2 / 20
提案
しおりを挟む
「――それで、聞いてくださいよ冬樹先輩。私は何度もお断りしているのに、その人ったらしつこいのなんのって。一度付き合ってみないか、それで駄目だったら振ってくれて良いからって。ですが、そもそも私、苦手なんですよね。そういう押しの強い人」
「……はは、そうなのですね」
それから、数日経て。
休憩室にて――酷くげんなりした様子で、そんな不服を洩らすミディアムショートの女子大生、藤島さん。先日と同じく、共に午後10時までの勤務だったため、こうして勤務後に二人雑談を交わしている。……まあ、僕に雑談相手が務まっているかどうかは甚だ疑問ではあるけれど。上手く話せる人なら他にいくらでもいるはずなのに、どうして僕なんかに……うん、なんだか申し訳ない。
……まあ、それはともあれ。
「……ですが、困っていらっしゃるのにこのようなことを申し上げるのもどうかとは思いますが……少し、仕方がないのかなとも思ってしまいます。藤島さん、凄く綺麗ですし」
「…………へっ?」
そう、率直な感想を伝える。すると、ポカンと口を開き声を洩らす藤島さん。……あ、しまった、僕なんかに褒められても嬉しくな……どころか、普通に気持ち悪――
「……あ、えっと、その……ありがとうございます。ですが、冬樹先輩も血色が良くないだけで、顔立ち自体は非常に端整と言いますか……」
「…………へっ?」
一人内省していると、思いがけず称賛の声が届き戸惑う僕。……いや、称賛なのかな? 血色良くないって言われてるし……まあ、それを含めても僕には十分過ぎるほど過分なお言葉だけど。
「……ところで、血色と言えば以前からずっと尋ねようと思っていたのですが……ちゃんと、栄養取ってます? 冬樹先輩」
「…………はい、もちろんですよ藤島さん」
「……今、何だか怪しい間がありましたけど?」
その後、仕切り直しとばかりにそう問い掛ける藤島さん。そして、僕の返答に彼女は言葉通り不審な目を向けて……さて、どうしたものか。ともあれ、再び口を開いて――
「……えっと、一応野菜も摂取していますよ?」
「どのくらいですか?」
「……カップ麺に入ってる野菜とか」
「それは摂取している内に入りませんね」
控えめにそう告げてみるも、あっさり駄目出しを受ける僕。……うん、流石に自分でも苦しいと思ったけど。
すると、少し間があった後、引き続き僕の瞳をじっと見つめる藤島さん。……うん、次は何を言われるのだろ――
「……でしたら、冬樹先輩。一つ、ご提案があるのですが――」
「……はは、そうなのですね」
それから、数日経て。
休憩室にて――酷くげんなりした様子で、そんな不服を洩らすミディアムショートの女子大生、藤島さん。先日と同じく、共に午後10時までの勤務だったため、こうして勤務後に二人雑談を交わしている。……まあ、僕に雑談相手が務まっているかどうかは甚だ疑問ではあるけれど。上手く話せる人なら他にいくらでもいるはずなのに、どうして僕なんかに……うん、なんだか申し訳ない。
……まあ、それはともあれ。
「……ですが、困っていらっしゃるのにこのようなことを申し上げるのもどうかとは思いますが……少し、仕方がないのかなとも思ってしまいます。藤島さん、凄く綺麗ですし」
「…………へっ?」
そう、率直な感想を伝える。すると、ポカンと口を開き声を洩らす藤島さん。……あ、しまった、僕なんかに褒められても嬉しくな……どころか、普通に気持ち悪――
「……あ、えっと、その……ありがとうございます。ですが、冬樹先輩も血色が良くないだけで、顔立ち自体は非常に端整と言いますか……」
「…………へっ?」
一人内省していると、思いがけず称賛の声が届き戸惑う僕。……いや、称賛なのかな? 血色良くないって言われてるし……まあ、それを含めても僕には十分過ぎるほど過分なお言葉だけど。
「……ところで、血色と言えば以前からずっと尋ねようと思っていたのですが……ちゃんと、栄養取ってます? 冬樹先輩」
「…………はい、もちろんですよ藤島さん」
「……今、何だか怪しい間がありましたけど?」
その後、仕切り直しとばかりにそう問い掛ける藤島さん。そして、僕の返答に彼女は言葉通り不審な目を向けて……さて、どうしたものか。ともあれ、再び口を開いて――
「……えっと、一応野菜も摂取していますよ?」
「どのくらいですか?」
「……カップ麺に入ってる野菜とか」
「それは摂取している内に入りませんね」
控えめにそう告げてみるも、あっさり駄目出しを受ける僕。……うん、流石に自分でも苦しいと思ったけど。
すると、少し間があった後、引き続き僕の瞳をじっと見つめる藤島さん。……うん、次は何を言われるのだろ――
「……でしたら、冬樹先輩。一つ、ご提案があるのですが――」
0
あなたにおすすめの小説
明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。
四季
恋愛
明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる