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第1章
士官学校
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——皇宮。白鳥の庭園。
天空城の東側にある庭園の一つ。エメラルドの湖と優雅に泳ぐ白鳥たち、爽やかな風と木々のさざめきはため息が出るほど美しい。
その中央にあるテラス席に彼らは集まった。
「——さて、もうそろそろ来るかしら」
長い銀髪が風に揺れている。金色の目を伏せて懐中時計をみる女性はソラウ・アテナ。特級貴族の紅一点であり宮内庁長官である。
また、ソラウの隣で紅茶を飲む年老いた男性はチェイス・ロンブローゾ。帝国の最高裁判所長官であり、特級貴族の一人である。
時計の針は約束の2分前を指していた。
「うむ。あの男ならば問題あるまい」
「そういえば、ロンブローゾ卿は楊将軍と長い付き合いでしたね」
「あぁ」
「昔の将軍はどんな人だったんですか?」
ソラウは29歳とまだ若く、特級の中でも新参者だった。
勤勉な性格で彼女に理解できない学問はないと言わせるほどの天才だ。すべての修士・博士号を最年少で取得してきた。そんなソラウにとって楊滄波という男は生まれて初めて立ちはだかる大きな壁だった。
「史上最年少で特級に名を連ねた“帝国の華”楊滄波。卿は彼の幼少期を知っている数少ない一人ですよね。彼のサクセスストーリーが気になります」
「ストーリーだと?特級になるために努力してきたと思っているのか?」
「違いましたか?」
チェイス・ロンブローゾは昔を懐かしむように髭を撫でた。
「……あやつが初めて皇宮へ来た時、当時の特級たちは覚悟した。いずれこの男にすべての座を奪われるだろうという直感だ。地位、名誉、信頼、愛情すらも。当時、たった9歳の幼子を恐れた」
「一目見ただけで彼の才能がわかったと?」
「あやつは生まれた時から特級へ名を連ねることが決まっていたのだ」
ソラウは帝国の歴史書を思い出していた。一度読んだ本、聞いて知識、見たものはすべて記憶に残る。
「確か、近代史に記されていましたね。“傾国の瞳”両眼保有者だと」
「そうだ。この1000年、楊家に両眼を持って生まれた当主はいなかった故、持って生まれた時点で異例なのだ」
「それは本に記載されていました。私が知りたいのは本には載っていない情報です。卿はなぜ彼が努力していないとお思いになるのですか?」
「生まれた時から特級相当の固有スキルを持っている人間が、あの容姿に生まれて努力をすると思うか?少なくともあやつが11歳で特級に名を連ねた時から30年余り、何かに苦戦している姿をみたことがない」
「それは——」
ソラウが口を開いた時、時計の針が動くと同時に二人の背後に人が立った。
滄波である。
「——おや、お邪魔してしまったかな」
突如頭上から聞こえた声に二人は少しだけ目を見開いた。
心臓を掴まれるかのような感覚にソラウは息を飲んで立ち上がる。
「! 楊将軍。お邪魔だなんてとんでもない。こちらこそ急に呼び立ててしまい申し訳ありません!」
「ご丁寧にありがとう。ソラウも大変だね」
滄波は柔らかく微笑むと空いている席へと回った。
向かい合ったロンブローゾと目が合う。
「チェイスも元気かい?最近は裁判所が多忙だと聞いた」
「ファーストネームで呼ぶのをやめんか」
「君が私を名前で呼んでくれたらやめてあげよう」
「チッ。さっさと座れ、小童」
「ふふ、ありがとう。でもこのままでいいよ。——ほら、陛下がいらっしゃる」
滄波が視線を向けた先から複数の人影が歩いてくるのが見えた。
多くの使用人と皇帝である。
ソラウとロンブローゾも席を立ち頭を下げた。
黄金のマスクを着け、幾重にも重ねたヴェールの衣装。金とラピスラズリで彩られた宝石がキラキラと輝いている。
ゆっくりと歩いてきた皇帝はソファに座ると執事を一人置いて使用人たちを下がらせた。
「よくぞ参った、滄波よ。先ほど休日だと聞いた。悪いことをしたと思うておる」
「お招きいただきありがとうございます。陛下がお気に病むことなどこの世に一つもございません。なんなりとお申し付けください」
「せがれはどうした?暇を持て余さなければ良いが」
「図書室におります。我が家にない貴重な書物もありますので魅入っているところでしょう」
「そうか、ならば良い。——さて、楽にせよ」
「はい」
促されて三人は着席する。
「早速本題に入ろうか。ロンブローゾ卿」
「御意」
ロンブローゾは封筒から書類をだして机に並べた。
「今回の議題は“バルカ孤児ブラン少年の処遇”についてであります。まずは時系列を追って現状を報告いたします」
書類はブランが侯爵家の養子になった時から今までの経歴が記されていた。
「15年前、旧バルカ王国との戦争が終わり捕虜を多く各領地へ移送した政策がありました。その際にバルドロイ・シリウス・ボナパルト侯爵(当時伯爵)は戦場から直接一人の赤子を連れて帝都へ帰還。本来、貴族の養子縁組には子供に魔力があることが条件になるため、魔力テストもしくは血統を証明して行われますが、戦後の戸籍登録は混乱を極めており、審査をせず書類審査を通してしまい養子縁が組まれました。これについては裁判所長官である私の責任であり深く反省の致すところでございます。誠に謝罪に言葉もありません」
「良い。書類審査の時点では卿の及び知るところではなかったのだろう。今後の対策を厳重にせよ」
「承知いたしました。では、続けさせていただきます。——その後、ボナパルト侯爵家次男として屋敷で過ごしていましたが、先日の皇太子殿下誕生会まで社交界へ出ることはありませんでした。あの夜、社交界デビューをした際に発覚したバルカ人の養子縁組について調べたところ、裁判所への書類にはバルカ人の記載はなく、また血統証明書も無かった為、彼の素性が全くの不明であることが問題に上がっています。これについてはその場でも声が上がりましたが、祝いの場ということもあり延期していたところ、洗礼式の事件でボナパルト侯爵の戦死。直後、侯爵代理のミランダ・ボナパルト夫人によって養子縁組が取り下げられました」
