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いざ、学校へ。
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「…………ふぅ」
「ふふっ、そんな緊張しなくていいじゃん、ハイノ。別に、初めてってわけじゃないんでしょ?」
「……まあ、それはそうだけど……でも、今から行くところは初めてだし……」
それから、数日経て。
そう、少しからかうように言うエルナ。ぼくらが今いるのは、赤褐色の大きな建物――今日からエルナと共に通うこととなる、ギムナジウムという学校の前で。
ところで、ギムナジウムとは主に大学への進学を目指す人が通うヨーロッパの学校で、その期間は基本的に10歳から18歳まで。とあるアジアの国でたとえると、いわゆる中高一貫校に近いらしくて……うん、なんでとあるアジアの国で例えたんだろうね。
「――ぼ、ぼくはハイノといいます。よ、よろしくお願いします……」
それから、数十分後。
教室の壇上で、おどおどと自己紹介をするぼく。だけど、そんなぼくに先生も、そして生徒のみんなも暖かく拍手をしてくれて……うん、良かった。ありがとう、みんな。
その後、先生の優しい指示を受け窓際の方へと歩いていく。そして、一つだけ空いている前から四番目の席へと腰を掛け――
「ふふっ、お疲れさまハイノ。すっごく緊張してたね」
「……うん、ありがとエルナ」
すると、すぐ前の席から少しおかしそうに――それでも、柔らかな笑顔でそう口にする可憐な少女。……もしかして、先生はぼくに気を遣ってこの席を……いや、流石に偶然かな? もともとここに生徒がいたなら、無理に移動してもらうわけにもいかないし。
「――今日はどうだった、ハイノ?」
「うん、すっごく緊張はしたけど……でも、すっごく楽しかった。みんな、すっごく優しかったし」
「ふふっ、良かったねハイノ」
それから、しばらくした放課後のこと。
帰り道、軽やかな足取りで隣を歩くエルナがそう問い掛ける。……うん、ほんとに楽しかった。上手くしゃべれないぼくに、みんな気さくに話しかけてくれて……うん、ありがとうみんな。そして――
「……ありがとう、エルナ。今日、少しでもぼくがみんなとお話できたのは、エルナのお陰だから」
「……別に、わたしはなにもしてないけどね。でも、どういたしまして、ハイノ」
そう伝えると、柔らかく微笑み答えるエルナ。もちろん、みんなにも感謝している。それでも、最も感謝をすべきはやっぱりエルナしかいなくて。と言うのも、ぼくがみんなと話せるようにエルナが色々と気を遣ってくれていて……うん、ありがとうエルナ。
「……でも、授業はほとんど分からなかったな。先生にも気を遣わせちゃったし、申し訳ないなぁって」
「ううん、それはしょうがないよ。だって、ずっと学校に行ってなかったんでしょ? そんなの、ハイノが悪いんじゃないし」
「……エルナ」
その後、帰路を進みつつそう口にする。すると、優しく微笑み答えてくれるエルナ。……うん、ありがとうエルナ。
でも、授業はほんとに分からなくて。エルナの言うように、ずっと学校に行ってなかったのでそもそもぼくらくらいの歳の水準を知らないんだけど……うん、あんなに難しいんだね。……よし、頑張ろう。
……ただ、それはそれとして――
「……あのさ、エルナ。その、なんか……ううん、なんでもない」
「ふふっ、なにそれ」
自分で言って引っ込めたぼくに、おかしそうに微笑むエルナ。……まあ、そうなるよね。……ただ、それはそうと……やっぱり気のせい、かな?
「ふふっ、そんな緊張しなくていいじゃん、ハイノ。別に、初めてってわけじゃないんでしょ?」
「……まあ、それはそうだけど……でも、今から行くところは初めてだし……」
それから、数日経て。
そう、少しからかうように言うエルナ。ぼくらが今いるのは、赤褐色の大きな建物――今日からエルナと共に通うこととなる、ギムナジウムという学校の前で。
ところで、ギムナジウムとは主に大学への進学を目指す人が通うヨーロッパの学校で、その期間は基本的に10歳から18歳まで。とあるアジアの国でたとえると、いわゆる中高一貫校に近いらしくて……うん、なんでとあるアジアの国で例えたんだろうね。
「――ぼ、ぼくはハイノといいます。よ、よろしくお願いします……」
それから、数十分後。
教室の壇上で、おどおどと自己紹介をするぼく。だけど、そんなぼくに先生も、そして生徒のみんなも暖かく拍手をしてくれて……うん、良かった。ありがとう、みんな。
その後、先生の優しい指示を受け窓際の方へと歩いていく。そして、一つだけ空いている前から四番目の席へと腰を掛け――
「ふふっ、お疲れさまハイノ。すっごく緊張してたね」
「……うん、ありがとエルナ」
すると、すぐ前の席から少しおかしそうに――それでも、柔らかな笑顔でそう口にする可憐な少女。……もしかして、先生はぼくに気を遣ってこの席を……いや、流石に偶然かな? もともとここに生徒がいたなら、無理に移動してもらうわけにもいかないし。
「――今日はどうだった、ハイノ?」
「うん、すっごく緊張はしたけど……でも、すっごく楽しかった。みんな、すっごく優しかったし」
「ふふっ、良かったねハイノ」
それから、しばらくした放課後のこと。
帰り道、軽やかな足取りで隣を歩くエルナがそう問い掛ける。……うん、ほんとに楽しかった。上手くしゃべれないぼくに、みんな気さくに話しかけてくれて……うん、ありがとうみんな。そして――
「……ありがとう、エルナ。今日、少しでもぼくがみんなとお話できたのは、エルナのお陰だから」
「……別に、わたしはなにもしてないけどね。でも、どういたしまして、ハイノ」
そう伝えると、柔らかく微笑み答えるエルナ。もちろん、みんなにも感謝している。それでも、最も感謝をすべきはやっぱりエルナしかいなくて。と言うのも、ぼくがみんなと話せるようにエルナが色々と気を遣ってくれていて……うん、ありがとうエルナ。
「……でも、授業はほとんど分からなかったな。先生にも気を遣わせちゃったし、申し訳ないなぁって」
「ううん、それはしょうがないよ。だって、ずっと学校に行ってなかったんでしょ? そんなの、ハイノが悪いんじゃないし」
「……エルナ」
その後、帰路を進みつつそう口にする。すると、優しく微笑み答えてくれるエルナ。……うん、ありがとうエルナ。
でも、授業はほんとに分からなくて。エルナの言うように、ずっと学校に行ってなかったのでそもそもぼくらくらいの歳の水準を知らないんだけど……うん、あんなに難しいんだね。……よし、頑張ろう。
……ただ、それはそれとして――
「……あのさ、エルナ。その、なんか……ううん、なんでもない」
「ふふっ、なにそれ」
自分で言って引っ込めたぼくに、おかしそうに微笑むエルナ。……まあ、そうなるよね。……ただ、それはそうと……やっぱり気のせい、かな?
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