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ラージのコーラ
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バスを乗り継ぎ目的の場所に到着。
デラックスプール。
入場料金が高くて、高校生である俺達の財布事情ではなかなか入場する機会に恵まれない場所である。どちらかというと家族連れとか、少し見栄を張ったカップルが多いイメージがある。
俺も正直言うとこの場所を訪れるのは数年ぶりであった。
「はい、光君の分のチケットね」言いながら友伽里はチケットを一枚差し出した。
「サンキュー」それを受け取り入場口のゲートをくぐる。係員のおばさんが半券を千切ってチケットを返してれる。
そのチケットをポケットの中に捻り入れると更衣室に向かう。
「着替えたら、あの時計の下で待ち合わせしよ」友伽里は大きく手を振りながら消えていった。無邪気な奴だと思いながら俺は浮袋を口に銜えるとテンション高めに空気を入れた。
水着に着替えてパーカーを羽織る。あまり肩を焼きすぎると明日地獄を見ることになる。
「お待たせ......、どうかな?」友伽里は後ろに手を組みモジモジしている。どうやらこの日の為に水着を新調したようだ。
黄色いフリルビキニ、若干コンプレックスのある部分を隠しているようであった。
「ん、なにが?」俺には、彼女の言わんとしている事が理解できない。
「水着!水着よ!新しいの買ったのよ」友伽里は少し顔を赤く染めて怒っているようであった。
「あっ、水着か。スクール水着のほうが早く泳げるんじゃないか?」顎に手をやり名探偵ばりに考察してみる。
「どりゃー!」友伽里は俺の腿に強烈な下段回し蹴りをお見舞いした。思いのほか、良い角度で入ったようで俺は痛みに顔を歪めながら、そのまま勢いでプールの中に落ちた。
「なにするんだよ!」俺は右手で拳を振り上げて激しく抗議した。
「うるさいアホ!このボケ!おたんこなす!」友伽里は怒りを露わにし、傍らにあった浮き輪を俺に向かって投げつけると大股で歩いていった。
「やだねー、やだやだ狂暴な女は……」俺は、浮き輪に上半身を乗せると、スイスイと泳いでいった。
時計の針が午後三時を指す。
「光くーん、何か食べる?」何事も無かったかのように友伽里は声をかけてくる。彼女にとって先ほどのようなやり取りは日常茶飯事でいちいち気にしていては、俺とは付き合ってられないというところであろう。
「おー、ちょうど腹が減ったところ、ホットドックとかいいね」俺が指さした先には、出店があった。そこにはホットドッグと書いた看板があり、少しの列が出来ていた。
「私、買ってくるわ」彼女は俺が指定した店に向かって歩いていった。
「後で金払うよ、俺は席確保しとくわ」水辺から上がりフードコートに移動する。皆考える事は同じのようで、なかなか空いている席が見つからなかった。俺は右手で庇を作り辺りを見回す。ちょうど近くに二人掛けの席が空いたのでそこに腰掛ける。椅子の後ろ脚に体重をかけてバランスを取って倒れないようにして暇をつぶしていた。
「あっ、おにいたんだ!」聞き覚えのある幼児の声がした。唐突に声をかけられて俺は後ろに倒れそうになった。
「えっ、あっ、ひなちゃん......だっけ?」声の主はあの転校生の娘だった。
「そだよ!ひなこだよ」幼女が言いながら可愛く首を傾げた。日射病対策であろうか、頭には小さくて可愛らしい麦わら帽子をかぶっている。
「ひな!」後方から少女を呼ぶ声がする。俺は期待を込めて声の主を探す。
「あっ、ママ」少女は声の主に返答している様子であった。振り返ると、あの転校生 渡辺穂乃果が少し慌てたような顔をして走ってくる。俺はその揺れる髪、胸、白い肌、露出された四肢の美しさに見惚れてしまっていた。
「こら、ひな!一人でウロチョロしてはダメって言ってるでしょ!すいません.......あっ、あなた?」彼女は、俺の顔を見て驚いたようであった。もちろん俺も驚いている。
「や、やあ」俺は自分でも解らないがなぜか余所余所しい感じであいさつをしてしまった。
「こんにちは、偶然ですね」穂乃果はしゃがんでから、ひなの体を抱き上げた。少女は嬉しそうに微笑んでいる。
「あっ、そうだね......、偶然だね......」俺は、なにかを言おうと考えてはみたが、何も思い浮かばなかった。
「一人?じゃないよね」穂乃果の言葉を待っていたかのように、友伽里が姿を現した。その両手にはそれぞれ、ホットドッグが握られていた。
「あ、ああ」俺はなぜか、拙い所でも見られたように言葉を発してしまった。その態度が気に入らなかったのか、友伽里の表情が曇る。
「お邪魔してごめんね、ひな、パパの所に行こう」穂乃果は、軽く会釈をしてからその場から姿を消した。彼女がいなくなったのを見計らってから友伽里は、俺の確保した席に、ドカッと座った。そしておもむろに、自分が買ってきたホットドックを口に運んだ。
「え、えっと、俺、飲み物買ってくるわ。コーラでいいか?」俺は恐る恐る聞きながら席を立った。