滄波はパラリと資料をめくる。
バルドロイの戦死した翌日の日付で養子縁組が抹消されている。これにはソラウも眉をしかめた。
「死亡登録から時間が全く空いていないところを見ると、夫人はかなり坊やを毛嫌いしていたようですね」
「そのようだな。滄波はどう考えておる?」
「日付にも表れておりますが、坊やの体格からも読み取れるでしょう。先日に成人を迎えたとは思えぬ小柄さです。袖から覗く腕は細く、見えにくいが傷も多い。何より、バルカ人への差別問題は深刻ですから」
「左様」
ロンブローゾが次のページをめくる。
「そしてその数日後、浄階特級の氷雨より後見人設定の申請がされます。書類をご確認ください。おそらく生前のボナパルト侯爵の署名捺印、備考欄の記載から推察するに、予め二人の間ではブラン少年を氷雨殿の後見にするという相談をしていたのではないでしょうか。となれば生じてくる疑問は2つ。ボナパルト侯爵はなぜ格上の氷雨殿に少年を託したのか。そして氷雨殿もなぜ引き受けたのか。不安要素が大きい以上、彼の身柄は帝国管理とし隷石を埋め込むべきです」
ロンブローゾは言い終わると同時に滄波を見た。
「結託して良からぬことを考えているのではあるまいな」
「まさか。チェイスが疑問に思うように、私も同じように思っているとも」
「だが貴様が育てた氷雨。法律上はお前が氷雨の後見人だ。すべての責任はお前に取ってもらうぞ」
「問題が起きたのならば私が責任を取ろう。だが現状、私の育てた氷雨は迷える少年を保護しただけ。むしろ良いことではないか。私は現状維持、経過観察に一票入れよう」
にっこりと笑う滄波にロンブローゾは資料を握りしめる。
「お前はいつもそうやってッ!」
「それに、洗礼式の結果では1級相当の魔力反応があったと聞いた。魔力証明がある以上侯爵の養子縁組は問題なかったと言えるだろう」
「洗礼式は中止になり結果も到底正式採用できるものではない。そもそも、1級相当ならば尚更に問題なのだ!バルカ王国の結末を忘れたか!」
「忘れてないさ。王族とその血を引く公爵たちは皆殺しにされ上級貴族はただの一人も残らなかったんだろう。だからボナパルト侯爵は“クロユリ戦争の英雄”になった」
「そうだ!ではなぜバルカ人のあの少年が1級相当の魔力を持っているのか」
ロンブローゾの疑問はもっともだ。
1級に相当するならばボナパルト侯爵が殺し損ねた上位貴族の子か、突然変異に他ならない。
ただでさえバルカ人と帝国との相性は最悪だというのに、力を持っているとなると警戒するのは当たり前だ。
滄波は資料をテーブルに置くと紅茶を飲んで一息ついた。そしてロンブローゾに向かって困ったように笑う。
「時々、子爵家や伯爵家から1級が生まれたりもする。もし上位貴族の血を引いていたとしても父親をあれほど慕っていた少年が帝国に歯向かうこともないだろう。たかだ一人の少年に何を恐れている?」
「なんだと?」
ロンブローゾが資料を握りしめる。
二人の間に火花が迸ったような気がしてソラウは慌てて立ち上がった。
「お二人とも落ち着いて!陛下の御前ですよ」
「ははは!ソラウ、気にするな。二人の言い分を聞こうではないか」
「し、しかし陛下……!」
「今の議題は処遇についてであろう。ソラウ、お前もよく聞いておれ。現状維持か帝国管理を言い渡すのか、共に判断しようではないか」
「! 承知いたしました」
ソラウが座ると滄波は資料をもう一度手に取って読んだ。
「裁判所の記録には無いようだが、侯爵とパーティーで話した時に知ったことが一つある」
「何かね」
「3年ほど前から氷雨が坊やを気に掛けていたようでね。侯爵邸で酷い虐待を受けていることを知り、放っておけなかったようだ。それで私のところへも挨拶に来ていた。3年も交流があったのならば情が湧いて当然。侯爵の死後、坊やを守るために予防策を講じただけだろう」
「情に流されては正しい判断もできなかろうよ」
「それは一理ある。帝国管理ももちろん悪いことじゃない。だが問題は彼がバルカ人であることだ。魔力量の問題ではなく酷い差別を受けていた過去、そしてそれが命を脅かしているという事実が問題。周囲からの反応からすれば特級相当に庇護してもらった方が早い解決になるだろう」
「お前がかつてしたように、か?」
ロンブローゾは最後に資料を一枚テーブルの上に置いた。
それは滄波が氷雨と後見人設定の申請を行った際の書類だった。
「備考欄には“将来的に帝国に利をもたらす貴族であると判断。教育のため後見人になることを申請”と書かれている。その一言一句まで揃っているのもお前が育てたことが理由か?」
滄波は書類を見ながら花がほころぶように笑った。
「懐かしいね。……こればっかりは氷雨に聞かないとわからないよ。当時幼かった氷雨が私の申請書の文言を覚えていたのか、調べたのかは定かではないが、これには私も驚いた」
「お前が書類を指南したわけではないと?」
「あぁ、神に誓って」
むぅ、とロンブローゾが唸った時、皇帝が小さく拍手した。
「うむ。両者共良い意見だった。さて、どちらの言い分もわかるところ、最終判決を下すとしよう。ソラウ、意見は?」
「……。正直とても難しく思います。バルカの話は今でも取り扱うときに注意を払わねばなりません。そのうえでの判断と致しましては、現状維持に一票です」
「アテナ長官殿……!」
「理由としては、虐待と差別の問題が大きな一手になりました。初めて会った時、余りの身体の小ささに衝撃を受けました。特級程の名声が無い限り、少年を守ることは難しいでしょう。命は平等に尊いものです。私は出身がどうであれ、それを守りたいと思います。しかしロンブローゾ卿の懸念も大いにわかります。ですので、条件付の現状維持を提案します」
ソラウの言葉に滄波が「ほぅ」と首を傾げた。
「具体的にはどのような条件を?」
「議題の少年には月に1度、ドラコ将軍による審判を受けて頂くことです。少なくともこの場にいる楊将軍とロンブローゾ卿には平等な判決は下せないでしょうから、神の使徒である彼に頼むのが最良かと」
ソラウの提案に二人は頷いた。
「ドラコ・ダ・ルクか……。スキルにおいても虚偽のない男。審判の際に少しでも帝国への脅威を感じた場合、即刻帝国管理とるすならばワシはその提案に賛成しよう」
「私も賛成だ。私からも一つ提案するならば、月に一度の審判に魔力測定を入れると良い。氷雨がどうして彼を育てたいと思ったのかがわかるかもしれない」
「確かに。ワシも魔力測定には賛成だ」
「ではそのようにしよう。——さて、他に決めておくことはあったか」
ソラウとロンブローゾは顔を見合わせた後、首を横に振った。
「急ぎの議題はありません。他の件については次回の皇室会議で行うことになっております」
「そうか。では本日の会議はこれにて締めとしよう。滄波、休日に呼び立ててすまなかった。せがれとの時間を楽しむがよい」
「お気遣い痛みいります。陛下に置かれましても、御尊体を十分にお休めください」
皇帝が席を立つ。三人も同時に立ち上がり深く頭を下げた。
「では、また」
皇帝が歩き始めると下がっていた使用人たちが現れて皇帝の周りを取り囲む。その後ろ姿が完全に見えなくなってから、三人はようやく頭を上げた。
資料を片付け始めたロンブローゾが呟く。
「……また同じ処遇か。お前が氷雨を育てたときのように」
「子は親に似るのだね」
「お前の時は血統証明があった。それに魔力測定も行ったしお前が最も厳しい目見ていたから信用した。だが今回は違う。私は何度でも反対するぞ」
その曇りなき眼に滄波も真剣な顔で頷いた。
「先ほども言ったが、万が一の時は私が責任を取る。もちろん、処分も私の手で行おう。それが愛弟子であったとしても」
「……その言葉、ゆめゆめ忘れるな」
テーブルの上が片付くと三人は再び座った。
使用人たちが新しい紅茶に入れ替え、滄波が持ってきたケーキを並べる。
「まぁ!これは?」
「ステラのケーキだよ。新商品というから買ってきた」
「頂いていいんですか?」
「もちろんだよ。チェイス、君もどうぞ」
「ふん」
滄波は大きなイチゴのショートケーキをロンブローゾの前へ置いた。
「君、昔からイチゴが好きだろう。新作だっていうから後で感想を聞かせておくれ」
「……大きいな」
大きく瑞々しいイチゴにロンブローゾも思わず目を輝かせる。滄波はその表情を見て嬉しそうに笑った。
「そうだろう!私も見たときに思ったんだ。君に食べて欲しいと思った」
「……仕方あるまい」
滄波がソラウの前にもケーキを置く。ベリーが溢れんばかりに乗ったムースケーキだ。
「これはソラウに。女性人気が高いようで店内でも多くの令嬢が注文していたんだ」
「わぁ!ありがとうございます。とても素敵です」
滄波はエスプレッソが染み込んだティラミスを選んだ。
「他の二人はそろそろ来るかな?」
ケーキはあと二つ。
その時、遠くからでも聞こえる大声と足音に三人は頬を引きつらせた。
「噂をすればなんとやら」
「相変わらずにぎやかな方ですね」
「そうだね。悪い人ではないんだけれど」
三人が音のなる方へ目線を向けると、紺色の軍服を纏った大男と赤い軍服を纏った男がこちらへ手を振って歩いてくる。
海軍大将フェリオ・マゼランと陸軍大将ドラコ・ダ・ルクだ。
「ガハハ!なんだ美味そうな匂いだな!!」
「やぁ、少し遅れたか?」
ドラコがいち早く滄波の隣の席に座り、流れるような動作で滄波の頬に口づけた。
「滄波、今日も綺麗だ」
「やぁドラコ。相変わらずだね」
「ガハハ!この美味そうなケーキはなんだ!食っていいのか?」
滄波は二人の前にケーキを置く。
ドラコには焦がしチーズケーキ、フェリオにはガトーショコラだ。
「これは滄波から?」
「あぁ。ステラのケーキだよ」
「最近令嬢たちが好んで通っているという店か」
「感謝するぞ!訓練後で腹が減っていたんだ!」
フェリオはそばに控えていた使用人を呼ぶと「肉も!」と大声で頼んだ。
耳を震わせる声の大きさだが、数年も特級に肩を並べていると慣れていくものである。
「さて、全員が揃ったようだし始めようではないか」
ロンブローゾが眼鏡をくい、と上げる。
大きなイチゴが大変お気に召したようで、仏頂面が少しだけ緩んでいる。
「そうだね。今年もこの時期がやって来た、ということで——」
「——大帝国軍士官学校第1103期生入学式について話し合おう」
ドラコが分厚いファイルを机に置く。
「今期の志願受付は2日前から始まったが、既に志願者が4500人と過去最多に肩を並べる人数だ。直近の洗礼式の件もあり人数は減少するという予想だったが、むしろ事件に感化された子供たちが志願するという結果になった」
「なるほど。確かにあの事件の立役者は大宮司の氷雨を筆頭に陸軍のボナパルト侯爵、応援に駆け付けた陸軍第2部隊でしたもの」
「それに3年前から入学試験を撤廃しているため、応募要項に該当する者は志願書さえ出せば入学できるのが現状。この多さでは全寮制は難しいかもしれないという結論になり、今期の生徒から自宅通学を許可しようと思うんだが、どうだろうか」
ドラコの提案に全員が頷く。
「それがいいだろう。帝都に住んでいる者は自宅通学とし、遠方から志願する者を優先的に寮に入れるといい。特に花国領、サベレジーナ領の子供たちを迎えてあげねば」
「世間の需要に合わせて校則も変えていくべきですね。カリキュラムの方は人数が増えたことで影響はありませんか?」
「武闘場がかなり圧迫されることが予想される。今予算を組んで建築に入ったところだ」
「さすが。仕事が早いですね。宮内庁も何か手伝えることがあればいつでも人手を貸します」
「助かるよ」
「志願はいつまで?」
「あと12日だ」
――――――――――――――――――――――――――――
「――12日?」
ステラで早めの昼食を食べ終えたブランたちは再び街に繰り出した。
その道中、成不の言葉にブランは首を傾げた。
