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考え直すはずだよね?
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「……あの、どうしたんだい紫の君。いや、そう言ってくれるのは嬉しい、本当に嬉しいのだけど……だけど、ここ最近はそんなふうに甘えることはなかったから、少し驚いてしまってね」
徐に部屋を去ろうとする彼の裾をそっと掴みつつ、上目遣いで引き留める私。すると、言葉通り頗る嬉しそうにしつつも困惑を浮かべる源ちゃん。まあ、この頃にはもうわりと落ち着いてたからね、紫の上。
ともあれ……うん、別にたいそうな策とか必要ないよね? だって、何と言っても私はあの紫の上――源氏の君にとり、藤壺と並ぶ最愛の女性なのだから。今だって、たいそう困りつつも随分と嬉しそうに……いや、にしても嬉しそう過ぎるでしょ。自分で言っといてだけどちょっと引くわ。
「……いや、しかし……だが……」
すると、尚も逡巡した様子の源ちゃん。一定の効果は見られたものの、もう一押しくらいは必要か。そういうわけで――ぎゅっと裾を掴む手に力を入れ、花も恥じらう可憐な笑顔で言った。
「――私とその女、どっちが大事なの?」
「どこで覚えたのそんな台詞!?」
何とも可愛らしく問うた私に、たいそう衝撃の表情を浮かべる源ちゃん。ん、そんなに驚くことかな? わりと定番の台詞だと思うんだけど。
まあ、それはともあれ……うん、いくら源ちゃんでも流石にこう言われてしまえば――
「――聞いておくれ、紫の君。私は、貴女のことを誰よりも愛している。永遠の――いや、来世の愛すらもここに誓おう。そして、その愛情と言ったら彼の須弥山を支うる大海よりも深く――」
うんうん、なんかよく分かんないけどすっごい愛してくれてるんだねっ。
「――そして、だからこそ私は行かねばならない。何故なら……私が訪れないことで他の女性の恨みを買うようなこととなれば、きっと貴女との今後にも支障が生じてしまうからね」
そうそう、だからこそ行かねばなら……ん?
「――こうして貴女をおいていくことは、私も甚だ心苦しい……だけど、これも全ては貴女を一番に想ってこそのこと……では!」
「いやちょっと待てぃ!!」
いやちょっと待てぃ!! 永遠の愛を誓いながらさらっと他の女のとこ行くんじゃない!! そんな軽薄な子に育てた覚えは……いや、別に育ててないけども。
……まあ、それはともあれ……うん、まあそんなに焦んなくても大丈夫かな。確か、あれはまだまだ未来のはずだし。
徐に部屋を去ろうとする彼の裾をそっと掴みつつ、上目遣いで引き留める私。すると、言葉通り頗る嬉しそうにしつつも困惑を浮かべる源ちゃん。まあ、この頃にはもうわりと落ち着いてたからね、紫の上。
ともあれ……うん、別にたいそうな策とか必要ないよね? だって、何と言っても私はあの紫の上――源氏の君にとり、藤壺と並ぶ最愛の女性なのだから。今だって、たいそう困りつつも随分と嬉しそうに……いや、にしても嬉しそう過ぎるでしょ。自分で言っといてだけどちょっと引くわ。
「……いや、しかし……だが……」
すると、尚も逡巡した様子の源ちゃん。一定の効果は見られたものの、もう一押しくらいは必要か。そういうわけで――ぎゅっと裾を掴む手に力を入れ、花も恥じらう可憐な笑顔で言った。
「――私とその女、どっちが大事なの?」
「どこで覚えたのそんな台詞!?」
何とも可愛らしく問うた私に、たいそう衝撃の表情を浮かべる源ちゃん。ん、そんなに驚くことかな? わりと定番の台詞だと思うんだけど。
まあ、それはともあれ……うん、いくら源ちゃんでも流石にこう言われてしまえば――
「――聞いておくれ、紫の君。私は、貴女のことを誰よりも愛している。永遠の――いや、来世の愛すらもここに誓おう。そして、その愛情と言ったら彼の須弥山を支うる大海よりも深く――」
うんうん、なんかよく分かんないけどすっごい愛してくれてるんだねっ。
「――そして、だからこそ私は行かねばならない。何故なら……私が訪れないことで他の女性の恨みを買うようなこととなれば、きっと貴女との今後にも支障が生じてしまうからね」
そうそう、だからこそ行かねばなら……ん?
「――こうして貴女をおいていくことは、私も甚だ心苦しい……だけど、これも全ては貴女を一番に想ってこそのこと……では!」
「いやちょっと待てぃ!!」
いやちょっと待てぃ!! 永遠の愛を誓いながらさらっと他の女のとこ行くんじゃない!! そんな軽薄な子に育てた覚えは……いや、別に育ててないけども。
……まあ、それはともあれ……うん、まあそんなに焦んなくても大丈夫かな。確か、あれはまだまだ未来のはずだし。
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