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10-03 強欲**
しおりを挟む苦しそうにルザは眉根を寄せる。ぐいっと更に身を乗り出して、トコエに触れるだけの口付けをした。
「……、トコエの全てが欲しい」
「全て?」
「そう、全部、君の愛も、心も、身体も、君から与えられるもの全て、欲しい」
触れていた彼の男根がぐちゅっと中に押し入ってくる。既に震えるほどの快楽に、トコエは熱い吐息が漏れてしまう。
「僕に、僕だけに頂戴。愛して、トコエ、僕だけを好きだって言って、愛してるって……っ」
「ん、ぁあっ」
一気に奥まで押し込まれたそれは完全に彼女の中に収まる。何回も、何十回も身体を重ねたそこは、彼の形を覚え込んでいた。
ずぷずぷと音を立てて激しく混ざり合う。一番嵩のある場所が中を滅茶苦茶に引っ掻いて、それがとびそうなほど気持ちがいい。
「すきっ、トコエ、僕のこと好きだよねっ、だってこんなに、セックスして、僕のおちんちんこんなに咥えて、良がって……、んっ、何回中出ししたか、覚えてないもんね……?」
「あ、んぁっ、う、うんっ、んんっ」
「はぁっ、きもちいいっ、僕に身体、触らせて、ん、触って欲しいんだよね、僕といっぱい、セックスしたいんだよねっ」
「あうっ、おくすごいっ、あぁっ、もっとほしい、ルザ……っ」
「はぁあっ、好きだよ、トコエっ、いっぱいいこうね、僕と、うっ、僕の精子、いっぱいあげるっ、妊娠するまでしよう、トコエが孕むまで……」
彼がその想像をしたからかぐっと中の圧迫感が増す。執拗に胎の口を狙い、早く種をばら撒こうとがんがん押し込む。
「あぁぅっ、あ、んっ、あぁっ」
「はは、トコエも欲しいよねっ、赤ちゃん、んぅ、だってこんなにっ、吸い付いて……っ、僕の精液欲しいって、おねだりしてるっ、かわいいっ、かわいいね……っ」
彼の男根に絡みつくそれは容赦なく締め付けてくる。射精を請うかのような収縮に腰が蕩けそうで、同時に感じる蹂躙される肉の喜びにも、動きを止めることができない。
ぱんぱんと肌をぶつけ合って、早く出したい、けれどまだこうしていたいと、二律背反の衝動に翻弄される。それほどまでに気持ち良くて、感情が昂ったまま戻ってこられない。
「ほらっ、出すよっ、トコエの中に、子宮の中、僕のザーメンでいっぱいに……!」
「あっん、くる、ぁあっ、いく、いくっ!」
「く、うぁ……っ」
ぎゅうっと奥まで自身を押し込み、搾り取られるままに精を吐き出す。勢い良く飲み干すような中の収縮が愛おしくて、ルザは堪らず細かく腰を揺らして精を吐き出し切る。
「もっと、もっと絞り出して、僕の全部、全部トコエの中に出しちゃうから……」
「はぁ、う、んぁ、るざ、あぁっ、きもち、いい」
「ふふ、はぁっ、こうして、んっ、おちんちんで奥、がんがんされるの、好きだよね、嬉しそうに絡み付いて、全然離れないよ」
素早く昂った自身をまた埋めて、彼女に愛でられようと激しく奥を侵していく。
「うぅ、好き、トコエっんん、もっと名前呼んで、頭撫でてっ、ぎゅってして……!」
言われるままに頭を撫でてやり、彼の背にきつく腕を回す。身体をぴったりと合わせて、下半身だけがくっついては離れてを繰り返す。男根を完全に飲み込み、下生えが触れ合うほどに、どろどろに溶け合った精と愛液がぴちゃぴちゃと音を立てる。
「んぁ、るざ、うぁっ、あんっ、ルザ、んんっ」
足が彼の腰に絡みつく。物欲しそうに股を開いて、そんなはしたない姿さえもどうでもよく思えた。ぐらぐらと繋がったままの腰が揺れて、小刻みに胎の口を押し上げるように刺激される。子種を吸い上げるように吸い付くそこに、彼は我慢することなく蕩けた声を漏らした。
「トコエっ、ん、んんっ」
かぷりと口を噛まれるように荒々しい口付けが降ってくる。一心不乱に舌が絡み合って、射精の準備をするかのように繋がっている場所に集中する。ちゅくちゅくと口元から、じゅぷじゅぷと下半身から二つの音が混ざり合って、鼓膜までも情事の気配で侵されていく。
「んぅ、んぁっあ、っは、んんっ、ぁああっ……!」
酸欠のように茫然とした頭が、ただ激しいほどの快楽を受けて揺さぶられる。目の前がチカチカして、全身が気持ち良さに浸って、なのにはっきりと胎に吐き出される熱を感じる。
どくどくと、粘性のあるそれが胎を満たす。その悦びに震えて、何度も膣は彼の剛直を愛撫する。
もっと吐き出して。もっと侵して。もっと満たして。
子を孕むまで、と。
舌が離れて、それと同時に男根もずるりと抜かれる。まっさらな思考でルザを見つめていれば、優しく身体をうつ伏せにひっくり返される。ぐっと腰を持ち上げられ、トコエは次に起こることを想像してきゅうっと中が締まるのを感じた。
