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番(つがい)とは
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私はパーソンズ伯爵家の一人娘であり次期当主です。
今日婚約解消をしたリチャーズ・クロッセルも、同じ伯爵位であり三男でした。小さい頃から私たちは婚約をしており、彼はこのパーソンズ伯爵家に婿入りする予定でした。我がパーソンズ伯爵家と彼のクロッセル伯爵家は領地が隣どおしで幼馴染の関係でもありました。
我が国バモスは、特例で女性が爵位を継ぐことを認めています。その特例というのが、番に関係しています。この世界には番(つがい)という厄介なものがあります。番とは、お互いになくてはならない相手の事です。それは身分の差は関係ありません。本能ですから。
ただこの番のせいで、昔多くの国でいざこざがありました。
代表でいえばこの国です。この国の王族である王太子が、王太子妃と結婚したばかりの時に番を見つけてしまいました。しかもお相手は貴族ではありませんでした。普通なら愛妾として召し上げるということも考えられますが、番にはそんなこと通用しません。番は相手しか見えなくなるのです。そして番を見つけた王太子は、あろうことか王太子妃を毒殺してしまいました。これには多くの貴族、特に王太子妃の実家である公爵家が黙っていませんでした。
王もこのことには、大変胸を痛めて結局王太子その相手のふたりとも、自分たちが王太子妃にやったように、毒を飲んでの処刑となりました。まあここまでしなくては、貴族たちの反感があまり強すぎたということもあります。もっといえば番による似たようなことは、国内のそこかしこで起こっていたのです。ひいて言えばこの世界すべてで。ほかの国でも同じようなことが起こっていました。
そこで各国が協力して世界中の英知を結集して、一つの薬を生み出しました。番を番と認識させない薬を作り出したのです。庶民ならともかく、貴族や王族は好き嫌いで結婚しません。
番がわかるのは、思春期になったころからです。そこで貴族や王族は、その年ごろになる前にこぞってその薬を飲むことにしました。その薬は副作用がありません。それにいつまでも飲み続けるという事ではないのです。番もある年齢を超えると、見つけるのがわかりずらくなるのです。ですから飲むのは結婚して子供が大きくなるまで。子どもが大きくなって成人する頃には番が見つけられなくなるからです。
ですがたまに貴族の中でも故意に飲まないものもいます。番へのあこがれでしょうか、それとも自分には妻子がもういるから、そんな番を必要としていないと自分を過信してしまったからでしょうか。
現に私の父も、母と結婚して私ができたにもかかわらず、番を見つけてしまいこの家を去っていきました。もともとこの伯爵家は、父が継いでいました。母は嫁入りしたのです。母の実家は侯爵家で、さかのぼれば隣国トランザ国の末王女が嫁いだ家でもあります。今は母がこの伯爵家の当主となり領地の管理をしていますが、いずれ私がこの伯爵家を継ぎます。
それはこの世界に特別な法律があるからです。万が一のためにこの世界では、全世界共通の法律があります。
もし妻帯していた場合に、夫が番を見つけた時にはその妻との子供が男女問わず、その爵位を受け継ぐことが出来るというものです。
例えば一人しか子供がいなかった場合、それが女の子であったなら爵位を継げないのは困ります。妻子が追い出されてしまうからです。そんなことが無いよう法律が守っているのです。また子供がいない場合、莫大な違約金を妻本人に支払わなくてはなりません。ほとんどその家の財産すべて持っていかれるほどのお金です。
そんなすばらしい法律のおかげで、貴族や王族は思春期になったらすぐに薬を飲み始めるのです。男女ともに。女性の場合は、自分と同じ身分の者が番だったらいいのですが、もし違っていたら大変です。もし番が庶民だった場合、女性は貴族ではなくなります。今まで蝶よ花よと育てられていたお嬢様が、いきなり庶民の生活になじむなんてこと出来るはずがないのです。
ということで、女性の貴族や王族も必ずといっていいほど皆飲みます。
ただ先にも言った様に私の父も自分を過信しすぎたのか、番というものにあこがれていたのか薬を少しの間やめてしまっていました。そしてすぐに番を見つけてしまったのです。その番は、うちの屋敷に出入りしている商家の娘でした。
今父は、その商家でしたこともない商いをしているようです。でも所詮お貴族様で育った父には、大変なことです。聞く話によると、役に立たないため商家で肩身が狭い暮らしをしているそうです。仕方ありませんね。おまけに子供も二人ほど男の子がいるそうですが、法律により絶対にその子供が、この伯爵家を継ぐことはありません。もし私に子供が出来なかった場合、私が指定したものが継げるのです。これも昔親族間の争いがいたるところで起こり法律が整備されたおかげです。
私が目の前の空いた椅子を見てぼーっとしていた時です。
「やあ。婚約解消されたんだって」
