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レオの決意

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「・・・・・・さっきの牢屋の壁に書いてあった」唐突にソラが口を開いた。

「あん? 」ダンが腕組をしてベッドの上に寝そべっている。

「コアの証は善の心に宿る。心悪しき者に宿るとき銀河は崩壊すると・・・・・・」レイが壁に書いてあった言葉を告げる。祐樹達は体を起こしソラの言葉に耳を傾ける。

「紋章は意志を持ち、自らの主を選択する・・・・・・・ 」ソラの言葉は相変わらず変化の無い一本調子であった。なにを言いたいのか理解できなかった。
その時、コンコンと2回、部屋の扉をノックする音が聞こえる。

「どうぞ・・・・・・」ベッドの上飛び降りてから祐樹は返答をした。
 ドアがゆっくりと開く。そこに立っていたのはレオだった。

「・・・・・・ 」レオは無言で立ち尽くしている。

「お姉さま!」パンが笑顔でレオの元に近づこうとするが、ダンが制止した。

「何をしに来たんだ。レオ!」ダンは、今までレオに向けられた事が無い激しさで言葉を発した。
 レオは無言で前に歩み出ると、部屋のドアを閉めた。レオの姿は、露出度の高い鎧では無く、見慣れた赤いジャケットに黒いズボンであった。

「レオ、その姿は・・・・・・」見慣れた姿ではあったが、祐樹はレオの変化に戸惑う。

「静かにして!」レオは右手を振り長剣を出現させた。

「てめえ!まさか!」ダンが手に銃を出現させようとするが黒いチークに制御されて思い通りに力を発揮することが出来ない。ダンは素手でレオに対抗しようと試みる。

「ダン!動かないで!」レオは長剣を構えてダンめがけて一気に振り下ろした。

「ダン!」祐樹が駆け寄ろうとするが、ダンからは悲鳴も血しぶきも上がらなかった。
 ダンの首に巻かれたチークに切れ目が現れる。そのままチークはなんの変哲も無い布のように床に落ちた。レオは、続けてパンとソラのチークも切断した。

「レオ、お前・・・・・・! 」祐樹は剣を握りしめるレオを見て少し微笑んだ。
 レオは手に持った剣を一振りして手の中から消した。

「私は、有羽族の娘として生まれました。有羽族は背中に羽を持つ一族。・・・・・・有羽族の娘は、コアの紋章を持つ方の子を宿し、コアを継承した子を育てる任を背負っているのです。新しいコアが誕生する度に、対となる有羽族の娘が選ばれます」レオは自分の過去を語り始めた。

「コアって、ユーガの・・・・・・まさか!」祐樹はレオの言葉の意味を察した。彼女はユーガの妻として選ばれた有羽族の娘だったのだ。

「はい、ユーガ様の伴侶として私が選ばれたのです。・・・・・・ただ、私はユーガ様と結ばれることは・・・・・・嫌だったのです」彼女は自分の肩を抱いて震えている。

「それは、判る気がするぜ」ダンが腕を組みながら、何度も頷いている。

「ユーガ様は心の中で何を考えているのか読めなくて・・・・・・あの方の妻になるよりも私は死を選ぼうと決心しました。・・・・・・しかし、情けない事ですが死ぬ事はできなかった・・・・・。掟を回避する方法は・・・・・・有羽族の娘で無くなるしか方法が見つからなくて、私はガイダーになることを決意しました。姉のレイは私の気持ちを理解してくれて、ガイダーになることに協力してくれたのです。・・・・・・ただ・・・・・・」

「ただ・・・・・・? 」祐樹はレオに続きを話すように即した。

「私がガイダーに生まれ変わった事へのユーガ様の怒りは激しいものでした。父と母は私のせいで処刑されてしまったのです」レオは父母の事を思い出したのか、少し虚ろな表情を見せたような気がした。

「ひどいのです! 」パンの目が見開く。

「私への罰として地球にいるユーガ様のクローンを警護する指名を与えられたのです。三人のガイダーと共に・・・・・・・」レオは周りにいるダン達を見た。釣られて祐樹もダン達に視線を送った。

「記憶を無くした彼女達と一緒に私は、影ながら祐樹さんに襲い掛かる敵を撃退してきました。そして、祐樹さんの成長していく姿を見守り続けたのです。そして・・・・・・この人は、ユーガ様とは違う心の美しい人だということが解りました。私は、・・・・・・いいえ、私達は祐樹さんに惹かれていったのです」

「えっ?」祐樹はレオの言葉の意味を一瞬理解できなくて聞き返した。祐樹の顔が少しずつ赤く染まっていく。

「貴方の事が・・・・・・・大切なんです!」レオも顔を真っ赤にして告白をした。

「おいおい! 抜け駆けかよ、レオ! 」ダンがレオの肩に手を置く。

「お姉さま! ずるいのです!」パンが頬を膨らましている。まるでハムスターが餌を溜め込んでいるようである。

「・・・・・・うらめしや・・・・・・」ソラは意味が解らない事を言っている。

「レオだけじゃなくて、俺達も祐樹の事が大好きなんだ。祐樹を守る為だったら、俺たちは・・・・・・・なっ!」ダンがレオ・パン・ソラに向けてウインクをする。レオ達は微笑みながら決まった合図のように親指を立て拳を前に突き出した。

「皆、今までご免なさい。私は、私のやるべきことが解ったわ」

「そうだ、祐樹がコアだろうが、そうでなかろうが俺達は祐樹を守るんだ。それが・・・・・・」ダンがそこまで言った時、レオが言葉を続けた。

「祐樹さんを守るのが私達の存在意義! 私が先に言ったのよ。」レオが微笑みながら言葉を発した。レオの言葉を聞いてダンは照れながら頭を掻いた。

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