神様わたしの星作り_chapter Two【短編・完結済み】

草壁なつ帆

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神人と人間

34.四つの宝

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葬儀が済んだあと、コトノギはエシュからの指示で王様のもとへ足を運んでいました。

王様というのはこの頃作られていた国家の長です。もちろんヒトです。

コトノギは王様に特別な品を持ってきたのです。

ゾンビたちが使った魔法と呼べる力を秘めた品物です。






品物は全部で四つ。どれもヒトの努力では作ることの出来なかった物ばかり。


「……アゲル」


コトノギはずっとひとりで居たので口下手です。

けれども王様は良い人でした。


「ありがとう。君たちの強力な力が悪い方へ向かないよう。互いに手を取り合い生きて行こう」


立派なお考えです。相手がコトノギだったために上手く伝わらなかったけど、私には伝わりましたよ。






さらにもうひとつ。コトノギは長い年月をかけて最高傑作を作り上げます。

王様のお城に巨大な砂時計を作りました。その砂は不思議なことに下から上へ砂が動くものです。

人々が驚愕するように私も同じ反応です。これにはもう感服するばかりで、仕組みを理解しようとする動きもありませんでした。






話すのが上手なリビアが通訳します。


「この砂粒は人間の命です。命はやがて神がいる天へと昇って行くので、どうか不安にならないで下さい」


死を恐れるヒトへの優しさでした。戦争をしなければゾンビ達にその死への怖さが分かるはずもありません。しかし葬儀の場でたくさんの涙を見たことで知ったのです。

命とは必ず死ぬもので、人間は死ぬのを怖がる生き物であること。少しでもその辛さが軽くなればと、エシュからの贈り物でした。

リビアからの愛で、Kenからの激励で、コトノギの芸術です。

怖がりなエシュが、無事にヒトとの共存を選択した。その一歩とも言えるでしょう。






コトノギはこれにてまた岩の中に帰りました。職人気質なので、籠って色々なものを作っているのかもしれません。

私は彼を追うことはせず自然に任せました。リビアだけは、どうやらその場所を知っているようです。二人の間に子供も出来ました。

いずれまた会えることを願って、私は時々彼のことを思い出したりします。




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