いきなり声がして入ってきたのは、目にまぶしいほどのキラキラした人物でした。
今日婚約解消をしたリチャーズ・クロッセルも、同じ伯爵位であり三男でした。小さい頃から私たちは婚約をしており、彼はこのパーソンズ伯爵家に婿入りする予定でした。我がパーソンズ伯爵家と彼のクロッセル伯爵家は領地が隣どおしで幼馴染の関係でもありました。
我が国バモスは、特例で女性が爵位を継ぐことを認めています。その特例というのが、番に関係しています。この世界には番(つがい)という厄介なものがあります。番とは、お互いになくてはならない相手の事です。それは身分の差は関係ありません。本能ですから。
ただこの番のせいで、昔多くの国でいざこざがありました。
代表でいえばこの国です。この国の王族である王太子が、王太子妃と結婚したばかりの時に番を見つけてしまいました。しかもお相手は貴族ではありませんでした。普通なら愛妾として召し上げるということも考えられますが、番にはそんなこと通用しません。番は相手しか見えなくなるのです。そして番を見つけた王太子は、あろうことか王太子妃を毒殺してしまいました。これには多くの貴族、特に王太子妃の実家である公爵家が黙っていませんでした。
王もこのことには、大変胸を痛めて結局王太子その相手のふたりとも、自分たちが王太子妃にやったように、毒を飲んでの処刑となりました。まあここまでしなくては、貴族たちの反感があまり強すぎたということもあります。もっといえば番による似たようなことは、国内のそこかしこで起こっていたのです。ひいて言えばこの世界すべてで。ほかの国でも同じようなことが起こっていました。
そこで各国が協力して世界中の英知を結集して、一つの薬を生み出しました。番を番と認識させない薬を作り出したのです。庶民ならともかく、貴族や王族は好き嫌いで結婚しません。
番がわかるのは、思春期になったころからです。そこで貴族や王族は、その年ごろになる前にこぞってその薬を飲むことにしました。その薬は副作用がありません。それにいつまでも飲み続けるという事ではないのです。番もある年齢を超えると、見つけるのがわかりずらくなるのです。ですから飲むのは結婚して子供が大きくなるまで。子どもが大きくなって成人する頃には番が見つけられなくなるからです。
ですがたまに貴族の中でも故意に飲まないものもいます。番へのあこがれでしょうか、それとも自分には妻子がもういるから、そんな番を必要としていないと自分を過信してしまったからでしょうか。
現に私の父も、母と結婚して私ができたにもかかわらず、番を見つけてしまいこの家を去っていきました。もともとこの伯爵家は、父が継いでいました。母は嫁入りしたのです。母の実家は侯爵家で、さかのぼれば隣国トランザ国の末王女が嫁いだ家でもあります。今は母がこの伯爵家の当主となり領地の管理をしていますが、いずれ私がこの伯爵家を継ぎます。
それはこの世界に特別な法律があるからです。万が一のためにこの世界では、全世界共通の法律があります。
もし妻帯していた場合に、夫が番を見つけた時にはその妻との子供が男女問わず、その爵位を受け継ぐことが出来るというものです。
例えば一人しか子供がいなかった場合、それが女の子であったなら爵位を継げないのは困ります。妻子が追い出されてしまうからです。そんなことが無いよう法律が守っているのです。また子供がいない場合、莫大な違約金を妻本人に支払わなくてはなりません。ほとんどその家の財産すべて持っていかれるほどのお金です。
そんなすばらしい法律のおかげで、貴族や王族は思春期になったらすぐに薬を飲み始めるのです。男女ともに。女性の場合は、自分と同じ身分の者が番だったらいいのですが、もし違っていたら大変です。もし番が庶民だった場合、女性は貴族ではなくなります。今まで蝶よ花よと育てられていたお嬢様が、いきなり庶民の生活になじむなんてこと出来るはずがないのです。
ということで、女性の貴族や王族も必ずといっていいほど皆飲みます。
ただ先にも言った様に私の父も自分を過信しすぎたのか、番というものにあこがれていたのか薬を少しの間やめてしまっていました。そしてすぐに番を見つけてしまったのです。その番は、うちの屋敷に出入りしている商家の娘でした。
今父は、その商家でしたこともない商いをしているようです。でも所詮お貴族様で育った父には、大変なことです。聞く話によると、役に立たないため商家で肩身が狭い暮らしをしているそうです。仕方ありませんね。おまけに子供も二人ほど男の子がいるそうですが、法律により絶対にその子供が、この伯爵家を継ぐことはありません。もし私に子供が出来なかった場合、私が指定したものが継げるのです。これも昔親族間の争いがいたるところで起こり法律が整備されたおかげです。
私が目の前の空いた椅子を見てぼーっとしていた時です。
「やあ。婚約解消されたんだって」
いきなり声がして入ってきたのは、目にまぶしいほどのキラキラした人物でした。
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