「何の話です?」
「来月から君が通う学校のことさ。一昨日から志願受付が始まってあと12日で締め切りなんだ。必要書類を集めるように部下に頼んでおいたから、帰るころには家に届いていると思うよ」
「学校、ですか。それはどんな?」
「大帝国軍士官学校。言葉通り、陸海空軍を支える士官を育てる学校さ。理事には特級の楊滄波、ドラコ・ダ・ルク、フェリオ・マゼランが名前を連ねている士官学校の名門校だ」
「士官学校……!お父様も通った学校ですよね!そこに通えば立派な陸軍になれるんでしょうか」
ブランは目を輝かせた。バルドロイに関連することならば何でも知りたい。父が天から見守っていると信じて立派な陸軍になりたいのだ。
「もちろん、バルドロイ准将も卒業生だよ。ちなみに私もそこを卒業している。空軍専攻だったけれどね」
「え、成不さんって空軍に居たんですか?」
「そうだよ。卒業前に特級になったんだけど、育ての親が空軍大将だったから自然とね。そこで中将をしていたんだけどやっぱり特級が偏るのはいいことじゃないから、大宮司に抜擢されて退役したんだ」
「そうだったんですね……!軍人だったなんてすごいな、カッコいいです!もちろん大宮司の成不さんもカッコいいですが」
ブランは成不の知らない一面を知れたようで嬉しかった。
成不が戦っている姿はほんの少ししか見ていないが、一瞬で相手を圧倒したあの氷魔法を見れば軍に居たことも納得できる。
「君もなれるさ。卒業試験さえ突破できれば」
「卒業試験?どんなことをするんですか?」
「毎年違うんだけど、その時の大将たちによるかな。去年はフェリオが決めたから、今年は陸軍大将のドラコかも。入学自体は簡単にできるから安心して」
「そういえば先ほど必要書類とかなんとか……」
「そう。貴族戸籍謄本と魔力検査結果、それと推薦状だね」
成不は話しながらある店に入った。
看板には武具・装具と書かれている。ブランもその背中を追って扉をくぐった。
「推薦状?」
「そう。大帝国士官学校に入るにはコネクションが必要なんだ。かなりの名門校だから志願者も多くてね。入学試験がない分、応募要項でふるいに掛けてるんだ」
「推薦状は成不さんが書いてくれたんですか?」
「もちろん。あと来儀君にも頼んだよ。あの子も現役空軍だからね」
「来儀さんも!?」
「大宮司と准将から推薦もらってれば入学は間違いないからね。あとの詳しいことは公示が出るまでわかんないけど、入学に必要なものは揃えておきたかったんだ」
成不が「ほら」と言って店の中をみせる。
店内は奥が見えないほど広く、壁全面にあらゆる武器がディスプレイされている。よく見る拳銃やサーベルから全く見たことがないものまで。ブランは思わず「おぉ」と声を漏らした。
「士官学校には実践用に武器を一つ持ち込むことを許されている。飛び道具でも長物でもなんでも大丈夫。ブラン君はどうしたい?」
「どうしたい、って言われても……。武器なんて扱ったことないですしわからないです」
「好きなものを直感で選べばいいよ。ちなみに私が選んだのは鉄扇だった。氷魔法との相性が良いからって滄波に薦められてね」
成不は懐から鉄扇を取り出して広げて見せた。新聞で良く見る扇だ。それが武器だと初めて知った。
「でも僕は固有スキルも得意魔法もわかりませんし……」
「じゃあ私が選んでいいかい?成人のプレゼントを兼ねて」
「もちろんです!それが嬉しいです!」
ブランの輝いた目を見て成不は笑った。
「ふふっ!じゃあついておいで!」
ブランの細い手を取って店の奥へと進んでいく。
「これは?」
角を曲がった最奥の部屋には細い剣が多く並んでいた。
しかしブランの良く知るものではなく、沿っていたり持ち手に布がまかれていたりする。
成不は一番近くに合ったものを一本取るとブランに見せた。
「刀、という武器だ。花国領から伝わって来た最強の刃物を言われている。これを一振りすれば肉を削ぎ骨を断つ、生粋の武器だよ」
「最強の刃物……」
「攻撃魔法のどれとでも相性がいいことも長所だ。短所といえば防御には向かず遠距離は難しいというくらい。極めれば距離も防御も関係なくなるから、もしブラン君が強くなりたいというのならば、私はこれを薦めよう」
成不に渡されブランの手に刀が乗る。それは長さに対して軽いように思えた。
「持ちやすいですし、僕でも持てます。……それに、刃が鈍色で光を反射したときにまるで鏡のようになるところもすごく気に入りました……!」
「よし!ではオーダーメードしてあげよう!既存品より君の体格に合ったものを作ってあげたいからね」
成不はそういうと店員を呼んだ。
直ぐにマスターがやってきてブランの腕や身長を測ったりする。
「オーダーメイドなんて、高いんじゃありませんか?」
「私に高いという金銭感覚はないよ」
「……それはどうかと」
暫くしてマスターと成不で話がついたようだ。
受取日は2週間後。入学式には間に合うらしい。
店を出たときには既に空は茜色になっていた。
「さ。これで残るはあと一か所だよ」
「最後ですか」
「そう。中央神宮にね」
「お仕事ですか?」
「いやいや、君へのもう一つのプレゼントを受け取りに行くんだよ。正確には二つ」
「えっ、まだあるんですか?今日だけで一軒家を買えるくらいのものを貰いましたよ」
ブランは馬車に積まれた大量の荷物を見て言った。
洋服だけで家を埋め尽くすのではないか、というほどあるのに、まだ増えるというのか。
「これ以上は置き場所がなくなりますよ」
「そうなれば増築すればいいのさ。あの家はもう、私だけじゃなくて君の家でもあるんだから」
「……!」
ブランは照れくさくて視線を逸らしたが、その直前に夕日に照らされた成不の顔があまりにも嬉しそうに見えて息を飲んだ。
(成不さんの家に僕といた思い出が増えるんだ……。一人じゃない記憶が)
「……そうですね。じゃあ買い物をするたびに大きくしましょうね」
「ふふふっ!そうだね、それがいい!」
ふと徐に成不の手を取り歩く。
