カニバル ーすべてを喰らう者ー

 ―― 僕は最後のハンニバル。メギドの丘にて愛しき君を待つ ――

 かつてこの世界には竜と魔法と9つの国が存在した。どの時代も人間同士の戦争が絶えず、国と人と大地とは疲弊しきっていた。そんな中、大陸の中央にあるオリジン帝国皇帝は旗を揚げて宣戦布告した。
 「――これより、オリジン帝国は全世界へ“最後の聖戦(ハルマゲドン)”を布告する」

 聖戦が始まって80年近い年月が経ち、7つの国を落とした帝国は世界の殆どを統治していた。残る国はただ一つ。そんな巨大な帝国に住むブランという少年は帝都に存在する唯一の”黒い肌”の貴族だった。
 黒い肌、黒い髪、水色の瞳。彼を構成するすべての要素が帝国の貴族には赦し難い呪いの証。ブランは何故生きているのかすら理解できないまま、15歳の洗礼式を迎える。

 これはすべてを失った少年が、“すべてを喰らう”物語である。
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