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二十三話
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「ぎゃああああ!」
「あーーーーん、いい反応!もっと私にその悲鳴を聞かせて頂戴!」
宵月が噛みついた患部からは勢いよく血が流れ出て、いたるところに飛び散った。
噛みついた宵月の顔は俺の血で真っ赤に染まっていた。
「こういうのはどうかしらぁ?」
宵月は無理やり骨折している部位を無理な方向へひん曲げた。
ぼきっと絶望的な音と共に耐え難い痛みが襲ってきた。これまでの苦痛に喘ぎつづけていたことで、俺の喉はもはや限界を超えていてまともに叫び声をあげることすらできない状態にまで陥っていた。
「ぐはぁぁ、ぐぇぇ…」
喉から叫び声になるはずだった空気が不完全な形で抜けていく。
そして俺は意識が混濁し始め、ピクンピクンと体が失神していた。
「ちっ、しょーもないわ。本当に人間を脆いわね。これじゃちっとも楽しめないわ。殺してしまうのはもったいないし…」
俺は再び牢の中に蹴り戻された。
______________________________________
「大丈夫ですか!?大丈夫ですか!?しっかりなさってください!」
何者かに体を揺さぶられていることに気付いて目を覚ました。
目の前には俺のことを見ている眼は焦燥しているように見えた。顔は青ざめていて、息はかなりあがっていた。
「ん?あなたは…誰ですか…?」
「すみません。申し遅れましたね。私は三日月お嬢様の元教育係の朧月と申します。あなたを助けるようにと申しつけられています。それと、三日月お嬢様からあなたにこれを渡すようにと。」
朧月は小さな袋から赤色の液体が入った小瓶と紅い岩石のような塊を取り出した。小瓶の中で液体は怪しく光っていた。
「こ、これは何ですか?」
「三日月お嬢様の血液と血晶です。これを飲めばあなたの怪我はほぼほぼ回復します。それと一定時間吸血鬼のように血晶を使う事ができるようになります。飲んでください。」
俺はゆっくりと小瓶を受け取ると、中身を一気に飲み干した。
それは普通の人間の血の鉄臭い味ではなく、絶望的にまずく感じた。まるで体がそれを拒絶しているようなそんな味だった。しかし、その反面飲んだ瞬間から三日月の血の効果が表れたようで、今まで感じていた痛みがかなり軽減された。
「お飲みになりましたか、人によりますが、骨折程度なら一時間程度で回復するはずです。その間にあなたと三日月お嬢様の現状を報告させていただきますね。」
そういって朧月は屋敷の図面を取り出した。
「私たちが今いる場所はここです。」
朧月は図面の一番下に配置されている部分を指さした。そして図面によると、ここに至る道は一つしかない。つまり、宵月やその取り巻き達と遭遇したら一巻の終わりというわけである。
「そして三日月お嬢様がいらっしゃるのはここです。」
朧月は図面の中では大きめの一部屋を指さした。そこは屋敷の中心の近くに位置していて、屋敷の中でもひときわの存在感を放っている。
「三日月は無事なのか?」
そう尋ねると朧月は黙って首を横に振った。
なんでも朧月が言うには、三日月は以前の半吸血鬼との戦闘で敗北した後にここに監禁されているという事だった。今は半吸血鬼たちの見張りが厳しく、宵月の手下以外は三日月の元教育係といえども立ち入ることはできないらしい。
「自分の娘を監禁だって?正気の沙汰じゃない!」
「あの方は自分の娘のことなど家系の跡取りや家名の為の道具としか考えておられません。三日月お嬢様はこの家系随一の天才であられますが、吸血鬼の古い風習に疑問を抱くことや外の人間と対等な関係を築くことなどが吸血鬼として異端とみなされたようで家名に傷を付けないために抹殺されようとしていましたが、三日月お嬢様の強い力を失う事を惜しく思ったのか抹殺することを止めて今は監禁されています。しかし、このままいけば感情を殺されて兵器のようにされてしまうか、新しい吸血鬼の依り代にされるか…どっちにしろバッドエンドになるのは確定しています。それまでに何とかしなければ…」
切迫した状況に自然と朧月の表情が険しくなっていた。
「逆月は無事なのか?」
「妹様は行方不明です。どこかに身を潜めているのか、あるいはすでにあの方とともにいるのか、私にはわかりません。」
「そうか…逆月に関してはどうにか無事でいることを祈ることしかできない。そして今の俺にできることはここから出て三日月を助けに行くことだ!もう時間に余裕はないし、今から出発する!」
「しかし、いくら吸血鬼の血とはいえもう少し安静にした方がよいのでは…?」
朧月が心配そうに俺を諫めたが、俺の今すぐ助けに行くという決心は変わらない。確かに骨折している部位は回復したとはいえまだ少し痛みはあるが、三日月に比べたら大したことはない。俺は朧月から受け取った三日月の血晶を使って牢の格子を破壊した。
