『上条樹短編集』電車の通勤、通学の途中、短時間で読める作品を集めてみました。

上条 樹

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初恋の君……、俺のリベンジ物語

初恋の君……、俺のリベンジ物語 ⑬

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 すべての授業とカリキュラムが終了してから学校を後にして駅に向かった。生川に一緒に帰ろうと言われたが用事があるのでということでそれは辞退した。待ち合わせの場所に着くと既にそのには昌子と恵の姿があった。

「遅いぞ」昌子が腕組みをして仁王立ちしている。ただその顔は賑やかに笑っている。その横ではちょっと視線を反らして宙を見つめる恵の姿があった。

「ゴメン、急いで来たんだけど」やっぱり俺が謝る事になってしまう。

「そんなに待ってないよ……」恵が小さな声を出した。

「ありがとう」何故か俺はお礼を言ってしまった。自分でも意味がよく解らなかった。

「昌子ちゃん、早く行こう」恵は少し赤くなった頬を誤魔化すように後ろを向いた。

「そうだね。行こうか」昌子は先頭を切って歩いていく。その後ろを俺達は着いていった。
 目的地の映画館の場所に着くと地下に下りる。特設会場にホラー映画をモチーフしたお化け屋敷が催されていた。そこそこの行列が出来ていて人気があるようである。列の一番後ろに並び順番を待つ。

「山本はこういうの平気な方なの?」昌子が長い髪を押さえながら頭を傾げて聞いてくる。

「ああ、本当のお化けは駄目だけどこういう作り物は平気だよ」本当のお化けなど見たことは無いが出てきたらそれは怖いというか恐ろしい。何にしても本物は怖いものだ。だから本当に怖いジェットコースターとかに乗るのは絶対に嫌だ。

「恵はこういうの苦手なほうだよね」昌子は恵の方を見る。心持ち顔が引きつっているように見える。

「わ、私だって平気よ。本物じゃないんだから、本物じゃ……」こんなに怖いのによく来たものだと感心するような呆れるような。

 俺達の順番が回ってきた。会場の奥から女性の悲鳴が聞こえる。そんなに驚く仕掛けがあるのだと思うと少しワクワクしてきた。
 通路の中を進むと黒く長い布が天井からぶら下げられておりそこを境に真っ暗になった。

「きゃ!」悲鳴をあげたのは恵であった。いやいや暗くなっただけでまだ何もでてねえし。と、いきなり反対側の腕を昌子が掴んでくる。

「な、なんなんだお前、お化け屋敷は平気じゃなかったのか?」そういえば昌子がお化け屋敷が怖いのかどうかを聞いていなかった。まあ誘ってきた張本人なのでそこまで怖くないだろうと勝手に決めていた。

「い、いや本当の事を云うとお化け屋敷って滅茶苦茶苦手なのよ……」昌子はいつもとは全く違う弱々しい声で囁くように呟いた。

「いや、誘ったのはお前だろ?なんでまた」

「いやー!」今度は恵が俺の腕にしがみついてくる。どうやら恵の歩いている側に仕掛けがしてあってそれを見て驚いたようだ。

「きゃー!!」今度は昌子の悲鳴が聞こえる。だんだんと二人に挟まれてハンバーガーのミートのようになってきた。本来は喜ぶべき所なのだろうが圧迫感が半端ない。

「いや~ん!」「山本、助けて~!」えらい騒ぎだ。きっと外にいる人たちにもいい宣伝になることであろう。俺の体は緊張してろくにお化け屋敷の仕掛けを見る余裕がなかった。
 しばらく歩くと出口に近づいて来た。少し安堵のため息ををついた瞬間横からお化けの装束をした女が飛び出してきた。

「きゃあああ!!」「ぎょえええ!!」恵は兎に角、昌子の悲鳴にこちらがおどろいた。「ああ、楽しかった」昌子は額の汗を軽く拭いながら呟いた。
 恵は俺の顔を見て一瞬安堵の笑みを見せたがすぐに真顔に戻ると俺の腕を離した。その顔が赤くなったのを俺は見逃さなかった。
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