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神人と人間
27.kenとエシュと……
しおりを挟むそうだ。忘れていた。
私は目印に立てておいた雲の筋を辿って、何の変哲も無い大地に目を付けます。
そこは当時の砂地ではなくなり、今は大きな樹木が生えるジャングルでした。
たぶんここかな? と思う場所へ念を送りますと、まるで自動ドアのような要領で大地が二つに割れます。
“すみません。お待たせしました”
湿った大地の中には寝ぼけ眼の生き物が二体。
昼の光に照らされ、ようやくおはようの時間だと気付いたようです。線みたいな目が曲線を作ってニッコリ笑顔に変わりました。起きたみたいです。
春の陽気に這い出てくる虫のよう。現れたのはKenとエシュです。私はこの二人を残すことに決めたのです。
さあここは新しい世界。二人の反応はまるで正反対で面白かったです。
まずは大地の緑に感激したKen。彼は早くから植物に興味を持っていたゾンビでした。
緑の葉っぱがこんなにこんなに生い茂っている! 高い場所にも、海の中にも! Kenは喜んで走り回りました。あんなに機敏な動きをするゾンビをこの日、初めて目にしました。
一方、エシュはというと消極的です。
彼はとにかく慎重で、まずは全く大地の割れ目から出てこようとしませんでした。
唯一の頼りになるKenがあの調子なので、出遅れたエシュはひとりぼっちにされて可哀想でもありました。
“怖くないですよ。大丈夫ですよ”
神様直々に励まして差しあげます。恐る恐るですがエシュは外に出ます。
「コワイ。コワイ」
そればっかりを言いながら、葉っぱのひとつひとつを確かめて行きます。海なんか見つけたものなら大変でした。大地の中に戻ろうとして、私が閉じちゃったもので泣きじゃくって懇願されました。
最初はそりゃ色々ありますよ。ですが、日にちが経てば慣れるものです。
エシュも時間はかかりましたが最終的には慣れました。葉っぱの陰に寝床を作り、丸くなって眠っている。傍には……。
“は?”
Kenは相変わらず外を走り回っています。
ならば、いち、に、さん……。ひとり多いんですが。
顔を隠す葉っぱを透視してみますと、女の子です。見覚えのある世話焼きの母性愛。
リビアじゃん。と、なります。
私と言神さんはすぐに愛神さんを監禁しました。
愛神さんは嘘を付かずに認めました。彼女は私に内緒でリビアを別の場所に埋めていたようです。
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