玲瓏たる月の下、命懸けの恋を貴方と

暦海

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至って普通?

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「……ふふっ、やっぱり人気だね深影みかげさん」
「……人気、なのでしょうか? ……ただ、いずれにせよ騙している気がして何とも申し訳なく……」
「……まあ、それは仕方ないよ。でも、みんな気にしないと思うよ? そもそも、私達だけじゃないんだし」
「……まあ、それはそうですけど」


 それから、数十分ほど経て。
 そんなやり取りを交わしながら、情緒溢れる町の中を歩いていく。吉原あそこみたく華やかじゃないけれど、むしろそれが良い。そもそも、ああいう場所はこんな冴えない私には……いや、駄目だ。こんなこと言ったら、あの大好きな恩人に申し訳ないにもほどがあって。

 ともあれ、何のお話かと言うと――女性に扮した深影さんが、道行く方々――主に男性方々から大いに人気を博しているということで。
 

 ところで、私達だけじゃないとは異性装いせいそう――即ち、男装や女装といった自身とは異なる性別に扮している人がそれなりにいるということ。

 と言うのも――歌舞伎などの異なる性別に扮した芝居が人気を博している影響もあってか、もはや男装や女装は一つの文化のようになっていて。ちなみに、吉原でも『吉原よしわらにわか』という男装での即興芝居が大いに人気があって……うん、すごかったなぁあれは。

 ともあれ、そういうわけで私達のような存在は決して異質ではな……いや、そうでもないか。きっと私達くらいだろうし、こんなに不自然に着込んでるの。




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