「あーーーーん、いい反応!もっと私にその悲鳴を聞かせて頂戴!」
宵月が噛みついた患部からは勢いよく血が流れ出て、いたるところに飛び散った。
噛みついた宵月の顔は俺の血で真っ赤に染まっていた。
「こういうのはどうかしらぁ?」
宵月は無理やり骨折している部位を無理な方向へひん曲げた。
ぼきっと絶望的な音と共に耐え難い痛みが襲ってきた。これまでの苦痛に喘ぎつづけていたことで、俺の喉はもはや限界を超えていてまともに叫び声をあげることすらできない状態にまで陥っていた。
「ぐはぁぁ、ぐぇぇ…」
喉から叫び声になるはずだった空気が不完全な形で抜けていく。
そして俺は意識が混濁し始め、ピクンピクンと体が失神していた。
「ちっ、しょーもないわ。本当に人間を脆いわね。これじゃちっとも楽しめないわ。殺してしまうのはもったいないし…」
俺は再び牢の中に蹴り戻された。
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「大丈夫ですか!?大丈夫ですか!?しっかりなさってください!」
何者かに体を揺さぶられていることに気付いて目を覚ました。
目の前には俺のことを見ている眼は焦燥しているように見えた。顔は青ざめていて、息はかなりあがっていた。
「ん?あなたは…誰ですか…?」
「すみません。申し遅れましたね。私は三日月お嬢様の元教育係の朧月と申します。あなたを助けるようにと申しつけられています。それと、三日月お嬢様からあなたにこれを渡すようにと。」
朧月は小さな袋から赤色の液体が入った小瓶と紅い岩石のような塊を取り出した。小瓶の中で液体は怪しく光っていた。
「こ、これは何ですか?」
「三日月お嬢様の血液と血晶です。これを飲めばあなたの怪我はほぼほぼ回復します。それと一定時間吸血鬼のように血晶を使う事ができるようになります。飲んでください。」
俺はゆっくりと小瓶を受け取ると、中身を一気に飲み干した。
それは普通の人間の血の鉄臭い味ではなく、絶望的にまずく感じた。まるで体がそれを拒絶しているようなそんな味だった。しかし、その反面飲んだ瞬間から三日月の血の効果が表れたようで、今まで感じていた痛みがかなり軽減された。
「お飲みになりましたか、人によりますが、骨折程度なら一時間程度で回復するはずです。その間にあなたと三日月お嬢様の現状を報告させていただきますね。」
そういって朧月は屋敷の図面を取り出した。
「私たちが今いる場所はここです。」
朧月は図面の一番下に配置されている部分を指さした。そして図面によると、ここに至る道は一つしかない。つまり、宵月やその取り巻き達と遭遇したら一巻の終わりというわけである。
「そして三日月お嬢様がいらっしゃるのはここです。」
朧月は図面の中では大きめの一部屋を指さした。そこは屋敷の中心の近くに位置していて、屋敷の中でもひときわの存在感を放っている。
「三日月は無事なのか?」
そう尋ねると朧月は黙って首を横に振った。
なんでも朧月が言うには、三日月は以前の半吸血鬼との戦闘で敗北した後にここに監禁されているという事だった。今は半吸血鬼たちの見張りが厳しく、宵月の手下以外は三日月の元教育係といえども立ち入ることはできないらしい。
「自分の娘を監禁だって?正気の沙汰じゃない!」
「あの方は自分の娘のことなど家系の跡取りや家名の為の道具としか考えておられません。三日月お嬢様はこの家系随一の天才であられますが、吸血鬼の古い風習に疑問を抱くことや外の人間と対等な関係を築くことなどが吸血鬼として異端とみなされたようで家名に傷を付けないために抹殺されようとしていましたが、三日月お嬢様の強い力を失う事を惜しく思ったのか抹殺することを止めて今は監禁されています。しかし、このままいけば感情を殺されて兵器のようにされてしまうか、新しい吸血鬼の依り代にされるか…どっちにしろバッドエンドになるのは確定しています。それまでに何とかしなければ…」
切迫した状況に自然と朧月の表情が険しくなっていた。
「逆月は無事なのか?」
「妹様は行方不明です。どこかに身を潜めているのか、あるいはすでにあの方とともにいるのか、私にはわかりません。」
「そうか…逆月に関してはどうにか無事でいることを祈ることしかできない。そして今の俺にできることはここから出て三日月を助けに行くことだ!もう時間に余裕はないし、今から出発する!」
「しかし、いくら吸血鬼の血とはいえもう少し安静にした方がよいのでは…?」
朧月が心配そうに俺を諫めたが、俺の今すぐ助けに行くという決心は変わらない。確かに骨折している部位は回復したとはいえまだ少し痛みはあるが、三日月に比べたら大したことはない。俺は朧月から受け取った三日月の血晶を使って牢の格子を破壊した。
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