あなたが恋する人のひ孫である私

にいるず

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4 夢じゃなかった

 再び私は目を開けた。天井の模様が目に飛び込んできた。見慣れた木の木目の天井じゃない。もう一度強く目をつぶる。そして目を開けた。やはりそこには大きなきらきらしたシャンデリアが天井につるされていた。いつもの天井ではなかった。
 それと同時に首にちりっと痛みを感じた。手を首に持っていくと、やはり首には包帯がまかれている。真上に見えるきらきらしたシャンデリアがにじんでぼやけて見えた。どれくらいそうしていただろうか。
 部屋に誰か静かに入ってきた。

「目を覚まされたんですね」

 そういって近寄ってきた女の人が、私を見て思わずといった風で足を止めた。

「泣いてらっしゃったんですね。もう大丈夫ですよ」

 その女の人は、私を抱き起し優しく抱きしめてくれた。私はその時初めて自分が泣いていることを感じた。そしてそれが抑えきれなくなった。

「わあぁああぁぁ___」

 その女の人は、私が泣き止むまで優しく背中をなでてくれていた。泣き疲れた私は、やっと我に返った。それまで抱きしめていてくれた女性もそんな私に気が付いて体を離してくれた。

「すっ、すみません。ありがとうございます」

 私がお礼を言うとその人はニコッと微笑んでくれた。その人は先ほど起きた時に私に水を差し出してくれた人だった。

「お水また飲みます?」

 私がうなづくとまたその女性はコップに入った水をくれた。前に飲んだ時と同じレモンが入った水のようなすっきりとした味がする。

「おいしい」

 私がすべて飲んでしまうと、その女性は空になったコップを受け取った。

 その女性は、ベッドのそばにあった椅子に座った。

「いきなりでびっくりされたでしょうね。私は、アリーと申します。これからお嬢様のお世話をさせていただきます。何でもおっしゃってくださいね。しばらく寝ていらしたので、お腹がすきませんか? よろしければ今何かお持ちしますね」

 アリーと名乗った女性が、そういうと確かに私のお腹は空いているようだった。

「ぐぅぅうう___」

 急にお腹の音が静かな部屋中に響き渡った。私はずいぶん図太い性格をしているらしい。こんな時にもお腹が空いたと主張している。

「すみません」

 私が謝ると、アリーは首を振った。

「いえいえ、丸二日も寝ていらしたんです。お腹がすくのは当たり前ですよ。ちょっと待っててくださいね」

 そういってアリーは部屋を出ていった。

 私は、アリーが言った丸二日という言葉にびっくりしてそれどころではなかった。

「ここはどこなの?」

 その時初めて部屋を見回した。少し離れたテーブルにあの青い石のネックレスが置いてあった。窓からは外の景色が見える。太陽がきらきら輝く湖とさわさわと風に葉を揺らしている木々が見えた。
 私が外の景色をぼーと眺めている間に、アリーはお盆にいい匂いがするものをのせて戻ってきた。

「さあ、お食事ですよ。胃がびっくりしますからね。胃に優しいものを持ってまいりました」

 そうして私の前にお盆を置いた。お盆の中にはお粥のようなものが入っていた。アリーにスプーンをもらい、お粥のようなものをすくう。口の中に一口入れると、それはリゾットを薄くしたような優しい味だった。気が付けばパクパクと食べていて器はいつの間にか空になっていた。アリーは空になった器をお盆さら下げて、今度はカップを渡してきた。何やら赤い液体が入っている。

「どうぞ。これも胃に優しいんですよ。でも栄養があるんです」

 そういわれて一口飲むとイチゴのような味がした。甘くておいしくてごくごくと飲んでしまった。そしてアリーに優しく手や口を拭かれて、また横にさせられた。

「もうちょっとおやすみくださいませ」

 私は、聞きたいことがいっぱいあったはずなのに気が付けばまた眠りの世界に旅立っていた。


 
 アリーは、空になったお盆を持ってそっと部屋を出た。廊下に出てしばらく行くと、声をかけられた。

「どうだった?」

「泣いておられましたよ」

「そうか、びっくりしただろうね。何か言っていたかい?」

「いえ、何も。今はまたお休みになっておられます」

「そうか」

「あのお方はやはり?」

「たぶん。着ていたものは、この国にはない素材でできている。ただ春子様が着ていたものとは少し違うようだ」

「そうなんですね。でもまだいろいろお聞きするのはおやめくださいませ。そうでなくてもあのお方にはショックが大きいようでしたので」

「そうだな。確かにあのお方は、春子様がいた世界とは違うのかもしれないが、あのお方もときびと様なのだからね」

「ブレック様にご報告は?」

「しないよ。ときびと様にあんなことをしてしまったんだ。すぐには会わさないよ。それにまた会わせたらまた何をするか...」

「そうですね」
 
 二人は、そううなづきあって廊下を歩いていったのだった。
 

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