「ところで、プレゼントはどんなものですか?部屋に置けますか?」
「ん~~。動物!」
「え?」
天空城の東側にある庭園の一つ。エメラルドの湖と優雅に泳ぐ白鳥たち、爽やかな風と木々のさざめきはため息が出るほど美しい。
その中央にあるテラス席に彼らは集まった。
「——さて、もうそろそろ来るかしら」
長い銀髪が風に揺れている。金色の目を伏せて懐中時計をみる女性はソラウ・アテナ。特級貴族の紅一点であり宮内庁長官である。
また、ソラウの隣で紅茶を飲む年老いた男性はチェイス・ロンブローゾ。帝国の最高裁判所長官であり、特級貴族の一人である。
時計の針は約束の2分前を指していた。
「うむ。あの男ならば問題あるまい」
「そういえば、ロンブローゾ卿は楊将軍と長い付き合いでしたね」
「あぁ」
「昔の将軍はどんな人だったんですか?」
ソラウは29歳とまだ若く、特級の中でも新参者だった。
勤勉な性格で彼女に理解できない学問はないと言わせるほどの天才だ。すべての修士・博士号を最年少で取得してきた。そんなソラウにとって楊滄波という男は生まれて初めて立ちはだかる大きな壁だった。
「史上最年少で特級に名を連ねた“帝国の華”楊滄波。卿は彼の幼少期を知っている数少ない一人ですよね。彼のサクセスストーリーが気になります」
「ストーリーだと?特級になるために努力してきたと思っているのか?」
「違いましたか?」
チェイス・ロンブローゾは昔を懐かしむように髭を撫でた。
「……あやつが初めて皇宮へ来た時、当時の特級たちは覚悟した。いずれこの男にすべての座を奪われるだろうという直感だ。地位、名誉、信頼、愛情すらも。当時、たった9歳の幼子を恐れた」
「一目見ただけで彼の才能がわかったと?」
「あやつは生まれた時から特級へ名を連ねることが決まっていたのだ」
ソラウは帝国の歴史書を思い出していた。一度読んだ本、聞いて知識、見たものはすべて記憶に残る。
「確か、近代史に記されていましたね。“傾国の瞳”両眼保有者だと」
「そうだ。この1000年、楊家に両眼を持って生まれた当主はいなかった故、持って生まれた時点で異例なのだ」
「それは本に記載されていました。私が知りたいのは本には載っていない情報です。卿はなぜ彼が努力していないとお思いになるのですか?」
「生まれた時から特級相当の固有スキルを持っている人間が、あの容姿に生まれて努力をすると思うか?少なくともあやつが11歳で特級に名を連ねた時から30年余り、何かに苦戦している姿をみたことがない」
「それは——」
ソラウが口を開いた時、時計の針が動くと同時に二人の背後に人が立った。
滄波である。
「——おや、お邪魔してしまったかな」
突如頭上から聞こえた声に二人は少しだけ目を見開いた。
心臓を掴まれるかのような感覚にソラウは息を飲んで立ち上がる。
「! 楊将軍。お邪魔だなんてとんでもない。こちらこそ急に呼び立ててしまい申し訳ありません!」
「ご丁寧にありがとう。ソラウも大変だね」
滄波は柔らかく微笑むと空いている席へと回った。
向かい合ったロンブローゾと目が合う。
「チェイスも元気かい?最近は裁判所が多忙だと聞いた」
「ファーストネームで呼ぶのをやめんか」
「君が私を名前で呼んでくれたらやめてあげよう」
「チッ。さっさと座れ、小童」
「ふふ、ありがとう。でもこのままでいいよ。——ほら、陛下がいらっしゃる」
滄波が視線を向けた先から複数の人影が歩いてくるのが見えた。
多くの使用人と皇帝である。
ソラウとロンブローゾも席を立ち頭を下げた。
黄金のマスクを着け、幾重にも重ねたヴェールの衣装。金とラピスラズリで彩られた宝石がキラキラと輝いている。
ゆっくりと歩いてきた皇帝はソファに座ると執事を一人置いて使用人たちを下がらせた。
「よくぞ参った、滄波よ。先ほど休日だと聞いた。悪いことをしたと思うておる」
「お招きいただきありがとうございます。陛下がお気に病むことなどこの世に一つもございません。なんなりとお申し付けください」
「せがれはどうした?暇を持て余さなければ良いが」
「図書室におります。我が家にない貴重な書物もありますので魅入っているところでしょう」
「そうか、ならば良い。——さて、楽にせよ」
「はい」
促されて三人は着席する。
「早速本題に入ろうか。ロンブローゾ卿」
「御意」
ロンブローゾは封筒から書類をだして机に並べた。
「今回の議題は“バルカ孤児ブラン少年の処遇”についてであります。まずは時系列を追って現状を報告いたします」
書類はブランが侯爵家の養子になった時から今までの経歴が記されていた。
「15年前、旧バルカ王国との戦争が終わり捕虜を多く各領地へ移送した政策がありました。その際にバルドロイ・シリウス・ボナパルト侯爵(当時伯爵)は戦場から直接一人の赤子を連れて帝都へ帰還。本来、貴族の養子縁組には子供に魔力があることが条件になるため、魔力テストもしくは血統を証明して行われますが、戦後の戸籍登録は混乱を極めており、審査をせず書類審査を通してしまい養子縁が組まれました。これについては裁判所長官である私の責任であり深く反省の致すところでございます。誠に謝罪に言葉もありません」
「良い。書類審査の時点では卿の及び知るところではなかったのだろう。今後の対策を厳重にせよ」
「承知いたしました。では、続けさせていただきます。——その後、ボナパルト侯爵家次男として屋敷で過ごしていましたが、先日の皇太子殿下誕生会まで社交界へ出ることはありませんでした。あの夜、社交界デビューをした際に発覚したバルカ人の養子縁組について調べたところ、裁判所への書類にはバルカ人の記載はなく、また血統証明書も無かった為、彼の素性が全くの不明であることが問題に上がっています。これについてはその場でも声が上がりましたが、祝いの場ということもあり延期していたところ、洗礼式の事件でボナパルト侯爵の戦死。直後、侯爵代理のミランダ・ボナパルト夫人によって養子縁組が取り下げられました」
滄波はパラリと資料をめくる。