ずぷずぷと呑み込む。咥えこむ。そして離さぬようにときゅうきゅう絡みつく。
「う、きつい、まだこんなに締め付けて……っ」
「あぁう、また、はいってくる、あっ、はやいぃっ、もう、がんがんしたら、あんっ」
挿入されすぐさま暴れる熱にトコエはだらしなく喘ぎ続ける。口から涎が垂れて、シーツを弱々しく掴みながら揺れる身体を支える。
上反りのそれが正常位とは別の場所を抉り、ゾクゾクとした快感を駆け巡らせていく。それが苦しいほどに気持ちいい。
「んっ、トコエのおしり、かわいいね、はぁ……っ、ここの初めて、欲しいなぁ……!」
「うぅっ、だめ、おしりはだめっ、ぁあっ、んぁ、こっちがいいのっ、もっとおく、いっぱいついてほしいの……っ」
「んん、確かにまぁ、慣れるまで大変だけど……」
指先ですりすりと後穴をなぞりながら、ルザは恋しそうに言う。
「どっちも、僕とのセックスなら、はぁっ、同じくらいきもちいいよっ、うんっ、僕とのセックスだからっ、こんなにきもちいいんだよ……?」
「ん、んぅっ、ひゃ、んんっ!」
「でも、ここに出さないと、赤ちゃんできないからねっ、子作りしよう、トコエ……!」
熱の入ったルザの腰使いに合わせて、ぐっと更に腰が持ち上げられる。膝でなく爪先でバランスを取ろうにもできず、彼にされるがまま剛直を受け入れる他なくなってしまう。
「だめっ、おろして、あぅっ、あぁっ、おくはいっちゃうっ、あっ、んぁあっ」
「すごいっ、トコエ、きもちいよっ、あっ、ははっ、溶ける、トコエの中に溶けちゃう……」
がつがつと貪欲な挿入は止むことなく、更に腰を抱え込むように激しくなっていく。腰だけははっきりと動きながらも、ゆっくりと体勢が崩れる。彼女の背に頬を寄せ、ルザは薄い肉のついたそこを舐めながら限界に震える。
「あぁっ、うぅっ、すごいっ、んぁあ……っ、だめぇ、おかしくなる……っ」
びくびくと身体を震わせ、重なる快楽に蕩ける。頭がくらくらして、これ以上したら壊れてしまうのではないかと思った。
「トコエ、大好きだよ……」
ぐっと腰がくっついたかと思えばそのまま強く抱きしめられる。擦り寄ってきた頭を撫でてやれば、視界の隅で幸せそうに笑うその顔が映った。
汗ばんだ身体が重なる。また硬くなった男根がぐりぐりと奥に擦り付けられる。まだまだ激しい快楽を伴う性交は終わる気配がなく、ルザの精が尽き果てるのをすぐそばで待ち続ける。
「好きっ、トコエ、ずっとそばにいて、僕の、どこにもいかないでっ、ずっと一緒に……!」
また正面から抱き合って絡み合う。縋るように愛を叫ぶその瞳が、どこかで見たことのある色をしていた。
「僕にはもう、トコエしかいないから、離れたくない、もうあんな寂しい思いをするのは嫌だ……」
孤独に怯え、涙を浮かべて、自分を掴んで離さない手の温度は、いつしか自分の手の中にあったような気がした。
「んぅ、ルザ、あっ、んんっ、るざっ、おいで……っ」
両手を広げればぎゅうっと抱きしめられる。
あの子は、こんなに大きく無かった気がする。自分をこんなに覆えるほど抱きしめられるなんて、そんなことできなかったはず。
……あの子とは、誰だっただろうか。
「とこえっ、そばにいて……」
――どこにもいかないで……
頭に響く知らない声に、どこか懐かしさが蘇る。それと同時に後悔と、歪な執着心も。
「あいして、トコエ」
――愛してるよ、ルザ
何か思い出せそうだった。けれどその時には、それが何なのかは分からなかった。
ただ泣きながら自分を抱くルザを慰めるように、その身を差し出す。何度もキスをして、頭を撫でて、名前を呼んで、強く強く抱きしめた。
「んっ、いく、とこえ、トコエっ……!」
「あぁあっ……!」
びゅくびゅくと白濁を胎に注ぎ込むまま、ルザは目を閉じる。薄い彼女の胸元に縋って、寝言とも呼べるような朧な言葉で、彼女の名前を呼ぶ。
「……ルザ」
寝息が胸元にかかってくすぐったい。中に自身を入れたまま眠りに落ちた彼の頭を撫でて、ゆっくりと身体を横に倒してやる。抱え込むように抱きしめてやれば、反射なのか彼のしなやかな両腕も絡みつくように背に回される。
すりすりと頬を何度も寄せる彼の目元を指で優しく擦る。涙を拭うように。
「ルザ、きみを……あいしてる」
トコエの告白は彼に届くことなく、空虚な部屋に沈んでいく。
子供のように甘える彼の姿に何かを感じながらも、彼女もまたそっと瞳を閉じた。
10 想えば想わるる 了
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