なぜか水に好かれてしまいました

にいるず

文字の大きさ
25 / 80

23 乙女心は複雑です

その日デパ地下で、お気に入りのスイーツを買い、散財してしまった敦子は、部屋に戻って後悔した。

「 あ~あ、今月は洋服も買っちゃったし、お高いスイーツも買っちゃったよ~。 」

食後のデザートとして、目の前にあるスイーツをゆっくりと味わうように食べながら、敦子はつぶやいた。

これもすべて玉山さんのせいだばかりに隣の部屋の壁をにらみつけた。

二つ買ったデザートのうち、もう一つは大切に明日に取っておくことにした。


また同じ夢を見た。

今朝見た夢と同じで、自分が滝の前にいる。
誰かを待っている。

しばらくして、水の中から竜が現れて、男の人に変化して、自分のそばに歩いてくる。

今日は、そこで目が覚めた。


朝電車に揺られながら、敦子は今朝見た夢の事を思い出していた。

( いったい何なんだろう。また玉山さん似の人が出てきたよ。かんべんしてよ~。 )

思い切り一人ため息をついた。


会社に行くと更衣室で、後輩の子がいた。

「 おはようございます。 」

「 おはよう~。 」

「 滝村さん、営業の笹川さんと仲いいんですね。 」

「 そう? そこまでいいわけじゃないよ。仕事の事しか話さないし。 」

「 そうなんですか。昨日ちょうど休憩室の前通ったら、お二人でいるの見えちゃったので。すみません。変なこと聞いちゃって。 」

「 いいよ。いつも一緒に食べる子たちが、お昼買い出しに行ってて、待ってたの。その時ちょうど笹川さんが来て仕事を頼まれただけよ。 」

「 そうなんですね。じゃあお先に。 」  

そういって後輩の子は、先に更衣室を出て行った。

はあぁ____

敦子は、またため息が出てしまった。

「 おはよう~、あっちゃん。」

大橋奈美が入ってきた。

「 どうしたの~? 大きなため息なんかついちゃって。 」

「 おはよう~、若いっていいなあって思っただけ。リア充には、わかんないだろうけどさ。 」

「 な~に、あっちゃんだってすぐできるよ~。そんなことより、お昼お弁当持ってきた? 」

「 ううん、持ってきてない。 」

「 じゃあ、食べに行く? 結衣ちゃんにも聞いてみる。 」 

そういって奈美は、元気よく更衣室を出て行った。

はあぁ____

本日三回目のため息を出した敦子だった。




「 ここおいしいね。いいとこ見つけたね。奈美ちゃん。 」

「 うんうん、お値段もお手ごろだし。いいねえ~。奈美ちゃんいい仕事してくれたよ。 」

敦子は、同僚の奈美と結衣の三人で、いつものようにランチに来ていた。

結衣と敦子は、奈美が見つけたお店にご機嫌である。

「 結衣ちゃ~ん、朝からあっちゃんがさ、大きなため息ついてたんだよ。それが今は、ホクホク顔。 」

「 そうだったの? あっちゃん何かあったの? 」

「 ううん、何にもないんだけどね。というか何にもないのが、問題なんだな。リア充たちには、わかんないだろうけどさ。 」

「 朝も言ってたよね。結衣ちゃん、あっちゃんが攻撃してくる~。 」

奈美がおどけて見せたので、三人で笑った時だった。

「 こんにちは。 」

「 はっ。 」

「 へっ。 」

「 えっ~~~。 」

ちょうどテーブルの前を通った玉山が、敦子を見つけて挨拶してきた。

敦子を含めた三人は、みな玉山の登場に驚いている。

「 あっちが空いてますよ。行きましょう。 」

玉山と一緒にいた女の人が、玉山に催促した。

一緒にいた後ろの男性二人も敦子たちにおじぎした。

「 じゃあまたね、滝村さん。 」

玉山は、女の人にせかされたからか、敦子に挨拶して横の二人にもお辞儀してからテーブルのほうにいった。
一緒にいた女の人は、先を歩いていたが、玉山が敦子の名前を呼んだとたん、振り返り敦子のほうをじろっと見た。