バルドロイの戦死した翌日の日付で養子縁組が抹消されている。これにはソラウも眉をしかめた。
「死亡登録から時間が全く空いていないところを見ると、夫人はかなり坊やを毛嫌いしていたようですね」
「そのようだな。滄波はどう考えておる?」
「日付にも表れておりますが、坊やの体格からも読み取れるでしょう。先日に成人を迎えたとは思えぬ小柄さです。袖から覗く腕は細く、見えにくいが傷も多い。何より、バルカ人への差別問題は深刻ですから」
「左様」
ロンブローゾが次のページをめくる。
「そしてその数日後、浄階特級の氷雨より後見人設定の申請がされます。書類をご確認ください。おそらく生前のボナパルト侯爵の署名捺印、備考欄の記載から推察するに、予め二人の間ではブラン少年を氷雨殿の後見にするという相談をしていたのではないでしょうか。となれば生じてくる疑問は2つ。ボナパルト侯爵はなぜ格上の氷雨殿に少年を託したのか。そして氷雨殿もなぜ引き受けたのか。不安要素が大きい以上、彼の身柄は帝国管理とし隷石を埋め込むべきです」
ロンブローゾは言い終わると同時に滄波を見た。
「結託して良からぬことを考えているのではあるまいな」
「まさか。チェイスが疑問に思うように、私も同じように思っているとも」
「だが貴様が育てた氷雨。法律上はお前が氷雨の後見人だ。すべての責任はお前に取ってもらうぞ」
「問題が起きたのならば私が責任を取ろう。だが現状、私の育てた氷雨は迷える少年を保護しただけ。むしろ良いことではないか。私は現状維持、経過観察に一票入れよう」
にっこりと笑う滄波にロンブローゾは資料を握りしめる。
「お前はいつもそうやってッ!」
「それに、洗礼式の結果では1級相当の魔力反応があったと聞いた。魔力証明がある以上侯爵の養子縁組は問題なかったと言えるだろう」
「洗礼式は中止になり結果も到底正式採用できるものではない。そもそも、1級相当ならば尚更に問題なのだ!バルカ王国の結末を忘れたか!」
「忘れてないさ。王族とその血を引く公爵たちは皆殺しにされ上級貴族はただの一人も残らなかったんだろう。だからボナパルト侯爵は“クロユリ戦争の英雄”になった」
「そうだ!ではなぜバルカ人のあの少年が1級相当の魔力を持っているのか」
ロンブローゾの疑問はもっともだ。
1級に相当するならばボナパルト侯爵が殺し損ねた上位貴族の子か、突然変異に他ならない。
ただでさえバルカ人と帝国との相性は最悪だというのに、力を持っているとなると警戒するのは当たり前だ。
滄波は資料をテーブルに置くと紅茶を飲んで一息ついた。そしてロンブローゾに向かって困ったように笑う。
「時々、子爵家や伯爵家から1級が生まれたりもする。もし上位貴族の血を引いていたとしても父親をあれほど慕っていた少年が帝国に歯向かうこともないだろう。たかだ一人の少年に何を恐れている?」
「なんだと?」
ロンブローゾが資料を握りしめる。
二人の間に火花が迸ったような気がしてソラウは慌てて立ち上がった。
「お二人とも落ち着いて!陛下の御前ですよ」
「ははは!ソラウ、気にするな。二人の言い分を聞こうではないか」
「し、しかし陛下……!」
「今の議題は処遇についてであろう。ソラウ、お前もよく聞いておれ。現状維持か帝国管理を言い渡すのか、共に判断しようではないか」
「! 承知いたしました」
ソラウが座ると滄波は資料をもう一度手に取って読んだ。
「裁判所の記録には無いようだが、侯爵とパーティーで話した時に知ったことが一つある」
「何かね」
「3年ほど前から氷雨が坊やを気に掛けていたようでね。侯爵邸で酷い虐待を受けていることを知り、放っておけなかったようだ。それで私のところへも挨拶に来ていた。3年も交流があったのならば情が湧いて当然。侯爵の死後、坊やを守るために予防策を講じただけだろう」
「情に流されては正しい判断もできなかろうよ」
「それは一理ある。帝国管理ももちろん悪いことじゃない。だが問題は彼がバルカ人であることだ。魔力量の問題ではなく酷い差別を受けていた過去、そしてそれが命を脅かしているという事実が問題。周囲からの反応からすれば特級相当に庇護してもらった方が早い解決になるだろう」
「お前がかつてしたように、か?」
ロンブローゾは最後に資料を一枚テーブルの上に置いた。
それは滄波が氷雨と後見人設定の申請を行った際の書類だった。
「備考欄には“将来的に帝国に利をもたらす貴族であると判断。教育のため後見人になることを申請”と書かれている。その一言一句まで揃っているのもお前が育てたことが理由か?」
滄波は書類を見ながら花がほころぶように笑った。
「懐かしいね。……こればっかりは氷雨に聞かないとわからないよ。当時幼かった氷雨が私の申請書の文言を覚えていたのか、調べたのかは定かではないが、これには私も驚いた」
「お前が書類を指南したわけではないと?」
「あぁ、神に誓って」
むぅ、とロンブローゾが唸った時、皇帝が小さく拍手した。
「うむ。両者共良い意見だった。さて、どちらの言い分もわかるところ、最終判決を下すとしよう。ソラウ、意見は?」
「……。正直とても難しく思います。バルカの話は今でも取り扱うときに注意を払わねばなりません。そのうえでの判断と致しましては、現状維持に一票です」
「アテナ長官殿……!」
「理由としては、虐待と差別の問題が大きな一手になりました。初めて会った時、余りの身体の小ささに衝撃を受けました。特級程の名声が無い限り、少年を守ることは難しいでしょう。命は平等に尊いものです。私は出身がどうであれ、それを守りたいと思います。しかしロンブローゾ卿の懸念も大いにわかります。ですので、条件付の現状維持を提案します」
ソラウの言葉に滄波が「ほぅ」と首を傾げた。
「具体的にはどのような条件を?」
「議題の少年には月に1度、ドラコ将軍による審判を受けて頂くことです。少なくともこの場にいる楊将軍とロンブローゾ卿には平等な判決は下せないでしょうから、神の使徒である彼に頼むのが最良かと」
ソラウの提案に二人は頷いた。
