かん子の小さな願い

にいるず

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かん子と家族だんらん

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 かん子は正也が帰ってしまっても、しばらく動けずに玄関に突っ立っていた。どれくらいたっただろうか。やっと靴を脱ぎ洗面所にむかっていった。手を洗いうがいをして部屋にいく。着替えをしながらやっと落ち着いてきた。
 さっきのはなんだったんだろう。考えようとしたが朝からいろいろなことがありすぎて、頭の中がパンク気味で脳が働かない。

 「かん子おりてきて~」

 下で母親がよんでいる。さっきのことをいろいろ聞かれそうだ。でも仕方ないおりていこう。覚悟を決めて母親の元へとむかった。
 案の定母親は、これでもかというくらいの待ちきれないという表情でむかえてくれた。

 「正也君、かっこよくなったわねえ~。帰り一緒だったんでしょ!」

 「うん、だけどあんまり話してないし...」

 かん子の歯切れの悪い答えに、

 「まあいいわ。お父さんも俊史も、今日遅くなるそうだから先に食べましょう!」

 母親は、あっさり話を終えてテーブルに料理を並べだした。食事中もこれといった話は出なかったので、かん子はなんだかほっとした。

 それから居間でのんびりテレビを見ていると、お茶を持ってきてくれた母が隣に座った。

 (やばっ!)

 かん子は心の中で舌打ちしたが後のまつりだった。油断していた。母親は、まるでいつも俊史がかん子にするような、ちょっダークな笑みを浮かべていった。さすが親子である。

 「明日正也君お迎えに来てくれるのねえ~。二人何か進展でもあったのかしら~!」

 「あるわけないじゃん。今日久しぶりに会ったばかりだよ。しかも今日会うまで、あいつのことすっかり忘れていたし」

 本当のことなのに、なぜか顔があかくなってしまうかん子だった。

 「あらあらっ、そんなに顔赤らめなくてもいいわよ。わが子ながらかわいいわねえ~正也君に見せたいくらい。うっふっふっ」

 プップッ__。げっほっげっほっ___。

 かん子は、母親の言葉にお茶を思いっきりふいてしまった。

 「いやねえ。そんなにあわてて飲まないでねうっふっふ~」

 何を勘違いしているのか、かんべんしてほしいと思ったかん子だった。

 
 そのうちに父親と俊史が帰ってきて、家の中が賑やかくなった。

 「どうだ?社会人初日は!」

 かん子の顔を見るなり父親が聞いてきた。

 「うん。まあまあかな」

 「かん子~。何か面白いことあったか~」

 兄の俊史も聞いてきたので、返事をしようとすると代わりに母親がうれしくもない返事をしてくれた。

 「今日かん子ったら、正也君に送ってきてもらったのよ~」

 「へえ~」

 心なしか兄俊史の目が光ったような。

 「違うって。偶然会っただけ」

 かん子は、思いっきり否定した。

 「明日の朝、お迎えに来てくれるらしいわよ」

 (おいおい、この人の前で爆弾発言しないでくれたまえお母さん!)

 かん子は心の中でつっこんだ。
 俊史は、かん子のこととなるとうるさい。いろいろさぐりをいれてくるにちがいない。知らない人の名前が出て、さぞつっこみどころ満載だろう。そう思い身構えたが、かえってきた言葉に唖然とした。

 「へえ~。あいつやるじゃん、もう行動したのかくっくっくっ」

 俊史が笑っている?!しかも正也を知っている?なぜか父親も苦笑しているではないか。

 えっえっ__!

 思わず声になった。

 「みんな朝居正也を知ってるの?ねえお兄ちゃん?」

 次の言葉にかん子はもっと呆然とするのだった。

 「まあな。かん子も頑張れよ~」

 なにをどう頑張ればいいのか、聞く気力がなくなったかん子だった。

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