電車に乗るために早めに部屋を出て。会社の上司に電話をして
持っていく資料や会議の内容等の最終確認。
それから遠く離れた支社へ。
行くのが自分一人だったからOKが出たのかも。もし誰か他の人。
例えば一瀬さんなんかがお目付け役で一緒に居たら。
社長はなんて言ったんだろう?仕事だからと許してくれたかな。
出張ではしゃぐ私と違い大人だからそんな公私混同はしないか。
ぼーっと座っているだけの時間が流れて気づけば爆睡。
降りる駅のアナウンスで慌てて電車から降りた。
「本日は宜しくお願いします」
「こちらこそ。さ、どうぞ中を案内しますので」
「はい」
「社長からも電話で話を伺ってましてね。実に熱心な方だ」
「そ、そうですかっ」
きちんと根回ししているのが彼らしい。の、かな。
お仕事自体は何時もと変わらない。ただ最初に自己紹介と名刺交換があるくらい。
オジサン社員からの彼氏いるの?とかかるーく聞かれて引きつった笑みで終了。
最初こそ緊張したし驚いたけれど1日はあっという間。
明日も午前中は顔を出して残り作業をする予定。
よって美味しいものを食べるなら今日の夜。
買い物なら明日の昼ダッシュで欲しい物だけ。
「飲み会に参加する前提で話を進められている…どうしよう。行くしかないか」
だから出来ればもう帰って休みたいけど。そういう空気じゃない。
仕方ないか。とスマホを手にする。
色々調べたのに、だけど今回は仕事だから。
『19時にはそっちに行けそうなんだけど、夕飯でもどうかな』
「創真さん来てくれるんですか」
『丁度事件を見てほしいと言われて行く用事があって』
「事件!……どんな」
『君には関係のない事件。それで君はどうする』
「それはもちろん彼氏さんと食事がしたい。…事件って事は刑事さんは一緒?」
『まさか』
私の心は決まった。準備を進められる前にこっちに知り合いが居て
食事の約束をしたと嘘を付き会社を出る。彼氏とデートなんでしょう?羨ましい。
と女性ベテラン社員さんはにっこり笑ってたのがちょっと怖かった。
土地勘がないから待ち合わせたのは駅。
「創真さん」
「お疲れ様。その様子だと上手くいったみたいだ」
「はい。皆さんベテラン揃いだったので教えて頂く事も多かったです」
「良い経験になったね」
「ベテラン過ぎて私の事を心配してくれて若手の社員君をひっきりなしに
紹介されましたけどね」
「彼氏居るって言わなかった?」
「経験上、女性の多い職場で彼氏居るって言うと根掘り葉掘り情報を抜かれて
最後は当たりがキツくなるので」
「……。女性は難しいね」
合流すると彼の案内で予約しているというお店へ移動する。
「はい。頑張って行ってきます」
「旅行じゃないんだ。会社のイメージにも係わる」
「分かってますって」
「言っている顔が遠足前日の子どもなんだけど」
「気の所為です社長」
行く予定だった人が風邪で急遽上司から出張を言い渡される。
日帰り程度の距離なら経験は何度かあったけれど、一泊するのは初めて。
ここからは遠く、でもちょうどいい感じの都会にある支社へ。
美味しいもの、綺麗な街並み、お買い物。
欲望が頭を駆け巡ってないといえば嘘になる。君にはまだ早いと
止められるのではと危惧していたけど案外すんなり許可がおりた。
これはお仕事。昼間はちゃんと支社での会議。お仕事。
なんだけど部屋に戻っての荷造りは鼻歌交じりだった。
翌日は電車に乗るために早めに部屋を出て。会社の上司に電話をして
持っていく資料や会議の内容等の最終確認。
それから遠く離れた支社へ。
行くのが自分一人だったからOKが出たのかも。もし誰か他の人。
例えば一瀬さんなんかがお目付け役で一緒に居たら。
社長はなんて言ったんだろう?仕事だからと許してくれたかな。
出張ではしゃぐ私と違い大人だからそんな公私混同はしないか。
ぼーっと座っているだけの時間が流れて気づけば爆睡。
降りる駅のアナウンスで慌てて電車から降りた。
「本日は宜しくお願いします」
「こちらこそ。さ、どうぞ中を案内しますので」
「はい」
「社長からも電話で話を伺ってましてね。実に熱心な方だ」
「そ、そうですかっ」
きちんと根回ししているのが彼らしい。の、かな。
お仕事自体は何時もと変わらない。ただ最初に自己紹介と名刺交換があるくらい。
オジサン社員からの彼氏いるの?とかかるーく聞かれて引きつった笑みで終了。
最初こそ緊張したし驚いたけれど1日はあっという間。
明日も午前中は顔を出して残り作業をする予定。
よって美味しいものを食べるなら今日の夜。
買い物なら明日の昼ダッシュで欲しい物だけ。
「飲み会に参加する前提で話を進められている…どうしよう。行くしかないか」
だから出来ればもう帰って休みたいけど。そういう空気じゃない。
仕方ないか。とスマホを手にする。
色々調べたのに、だけど今回は仕事だから。
『19時にはそっちに行けそうなんだけど、夕飯でもどうかな』
「創真さん来てくれるんですか」
『丁度事件を見てほしいと言われて行く用事があって』
「事件!……どんな」
『君には関係のない事件。それで君はどうする』
「それはもちろん彼氏さんと食事がしたい。…事件って事は刑事さんは一緒?」
『まさか』
私の心は決まった。準備を進められる前にこっちに知り合いが居て
食事の約束をしたと嘘を付き会社を出る。彼氏とデートなんでしょう?羨ましい。
と女性ベテラン社員さんはにっこり笑ってたのがちょっと怖かった。
土地勘がないから待ち合わせたのは駅。
「創真さん」
「お疲れ様。その様子だと上手くいったみたいだ」
「はい。皆さんベテラン揃いだったので教えて頂く事も多かったです」
「良い経験になったね」
「ベテラン過ぎて私の事を心配してくれて若手の社員君をひっきりなしに
紹介されましたけどね」
「彼氏居るって言わなかった?」
「経験上、女性の多い職場で彼氏居るって言うと根掘り葉掘り情報を抜かれて
最後は当たりがキツくなるので」
「……。女性は難しいね」
合流すると彼の案内で予約しているというお店へ移動する。
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