「ドラコ・ダ・ルクか……。スキルにおいても虚偽のない男。審判の際に少しでも帝国への脅威を感じた場合、即刻帝国管理とるすならばワシはその提案に賛成しよう」
「私も賛成だ。私からも一つ提案するならば、月に一度の審判に魔力測定を入れると良い。氷雨がどうして彼を育てたいと思ったのかがわかるかもしれない」
「確かに。ワシも魔力測定には賛成だ」
「ではそのようにしよう。——さて、他に決めておくことはあったか」
ソラウとロンブローゾは顔を見合わせた後、首を横に振った。
「急ぎの議題はありません。他の件については次回の皇室会議で行うことになっております」
「そうか。では本日の会議はこれにて締めとしよう。滄波、休日に呼び立ててすまなかった。せがれとの時間を楽しむがよい」
「お気遣い痛みいります。陛下に置かれましても、御尊体を十分にお休めください」
皇帝が席を立つ。三人も同時に立ち上がり深く頭を下げた。
「では、また」
皇帝が歩き始めると下がっていた使用人たちが現れて皇帝の周りを取り囲む。その後ろ姿が完全に見えなくなってから、三人はようやく頭を上げた。
資料を片付け始めたロンブローゾが呟く。
「……また同じ処遇か。お前が氷雨を育てたときのように」
「子は親に似るのだね」
「お前の時は血統証明があった。それに魔力測定も行ったしお前が最も厳しい目見ていたから信用した。だが今回は違う。私は何度でも反対するぞ」
その曇りなき眼に滄波も真剣な顔で頷いた。
「先ほども言ったが、万が一の時は私が責任を取る。もちろん、処分も私の手で行おう。それが愛弟子であったとしても」
「……その言葉、ゆめゆめ忘れるな」
テーブルの上が片付くと三人は再び座った。
使用人たちが新しい紅茶に入れ替え、滄波が持ってきたケーキを並べる。
「まぁ!これは?」
「ステラのケーキだよ。新商品というから買ってきた」
「頂いていいんですか?」
「もちろんだよ。チェイス、君もどうぞ」
「ふん」
滄波は大きなイチゴのショートケーキをロンブローゾの前へ置いた。
「君、昔からイチゴが好きだろう。新作だっていうから後で感想を聞かせておくれ」
「……大きいな」
大きく瑞々しいイチゴにロンブローゾも思わず目を輝かせる。滄波はその表情を見て嬉しそうに笑った。
「そうだろう!私も見たときに思ったんだ。君に食べて欲しいと思った」
「……仕方あるまい」
滄波がソラウの前にもケーキを置く。ベリーが溢れんばかりに乗ったムースケーキだ。
「これはソラウに。女性人気が高いようで店内でも多くの令嬢が注文していたんだ」
「わぁ!ありがとうございます。とても素敵です」
滄波はエスプレッソが染み込んだティラミスを選んだ。
「他の二人はそろそろ来るかな?」
ケーキはあと二つ。
その時、遠くからでも聞こえる大声と足音に三人は頬を引きつらせた。
「噂をすればなんとやら」
「相変わらずにぎやかな方ですね」
「そうだね。悪い人ではないんだけれど」
三人が音のなる方へ目線を向けると、紺色の軍服を纏った大男と赤い軍服を纏った男がこちらへ手を振って歩いてくる。
海軍大将フェリオ・マゼランと陸軍大将ドラコ・ダ・ルクだ。
「ガハハ!なんだ美味そうな匂いだな!!」
「やぁ、少し遅れたか?」
ドラコがいち早く滄波の隣の席に座り、流れるような動作で滄波の頬に口づけた。
「滄波、今日も綺麗だ」
「やぁドラコ。相変わらずだね」
「ガハハ!この美味そうなケーキはなんだ!食っていいのか?」
滄波は二人の前にケーキを置く。
ドラコには焦がしチーズケーキ、フェリオにはガトーショコラだ。
「これは滄波から?」
「あぁ。ステラのケーキだよ」
「最近令嬢たちが好んで通っているという店か」
「感謝するぞ!訓練後で腹が減っていたんだ!」
フェリオはそばに控えていた使用人を呼ぶと「肉も!」と大声で頼んだ。
耳を震わせる声の大きさだが、数年も特級に肩を並べていると慣れていくものである。
「さて、全員が揃ったようだし始めようではないか」
ロンブローゾが眼鏡をくい、と上げる。
大きなイチゴが大変お気に召したようで、仏頂面が少しだけ緩んでいる。
「そうだね。今年もこの時期がやって来た、ということで——」
「——大帝国軍士官学校第1103期生入学式について話し合おう」
ドラコが分厚いファイルを机に置く。
「今期の志願受付は2日前から始まったが、既に志願者が4500人と過去最多に肩を並べる人数だ。直近の洗礼式の件もあり人数は減少するという予想だったが、むしろ事件に感化された子供たちが志願するという結果になった」
「なるほど。確かにあの事件の立役者は大宮司の氷雨を筆頭に陸軍のボナパルト侯爵、応援に駆け付けた陸軍第2部隊でしたもの」
「それに3年前から入学試験を撤廃しているため、応募要項に該当する者は志願書さえ出せば入学できるのが現状。この多さでは全寮制は難しいかもしれないという結論になり、今期の生徒から自宅通学を許可しようと思うんだが、どうだろうか」
ドラコの提案に全員が頷く。
「それがいいだろう。帝都に住んでいる者は自宅通学とし、遠方から志願する者を優先的に寮に入れるといい。特に花国領、サベレジーナ領の子供たちを迎えてあげねば」
「世間の需要に合わせて校則も変えていくべきですね。カリキュラムの方は人数が増えたことで影響はありませんか?」
「武闘場がかなり圧迫されることが予想される。今予算を組んで建築に入ったところだ」
「さすが。仕事が早いですね。宮内庁も何か手伝えることがあればいつでも人手を貸します」
「助かるよ」
「志願はいつまで?」
「あと12日だ」
――――――――――――――――――――――――――――
「――12日?」
ステラで早めの昼食を食べ終えたブランたちは再び街に繰り出した。
その道中、成不の言葉にブランは首を傾げた。
「何の話です?」
「来月から君が通う学校のことさ。一昨日から志願受付が始まってあと12日で締め切りなんだ。必要書類を集めるように部下に頼んでおいたから、帰るころには家に届いていると思うよ」
