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第九章 「恋人よ」
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「優里さん……?」
原田は自分を見つめるその大きな瞳に気づいて、思わず立ち上がった。
「原田君……ほんと、貴方には幻滅よ」
掠れた声だった。
それでも紛れもない沖優里の声に、言いようのない震えが原田の全身を包み込む。
「もう、読んだ?」
プロットのことだろうか。
いや違う。すぐにそれが彼女が原田に残した遺書のことだと気づいたが、その一瞬の迷いを見つけられ、彼女に溜息をつかれた。
「読まずに来たのね……貴方に言いたいこと、言い残すことは、それだけよ。さよなら」
「待ってくれ」
彼女はそれだけ言って目を閉じようとするから、原田は慌てて声を上げた。
そこにドアがノックされる。
入ってきたのは先程出て行った看護師と三井、それに知らない男性医師だった。
「沖さん目覚めましたか?」
「え、ええ……」
彼女の代わりに原田が答えるが、呼吸器が外れているのを見て医師は慌てて彼の目を睨む。
「あなたが?」
「ち、違います。彼女が自分で」
「そんなはずないでしょう?」
彼は「退いて下さい」ときつめに言って原田を押しやると、目を閉じたままになってしまった彼女の首筋に手を当てる。それからモニタに表示されている幾つかの数値を確認し、聴診器のを耳に入れて彼女の胸にその先を載せた。
落ちている点滴の袋を見てから何か看護師に伝えると、その彼女が慌てて部屋を出ていく。
「あの、先生」
原田はどうしていいか分からずにそう漏らしたが、医師は無視して呼吸器をセットし直す。
「先生、彼女は大丈夫なんですか?」
「そもそも君は誰なんだ? 沖優里さんの関係者か? どちらでも構わないが、今取り込み中なんだ。外に出て行ってもらえないだろうか?」
抑えた声だったが、苛立っているのは理解できた。
「すみません……」
そう謝り、原田は大人しく部屋を後にする。
外に出るとそこでは葉子が高正と話していたが、原田の姿を見るなり小さく頭を下げた。
「どうしたんだ?」
高正が声を掛けたが、原田はそれに対してゆっくり首を横に振ると、項垂れたまま集中治療室の外に出て行った。
原田は自分を見つめるその大きな瞳に気づいて、思わず立ち上がった。
「原田君……ほんと、貴方には幻滅よ」
掠れた声だった。
それでも紛れもない沖優里の声に、言いようのない震えが原田の全身を包み込む。
「もう、読んだ?」
プロットのことだろうか。
いや違う。すぐにそれが彼女が原田に残した遺書のことだと気づいたが、その一瞬の迷いを見つけられ、彼女に溜息をつかれた。
「読まずに来たのね……貴方に言いたいこと、言い残すことは、それだけよ。さよなら」
「待ってくれ」
彼女はそれだけ言って目を閉じようとするから、原田は慌てて声を上げた。
そこにドアがノックされる。
入ってきたのは先程出て行った看護師と三井、それに知らない男性医師だった。
「沖さん目覚めましたか?」
「え、ええ……」
彼女の代わりに原田が答えるが、呼吸器が外れているのを見て医師は慌てて彼の目を睨む。
「あなたが?」
「ち、違います。彼女が自分で」
「そんなはずないでしょう?」
彼は「退いて下さい」ときつめに言って原田を押しやると、目を閉じたままになってしまった彼女の首筋に手を当てる。それからモニタに表示されている幾つかの数値を確認し、聴診器のを耳に入れて彼女の胸にその先を載せた。
落ちている点滴の袋を見てから何か看護師に伝えると、その彼女が慌てて部屋を出ていく。
「あの、先生」
原田はどうしていいか分からずにそう漏らしたが、医師は無視して呼吸器をセットし直す。
「先生、彼女は大丈夫なんですか?」
「そもそも君は誰なんだ? 沖優里さんの関係者か? どちらでも構わないが、今取り込み中なんだ。外に出て行ってもらえないだろうか?」
抑えた声だったが、苛立っているのは理解できた。
「すみません……」
そう謝り、原田は大人しく部屋を後にする。
外に出るとそこでは葉子が高正と話していたが、原田の姿を見るなり小さく頭を下げた。
「どうしたんだ?」
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