7 / 14
悪魔の選択
サーシャと私
しおりを挟む
「――ねえ、サーシャ。今日は何にする?」
「……うーん、そうだね。質の良い野菜もたくさん手に入ったことだし、ポトフなんてどうかな?」
「うん、賛成! いまから楽しみっ」
色とりどりの風車が並ぶ、緑豊かな街の中。
鮮やかな朱に染まる空の下を、和やかなやり取りを交わし歩んでいく私達。すぐ隣にて穏やかな微笑を湛える彼はサーシャ――あの日、私を助けてくれたあの端整な男性で。
あれから、およそ七年――私は、14の歳を迎えた。
あれから、サーシャと私はあの村を離れ少し遠くのこの街へと移転した。予てから、この街に住むつもりだったから――そう、彼は話していた。
ひょっとすると、それは一定の事実を含んでいたのかもしれない。それでも……まあ、流石に察せないはずもなかった。それが、もはやあの村に居場所などなかった私のための選択だったということは。
それからも、サーシャはずっと優しかった。あれからも、辛い時、苦しい時はあったけど……それでも、あれから死にたいと思うことはただの一度もなかった。だって……私の傍にはいつも彼がいてくれて、暖かく寄り添い支えてくれたから。……だから、
「……セリア?」
ふと、不思議そうに呟くサーシャ。不意に、私が彼の腕を引き寄せ絡ませたから。……うん、分かってるよ。きっと、届かないってことくらい。それでも――
――それから、ほどなくだった。卒然、あの人が現れたのは。
「――あの、セリアちゃん。やっぱり、私のこと避けてる?」
「……いえ、そんなことは」
それから、数ヶ月ほど経て。
リビングにて、少し浮かない表情で尋ねる優美な女性にたどたどしく答える私。一応、こちらとしても気をつけてはいるんだけど……うん、やっぱりごまかし切れないようで。
私がドローテさんと知り合ったのは、およそ二週間ほど前。突然、サーシャから彼女を紹介されて。一ヶ月ほど前に知り合い、昨日お付き合いすることになった女性――突然、そんな紹介をされて。
年齢は19とのことで、即ちサーシャとは一回りほども離れているわけだけど……まあ、年齢に関しては何ら疑念はない。サーシャは、実年齢より随分と若く――それこそ、20代前半くらいに見えたりするし……そもそも、恋愛に年齢なんて関係ないし。
なので、年齢に関しては何ら疑念もない。ないのだけど……ただ、ドローテさんがどうというわけでなく……ただ、こんな短期間でサーシャが交際を決意したというのが、どうにも違和感を覚えてならない。私が、戸惑う彼にしつこいくらい積極的にアプローチをした――ドローテさんはそのように話していたけど……でも、それにしても――
――ただ、次第に分かった。サーシャは、他ならぬ私のためにこの交際を受け入れたのだと。
「……うーん、そうだね。質の良い野菜もたくさん手に入ったことだし、ポトフなんてどうかな?」
「うん、賛成! いまから楽しみっ」
色とりどりの風車が並ぶ、緑豊かな街の中。
鮮やかな朱に染まる空の下を、和やかなやり取りを交わし歩んでいく私達。すぐ隣にて穏やかな微笑を湛える彼はサーシャ――あの日、私を助けてくれたあの端整な男性で。
あれから、およそ七年――私は、14の歳を迎えた。
あれから、サーシャと私はあの村を離れ少し遠くのこの街へと移転した。予てから、この街に住むつもりだったから――そう、彼は話していた。
ひょっとすると、それは一定の事実を含んでいたのかもしれない。それでも……まあ、流石に察せないはずもなかった。それが、もはやあの村に居場所などなかった私のための選択だったということは。
それからも、サーシャはずっと優しかった。あれからも、辛い時、苦しい時はあったけど……それでも、あれから死にたいと思うことはただの一度もなかった。だって……私の傍にはいつも彼がいてくれて、暖かく寄り添い支えてくれたから。……だから、
「……セリア?」
ふと、不思議そうに呟くサーシャ。不意に、私が彼の腕を引き寄せ絡ませたから。……うん、分かってるよ。きっと、届かないってことくらい。それでも――
――それから、ほどなくだった。卒然、あの人が現れたのは。
「――あの、セリアちゃん。やっぱり、私のこと避けてる?」
「……いえ、そんなことは」
それから、数ヶ月ほど経て。
リビングにて、少し浮かない表情で尋ねる優美な女性にたどたどしく答える私。一応、こちらとしても気をつけてはいるんだけど……うん、やっぱりごまかし切れないようで。
私がドローテさんと知り合ったのは、およそ二週間ほど前。突然、サーシャから彼女を紹介されて。一ヶ月ほど前に知り合い、昨日お付き合いすることになった女性――突然、そんな紹介をされて。
年齢は19とのことで、即ちサーシャとは一回りほども離れているわけだけど……まあ、年齢に関しては何ら疑念はない。サーシャは、実年齢より随分と若く――それこそ、20代前半くらいに見えたりするし……そもそも、恋愛に年齢なんて関係ないし。
なので、年齢に関しては何ら疑念もない。ないのだけど……ただ、ドローテさんがどうというわけでなく……ただ、こんな短期間でサーシャが交際を決意したというのが、どうにも違和感を覚えてならない。私が、戸惑う彼にしつこいくらい積極的にアプローチをした――ドローテさんはそのように話していたけど……でも、それにしても――
――ただ、次第に分かった。サーシャは、他ならぬ私のためにこの交際を受け入れたのだと。
0
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
密会~合コン相手はドS社長~
日下奈緒
恋愛
デザイナーとして働く冬佳は、社長である綾斗にこっぴどくしばかれる毎日。そんな中、合コンに行った冬佳の前の席に座ったのは、誰でもない綾斗。誰かどうにかして。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる