ぞうのさんちゃん

キノピオ

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その3

ねずみのつよしくん

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「きゃ~!!」
うさぎのはなちゃんの大きな悲鳴が小さな森に
響き渡りました。

森のみんなが急いではなちゃんのもとに駆けつけます
そこはだいすけさんのお家でした

そこには

なんとクマのだいすけさんが
家の中で倒れているではありませんか?!

さんちゃんがおそるおそる開いている窓から
長い鼻を使ってだいすけさんの様子をうかがっています

すると

「ぐうううううううう」
と大きな音が聞こえてきました

「だいすけさん!大丈夫?!」とはなちゃんが声をかけると
だいすけさんがゆっくりおきあがり、
「お腹がすいた~」と小さな声でささやきました

だいすけさんはみんなをおうちに招き入れると
ぐったりと椅子に座り込んでしまいました

聞くと、今朝からだいすけさんは何も食べてないそうです
だいすけさんの奥さん、ゆうこさんは朝から出かけたきり
戻ってきません

ねずみのつよしくんがいいました
「みんな、みて!ここにお皿が並んでる!」
だいすけさんの家の食卓には
お皿と、フォークがきれいに並べてあります
台所にはホットケーキの箱がおいてあります

「ふむふむ、ゆうこさんはだいすけさんの朝食に
ホットケーキを焼いたに違いない」つよしくんはいいました

「でも、起きたときにはお皿はからっぽで
まだ何にもたべてないんだよ~」
とだいすけさん。

「それはおかしい、じゃあ、いったい誰がだいすけさんの
ホットケーキを?」つよしくんは考えました

「だいすけさん、家の鍵はかかってましたか?」
「玄関の鍵はかかってたけど、天気が良いからか
窓はあけっぱなしだったな~」とだいすけさん

はなちゃんは「そうよ、さっき鍵がかかっていたから
さんちゃんが窓から長い鼻を使ってだいすけさんの
様子をみてたじゃない」といいました

「わかったぞ!」つよしくんは言いました
「犯人はさんちゃん!君だ!!」

「え~!!!」つよし君以外みんなびっくりです
さんちゃんはドキドキしながらつよしくんに聞きました。
「ひどいよ!つよしくん!どうして僕が犯人なんだい?!」

「そうよ!そもそも犯人って、なんの犯人なのよ!」
はなちゃんは怒ってつよしくんに詰め寄りました。

「お、落ち着いて、はなちゃん、何をかくそう、
さんちゃんが窓から長い鼻をつかって、
だいすけさんのホットケーキを食べてしまったんだ!」

「え?!ひどいわ、さんちゃん、どうしてそんな事を!」
はなちゃんはいいました
「さんちゃん、そんなにお腹がすいてたなら、
僕がいくらでもさつまいもを持ってきてあげたのに」
けんたくんも言いました。
「さんちゃんひどいよ~、もう、おじさんはお腹がぺこぺこで
怒る元気も無いよ~」だいすけさんは小さい声でつぶやきました。

「みんなひどいよ!どうして僕がそんな事するんだい?!」
さんちゃんは珍しく、顔をまっかにしてぷんぷんと怒ってしまいました。
「そもそも、朝からつよしくんとずっと一緒にお洗濯して、
朝ご飯だって一緒に食べたじゃないか!」

「あれれ?さんちゃん、ごめんごめん、そうだった、
ぼくの勘違いだったようだね、ずっと一緒にいたんだよね、
さんちゃんのアリバイは僕が保証しよう」

「ひどいわ!つよしくん、いい加減な事をいって!」
はなちゃんもむくれています。
だいすけさんはお腹がすきすぎて言葉も出ません

「わかったぞ!」つよしくんは懲りずにいいました

「犯人はけんたくん!君だ!
君は毎日サツマイモばかりの食事にうんざりして
ついつい、だいすけさんのホットケーキを食べてしまったんだね」

「なんだよ?!ひどいな、つよしくん、ぼくはホットケーキくらい
自分でやけるさ!この前の日曜日だって、
僕の焼いたマドレーヌおいしそうに食べてたじゃないか」

「そうそう、あのマドレーヌはとってもおいしかったよ!
けんたくん、またぜひごちそうになりたいな!」
とつよしくんはのんきなことを言っています。

「そうなると、残る一人は・・・・・」

「なによ!私まで犯人にするつもり?!」
「さつまいもは毎日食べたって絶対に飽きないぞ!」
「つよしくん!もういい加減にしなよ!」

みんなぷりぷり怒りだしてしまいました

「なんだよ~、みんなそんなに怒らないでよ~」
とうとうつよしくんは泣き出してしまいました。

「ただいま~」そこにだいすけさんの奥さんゆうこさんが帰ってきました

「あらあら、みんなどうしたの?そんなに真っ赤な顔をして、
お父さん、なにそんなところでねっころがってるの?
みんなにお茶くらい出したらどう?あらあらたいへん、
つよしくん泣いてるの?けんかはだめよ・・・・こんなときはね」

「お母さんおなかすいたよ~」だいすけさんがささやくと

「そうそう、みんなでおいしいものでも食べれば、
あっというまに仲直りできるわよ、
今おばさんがおいしいホットケーキ焼いてあげるからね!
今朝、ホットケーキを焼こうとしたら、卵を切らしちゃっててね、
ついつい、にわとりのけいこさんと話し込んじゃって、
こんな時間になっちゃったわ
お父さんお腹すいたでしょ、ちょっとまっててね」

ちょうど時間はお昼の12時です。

だいすけさんはホットケーキを8枚も食べました
さんちゃんはペロリと10枚も食べました
はなちゃんとけんたくんは仲良く5枚食べました
つよしくんは、なんと11枚も食べました

「泣いたらお腹がすいちゃったのね」とゆうこさんが
けらけらと笑いました。

みんなも一緒に笑いました。


おしまい
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