15 / 33
テレパシー
しおりを挟む
「う、ううん・・・・・・」俺は体に少し痛みを感じながら、ゆっくりと目を開いた。目の前には大きな二つの物体が飛び込んでくる。さらにその上には直美の顔があった。
「あ、コウタロウ君、気がついたんだ」直美は嬉しそうに言った。どうやら俺は直美の膝枕で眠っていたようだ。
「あ、ご、御免! 俺」飛び上がるように俺は起き上がった。
「体に異常はなさそう?」詩織さんが少し心配そうに声をかけてくれた。
「はい、特に・・・・・・」自分の体に触れて女の体のままであることを再確認した。
「コウお姉ちゃん! 今晩もいっしょだね!」愛美ちゃんは能天気にはしゃぎながら、コウの体に飛びついた。
「い、愛美ちゃん、ちょっと?!」直美のほうを見ると、少し怒っているように見えた。
「愛美、離れなさい!」直美は俺と愛美ちゃんの体を引き離した。
「わー、直美お姉ちゃんはまた焼きもち焼いて! さっきまでずっとコウお姉ちゃんとくっついていたくせに!」愛美はプクーっと頬を膨らませた。
「とりあえず、家に帰りましょう」詩織さんはドタバタ劇を終了させるように呟く。俺達はその迫力に言葉無く頷いた。
「あれ、総持寺さん、勅使河原は一緒じゃないの?」聞きなれた声、北島が後方から歩いてきた。
「あ、幸太郎君は・・・・・・先に帰ったかな」直美は誤魔化すように言いながら俺の顔を見た。 俺は女の姿のままであった。
「あ、そ、その人は?!」北島は手に持っていた鞄を落とした。どうやら女の俺の姿を見て驚いたようだ。まさか、気づかれたのではと俺は驚いた。
「この人は私のお友達で・・・・・・・」直美の言葉を最後まで聞かずに北島は言葉を発した。
「ぼ、僕は北島と申します、結婚を前提にお付き合いしてください! ぐえっ!」俺は勢いよく北島の腹を蹴った。そのまま、家の塀に激突した。
「こ、この変態が!」俺は両手で胸の辺りを覆った。心なしか動作が女性っぽくなっているような気がした。
「あらそうかしら、至って正常だと思うけど。いいじゃない男の子に告白されて」詩織さんは少し笑いながら呟いた。
『勅使河原君』頭の中に声が響く。
『その声は・・・・・・・神戸か?』俺はテレパシーで返答する。
『他の皆に気づかれないように聞いて、今晩一時過ぎに大島神社の境内まで来てもらえるかしら・・・・・・少し話しがしたいの・・・・・・・』
『一体、なんの話だ?』
『それは・・・・・・・今晩、話すわ』そこで、テレパシーは途絶えた。
「どうかしたの?」直美が不思議そうな顔をして聞いてきた。
「いや、別に・・・・・・・考え事をしていただけだ」誤魔化すように両手で頭を抱えて口笛を吹いた。 その様子を詩織さんは静かな目で見つめていた。
塀にもたれたまま北島はグッタリしていた。
「あ、コウタロウ君、気がついたんだ」直美は嬉しそうに言った。どうやら俺は直美の膝枕で眠っていたようだ。
「あ、ご、御免! 俺」飛び上がるように俺は起き上がった。
「体に異常はなさそう?」詩織さんが少し心配そうに声をかけてくれた。
「はい、特に・・・・・・」自分の体に触れて女の体のままであることを再確認した。
「コウお姉ちゃん! 今晩もいっしょだね!」愛美ちゃんは能天気にはしゃぎながら、コウの体に飛びついた。
「い、愛美ちゃん、ちょっと?!」直美のほうを見ると、少し怒っているように見えた。
「愛美、離れなさい!」直美は俺と愛美ちゃんの体を引き離した。
「わー、直美お姉ちゃんはまた焼きもち焼いて! さっきまでずっとコウお姉ちゃんとくっついていたくせに!」愛美はプクーっと頬を膨らませた。
「とりあえず、家に帰りましょう」詩織さんはドタバタ劇を終了させるように呟く。俺達はその迫力に言葉無く頷いた。
「あれ、総持寺さん、勅使河原は一緒じゃないの?」聞きなれた声、北島が後方から歩いてきた。
「あ、幸太郎君は・・・・・・先に帰ったかな」直美は誤魔化すように言いながら俺の顔を見た。 俺は女の姿のままであった。
「あ、そ、その人は?!」北島は手に持っていた鞄を落とした。どうやら女の俺の姿を見て驚いたようだ。まさか、気づかれたのではと俺は驚いた。
「この人は私のお友達で・・・・・・・」直美の言葉を最後まで聞かずに北島は言葉を発した。
「ぼ、僕は北島と申します、結婚を前提にお付き合いしてください! ぐえっ!」俺は勢いよく北島の腹を蹴った。そのまま、家の塀に激突した。
「こ、この変態が!」俺は両手で胸の辺りを覆った。心なしか動作が女性っぽくなっているような気がした。
「あらそうかしら、至って正常だと思うけど。いいじゃない男の子に告白されて」詩織さんは少し笑いながら呟いた。
『勅使河原君』頭の中に声が響く。
『その声は・・・・・・・神戸か?』俺はテレパシーで返答する。
『他の皆に気づかれないように聞いて、今晩一時過ぎに大島神社の境内まで来てもらえるかしら・・・・・・少し話しがしたいの・・・・・・・』
『一体、なんの話だ?』
『それは・・・・・・・今晩、話すわ』そこで、テレパシーは途絶えた。
「どうかしたの?」直美が不思議そうな顔をして聞いてきた。
「いや、別に・・・・・・・考え事をしていただけだ」誤魔化すように両手で頭を抱えて口笛を吹いた。 その様子を詩織さんは静かな目で見つめていた。
塀にもたれたまま北島はグッタリしていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
包帯妻の素顔は。
サイコちゃん
恋愛
顔を包帯でぐるぐる巻きにした妻アデラインは夫ベイジルから離縁を突きつける手紙を受け取る。手柄を立てた夫は戦地で出会った聖女見習いのミアと結婚したいらしく、妻の悪評をでっち上げて離縁を突きつけたのだ。一方、アデラインは離縁を受け入れて、包帯を取って見せた。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる