執事がヤンデレになっても私は一向に構いません

恵美須 一二三

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永遠の愛を誓っても一向に構いません

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 スペランツに別れを告げ、ティグレとイレーネさんと合流した私達は、そのまま帰るつもりだったのに。

「世界を救っていただき、誠にありがとうございました。国王としてだけでなく、この世界で生きる一人の人間として、心より感謝申し上げます」

 オスクリタ神殿の一室で、エマーティノスの国王リモルソ様に深々と頭を下げられている。

 彼は今回の闇の使徒であり、ルベルのお兄様。私達が浄化と封印を行っていた後ろで、闇に当てられて気絶していたらしい。

御託ごたくはいらない。要件を言え」

 冷ややかな目で、自分の兄にルベルはそう言い捨てた。

 自分の母親に刺客を送り込んだ王妃の息子であるリモルソ様に、複雑な思いがあるのかも知れない。

「おいっ!いくら神の生まれ変わりだからって、国王相手にその態度はマズイんじゃないか!?」

 ティグレは顔を青くして、ルベルを注意する。

 イレーネさんから全ての事情を聞いたティグレは、驚きつつも私達への態度を変えることは無く、普通に受け入れてくれた。本人いわく、ルベルは昔から人間離れしていたから逆に納得がいった、とのこと。

 変に敬われたり、怖がられたりしなくて、実は私もルベルも安心していた。いきなり態度を変えられるのは、寂しいもの。

「いいんだ。私の母上のせいで、ルベリウスには苦労をさせてしまったからね。それに、突然魔法で召喚するという無礼も、決して許されるものでは無い」

 病気療養中ということにして、息子の王太子に政務を任せたリモルソ様は、一人で闇を抑え込んでいたけれど。いよいよ闇の使徒の力をもってしても抑え切れなくなり、自分の血を利用して化身である弟のルベルを召喚したみたい。

「リモルソ様も事情があったのだから、許してあげたら?」

「まあ!いけませんよ、化身様。どんな形であれ、愛し合う二人の仲を引き裂くのは万死に値する罪です!簡単に許すべきではありません」

 ルベルをなだめようとしたら、自称恋愛オタクのイレーネさんに注意されてしまった。ルベルもうなずいている。

「本当にすまなかった。実は、お詫びとお礼を兼ねて、二人に提案があるんだが……」

 私とルベルは悩んだ末に、リモルソ様の提案を受けることに決めた。





 ーーあれから一年。雲一つない晴天の今日、私達は結婚式を行っている。

 マーメイドラインの純白のドレスに身を包む私の隣には、いつにも増して素敵なタキシード姿のルベルが立っていた。

「リヴ・シェーロ。健やかなる時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、富める時も、貧しき時も……彼を愛し、敬い、慰め、助け、命果てるその日まで真心を尽くすことを誓いますか?」

「はい、誓います」

 私がルベルのお母様の生家シェーロ伯爵家の養女となり、ニグラ公爵家の養子になったルベルに嫁ぐ。それが、リモルソ様の提案だった。

 この一年間、私は公爵家で花嫁修業としてエマーティノスの礼儀作法を習い、ルベルは現公爵であるジョナス様から領地運営などを学んだ。

 実はジョナス様は、ルベルを育てたトマスさんの双子の弟さんで。ジョナス様と最初に会った時は、ルベルもティグレも『トマスにそっくりだ』と、驚いていたわ。子供が出来ない体質だったようで、自分の兄が育てたルベルが養子になることを心から喜んでくださった。
 
「ルベル・ニグラ。健やかなる時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、富める時も、貧しき時も……彼女を愛し、敬い、慰め、助け、命果てるその日まで真心を尽くすことを誓いますか?」
 
「誓います」

 私達、ついに今世でも結ばれるのね。
 
「では、誓いの口づけを」

 ルベルが私のヴェールをめくり、ゆっくりと顔を近づける。

 公爵令嬢だった頃は、ルベルと結婚出来るだなんて思っていなかったわ。愛する人と夫婦になれる幸せを噛み締めながら、私は目を閉じた。

 そして、ルベルと私の唇が重なり合い……。

「今日の良き日に、この二人は夫婦となりました。皆様、二人の行く末に幸多からんことを祈り、お祝いの拍手をお願いします」

 たくさんの拍手と共に、祝福の言葉が聞こえてくる。



 こうして、今世でも結ばれた私達は初夜を迎え、お互いの愛を確かめ合った。何度生まれ変わっても、愛する人と肌を重ねる最初の一回目は、やっぱり緊張してしまうものね。





 情熱的な夜を過ごした次の日。目を覚まして最初に視界に入ったのは、蜂蜜のようにトロリと甘く微笑むルベルだった。

「リヴ、おはようございます。昨夜は酷くしてしまって、すみませんでした」

 目が合うと、ルベルは申し訳なさそうに、喉が乾燥して上手く声が出ない私に水を差し出す。

「おはよう、ルベル。最初の一回目から、こんなに激しくされるとは思っていなかったわ。次は、もっと手加減してね」

 水を飲んでも、私の声はかすれている。

「今日は俺が一日お世話しますから、許してください」

 慌てて私の機嫌を取ろうとするのが可愛らしくて、愛おしい。

「ねぇ?記憶を取り戻す前、前世の話をしたことがあったわよね?私あの時、前世もその次もあなたと愛し合う人生が良いって、願っていたのよ」

「俺も同じ気持ちです!」

 ルベルが抱きついてきて、素肌にシーツがこすれる。少し、くすぐったいわ。

「ふふふっ。私達、気が遠くなるくらい昔から愛し合ってきたけれど。何度生まれ変わっても、いつか人間が滅びることになっても……ずっとずっと一緒にいましょうね」

「もちろん、永遠にあなたを愛し続けると誓います」

 真剣な瞳でそう言ってくれたルベルと、指と指を絡ませて見つめ合う。

 愛おし過ぎて、何度愛していると口にしても、きっと永遠に足りないでしょうね。

「ありがとう、私もあなたを永遠に愛し続けると誓うわ!」
 

 カーテンの隙間から朝日が差し込むベッドの上で、私達は永遠の愛を誓い合ったーー。




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