「学校、ですか。それはどんな?」
「大帝国軍士官学校。言葉通り、陸海空軍を支える士官を育てる学校さ。理事には特級の楊滄波、ドラコ・ダ・ルク、フェリオ・マゼランが名前を連ねている士官学校の名門校だ」
「士官学校……!お父様も通った学校ですよね!そこに通えば立派な陸軍になれるんでしょうか」
ブランは目を輝かせた。バルドロイに関連することならば何でも知りたい。父が天から見守っていると信じて立派な陸軍になりたいのだ。
「もちろん、バルドロイ准将も卒業生だよ。ちなみに私もそこを卒業している。空軍専攻だったけれどね」
「え、成不さんって空軍に居たんですか?」
「そうだよ。卒業前に特級になったんだけど、育ての親が空軍大将だったから自然とね。そこで中将をしていたんだけどやっぱり特級が偏るのはいいことじゃないから、大宮司に抜擢されて退役したんだ」
「そうだったんですね……!軍人だったなんてすごいな、カッコいいです!もちろん大宮司の成不さんもカッコいいですが」
ブランは成不の知らない一面を知れたようで嬉しかった。
成不が戦っている姿はほんの少ししか見ていないが、一瞬で相手を圧倒したあの氷魔法を見れば軍に居たことも納得できる。
「君もなれるさ。卒業試験さえ突破できれば」
「卒業試験?どんなことをするんですか?」
「毎年違うんだけど、その時の大将たちによるかな。去年はフェリオが決めたから、今年は陸軍大将のドラコかも。入学自体は簡単にできるから安心して」
「そういえば先ほど必要書類とかなんとか……」
「そう。貴族戸籍謄本と魔力検査結果、それと推薦状だね」
成不は話しながらある店に入った。
看板には武具・装具と書かれている。ブランもその背中を追って扉をくぐった。
「推薦状?」
「そう。大帝国士官学校に入るにはコネクションが必要なんだ。かなりの名門校だから志願者も多くてね。入学試験がない分、応募要項でふるいに掛けてるんだ」
「推薦状は成不さんが書いてくれたんですか?」
「もちろん。あと来儀君にも頼んだよ。あの子も現役空軍だからね」
「来儀さんも!?」
「大宮司と准将から推薦もらってれば入学は間違いないからね。あとの詳しいことは公示が出るまでわかんないけど、入学に必要なものは揃えておきたかったんだ」
成不が「ほら」と言って店の中をみせる。
店内は奥が見えないほど広く、壁全面にあらゆる武器がディスプレイされている。よく見る拳銃やサーベルから全く見たことがないものまで。ブランは思わず「おぉ」と声を漏らした。
「士官学校には実践用に武器を一つ持ち込むことを許されている。飛び道具でも長物でもなんでも大丈夫。ブラン君はどうしたい?」
「どうしたい、って言われても……。武器なんて扱ったことないですしわからないです」
「好きなものを直感で選べばいいよ。ちなみに私が選んだのは鉄扇だった。氷魔法との相性が良いからって滄波に薦められてね」
成不は懐から鉄扇を取り出して広げて見せた。新聞で良く見る扇だ。それが武器だと初めて知った。
「でも僕は固有スキルも得意魔法もわかりませんし……」
「じゃあ私が選んでいいかい?成人のプレゼントを兼ねて」
「もちろんです!それが嬉しいです!」
ブランの輝いた目を見て成不は笑った。
「ふふっ!じゃあついておいで!」
ブランの細い手を取って店の奥へと進んでいく。
「これは?」
角を曲がった最奥の部屋には細い剣が多く並んでいた。
しかしブランの良く知るものではなく、沿っていたり持ち手に布がまかれていたりする。
成不は一番近くに合ったものを一本取るとブランに見せた。
「刀、という武器だ。花国領から伝わって来た最強の刃物を言われている。これを一振りすれば肉を削ぎ骨を断つ、生粋の武器だよ」
「最強の刃物……」
「攻撃魔法のどれとでも相性がいいことも長所だ。短所といえば防御には向かず遠距離は難しいというくらい。極めれば距離も防御も関係なくなるから、もしブラン君が強くなりたいというのならば、私はこれを薦めよう」
成不に渡されブランの手に刀が乗る。それは長さに対して軽いように思えた。
「持ちやすいですし、僕でも持てます。……それに、刃が鈍色で光を反射したときにまるで鏡のようになるところもすごく気に入りました……!」
「よし!ではオーダーメードしてあげよう!既存品より君の体格に合ったものを作ってあげたいからね」
成不はそういうと店員を呼んだ。
直ぐにマスターがやってきてブランの腕や身長を測ったりする。
「オーダーメイドなんて、高いんじゃありませんか?」
「私に高いという金銭感覚はないよ」
「……それはどうかと」
暫くしてマスターと成不で話がついたようだ。
受取日は2週間後。入学式には間に合うらしい。
店を出たときには既に空は茜色になっていた。
「さ。これで残るはあと一か所だよ」
「最後ですか」
「そう。中央神宮にね」
「お仕事ですか?」
「いやいや、君へのもう一つのプレゼントを受け取りに行くんだよ。正確には二つ」
「えっ、まだあるんですか?今日だけで一軒家を買えるくらいのものを貰いましたよ」
ブランは馬車に積まれた大量の荷物を見て言った。
洋服だけで家を埋め尽くすのではないか、というほどあるのに、まだ増えるというのか。
「これ以上は置き場所がなくなりますよ」
「そうなれば増築すればいいのさ。あの家はもう、私だけじゃなくて君の家でもあるんだから」
「……!」
ブランは照れくさくて視線を逸らしたが、その直前に夕日に照らされた成不の顔があまりにも嬉しそうに見えて息を飲んだ。
(成不さんの家に僕といた思い出が増えるんだ……。一人じゃない記憶が)
「……そうですね。じゃあ買い物をするたびに大きくしましょうね」
「ふふふっ!そうだね、それがいい!」
ふと徐に成不の手を取り歩く。
「ところで、プレゼントはどんなものですか?部屋に置けますか?」
「ん~~。動物!」
「え?」
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