思い切り敦子と目が合ってしまった。

女の人は、敦子の顔をよ~く見て、フンといった顔をしていってしまった。

玉山達4人が、去っていくとすぐ、奈美が聞いてきた。

「 あっちゃん、今の何? どうして『 エレベーターの貴公子 』知ってるのよ。 」

「 そうだよ、私たちなんにも聞いてないよ。 」

結衣も言ってきた。二人の顔は、真剣そのものである。
敦子の返事いかんでは、胸ぐらでもつかまれそうな勢いである。

敦子は、しぶしぶ玉山の事を話した。

「 名前は、玉山さんて行ってね。住んでいるアパートのお隣さんになったのよ。アパートの大家さんの親戚とかで、引っ越してきたらしいの。それだけ。 」

「 でも名前知ってたわよ。 」

奈美が突っ込みを入れてきた。

「 あ~あ、この前帰省するとき、弟と部屋を出るときにちょうど会って挨拶したの。それで名前だけ知ってるのよ。 」

敦子は、なるべく顔に表情を出さないように話したつもりだった。

しかしテーブルの下にある手は汗がぐっしょり、背中も見事に汗がしたたり落ちるのを感じた。

「 ふ~ん。 」

納得したような納得いかないような微妙な顔をして、二人はうなずいた。

「 でも見た? あっちゃんの名前、玉山さんだっけあの人がいったとたん、一緒にいた女の人の顔が変わったよね。怖かった~。 」

「 うんうん、すごい顔してたね。あっちゃんライバル視されちゃった? 」

ふたりは、のんきに言っている。

「 それにしてもあっちゃん、うらやましい! お隣があの人よ。いつでも会えるね~。 」

「 目の保養になるしね~。そんな偶然ってあるのね~。 」

2人は、しきりに感心していた。


とうの敦子は、さっき見た女の人の整った綺麗な顔とスタイルの良さに、なんだか心がしぼんだのだった。 
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

お久しぶりです旦那様。そろそろ離婚ですか?

奏千歌
恋愛
[イヌネコ] 「奥様、旦那様がお見えです」 「はい?」 ベッドの上でゴロゴロしながら猫と戯れていると、侍女が部屋を訪れて告げたことだった。

王宮に薬を届けに行ったなら

佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。 カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。 この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。 慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。 弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。 「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」 驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。 「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」 ※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。(貴族→庶民)それにより、内容も少し変更しておりますのであわせてお楽しみください。

イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる(イケメンエリートシリーズ第四弾)

便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC” 謎多き噂の飛び交う外資系一流企業 日本内外のイケメンエリートが 集まる男のみの会社 そのイケメンエリート軍団のキャップ的存在 唯一の既婚者、中山トオルの意外なお話 中山加恋(20歳) 二十歳でトオルの妻になる 何不自由ない新婚生活だが若さゆえ好奇心旺盛 中山トオル(32歳) 17歳の加恋に一目ぼれ 加恋の二十歳の誕生日に強引に結婚する 加恋を愛し過ぎるあまりたまに壊れる 会社では群を抜くほどの超エリートが、 愛してやまない加恋ちゃんに 振り回されたり落ち込まされたり… そんなイケメンエリートの ちょっと切なくて笑えるお話

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

【完結】地味な私と公爵様

ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。 端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。 そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。 ...正直私も信じていません。 ラエル様が、私を溺愛しているなんて。 きっと、きっと、夢に違いありません。 お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)

番ではないと言われた王妃の行く末

にのまえ
恋愛
 獣人の国エスラエルの王妃スノーは、人間でありながら“番”として選ばれ、オオカミ族の王ローレンスと結婚した。しかし三年間、彼に番と認められることも愛されることもなく、白い結婚のまま冷遇され続ける。  それでも王妃として国に尽くしてきたスノーだったが、ある日、ローレンスが別の令嬢レイアーを懐妊させ、側妃として迎えると知る。ついに心が折れたスノーは離縁を決意し、国を去ろうとする。  しかしその道中、レイアー嬢の実家の襲撃に遭い、スノーは命を落とす寸前、自身の命と引き換えに広域回復魔法で多くの命を救う。  これでスノーの、人生は終わりのはずだった。  だが次に目を覚ますと、スノーは三年前の結婚式当日に戻っていた。何度死んでも、何度拒絶しても、結婚式の誓いの瞬間へと戻される。  番から逃れようと、スノーは何度も死を選ぶが――。