魔法使いだからって、女の子になるのは理不尽じゃねぇ?

上条 樹

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女 心

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 やはり親子だけの事はあって詩織さん達の言う通り叔母さんは全く問題なく、見知らぬ少女(俺)が宿泊することを快く承知してくれた。 俺の顔を見て「お人形さんみたい!」とすこしテンションが上昇しているようであった。

 男の俺が外泊する事については、それだけ仲の良い友達ができたのなら良いことだと、こちらも快諾してくれた。北島には根回ししておくことにする。

「あなたの、お名前は?」

「コウ・・・・・・・あっ?!」叔母さんに突然名前を聞かれ、考える間もなく答えてしまった。

「まぁ、幸太郎君と似てるわね。可愛らしいお名前ね」叔母さんは勝手に納得していた。 

「お母さん、私達二階で勉強するから・・・・・・・行きましょうコウちゃん」直美はなぜか噴出しそうな笑いを堪えていた。

「お姉ちゃん、愛美も行く!」階段を上る俺達の後を愛美ちゃんが追いかけてくる。

「あれ、詩織さんは?」

「詩織姉さんは参考書を買いに、本屋に行くって言っていたわ」直美が答える。

「ふーん」俺は腕を頭に組んで天井を見上げた。

「なに? 詩織姉さんの事が気になるの」

「いや、別に・・・・・・ただ、詩織さんが居てくれたほうが安心かなって思ってさ」その俺の言葉を聞いた途端、直美の表情が曇る。

「ど、どうせ私じゃ役不足よね、ご、御免なさいね!」いきなり尻の辺りに回し蹴りを喰らった。

「な、何しやがるんだ?!」蹴られた尻を摩《さす》る。いつもの俺の尻の感覚違い柔らかい。

「ふん!」直美は自分の部屋に飛び込んだ。

「お兄ちゃん・・・・・・・女心が解らないと嫌われるよ。 あ、お姉ちゃんだから仕方ないか」愛美ちゃんが呆れたような口調で溜息をついた。 俺には愛美ちゃんの言葉の意味が判らなかった。
 とりあえず、自分の部屋に入り鞄を机の上に置きベッドに座り込む。「はあ」もう溜息しか出てこなかった。 ふと、部屋の奥に目を移動すると、美しい少女がこちらを見ている。 大きな瞳に白い肌、短いスカートを履いて少し足が開いている。もう少しで下着が見えそうである。金髪の綺麗な髪・・・・・・・ああ、全身鏡に変身した俺の姿が映っていた。 自分の姿を見てドキリとした事に、猛烈な反省に襲われた。
 俺は、直美達ほど頻繁に変身は経験しておらず、この美少女(俺)にはまだ見慣れていなかった。
 自分の顔に両手で触れてみる。吸い付くような肌、まるで赤ちゃんのようだ。 男の時の俺からは想像することが出来ない。胸には大きな二つの膨らみがあった。ゴクリと唾を飲み込みながらゆっくり触れてみる。重い、そして・・・・・・・・すごい弾力! 俺の顔が真っ赤に染まる。

「楽しそうね・・・・・・・」部屋の扉が開いていて、そこには詩織さんが立っていた。

「い、いや、これは、その・・・・・・!」誤魔化すように両手を振る。

「別に自分の体ですもの、好きなだけ触ればいいわ。 それよりもこれ」言いながら詩織さんは服を放り投げてきた。

「なんなんですか!?」

「私の部屋着よ。寝るときにその格好では疲れるでしょう」そう言うと詩織さんは部屋から出て行った。

「こ、これは!」詩織さんの貸してくれた服は、スケスケピンクのネグリジェであった。 こんなのを詩織さんが着て寝ているんだ・・・・・・・と想像すると鼻血が出そうになり、首の辺りをトントンと叩いた。

「ちょ、ちょっと着てみるか・・・・・・・」俺は好奇心に駈られて詩織さんのネグリジェに袖を通してみた。 ほとんど裸のようである・・・・・・これは、エッチすぎる!

「ちょっと、コウ君・・・・・・・!」いきなりドアが開いた。そこには直美が立っていた。 

「え、あ、これは・・・・・・」もう弁解の余地は無かった。

「この・・・・・・・ど変態・・・・・・・」直美の目が呆れを超えた軽蔑の色を浮かべていた。そのまま、彼女は静かに扉の前から姿を消した。

「お兄、あっ違った、お姉ちゃん、ご飯だよ!」愛美ちゃんが何も無いかのように、屈託の無い笑顔でお知らせしてくれた。別に間違っていないのだが・・・・・・・。

「あ、ああ」俺は力の無い返答をした。
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