かん子の小さな願い

にいるず

文字の大きさ
21 / 46

かん子の天敵朝居正也 その6

しおりを挟む
 日曜日のグラウンド。
 かん子たちソフトボール部は、今日自分の学校で練習試合がある。

 なぜかグラウンドの周りに多くのギャラリーが...。

 かん子たちがグラウンドを占領しているので、どうやらサッカー部がグラウンドを使えないらしい。

 はじめは別の場所で練習していたようだが、あいにく顧問の先生がいないらしく、練習をやめてサッカー部の人たちがかん子たちの練習試合をみている。

 かん子はレフトを守っている。

 かん子たちのソフトボール部は、はっきりいってうまくない。むしろ下手なほうだ。
 特にかん子は、自分でも認めるほど下手だと思ってる。なのになぜ練習試合に選手として出ているのか。
 それはみんながみんな下手なので、かん子でも選手として出ることができるのだ。

 かん子は、つい周りのギャラリーが目に入ってしまいブルーな気分になってしまった。
 きっとあいつも見ているだろう。はっきりとあいつを見たわけではないが、何となく確信していた。

 へまなどしたら、きっといろいろ言うだろう。かん子があこがれているサッカー部の先輩も、見ているかもしれない。

 いやだいやだ・・・・。

 そんな風に思っていたせいだろうか。

 試合が始まってすぐ、かん子のいるレフトにボールが飛んできた。

 がちがちに固まっていたせいかミスしてしまった。
 相手がうまいせいか、とにかく外野にボールがよく飛んでくる。

 かん子は最初ミスしてしまったせいか、あれから何度もミスしてしまった。

 みんなが声をかけてくれるが、よけいプレッシャーを感じてしまった。

 そうしているうちに試合は終わった。

 
 ぼろ負けだった・・・・・。

 かん子はつらかった。自分のミスのせいでこんなに点を取られてしまったのだから。
 かん子の周りにみんなが集まり、やっぱり慰めの言葉を次々にかけてくれた。

 「気にしなくていいよ!」

 「そうだよ」

 「かん子ちゃん、よくやったよ」

 「ドンマイ!」


 そんななか、ギャラリーの中から声がした。

 「缶づめかん子ー!なにやってるんだよ!もっとしっかりやれよ!」

 気がつけばあいつが、かん子のそばにやってきて言った。

 かん子は涙があふれてきた。止まらなくなってしまった。自分が一番思っていることなのに、みんなの前であいつに言われてしまった。
 はずかしくてしかたなかった。

 あいつ正也が言ったことは、本当のことなのについ顔をあげて、あいつをキッとにらんでしまった。

 そこには驚いた顔があった。まさか泣いたとは思わなかったのだろう。
 びっくりした表情の後、なんともいえない顔になった。

 「朝居君言いすぎだよ。かん子にあやまりなよ」 

 みなが口々に言ってくれた。
 かん子は、それを聞いてよけい泣けてきてしまった。
 心の中で自分は卑怯だと思いながら、正也を許せなかったのだ。

 かん子が、あまり泣いたからだろう。

 「朝居!お前女の子に言いすぎだろ!」

 サッカー部の正也の先輩たちも正也にいってくれた。

 正也はじっとかん子を見ていたが、ふいに目をそらすとあやまりもせずにどこかに行ってしまった。

 「おい!朝居!待てよー!」

 サッカー部の男子たちが呼んだが、正也は戻ってこなかった。

 「あとであいつには、よくいっておくから」

 正也の代わりに、かん子と同じクラスのサッカー部の男子が言ってくれた。


 ただその日から、正也の態度が変わった。

 かん子とすれ違っても、からかったりしなくなった。
 しかも顔をそむけるようにして、行ってしまうようになった。

 かん子ははじめびっくりしたが、あの時の正也の態度がゆるせなかったのでほっておくことにした。

 そしてかん子の頭の中から、次第に正也のことが消えていったのだった。


 心の隅に、わけのわからないもやもやをかかえたまま。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました

藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。 次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

クラスで一番人気者の女子が構ってくるのだが、そろそろ僕がコミュ障だとわかってもらいたい

みずがめ
恋愛
学生にとって、席替えはいつだって大イベントである。 それはカースト最下位のぼっちである鈴本克巳も同じことであった。せめて穏やかな学生生活をを求める克巳は陽キャグループに囲まれないようにと願っていた。 願いが届いたのか、克巳は窓際の後ろから二番目の席を獲得する。しかし喜んでいたのも束の間、彼の後ろの席にはクラスで一番の人気者の女子、篠原渚が座っていた。 スクールカーストでの格差がありすぎる二人。席が近いとはいえ、関わることはあまりないのだろうと思われていたのだが、渚の方から克巳にしょっちゅう話しかけてくるのであった。 ぼっち男子×のほほん女子のほのぼのラブコメです。 ※あっきコタロウさんのフリーイラストを使用しています。

出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜

泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。 ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。 モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた ひよりの上司だった。 彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。 彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……

甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!? 『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』 小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。 ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。 しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。 彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!? 過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。 *導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。 <表紙イラスト> 男女:わかめサロンパス様 背景:アート宇都宮様

イケメンエリート軍団??何ですかそれ??【イケメンエリートシリーズ第二弾】

便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC” 謎多き噂の飛び交う外資系一流企業 日本内外のイケメンエリートが 集まる男のみの会社 そのイケメンエリート軍団の異色男子 ジャスティン・レスターの意外なお話 矢代木の実(23歳) 借金地獄の元カレから身をひそめるため 友達の家に居候のはずが友達に彼氏ができ 今はネットカフェを放浪中 「もしかして、君って、家出少女??」 ある日、ビルの駐車場をうろついてたら 金髪のイケメンの外人さんに 声をかけられました 「寝るとこないないなら、俺ん家に来る? あ、俺は、ここの27階で働いてる ジャスティンって言うんだ」 「………あ、でも」 「大丈夫、何も心配ないよ。だって俺は… 女の子には興味はないから」

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

処理中です...