かん子の小さな願い

にいるず

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かん子と正也の同居?シェア?

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 かん子が意識をとばしてからどれくらいたったのだろうか?

 「おいっ!大丈夫か?いったいどうしたんだ?」

 すぐ目の前10センチぐらい先に正也の綺麗な顔が、かん子をのぞきこんでいる。
 正也の表情は、ひどく心配しているように見えた。

 「だ、だ、大丈夫だよ。ほんと脅かさないでよ~。お化けかと思ったじゃん」

 「こっちこそびっくりしたぞ。ドア開けたら目の前がいきなり壁だしさ。動かすのが大変だったぞ。いったい誰がやったんだ?まあ見当は付いてるけどな。それにしてもさっきのかん子の顔、おかしかったぞ。半分白目むいててこっちがお化けかと思ったぞ」

 かん子が話す姿を見て安心したのか、さっきの心配顔はどこへやら正也はまた意地悪を言った。

 「いきなり変な音が聞こえたら誰でも驚くよ。さっきの変なうめき声って、何だったのよ。それにドアって何?」

 「変なうめき声って失礼な奴だなあ。あれは、重い段ボールを動かす時に出た声だ。ほんと重かったぞ、何入ってるんだ?あとドアは、さっき段ボールが積み上げてある所にあるんだよ。俺の部屋とつながってる」

 「あの段ボールの中身は好きな本や漫画。ねえ、俺の部屋ってどこの部屋?何つながってるって。ここマンションだよ」

 「ここの隣が俺の部屋。ここと俺のリビングをつなぐドアだよ。わざわざ玄関から出入りするの面倒だろ。ここにドアがあれば、すぐ行けるし。鍵いらないしな」

 正也はどうだ!この俺の素晴らしいアイデアは!とでもいいいたいぐらいの勢いで、俺様発言を当たり前のようにいった。
 かん子は、正也の俺様発言にびっくりした。

 「えっ__!?どうしてあんたの部屋なんかとつながんなくちゃいけないのよ。ここは乙女の聖地だ!そんなところにずかずかとあんたみたいなやつが、入っていいわけないじゃん」

 「乙女って誰だよ、そんなのどこにいんの。それにさ、かん子そんな強気発言しちゃっていいの?そういえばいってなかったけど、ここ社員寮じゃないし。この部屋俺のなんだよね。借りると高いよ。かん子払ってくれるの?」

 「払ってやるわよ?いくらよ家賃て。そうしたらドアからはいらないでよ」

 「あ~あ!かん子強気~!いろいろ込みで、家賃にしたら月20万ぐらいかな?もっとかも?かん子払えんの?」
 
 正也は、何とも言えない黒い笑みを浮かべていった。

 かん子はその金額を聞いて、一瞬絶句した。かん子は思わずそんな正也の得意そうな顔を、ぶっ飛ばしてやりたくなった。
 マンションの部屋を初めて見たとき、あまりに綺麗でびっくりしたのだ。

 しかも自分の思い描いてた一人暮らしとは違い、超セレブな一人暮らしにもうここで生活するという夢を十万キロぐらいはせていたのだ。
 それが夢で終わってしまうとは。しかも実際この部屋を見た分たちが悪い。
 きっと他のどの部屋を見ても、この部屋を見た後ではもう満足できないだろう。

 かん子は恐る恐る正也にいってみた。

 「普段はお互い自分のスペースで生活するんでしょ?ちなみにそのドアってなんの時に使うの?」

 思わず声が小さくなってしまう。

 正也はかん子の弱気発言に気を良くしたのか、ご機嫌な顔でいいはなった。

 「かん子~おばさんに聞いてなかったの?これからかん子が俺の食事を作るの!ちなみに朝食と夕食ね。まあお昼まではいいよ。どっちの部屋で食べてもいいんだけど、毎日行き来するの大変でしょ。だからこのドア」

 よくわからない子供に、いいふくめるように正也は言った。

 かん子は、その言い方にカチンときて思わずいった。

 「聞いてない!ただ何かあるとは聞いたけど、食事の支度?なんて聞いてない」

 かん子の怒りに正也は苦笑していった。

 「ご飯作ってくれたら、ここの家賃ただなんだけどな。しかも光熱費込み。もちろん食費は別に払うよ」

 かん子は聞いてびっくりした。

 (こんなにいい話はないかも。まあドアがあるっていったって、普段は別に生活できるし。シェアハウスだと思えばいいかも。しかも食費別に出してくれるの?自分の食費浮いちゃうかも)

 かん子は、さっきの正也の話にこれからのことを思いっきり皮算用していて、正也がいることを忘れてしまい一人にやけてしまった。

 正也は、かん子の顔がふにゃとにやけていくのを半分笑ってみてしまった。正也は正也で、かん子がもうドアのことを何とも思っていないだろう、もしかしたらもうドアのことさえ忘れているかもしれないと思い、これからの生活が楽しくなるのだった。

 「かん子、何ニヤニヤしてるんだよ。まずは夕食たべにいこうぜ。ご飯作りは明日からにしてやるな」

 正也の声にかん子はびっくりした。

 ふと今いる場所を思い出し、どうしてもにやけてしまう顔をがんばって止めようとした。
 かん子がひとり皮算用にふっけている間に、正也は散らばった段ボールを部屋の隅にかたずけたようだった。

 「早く支度しろよ。また呼びに来る」

 正也はそういうと、さっきのドアから部屋に戻ろうとした。

 「待ってよぉ。さっきので腰ぬけて動けないみたい」

 情けない顔でかん子が言った。かん子も動こうとしたのだが、腰に力が入らなかったのだ。

 「おいっ!おまえまた腰ぬけたの?いったい何回抜けるんだよ」

 正也は呆れていった。

 「小学校の時の子供会のきもだめし以来だよ」

 「仕方ないなあ」

 正也はかん子にそういうと、なぜかうれしそうに近づいてきて、かん子のほうにかがむと、いきなりお姫様だっこをしてかん子の寝室へと連れていった。

 「今日は適当になんか買ってくるよ。それまで休んでいて」

 正也はそういうと、そそくさといってしまった。
 かん子はといえば、さっきのお姫様だっこにまたまた思いっきり意識が飛んでしまったのであった。
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