どういうわけか源氏物語の世界に迷い込んだ私ですが……とにかく、幸せになるべく奮闘します!

暦海

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分かってはいるけども

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「……いつの間にか、でしょうか? もう四ヶ月も前のことですが、宮さまはご存知でな――」
「ああううん、知ってる知ってる!! いやーチョー悲しかったよねあの時!!」
「全くそのように見受けられませんが!?」

 そう、ありありと疑問を浮かべ尋ねる惟光これみつに少し狼狽えつつ答える私。ふぅ、なんとか誤魔化せ……てねえなこれ。

 ともあれ……うん、ほんと驚いたよ。本作において結構――とりわけ、主人公たるげんちゃんにとり結構な重要人物だったと思うんだけど、夕顔ゆうがお。そんな彼女が、よもや存ぜぬ間に帰らぬ人となっていようとは……いや、まあ私にどうにか出来たとも思えないけど。


 ところで……一応言っておくと、私とて何もしなかったわけじゃないんだよ? 一応、夕顔の死を回避すべく私なりに行動を起こした。具体的には……うん、甚だ心苦しくはあったけど……彼女の下へ赴き、源氏げんじきみは如何に極悪非道であるか、それゆえ決して彼と関わってはいけないと懇々とさとしたわけで。だけど――


『――極悪非道、ですか。……ふふっ、なかなかに興味深いではありませんか』


 そう、不敵さえ窺える微笑で告げる。……あれ、そんなキャラだっけ夕顔さん。藤壺ふじつぼさんびっくりしちゃったよ。


 ともあれ、そういうわけで計画は失敗――繰り返しになるけど、いつの間にやら夕顔は……うん、ほんと現実感ないなぁ。

 だけど、過ぎてしまったことは仕方がない。いやほんとに仕方がない。それでも……だからこそ、今ここにいる理由にも繋がって。

 ……うーん、でもなぁ。いや、悪い人じゃない。悪い人じゃないんだけども、その――

「……あの、みやさま。僭越ながら、流石にここで引き返すという選択肢は存在しないかと。何やら、見苦しくも時間稼ぎなどなさっていたようですが」
「うん、もはや隠す気もないよね、本音」

 逡巡の最中さなか、何とも明け透けに意見を宣う惟光。……いや、分かってるよ。分かってるけどさ……ちょっと怖いんだもん、六条ろくじょうさん。





 
 
 
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