カノン

暦海

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二人は仲良し?

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「――あら、今日も仲が良いのね二人とも」
「ふふっ、そうでしょ? うらやましい? ママ」
「ふふっ、そうね。でも、わたしにはパパがいるから」


 それから、数日後の休日のこと。
 柔らかな陽が心地の好いお昼の頃、リビングにて優しく微笑み話すママ。そして、そんなママに楽しそうに答えるエルナ。本当に仲の良い家族だと、こちらまで微笑ましく……いや、この言い方はおかしいかな。ぼくだって、今は家族の一員なんだし。

 ……ただ、それはそうと……うん、ちょっと恥ずかしい。と言うのも、ついさっきまでピアノの弾いていたんだけど……まあ、例によって二人くっついて座っているわけでして。



「それにしても、本当に上手よねハイノ。実はプロだったりして」
「……へっ? あ、いやプロだなんてそんな! ……その、昔とっても優しいお師匠さまがいて、その人に教えてもらって、それで……」
「……へぇ、そうなのね。そのお師匠さまは、今どうしてるの?」
「……その、もう亡くなっちゃって……」
「……そっか。ごめんなさい、ハイノ」
「ううん、気にしないでママ」


 その後、言葉の通り申し訳なさそうに謝るママ。だけど、気にすることなんてない。むしろ、気を遣わせてしまってこちらが申し訳ないくらいで。

 ところで、今のお話だけど――昔、ぼくの家の近くにすごく優しい年配の男の人がいて、一年くらい毎日のようにその人のお家に遊びに行っていて。
 そして、その時にいつも、その人のお家のリビングにあった立派なピアノを丁寧に教えてもらいながら弾かせてもらっていて。あの時のぼくは、きっとお世辞にも幸せな境遇とは言えなかったと思うけど……それでも、彼との時間だけは幸せだったと断言できて。

 だから、お別れは悲しかった。悲しいなんて言葉じゃ全然足りないくらい、本当に悲しかった。もう、二度と会えない――そんな現実を、どうしても受け入れられなかった。いっそ、ぼくも後を追おうなんて本気で思ったりもして。……まあ、結局できなかったけど。そんなことしたら、いくら優しいあの人でも本気で怒っちゃいそうだし……それに、単純に死ぬのが怖かったから。

 ……まあ、そのわりにしばらく経ったらまた――それこそ、あの日までは死んでもいいなんて思ってたんだからやっぱり怒られちゃいそうだけど。……だけど、そんなダメなぼくを救ってくれたのは――

「……ありがとう、エルナ」
「へっ? 急にどしたの?」

 そう言うと、きょとんと首をかしげるエルナ。……まあ、そうなるよね。でも、そんな彼女に何も答えず再び鍵盤へと指をえ音をかなでる。すると、そんなぼくに少し不満そうな表情かおのエルナ。だけど、しばらくするとぼくの肩に頭を預けながら、柔らかな笑顔で演奏を聴いてくれていた。

 



 


 
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