「ラージでね!」なぜか友伽里は、怒りに満ちた目で俺の顔を睨みつけたのであった。
デラックスプール。
入場料金が高くて、高校生である俺達の財布事情ではなかなか入場する機会に恵まれない場所である。どちらかというと家族連れとか、少し見栄を張ったカップルが多いイメージがある。
俺も正直言うとこの場所を訪れるのは数年ぶりであった。
「はい、光君の分のチケットね」言いながら友伽里はチケットを一枚差し出した。
「サンキュー」それを受け取り入場口のゲートをくぐる。係員のおばさんが半券を千切ってチケットを返してれる。
そのチケットをポケットの中に捻り入れると更衣室に向かう。
「着替えたら、あの時計の下で待ち合わせしよ」友伽里は大きく手を振りながら消えていった。無邪気な奴だと思いながら俺は浮袋を口に銜えるとテンション高めに空気を入れた。
水着に着替えてパーカーを羽織る。あまり肩を焼きすぎると明日地獄を見ることになる。
「お待たせ......、どうかな?」友伽里は後ろに手を組みモジモジしている。どうやらこの日の為に水着を新調したようだ。
黄色いフリルビキニ、若干コンプレックスのある部分を隠しているようであった。
「ん、なにが?」俺には、彼女の言わんとしている事が理解できない。
「水着!水着よ!新しいの買ったのよ」友伽里は少し顔を赤く染めて怒っているようであった。
「あっ、水着か。スクール水着のほうが早く泳げるんじゃないか?」顎に手をやり名探偵ばりに考察してみる。
「どりゃー!」友伽里は俺の腿に強烈な下段回し蹴りをお見舞いした。思いのほか、良い角度で入ったようで俺は痛みに顔を歪めながら、そのまま勢いでプールの中に落ちた。
「なにするんだよ!」俺は右手で拳を振り上げて激しく抗議した。
「うるさいアホ!このボケ!おたんこなす!」友伽里は怒りを露わにし、傍らにあった浮き輪を俺に向かって投げつけると大股で歩いていった。
「やだねー、やだやだ狂暴な女は……」俺は、浮き輪に上半身を乗せると、スイスイと泳いでいった。
時計の針が午後三時を指す。
「光くーん、何か食べる?」何事も無かったかのように友伽里は声をかけてくる。彼女にとって先ほどのようなやり取りは日常茶飯事でいちいち気にしていては、俺とは付き合ってられないというところであろう。
「おー、ちょうど腹が減ったところ、ホットドックとかいいね」俺が指さした先には、出店があった。そこにはホットドッグと書いた看板があり、少しの列が出来ていた。
「私、買ってくるわ」彼女は俺が指定した店に向かって歩いていった。
「後で金払うよ、俺は席確保しとくわ」水辺から上がりフードコートに移動する。皆考える事は同じのようで、なかなか空いている席が見つからなかった。俺は右手で庇を作り辺りを見回す。ちょうど近くに二人掛けの席が空いたのでそこに腰掛ける。椅子の後ろ脚に体重をかけてバランスを取って倒れないようにして暇をつぶしていた。
「あっ、おにいたんだ!」聞き覚えのある幼児の声がした。唐突に声をかけられて俺は後ろに倒れそうになった。
「えっ、あっ、ひなちゃん......だっけ?」声の主はあの転校生の娘だった。
「そだよ!ひなこだよ」幼女が言いながら可愛く首を傾げた。日射病対策であろうか、頭には小さくて可愛らしい麦わら帽子をかぶっている。
「ひな!」後方から少女を呼ぶ声がする。俺は期待を込めて声の主を探す。
「あっ、ママ」少女は声の主に返答している様子であった。振り返ると、あの転校生 渡辺穂乃果が少し慌てたような顔をして走ってくる。俺はその揺れる髪、胸、白い肌、露出された四肢の美しさに見惚れてしまっていた。
「こら、ひな!一人でウロチョロしてはダメって言ってるでしょ!すいません.......あっ、あなた?」彼女は、俺の顔を見て驚いたようであった。もちろん俺も驚いている。
「や、やあ」俺は自分でも解らないがなぜか余所余所しい感じであいさつをしてしまった。
「こんにちは、偶然ですね」穂乃果はしゃがんでから、ひなの体を抱き上げた。少女は嬉しそうに微笑んでいる。
「あっ、そうだね......、偶然だね......」俺は、なにかを言おうと考えてはみたが、何も思い浮かばなかった。
「一人?じゃないよね」穂乃果の言葉を待っていたかのように、友伽里が姿を現した。その両手にはそれぞれ、ホットドッグが握られていた。
「あ、ああ」俺はなぜか、拙い所でも見られたように言葉を発してしまった。その態度が気に入らなかったのか、友伽里の表情が曇る。
「お邪魔してごめんね、ひな、パパの所に行こう」穂乃果は、軽く会釈をしてからその場から姿を消した。彼女がいなくなったのを見計らってから友伽里は、俺の確保した席に、ドカッと座った。そしておもむろに、自分が買ってきたホットドックを口に運んだ。
「え、えっと、俺、飲み物買ってくるわ。コーラでいいか?」俺は恐る恐る聞きながら席を立った。
「ラージでね!」なぜか友伽里は、怒りに満ちた目で俺の顔を睨みつけたのであった。
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